「アメリカの首都はどこ?」と聞かれた時、意外とパッと答えられない方もいるのではないでしょうか。
「アメリカといえば、ニューヨーク」と考える方も多いとは思いますが、実はアメリカの首都は「ワシントンD.C.」なんです。聞いたことはあるという方も、「え、なんでニューヨークじゃないの?!」と感じる方もいるでしょう。
今回は、「ワシントンD.C.」とは何か、なぜ首都はニューヨークじゃないのか、「ワシントンD.C.」の観光名所はどこなのかなど、「ワシントンD.C.」についてたくさんご紹介していきます!
- アメリカの首都はどこ?ワシントンD.C.とは
- ワシントン州とワシントンD.C.の違い
- 「ワシントンD.C.」という名前の由来
- ワシントンD.C.はどの州に属しているの?
- 地図で見るワシントンD.C.の場所と特徴
アメリカの首都はどこ?ワシントンD.C.とは
ワシントンD.C.はどんな都市?
ワシントンD.C.はアメリカ合衆国の首都であり、政治・行政の中枢を担う都市です。面積はそれほど広くありませんが、ホワイトハウスやアメリカ合衆国議会議事堂、最高裁判所など政府機関が集中し、歴史的建造物や国立博物館、記念碑も多く立ち並びます。
治安も比較的良好で、観光都市としても知られています。四季の移ろいもはっきりしており、春には桜が咲き誇るなど、日本人にとっても親しみやすい気候が魅力です。
なぜ首都はニューヨークではないのか?
実は、アメリカの初代首都は現在のニューヨークでした。その後、フィラデルフィアを経て、最終的に現在のワシントンD.C.へと移されたのです。
その背景には、北部と南部の政治的対立がありました。北部が独立戦争時の負債を負担する代わりに、首都を南部寄りに置くという妥協案が成立し、現在の場所に連邦政府直轄の地区(コロンビア特別区)が新設され、そこが首都となったのです。
ワシントン州とワシントンD.C.の違い
ワシントン州とワシントンD.C.の位置関係
まず注意したいのは、「ワシントン州」と「ワシントンD.C.」はまったく別の場所であるということです。
・ワシントン州:アメリカの北西部、カナダと国境を接する太平洋沿岸に位置する州。
・ワシントンD.C.:アメリカ東部、メリーランド州とバージニア州の間、ポトマック川沿いに位置。
地図上で見ても、アメリカを挟んで真逆の位置にあり、全く関係のない地域です。
名前が似ている理由は?
どちらも「ワシントン」という名前を持っていますが、これは初代アメリカ大統領ジョージ・ワシントンに由来します。彼の名を冠する形で、州と都市の名前がそれぞれ独立して付けられたのです。
混乱を避けるために、首都を指す場合は「ワシントンD.C.」と「D.C.」付きで表記されるのが一般的です。
「ワシントンD.C.」という名前の由来
「ワシントン」は初代大統領に由来
「ワシントンD.C.」の「ワシントン」は、アメリカ独立戦争を指揮し、合衆国の礎を築いた初代大統領ジョージ・ワシントンにちなんだ名称です。建国の父とも称される彼の功績を称えるため、首都の名前として採用されました。
「D.C.」は「District of Columbia」の略
「D.C.」とはDistrict of Columbia(コロンビア特別区)の略です。「コロンビア」は、アメリカを象徴する古い表現で、探検家クリストファー・コロンブスに由来しています。
つまり「ワシントンD.C.」は、「コロンビア特別区にあるワシントン」という意味になります。
ワシントンD.C.はどの州に属しているの?
実は州には属していない!「コロンビア特別区」とは?
意外かもしれませんが、ワシントンD.C.はアメリカのいずれの州にも属していません。それはこの都市が、「連邦政府直轄の特別区」として設計されたからです。
正式には「コロンビア特別区(District of Columbia)」と呼ばれ、50州とは異なる行政区分となっています。
首都が「州ではない」理由とその背景
首都をどこかの州に属させると、その州に特別な権力が偏ってしまうおそれがありました。そこで、どの州にも属さない中立的な首都を新たに設けることが決まったのです。
これは北部・南部間の権力バランスを取るためでもあり、結果として新たに連邦直轄の地区(D.C.)を作ることで解決が図られました。
地図で見るワシントンD.C.の場所と特徴
ワシントンD.C.はアメリカ東部のどこにある?
