アメリカ文化の特徴は?
一言で言えないのがアメリカ文化
アメリカはインド・中国に次ぐ世界3位の人口、ロシア・カナダに次ぐ世界3位の面積、世界最大のGDPを誇る大国ですが、歴史は短く、移民により成り立っている国であり、人種、民族、言語、とも多岐に渡ります。
もちろんアジア系やアフリカ系の人々が白人と同様の扱いを受けるまでには時間を要しましたが、島国である日本と比べて、アメリカの文化は多様性に富んでおり、日本のように日本人と外国人を線引きする意識は低いです。
公用語≠英語!?
公用語も英語と定められてはおらず(州によって定めている州もある)、実質的には公用語がない一方で、他に母国語がある人も英語を話しているために、ヨーロッパに比べると英語以外の言語が話す必要性が低く、英語以外は話せない人も多いです。
日常生活の違い
チップって必要なの?
海外旅行に行くときにどうすればよいのか心配になったり、意外な出費になってしまったり、と悩みの種になるのがチップです。
日本では飲食店やスーパーマーケットの接客が非常に行き届いていることに外国人観光客が驚いていますが、アメリカでは日本でいう「お客様は神様」という考え方はなく、あくまで支払いの対価として従業員は仕事をしています。
そのため、ホテル、タクシー、美容院等、様々な場所で基本的には「チップ」を渡さなくてはいけません。
もちろん一定の目安はありますが、例えばサービスに不満だったら10%、満足したら20%のように、みなさん使い分けをしています。
飲食店の中には、チップを含めた料金が請求されている場合もあるので、きちんと確認をした方がよいでしょう。
洗濯物は基本部屋干し
日本でも部屋干し専用の洗剤や乾燥機と一体化した洗濯機が増えていますが、特に年配の方はやはり晴れたら洗濯物は外に、という考えが根強いように感じます。
一方、アメリカでは外に干すと景観を乱し、不動産価格に影響するという理由から室外に洗濯物を干すことはあまりありません。そのため、日本以上に乾燥機を所有している家が多いです。いかにも合理性を重視するアメリカ人の国民性が現れています。
トイレのドアが短い!
アメリカだけではないですが、海外の公衆トイレは個室の下のスペースが大きく空いています。防犯上の理由から、何かあったときに周囲が気が付くことができるため、と思われます。
でも利用した人はわかると思いますが、日本に比べるとお世辞にもきれいとは言い難いです。日本では国民性もあり、トイレをきれいに使おう、あとに使う人のことを考えよう、というマナーが浸透していますが、アメリカではなかなか期待しづらいです。またウォシュレットの普及率も日本より圧倒的に低いです。
学校生活の違い
義務教育の年数が違う
日本では小学校6年、中学校3年、計9年が義務教育で、高校への進学には基本的に入学試験が必要ですが、アメリカでは義務教育は12年の州が多く、小学校、中学校、高校にあたる年数も若干異なり小学校5年、中学校3年、高校4年、のような州もあります。
また高校までは住む場所によって自動的に決まることが多く、大学進学時に初めて本格的な選抜が行われます。よく日本の大学は入るのが大変だが出るのは簡単で、アメリカはその反対であると言われますが、高校進学までにもその傾向が見られます。
登下校は歩かない
アメリカは国土が広く、距離的に歩いていけないという理由もあるようですが、治安の面から学校へはスクールバスまたは親の送り迎えでの登下校が一般的です。
ちなみに、州によって違法性まで定めているかや年齢の基準は異なりますが、子どもだけで留守番をさせると児童虐待(ネグレクト)とみなされてしまいます。
でも部活動はない
日本では教員の過重労働が話題になりますが、先ほどチップの話でもあったように労働には対価を求めるので、教員が実質的にボランティアで、しかも休日まで学生の面倒を見る日本の部活動のようなものはアメリカにはありません。
最終的にプロになるまでに複数のスポーツを経験してきたアスリートが多いのも、学外のクラブ活動が中心で、自主性に任される面が強いことや、大学進学に有利になること、が理由のようです。
毎日朝早くから夜遅くまで練習をする日本的な部活動にも忍耐力や上下関係が身につく等、日本社会においては良い面もありますが、これも文化の違いなのでしょう。
職場での違い
あいさつはおじぎではなく握手から
日本のビジネスシーンでは、社会人になりたての新入社員から研修等でおじぎの角度まで教えられるものですが、アメリカのビジネスシーンでは初対面で握手をするのが必須と言えます。
力が込められていないとやる気がないと思われたり、おじぎをしながらでは目をそらしていることになったり、両手や時間の長い握手は過剰だと言われたり、習慣になっていない日本人にとっては意外と難しいものです。
しかし、第一印象をできるだけよくする大切な場面です。気づかないうちにマナー違反とならないように注意しましょう。
