
「アメリカの首都はどこ?」と聞かれた時、意外とパッと答えられない方もいるのではないでしょうか。
アメリカといえば、ニューヨークのイメージが強い方もいるかと思いますが、実はアメリカの首都はワシントンD.C.なんです。規模の大きさを考えると「え、なんでニューヨークじゃないの?!」と感じる方もいるでしょう。ちなみに、ワシントン州はワシントンD.C.とは全く違う地域なので、より混乱する方も多いのではないかと思います。
本記事では、ワシントン州とワシントンD.C.の違いを踏まえて、アメリカの首都ワシントンD.C.について徹底解説します。首都がニューヨークではない理由や由来、おすすめの観光スポットなど、ワシントンD.C.についてたくさん紹介していきます!
- ワシントン州とワシントンD.C.の違い
- アメリカの首都・ワシントンD.C.
- ワシントンD.C.の名前の由来
- 英語での正式名称とワシントンD.C.の正しい表記
- どの州にも属さないワシントンD.C.
- 人口や面積から見るワシントンD.C.の規模
- ワシントンD.C.の人口や住民の特徴
- 観光で訪れたいワシントンD.C.のおすすめスポット3選
- 日本からワシントンD.C.へのアクセス方法と現地の交通事情
- まとめ
ワシントン州とワシントンD.C.の違い
ワシントンD.C.について説明する前に、名前のよく似たワシントン州との違いについて解説します。
ワシントン州とワシントンD.C.の位置関係
ワシントン州とワシントンD.C.は、以下のようにまったく別の場所です。
ワシントン州:アメリカの北西部、カナダと国境を接する太平洋沿岸に位置する州 ワシントンD.C.:アメリカ東部、メリーランド州とバージニア州の間、ポトマック川沿いに位置するアメリカの首都
地図上で見ても、アメリカを挟んで真逆の位置にあるため全く関係のない地域だとわかります。
名前が似ている理由
ワシントン州もワシントンD.C.も名前にワシントンがあるのは、初代アメリカ大統領ジョージ・ワシントンに由来します。彼の名を冠して州と都市の名前としてそれぞれ独立して付けられたのです。ちなみに、混乱を避けるために、一般的には、首都を指す場合は「D.C.」を付けて表記されています。
アメリカの首都・ワシントンD.C.
最初に、ワシントンD.C.の基本情報を確認していきます。
ワシントンD.C.の基本情報
ワシントンD.C.は、アメリカの首都として政治・行政の中枢を担う都市です。面積はそれほど広くありませんが、ホワイトハウスやアメリカ合衆国議会議事堂、最高裁判所、国防省(ペンタゴン)などといった政府機関が集中し、歴史的建造物や国立博物館、記念碑も多く立ち並んでいます。
ワシントンD.C.があるのは、アメリカ合衆国の東海岸に近い内陸部。メリーランド州とバージニア州の境界を流れるポトマック川沿いにあります。
地図で見てみると、ニューヨークの南西、アトランタの北東あたりの位置関係となっており、東海岸の主要都市と比較的近い距離にあることが分かります。観光やビジネスでもアクセスしやすい場所として知られています。
治安も比較的良好なため、観光都市としても知られています。四季の移ろいもはっきりしており、春には桜が咲き誇るなど、日本人にとっても親しみやすい気候が魅力的です。
アメリカの首都がニューヨークではない理由
実は、アメリカの初代首都は現在のニューヨークだったのですが、フィラデルフィア、ワシントンD.C.へと移されました。アメリカ建国初期、北部と南部は経済や政治の利害がしばしば対立しており、首都の位置をめぐっても意見が分かれたため、中立地帯を新設し、双方の妥協点を見出したのです。
結果的に、連邦政府はメリーランド州とバージニア州から土地を譲り受け、どの州にも属さない特別な行政区域=コロンビア特別区(D.C.)を設立し、首都設置を決めました。
ワシントンD.C.の名前の由来
ワシントンD.C.の名前の由来を、以下では「ワシントン」と「D.C.」に分解して解説します。
初代大統領ワシントンに由来
ワシントンD.C.の「ワシントン」は、前の章でもお伝えしたように、アメリカ独立戦争を指揮して合衆国の礎を築いた初代大統領ジョージ・ワシントンにちなんでいます。建国の父とも称されるワシントンの功績を称えるため、首都の名前として採用されました。
D.C.はDistrict of Columbiaの略
「D.C.」とは、District of Columbia(コロンビア特別区)の短縮形です。「コロンビア」は、アメリカを象徴する古い表現で、探検家クリストファー・コロンブスに由来しています。
つまり「ワシントンD.C.」は、「コロンビア特別区にあるワシントン」という意味になります。
英語での正式名称とワシントンD.C.の正しい表記
日本語ではワシントンD.C.と表記されるアメリカの首都ですが、英語の正式名称や正しい表記についても知っておきましょう。
Washington D.C.とThe District of Columbiaの違い
Washington, D.C.の「Washington」は都市名、「D.C.」が地域区分(特別区)であるため、正式名称は「Washington, District of Columbia」・「The District of Columbia」と言います。
公的な文書や法律文では「The District of Columbia」を使いますが、日常会話や旅行情報などでは、ほとんどの場合「Washington D.C.」または「 D.C.」と言います。ネイティブスピーカーの間では「I live in D.C.」のような言い方も一般的です。
名前にD.C.をつける理由
D.C.をつける理由は、「ワシントン」だけだとワシントン州(Washington State)と混同される可能性があり、ワシントン州とワシントンD.C.のどちらを指しているかわかりにくいからです。
「ワシントン」だけ → 州と誤認されやすい 「ワシントンD.C.」 → 首都であることが明確
以上のことから、首都を指す場合は「D.C.」をつけるのが原則です。特に、英語で「Washington」だけで検索すると西海岸の州(シアトルなど)に関する情報が出てくることがあるため要注意です。
どの州にも属さないワシントンD.C.
