アジア最古の総合大学として知られるフィリピンの「University of Santo Tomas(サント・トマス大学)」。フィリピンの教育において重要な役割を果たしてきた歴史ある大学です。
今回は、この名門大学について基本情報から入学条件、学部・学科構成、周辺施設まで徹底的に解説していきます。
- University of Santo Tomas(サント・トマス大学)の基本情報
- サント・トマス大学への入学条件
- サント・トマス大学の学費
- サント・トマス大学の学部と学科
- サント・トマス大学周辺の施設やおすすめスポット
- まとめ
University of Santo Tomas(サント・トマス大学)の基本情報
設立と歴史
サント・トマス大学は1611年に設立され、フィリピン最古かつアジア最古の現存する大学です。当初はカトリックの聖職者育成のための大学として創設されました。設立者はマニラ大司教であるスペイン人修道士ミゲル・デ・ベナビデスです。400年以上の長い歴史を持ち、東洋で最も古い大学として知られています。
ロケーションと規模
正式名称は「University of Santo Tomas(UST)」で、フィリピンのマニラ、エスパーニャ通り(Espana Boulevard)のサンパロック地区に位置しています。キャンパスは単一キャンパスとしては世界最大のカトリック大学であり、約40,000人の学生が在籍しています。その広大なキャンパスは歴史的建造物と近代的な施設が調和した美しい環境を提供しています。
特徴と評価
USTは世界の大学ランキングでも常にトップ1000位内にランクインする名門校です。フィリピンでは「フィリピン大学」「デラサール大学」「アテネオ・デ・マニラ大学」とともに4大名門大学の一つとして認識されています。
また、ローマ教皇が4度訪問したフィリピンで唯一の大学としても知られ、カトリック教育の中心地としての役割を担っています。歴史と伝統を重んじながらも、現代の教育ニーズに応える高品質な教育を提供していることが評価されています。
サント・トマス大学への入学条件
出願資格
サント・トマス大学への入学を希望する学生に必要な条件は次のようになります。
1.高校卒業証明書または同等の資格
フィリピンの教育システムにおける高校卒業資格(通常はK-12プログラム修了)または国際的に認められた同等の資格(例:IBディプロマ、GCE Aレベルなど)が必要です。日本の高校卒業資格もこれに該当します。
2.入学試験の合格
フィリピンの教育システムにおける高校卒業資格(通常はK-12プログラム修了)または国際的に認められた同等の資格(例:IBディプロマ、GCE Aレベルなど)が必要です。日本の高校卒業資格もこれに該当します。
3.英語の基本的な能力
サント・トマス大学の授業の多くは英語で行われるため、英語での授業理解や課題遂行が可能な英語力が求められます。留学生の場合、これを証明するために英語能力試験のスコア提出が求められることが一般的です。
4.希望する学部・学科による追加要件
例えば、美術・デザイン学部ではポートフォリオの提出、音楽学部では実技試験、一部の理系学部では特定の科目の履修歴などが追加要件として課されることがあります。これらは大学の公式ウェブサイトや募集要項で確認する必要があります。
留学生向け入学プロセス
留学生がサント・トマス大学に入学するためのプロセスを解説していきます。
1.オンライン出願フォームの提出
多くの大学と同様にオンラインでの出願が主流となっています。大学の公式ウェブサイトの入学案内ページから手続きを行います。
2.必要書類の提出
具体的な必要書類には以下のようなものが含まれることが一般的です(詳細は必ず最新の募集要項で確認してください)。
パスポートのコピー
高校の成績証明書(英文、発行元の学校印および署名が必要)
高校の卒業証明書(英文、発行元の学校印および署名が必要)
推薦状
英語能力証明書(TOEFL、IELTSなど。スコア要件は学部により異なる場合があります)
出生証明書その他、大学が指定する書類
3.入学試験の受験または学力評価
留学生も原則としてUSTETを受験する必要があります。ただし、居住国や特定の条件下では、SATやその他の国際的な標準学力テストのスコアが考慮される場合や、オンラインでの試験が実施される可能性もあります。最新の情報を確認することが重要です。
4.合格通知の受領
合格者には大学から正式な合格通知が送られます。
5.ビザ申請と必要な手続きの完了
フィリピンに留学するためには、学生ビザ(9f Visa)の取得が必要です。合格通知受領後、フィリピン大使館または領事館で手続きを行います。
6.入学金と初回授業料の支払い
合格後、指定された期限内に入学金および授業料を納付する必要があります。
サント・トマス大学の学費
学部課程の学費
学費は、専攻する学部や学科によって異なります。一般的な年間学費の目安を紹介していきます。
一般学部:PHP 50,000 〜 PHP 75,000 程度(約13万円~20万円)
医学系学部:PHP 130,000 〜 PHP 180,000 程度(約34万円~47万円)
工学・建築系:PHP 60,000 〜 PHP 75,000 程度(約15万円~20万円)
※公式な学費はフィリピンペソ (PHP) で提示されます。日本円での金額は為替レートによって大きく変動します。
※通常、学費は1学期ごとに請求され、多くの場合1年間が2学期制です。
※正確な学費は、必ず入学を希望する年度の大学公式ウェブサイト(財務部や入学管理局のページ)で確認してください。
その他の費用
学費以外にも必要となる費用を紹介します。
教科書・教材費:約5万円〜10万円/年
学生活動費:約1万円〜2万円/年
