教育の世界はグローバル化が進み、国際的な視野を持つ教育者の需要が高まっています。そんな中、日本の先生たちの間でも留学への関心が高まっています。しかし、キャリアの途中で留学を決意することは、様々な不安や課題を伴うのも事実。
この記事では、先生が留学を考える際の選択肢や準備について詳しく解説します。退職して留学する場合と休職して留学する場合、それぞれのメリットやデメリット、そして留学準備の具体的なステップをご紹介します。
日本で先生を退職して留学する場合
教職を退職して留学をするとなると大きな決断になりますが、同時に新たな可能性を開く道でもあります。自由度の高さと同時にリスクも伴う道とも言えます。
退職して留学することの最大のメリットは、時間的制約から解放されることです。留学期間や留学先の選択に縛りがなくなり、自分のペースで学びを深められます。
例えば、1年以上の長期留学や、複数の国を巡る留学プログラムなども選択肢に入れられるでしょう。また、留学中に現地の教育機関でインターンシップや短期就労を経験するなど、より実践的な学びを得る機会も増えます。
一方で、退職することのデメリットも考慮しなければなりません。最も大きな課題は、帰国後の再就職です。
日本の教育現場では、年齢による採用の制限が厳しい場合があります。特に公立学校への再就職は難しくなる可能性が高いでしょう。ただし、私立学校や語学学校、さらには企業の教育部門など、留学経験を生かせる職場も増えています。
また、経済面での不安も大きな課題です。退職すると、当然ながら給与収入がなくなります。留学費用に加えて、帰国後の生活費も含めた長期的な資金が必要になります。奨学金や貯蓄、場合によってはローンなども検討しなければならないでしょう。
しかし、これらのリスクを乗り越えてでも得たいものがあるからこそ、多くの先生が退職留学をしています。新しい教育理論や手法の習得、語学力の向上、異文化理解の深化など、留学で得られる経験は、教育者としてのキャリアに大きな価値があると言えるでしょう。
退職留学を考えている先生には、まず自身のキャリアプランを明確にすることをおすすめします。留学の目的、留学後のビジョン、そして具体的な再就職の道筋を描くことが重要です。
また、留学経験者や教育関係者とのネットワークづくりもしておくと良いでしょう。彼らの経験談やアドバイスは、留学計画を建てるときや帰国後のキャリア構築に大いに役立つかもしれません。
日本の先生を休職して留学する場合
休職して留学する場合、キャリアを保ちつつ新たな知識や経験を得たい先生にとっては魅力的ですよね。安定性と挑戦のバランスを取れるという大きな利点があります。
休職留学の最大のメリットは、帰国後の職場が確保されていることです。そのため、留学中も安心して学びに集中できるでしょう。多くの公立学校では、1年から2年程度の休職制度が設けられており、この制度を利用して留学する先生も少なくありません。また、私立学校でも同様の制度を持つところが増えています。
さらに、休職中も一定の身分保障があるため、年金や保険などの面でも安定しています。経済的な面でも、退職する場合に比べて不安が少ないのが特徴です。場合によっては、休職中も一部給与が支給される制度もあります。
ただし、休職留学にも課題はあります。最も大きな制約は時間です。休職期間が限られているため、留学先や留学プログラムの選択肢が狭まる可能性があります。例えば、2年以上のプログラムや、学位取得を目指す留学は難しくなるかもしれません。
また、留学中も日本の学校のことを考えなくてはならないかもしれません。定期的な報告や、場合によっては一時帰国など、ある程度の義務が生じることもあるでしょう。これらの義務が、留学先での活動や学びの妨げにならないよう、事前に学校側と十分な話し合いをしておくことが大切です。
休職留学を選択する際は、自身の教育キャリアの中での位置づけを明確にすることが重要になってきます。例えば、新たな教科や指導法を学ぶために留学し、帰国後にその知識を学校全体に還元するといった具体的な目標を立てることで、学校側の理解と支援を得やすくなります。
また、休職中の身分や待遇について、事前に人事部門と詳細を確認しておくことも大切です。休職中の給与や福利厚生、復職後の処遇など、制度は学校や自治体によって異なる場合があります。これらを明確にしておくことで、安心して留学に臨めるでしょう。
休職留学は、現在の職を維持しながら新たな挑戦をする絶好の機会です。短期間であっても、海外の教育現場に身を置くことで得られる気づきや刺激は、帰国後の教育実践に大きな影響を与えるでしょう。また、休職して留学した経験は、生徒たちにとっても大きな励みとなり、国際理解教育の生きた教材となるかもしれません。
先生のための留学準備
留学を決意したら、次は具体的な準備に入ります。先生の留学準備は、一般の学生とは異なる点も多々あります。ここでは、教育者ならではの視点を踏まえた留学準備のステップを詳しく見ていきましょう。
留学の目的を明確にしよう