以下では、ワシントンD.C.が特定の州に属していない理由を詳しく解説します。
ワシントンD.C.があるコロンビア特別区
ワシントンD.C.があるコロンビア特別区が特定の州に属していないのは、連邦政府直轄の特別区として設計され、50州とは異なる行政区分となっているからです。ちなみに、アメリカ国内の都市や地域で連邦政府直轄の特別区なのは、ワシントンD.C.のみです。
首都が州ではない理由と背景
首都であるワシントンD.C.を連邦政府直轄の特別区としたのは、首都をどこかの州に属させると、権力が偏ってしまう可能性を恐れたためです。
1790年にコロンビア特別領(territory of Columbia)が創設され、当初は特別区の中に自治権をもった複数の市や郡がありました。全ての自治体が統合された後にも、以前の自治都市のひとつであったWashington, District of Columbiaをアメリカの首都の名前として使用しているのです。
人口や面積から見るワシントンD.C.の規模
2024年時点のワシントンD.C.の人口は70万人を突破。また、面積も177.0㎢とかなりコンパクトで、観光や行政機能が凝縮された都市だと言えます。
他の50州と比べると、D.C.はどの州よりも面積が小さく、人口も少ないことから、アメリカの中でも特殊な存在といえるでしょう。ちなみに、アメリカで人口が最も少ない州であるワイオミング州は約49万人、次に少ないバーモント州でも約60万人です。
以上のように、ワシントンD.C.はアメリカの首都として国全体に大きな影響力を持っています。ワシントンD.C.の特殊性は、アメリカ独自の政治体制を象徴していると言えるでしょう。
ワシントンD.C.の人口や住民の特徴
以下では、ワシントンD.C.の人口規模や住民の特徴について解説します。
ワシントンD.C.の人口規模
2023年時点のワシントンD.C.の人口は約68万人と日本の岡山市と同程度で、アメリカの他の大都市に比べて決して多くはありません。ニューヨーク市の人口は約826万人の一方で、D.C.は10分の1以下です。
ちなみに、ワシントンD.C.の人口密度は1位、また黒人比率は1位と、国全体のマジョリティとマイノリティが逆転しているのも特徴です。
住民の多くが連邦政府職員
ワシントンD.C.では、アメリカ連邦政府が最大の雇用主となっています。市内で働く人々のうち、約4人に1人が政府関連機関に勤務しており、行政・政策分野の仕事が非常に多いのが特徴です。連邦政府や各省庁、本庁機能をもつ公共機関が集中しているため、政治・行政の中心地としての役割を担っています。
また、ワシントンD.C.では観光業やホテル業も盛んで、博物館や政府機関を訪れる観光客を受け入れる体制が整っています。一般的な商業都市というよりも、「政治・行政・文化の都市」と言えるでしょう。
観光で訪れたいワシントンD.C.のおすすめスポット3選
以下では、ワシントンD.C.のおすすめの観光スポットを3箇所紹介します。
ホワイトハウス:アメリカ大統領の公邸
アメリカの象徴的建造物といえばWhite House(ホワイトハウス)。アメリカ大統領の公邸兼執務室として使われている建物で、政界の中心として機能しています。建物の内部見学は制限されていますが、ホワイトハウス・ビジターセンターでは模型や歴代大統領の展示を楽しむことができるので、観光客にも人気のスポットとなっています。
| 項目 | 内容 |
| 住所 | 1600 Pennsylvania Ave NW, Washington, DC 20500, USA |
| 公式ホームページ | https://www.whitehouse.gov/ |
議会議事堂:豪華な内部を見学できる建物
ワシントンD.C.の中心にあるUnited States Capitol(アメリカ合衆国議会議事堂)は、美しいドーム型の新古典主義建築が印象的な建物です。事前予約制の無料ガイドツアーに参加すると、議会の歴史や建築の見どころを堪能できます。政治の舞台裏に触れられる貴重なひとときを体験できるでしょう。
| 項目 | 内容 |
| 住所 | Washington, District of Columbia, 20004, USA |