制服代(一部の学部):約1万円〜3万円
実験実習費(理系学部):約2万円〜5万円/年
奨学金と経済的支援
USTでは、成績優秀者や経済的に困難な学生向けにさまざまな奨学金プログラムを提供しています。また、特定のスポーツや芸術分野に優れた才能を持つ学生向けの特別奨学金も用意されています。留学生も応募可能な奨学金もありますので、詳細は大学の国際オフィスに問い合わせることをおすすめします。
サント・トマス大学の学部と学科
主要学部と提供プログラム
サント・トマス大学は幅広い学問分野をカバーする総合大学です。主な学部、学科を紹介していきます。
科学・技術・工学・数学系(STEM)
建築学部:建築学科
工学部:化学工学科、土木工学科、電気工学科、電子工学科、産業工学科、機械工学科
科学部:応用物理学科、生物学科、生化学科、化学科、数学科、微生物学科、コンピュータサイエンス学科
情報・コンピュータ研究学部:情報システム学科、情報技術学科
健康・医療系
医学部:医学科
薬学部:薬学科、臨床薬学科
看護学部:看護学科
リハビリテーション科学部:作業療法学科、理学療法学科、言語聴覚学科
栄養・食品科学部:栄養・食品科学科、食品技術学科
医療技術学部:臨床検査学科
人文・社会科学系
教養学部:アジア研究学科、行動科学学科、コミュニケーション学科、創作文学科、経済学科、英語言語学科、歴史学科、ジャーナリズム学科、法律経営学科、文学科、哲学科、政治学科、社会学科
教育学部:初等教育学科、中等教育学科、特別支援教育学科、幼児教育学科
法学部:法学科
図書館情報学部:図書館情報学科
心理学部:心理学科
その他の特徴的なプログラム
音楽:保存音楽学科、音楽教育学科、音楽作曲学科など
美術:産業デザイン学科、絵画学科、広告芸術学科など
観光・ホスピタリティ:ホテル・レストラン経営学科など
大学院プログラム
サント・トマス大学は、多くの修士課程および博士課程プログラムも提供しています。主な研究分野としては次のようなものがあります。
健康科学研究(生物学、医療技術、薬学、看護学など)
教育学研究
工学および科学研究
ビジネス管理研究
人文・社会科学研究
宗教学研究
※大学の学部・学科構成やプログラム内容は、改組などにより変更される可能性があります。最も正確で最新の情報は、必ずサント・トマス大学の公式サイトで確認するようにしてください。公式サイトには、各学部の詳細なプログラム内容や入学要件などが掲載されています。
サント・トマス大学周辺の施設やおすすめスポット
サント・トマス大学の施設と特色
キャンパス施設
サント・トマス大学のキャンパス内にある施設を紹介します。
1.図書館
ミゲル・デ・ベナビデス図書館は、歴史的な書籍や資料を含む膨大なコレクションを誇ります。
2.研究センター
各学問分野に特化した複数の研究施設
3.スポーツ施設
サッカー場、水泳プール、バスケットボールコートなど
4.礼拝施設
歴史的なチャペルと大聖堂
5.博物館
フィリピン最古の博物館であるUST博物館
6.医療施設
大学病院および医療センター
キャンパス周辺の施設
サント・トマス大学の周辺には、様々な施設があり、学生生活を快適に過ごすことができます。
1.ショッピングモール
Dapitan Arcade(ダピタン・アーケード)- 地元の工芸品やインテリア用品の買い物に人気
2.レストランとカフェ
安価な学生向けレストランから高級レストランまで多様な飲食店
3.コンビニエンスストア
キャンパス周辺に複数あり、学生の日常生活をサポート
4.コピーセンター・文具店
学習に必要な資料や文房具を提供
観光スポット
大学周辺で訪れるべき観光スポットを紹介していきます。
1.サン・アグスティン美術館
フィリピンの歴史と芸術に関する展示がある歴史的な美術館
2.サン・セバスチャン教会
マニラの歴史について学べる歴史的な教会
3.イントラムロス
スペイン統治時代の城壁都市で、歴史的建造物が多く残る地区
4.マニラ大聖堂
マニラで最も重要な宗教建造物の一つ
5.リサール公園
フィリピンの国民的英雄ホセ・リサールを記念した公園
食事と文化体験
サント・トマス大学周辺では、フィリピンの食文化を体験できる場所も多くあります。
1.地元の食堂
フィリピン料理を手頃な価格で楽しめる学生向け食堂
2.マラテ地区
多様なレストランやナイトライフを楽しめるエリア
3.文化イベント
大学やその周辺で開催される様々な文化イベントや祭り
まとめ
フィリピン最古の総合大学であるUniversity of Santo Tomasは、400年以上の歴史と伝統を持ちながら、現代の教育ニーズに応える高品質な教育を提供し続けている名門校です。アジア最古の大学として、その学問的評価は国際的に認められており、幅広い学部と学科構成で多様な分野の人材育成に貢献しています。
入学条件は比較的厳格ですが、学費は日本の私立大学に比べると非常にリーズナブルであり、国際的な教育を手頃な価格で受けられる点は大きな魅力です。
世界的に認められた教育水準、リーズナブルな学費、豊かな歴史と文化環境を求める方にとって、サント・トマス大学は理想的な選択肢の一つと言えるでしょう。フィリピンで高等教育を受けることを検討している方は、ぜひこの歴史ある大学の門を叩いてみてはいかがでしょうか。

◇経歴
海外向けデバイスのソフト設計開発、関連資料翻訳
◇資格
TOEIC 900点
◇留学経験
ワーキングホリデーにてカナダ、オーストラリアに滞在経験あり
◇海外渡航経験
ワーキングホリデーでは、ホテルやレストランで仕事をしていました。
◇自己紹介
普段は翻訳などの仕事をしていますが、Webライターとしても活動しています。
興味の幅が広く、様々なテーマで記事を書いています。
皆様にとってわかりやすく面白い記事を書けるよう頑張ります。
よろしくお願いいたします。