まず最初に行うべきは、留学の目的の明確化です。「語学力の向上」や「異文化体験」といった一般的な目的に加えて、教育者としての専門性を高めるための具体的な目標を設定しましょう。
例えば、「最新の教育テクノロジーの習得」「特別支援教育の手法の学習」「STEM教育のカリキュラム開発」など、自身の教育キャリアに直接結びつく目標を立ててみてください。
留学先とプログラムを決めよう
次に、留学先の選定です。留学先を選ぶ際は、有名大学を選ぶのではなく、自身の目的に最も適した教育機関を探すことが大切です。
例えば、教育学部の評価が高い大学や、特定の教育手法で知られる機関などを候補に挙げると良いでしょう。また、留学先の国や地域の教育制度や文化的背景についても事前に調査することをおすすめします。
留学プログラムの種類も重要な選択ポイントです。大学院プログラム、教員向けの短期研修プログラム、教育実習を含むプログラムなど、様々な選択肢があります。自身の目的や期間、予算に合わせて最適なプログラムを選びましょう。特に、現役の教員向けに設計された特別プログラムがある場合は、優先的に検討する価値があります。
語学学習に励もう
語学の準備も欠かせません。多くの留学プログラムでは、一定以上の語学力が要求されます。TOEFL、IELTS、ケンブリッジ英語検定などの語学試験対策は早めに始めましょう。
また、教育専門用語や学術的な表現にも慣れておくと、留学先での学びがより深まります。オンライン英会話や語学学校での集中講座など、自分に合った学習方法を見つけてみてください。
日本の教育制度や自身の教育実践について英語で説明できるよう練習しておくと、留学先での議論や交流がより深まります。また、日本文化を紹介するための資料や教材を用意しておくと、文化交流の良いきっかけになるでしょう。
費用計画を立てよう
財政面の準備も本格的に行わなければいけません。留学費用の見積もりを立て、資金計画を立てましょう。奨学金の申請も積極的に行うべきです。
日本学生支援機構(JASSO)や民間の財団など、教員向けの奨学金制度も多数あります。また、クラウドファンディングを利用して資金を募る先生も増えています。この方法は資金調達だけでなく、自身の留学計画を広く知らせる良い機会にもなります。
ビザを申請しよう
ビザの取得も重要なステップです。留学ビザの申請手続きは国によって異なり、時間がかかることも多いので早めに準備を始めましょう。教育関係者向けの特別なビザ制度がある国もあるので、詳細を確認することをおすすめします。
海外旅行保険に加入しよう
健康面の準備も忘れずに。海外旅行保険への加入は必須です。また、留学先の国で必要とされる予防接種があれば、計画的に受けておきましょう。持病がある場合は、英文の診断書や処方箋を用意しておくと安心です。
引継ぎ準備をしよう
留学中の自身の授業や担任クラスの対応も考えておく必要があります。代替教員の手配や引き継ぎ資料の作成など、学校側と綿密に打ち合わせをしておきましょう。
また、可能であれば留学中も生徒たちとの交流を継続する方法を検討してみてください。例えば、定期的なビデオ通話や、オンライン授業の実施など、留学経験を生徒たちと共有する機会を作ることで、国際理解教育の生きた教材となります。
精神面を安定させよう
最後に、メンタル面の準備も忘れずに。長期の海外生活は、想像以上にストレスフルな経験になることがあります。ホームシックへの対処法を事前に学んでおくことをおすすめします。
また、留学中のサポート先と、どうすれば連絡できるか確認しておくと安心できるでしょう。同じ学校の同僚や、過去に留学経験のある先生とのつながりを持っておくと、困ったときの心強い味方にもなります。
これらの準備を丁寧に行えば、充実した留学生活を送る基盤が整うはずです。留学は、教育者としての成長だけでなく、個人としての成長の機会でもあります。臆せず新しい挑戦に踏み出してください。
まとめ
学校の先生の留学は、自分の成長と教育現場への貢献を両立させられる素晴らしい機会です。退職か休職か、どちらを選ぶかはそれぞれの状況や目標によって異なりますが、いずれも貴重な経験となるでしょう。
綿密な準備と明確な目的意識を持って臨むことで、留学はより実りあるものとなります。帰国後は、その経験を日本の教育現場に還元し、生徒たちにグローバルな視点を伝える橋渡し役となってみるのも良いかもしれませんね。
先生方の新たな挑戦が、日本の教育の未来を切り開くことを願っています。
◇経歴
英語科高校卒
外国語学部英米学科卒
学習塾で英語を教えている
◇資格
・IELTS6.5
◇海外渡航経験
高校時代にオックスフォードの語学学校へ留学
大学時代にエディンバラ大学へ1年交換留学
◇自己紹介
ハリー・ポッターがきっかけで英語に目覚め、高校・大学とイギリスに留学したイギリスマニア。学校はアメリカ英語なので自己流でイギリス英語を習得。発音、スペル、すべてにおいてクイーンズ・イングリッシュを使い英語の先生にバツをくらうもめげず。生まれも育ちも日本で、海外に繋がりがなかったため留学が夢となった。アルバイトで全資金を稼ぎ渡英すると、勝手な高い理想を上回るほどの素晴らしさを目の当たりにし更に虜に。