チームワークも大事
日本の外資系企業のイメージから、自分の成果だけを追い求めており、同僚もライバル視するような風土を想像されるかもしれませんが、やはり企業体ではチームで成果を出すことが重要であり、自分さえよければよいという働き方は求められていません。
たしかに雇用主は理由を問わず従業員を解雇できる一方、従業員も自由に退職できますが、個人が自身の能力に誇りを持ち、プロフェッショナルとして課題解決に向かい、その中でさらなるスキルアップを目指しているというのが特徴です。
日本企業も終身雇用、年功序列から徐々に成果に対する評価制度に変わっていますので、以前に比べればその差は小さくなっていると言えるでしょう。
コミュニケーションは直接的
アメリカでは異なる文化的背景を持つ人が一緒に暮らしているので、職場に限ったことではありませんが、自分たちの常識が相手の常識ではないという意識を持ち、明確に言葉で伝える必要があります。
日本の社会や政治で頻繁に話題となる「忖度」や「空気を読む」といった間接的なコミュニ-ションにも良い部分はあると思いますが、アメリカ社会にはなじまないので、曖昧な表現は避け、意見や要求をはっきりと表現することが求められます。
会議でも、冒頭に全員が自己紹介をするようなことはなく、直接本題に入ることが多いです。
日本の学生たちも近年は学校でディベートの練習や参加型の授業が増えているので、社会に出てからプレゼンテーションをする機会があっても戸惑うことが少ないように思いますが、アメリカではよりプレゼンテーションが重視されていると言えます。
ワークライフバランスがとれている?
近年話題になるFIRE(Financial Independence, Retire Early)は、アメリカ発祥の考え方ですが、OECDが調べた年間総労働時間は2022年のデータで日本:1,607時間に対してアメリカ:1,811時間と、日本人の方がアメリカ人より働いているとは言い切れません。
日本と同じように高収入の業種や社会的責任の思い仕事ではどうしても時間外勤務が必要な場面は出てきます。
また、税金が高いことや日本に比べ貯蓄率が低かったり医療保険等公的な保証が薄かったりと、不景気に対する不安感を強く感じている人が多いことを挙げる人もいます。
食文化の違い
アメリカ人は何を食べている?
アメリカでは肉類や加工食品を毎日のように食べており、炭酸飲料を好んで飲んでいるというイメージは概ね正しいと思います。
徐々に日本での店舗も増えているコストコ等では、アメリカの家庭で並ぶ食べ物の一例を見ることができます。シリアルやパンケーキ等のサイズは日本とは段違いに大きいです。
アメリカ人は料理をしない?
よくドラマや映画でホームパーティーをしているイメージがあるアメリカですが、日本ほど食文化を大切にしているとは言い難く、あくまでコミュニケーションの一環として食事を楽しんでいるのであり、実は冷凍食品を大いに活用している人も多いです。
アメリカでは共働き世帯が日本よりも前から多かったため、加工食品やファーストフードが普及したとも言われており、日本のように一汁三菜、栄養バランスを重視した食事を毎日しなくてはいけない、という意識は高くありません。
また、外食していて残してしまったときも日本では持ち帰り禁止と掲げられているお店が多いですが、アメリカでは「Doggy Bag」という持ち帰り用の袋がだいたいどこでももらえます。もちろん衛生面の保証はないのでご利用は自己責任でお願いします。
アメリカ人はみな太っている?
結果的に糖類や脂質過多になりがちなアメリカの食生活は肥満の原因となっています。
WHOでは、BMIが25以上は「太りすぎ」、30以上は「肥満」とみなしていますが、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によると、2020年時点で「肥満」の割合が41.9%で、「太り過ぎ」の人の割合が30.7%、合わせると72.6%ですが、この割合は現在も上昇傾向にあります。
日本からアメリカへ、アメリカから日本へ
アメリカでも日本食の人気は高まっており寿司店等は増えていますし、実は日本よりもアメリカの方が米の年間生産量は多いです。
一方でドーナツやオートミール、アメリカから日本に広まっている食品も増えています。
食文化というのは一定ではなく、今日のように各国での行き来や情報が容易に手に入る社会では、時代によって変化していくのでしょう。
まとめ
いくつかの視点からアメリカと日本の違いを見てきました。海外旅行、留学、就職、さまざまな形でアメリカでの生活を考えている人がいると思います。
もちろん行ってみないとわからないことはたくさんありますが、トラブルを防ぐ、また少しでもスムーズに生活ができるよう、ぜひ事前に下調べを行ってからの渡航をおすすめします。