ワシントンD.C.は、アメリカ合衆国の東海岸に近い内陸部に位置しています。より具体的には、メリーランド州とバージニア州の境界を流れるポトマック川沿いにあります。
地図で見てみると、ニューヨークの南西、アトランタの北東あたりの位置関係となっており、東海岸の主要都市と比較的近い距離にあることが分かります。観光やビジネスでもアクセスしやすい場所として知られています。
北部と南部の妥協で生まれた首都
ワシントンD.C.がこの場所に首都として定められた背景には、北部と南部の政治的な妥協があります。
アメリカ建国初期、北部と南部は経済や政治の利害がしばしば対立していました。首都の設置をめぐっても「どちらに置くか」で意見が分かれたため、中立地帯を新設することで双方の妥協点としたのです。
その結果、連邦政府はメリーランド州とバージニア州から土地を譲り受けて、どの州にも属さない特別な行政区域=コロンビア特別区(D.C.)を設立し、そこに首都を置くことに決めました。
ワシントンD.C.の人口と住民の特徴
人口規模はどのくらい?
ワシントンD.C.の人口は、2023年時点で約68万人です。この数字は、たとえば日本の岡山市と同程度であり、アメリカの他の大都市と比べると決して多くはありません。
アメリカ最大の都市・ニューヨーク市の人口が約826万人であるのに対し、D.C.の人口はその10分の1以下という規模です。
住民には連邦政府職員が多い
ワシントンD.C.の最大の雇用主はアメリカ連邦政府です。市内に暮らす就業者のうち、約半数が公務員または政府関連機関で働いているとされており、その割合は他都市と比べて圧倒的です。
また、観光業やホテル業も盛んで、博物館や政府機関を訪れる観光客を受け入れる体制が整っています。一般的な商業都市というよりも、「政治・行政・文化の都市」と言えるでしょう。
観光で訪れたい!ワシントンD.C.のおすすめ名所
ホワイトハウス:アメリカ大統領の公邸
アメリカの象徴的建造物といえば「ホワイトハウス」。ここはアメリカ大統領の公邸兼執務室として使われており、政界の中心でもあります。
建物の内部見学は制限されていますが、ホワイトハウス・ビジターセンターでは模型や歴代大統領の展示を楽しむことができ、観光客にも人気のスポットです。
議会議事堂:豪華な内部を見学できる建物
ワシントンD.C.の中心に位置する「アメリカ合衆国議会議事堂(United States Capitol)」は、美しいドーム型の新古典主義建築が印象的な建物です。
ここでは事前予約制の無料ガイドツアーに参加することで、議会の歴史や建築の見どころを知ることができます。政治の舞台裏に触れられる貴重な体験です。
ナショナル・モール:記念碑と博物館が並ぶ公園
「ナショナル・モール(National Mall)」は、ワシントンD.C.で最も広大かつ有名な国立公園です。
全長約4キロメートルの敷地には、リンカーン記念堂、ワシントン記念塔、国立自然史博物館、航空宇宙博物館など、アメリカを象徴する建築や展示施設が集中しています。
セグウェイや自転車ツアーなども利用でき、歴史と自然、芸術が融合したアメリカ屈指の観光エリアです。
アメリカ国内でのワシントンD.C.の位置づけ
人口や面積から見るD.C.の規模
ワシントンD.C.の人口は68万人ほどですが、面積もかなりコンパクトで、観光や行政機能が凝縮された都市です。
50州と比べると、D.C.はどの州よりも面積が小さく、また多くの州よりも人口も少ないことから、アメリカの中でも特殊な存在といえるでしょう。
アメリカ50州との比較で見える特徴
例えば、アメリカで人口が最も少ない州であるワイオミング州は約49万人、次に少ないバーモント州でも約60万人です。
このように、ワシントンD.C.は州ではないにもかかわらず、それらと同等以上の規模を持つ政治都市であり、国全体に対して大きな影響力を持っています。
その特殊性は、「州に属さない首都」という制度設計の象徴でもあり、アメリカ独自の政治体制を象徴する都市とも言えるでしょう。
英語での正式名称と「ワシントンD.C.」の正しい表記
「Washington D.C.」と「The District of Columbia」の違い
アメリカの首都「ワシントンD.C.」は、英語では一般的に「Washington, D.C.」と表記されます。この「D.C.」は「District of Columbia(コロンビア特別区)」の略です。
「Washington」は都市名、そして「D.C.」がその地域区分(特別区)を示しており、正式名称としては「Washington, District of Columbia」または「The District of Columbia」という形になります。
公的な文書や法律文では「The District of Columbia」が使われることもありますが、日常会話や旅行情報などでは、ほとんどの場合「Washington D.C.」が使われています。
なぜ「D.C.」をつける必要があるのか?