| 公式ホームページ | https://www.visitthecapitol.gov/ |
ナショナル・モール:記念碑と博物館が並ぶ公園
National Mall(ナショナル・モール)は、ワシントンD.C.で最も広大で有名な国立公園です。全長約4キロメートルの敷地には、リンカーン記念堂、ワシントン記念塔、国立自然史博物館、航空宇宙博物館など、アメリカを象徴する建築や展示施設が集中しています。偉人や帰還兵の記念碑なども建てられています。
敷地内ではセグウェイや自転車ツアーなども利用でき、歴史と自然、芸術が融合したアメリカ屈指の観光エリアと言えます。
| 項目 | 内容 |
| 住所 | 1100 Ohio Drive SW, Washington, DC 20242, USA |
| 公式ホームページ | https://www.nps.gov/nama/index.htm |
日本からワシントンD.C.へのアクセス方法と現地の交通事情
最後に、日本からワシントンD.C.へのアクセス方法や現地の交通網についても知っておきましょう。
日本からワシントンD.C.へ行ける空港とアクセス方法
日本からワシントンD.C.へのアクセスするには、主に以下2つの空港を経由します。
1. Washington Dulles International Airport(ワシントン・ダレス国際空港)
東京・羽田空港からの直行便あり(所要約13時間) 空港からD.C.市内までは約40キロ 移動手段:乗合タクシー、メトロバス、ホテルのシャトルバンなど 所要時間:約1時間
2. Ronald Reagan Washington National Airport(ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港)
日本からの直行便はなし アメリカ国内からの短距離フライト中心 D.C.中心部までの距離:約5キロ(タクシーで15分程度) 地下鉄(メトロ)が空港に直結しており、市内アクセスが非常に便利
どちらの空港も利便性は高いですが、日本から渡航する場合はダレス空港の利用が一般的です。
現地の公共交通機関も便利で安心
ワシントンD.C.市内では、以下のように公共交通機関が充実しています。
地下鉄(Metro):路線がわかりやすく、観光地や主要施設へのアクセスが良好 バス(Metrobus):市内を網羅する路線網で交通カード(SmarTrip)を使うと便利 路面電車(DC Streetcar):一部エリアで運行しており、観光にもおすすめ
以上のように、ワシントンD.C.は交通インフラが充実しているため、初めての旅行でも移動に困ることは少ないと言えます。治安も比較的よく、昼間の観光であれば安心して街歩きが楽しめます。
まとめ
アメリカの首都であるワシントンD.C.は、政治の中心地であると同時に、豊かな歴史と多くの観光名所を備えた魅力あふれる都市で、どの州にも属さない特別区として設計されたユニークな背景を持っています。
アメリカを深く知るうえで欠かせない場所のひとつなので、留学や旅行でアメリカに渡航する際はぜひ訪れてみてくださいね!
◇経歴(英語を使用した経歴)
小中学生時代をアメリカ・ニューヨーク州で過ごした後、高校では英語を専門的に学び大学では主に英語教育を学びました。その中で、実際に中学生に対して学校で英語の授業を行ったり塾講師として受験英語の指導を行ったりしていました。
◇資格
・英検準1級
・TOEIC865点
・中学校教諭一種免許状(英語)
・高等学校教諭一種免許状(英語)
◇海外渡航経験
小学校3年生から中学生までの間、アメリカ・ニューヨーク州で生活し、現地の学校に通っていました。
この経験を通じて、異文化の中で生活する楽しさや戸惑いを肌で感じながら、英語や多様な価値観に触れることができました。
まだ幼いうちに新鮮な経験ができたこともあり、クラスメートとの交流や現地の行事への参加を通じて、自然とアメリカの文化に溶け込んでいく貴重な時間を過ごしました。
◇自己紹介
WEBライターのりんと申します。義務教育時代を海外で過ごした経験を活かして主に英語や教育に関する記事を執筆しております。