「ワシントン」という名前だけだと、アメリカのワシントン州(Washington State)と混同される恐れがあります。
・「ワシントン」だけ → 州と誤認されやすい
・「ワシントンD.C.」 → 首都であることが明確
このため、首都を指す場合は「D.C.」をつけるのが原則です。とくに英語では、「Washington」だけで検索すると西海岸の州(シアトルなど)に関する情報が出てくることがあるため注意が必要です。
なお、アメリカ人も略して「D.C.」だけで会話することが多く、たとえば「I live in D.C.」のような言い方も一般的です。
日本からのアクセス方法と現地の交通事情
日本から行ける空港とアクセス手段
日本からワシントンD.C.へのアクセスは、主に2つの空港を経由します。
1. ワシントン・ダレス国際空港(Washington Dulles International Airport)
・東京・羽田空港からの直行便あり(所要約13時間)
・空港からD.C.市内までは約40キロ
・移動手段:乗合タクシー、メトロバス、ホテルのシャトルバンなど
・所要時間:約1時間
2. ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港(Ronald Reagan Washington National Airport)
・日本からの直行便はなし
・アメリカ国内からの短距離フライト中心
・D.C.中心部までの距離:約5キロ(タクシーで15分程度)
・地下鉄(メトロ)が空港に直結しており、市内アクセスが非常に便利
・どちらの空港も利便性は高く、日本からの渡航ならダレス空港を利用するのが一般的です。
現地の公共交通機関も便利で安心
ワシントンD.C.市内では、以下のような公共交通機関が整備されています。
・地下鉄(Metro):路線がわかりやすく、観光地や主要施設にもアクセス良好
・バス(Metrobus):市内を網羅する路線網。交通カード(SmarTrip)を使うと便利
・路面電車(DC Streetcar):一部エリアで運行。観光にもおすすめ
交通インフラが充実しているため、初めて訪れる旅行者でも移動に困ることは少ないでしょう。治安も比較的よく、昼間の観光であれば安心して街歩きが楽しめる都市です。
まとめ:ワシントンD.C.はアメリカの政治と歴史が詰まった特別な都市
ワシントンD.C.は、アメリカの首都として政治の中心地であると同時に、豊かな歴史と多くの観光名所を備えた魅力あふれる都市です。ワシントン州とは全く別の場所であり、どの州にも属さない「コロンビア特別区」として設計されたユニークな背景を持っています。アメリカを深く知るうえで欠かせない場所のひとつです。

◇経歴(英語を使用した経歴)
小中学生時代をアメリカ・ニューヨーク州で過ごした後、高校では英語を専門的に学び大学では主に英語教育を学びました。その中で、実際に中学生に対して学校で英語の授業を行ったり塾講師として受験英語の指導を行ったりしていました。
◇資格
・英検準1級
・TOEIC865点
・中学校教諭一種免許状(英語)
・高等学校教諭一種免許状(英語)
◇海外渡航経験
小学校3年生から中学生までの間、アメリカ・ニューヨーク州で生活し、現地の学校に通っていました。
この経験を通じて、異文化の中で生活する楽しさや戸惑いを肌で感じながら、英語や多様な価値観に触れることができました。
まだ幼いうちに新鮮な経験ができたこともあり、クラスメートとの交流や現地の行事への参加を通じて、自然とアメリカの文化に溶け込んでいく貴重な時間を過ごしました。
◇自己紹介
WEBライターのりんと申します。義務教育時代を海外で過ごした経験を活かして主に英語や教育に関する記事を執筆しております。