海外留学で住民票は抜くべき?メリット・デメリットや手続きの注意点を解説

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「子供が海外留学を決めた、住民票はどうする?」
「学生でも海外留学時に住民票を抜くべきか知りたい」

海外留学を控えている人にとって、ビザや航空券、学校選びと並んで重要なのが「住民票をどうするか」です。

住民票は税金や保険料に直結するため、対応を誤ると余計な負担が生じる可能性があります。
本記事では、住民票を抜くかどうかの判断ポイントやメリット・デメリット、手続き方法や注意点を整理してお伝えします。

海外留学を考えている方、もう決定していて準備を進めている人は、留学中の住民票をどうすべきか、ぜひ本記事を読んでお役立てください。

住民票や海外転出届とは?

住民票とは、日本国内で生活している人の居住関係を公的に証明するものです。

記載される内容は氏名・住所・生年月日・世帯主との続柄などで、就職や進学、各種契約の場面で必要とされます。

また、住民票は転居のたびに移動させる義務があり、日本国内の引っ越しでも海外への渡航でも届け出が必要になります。

住民票と密接な関係にあるのが「海外転出届」です。

国内の引っ越しでも、海外へ転出するのでも住んでいる自治体へ「転出届」を提出しなければなりません。

海外留学のように一定期間以上国外で暮らす場合には、「海外転出届」を市区町村役所に提出します。

これを提出すると住民票は除票され、日本の住民としての扱いから外れます。

つまり、国内に住所を持つ住民ではなくなるため、税金や社会保険制度の対象も変化します。

留学準備というと学校選びやビザ取得などに意識が向きがちですが、海外に一定期間住むにあたり、このような国内の公的手続きもおろそかにできません。

事前に仕組みを理解しておくことで、出発直前に慌てずに済み、無駄な出費やトラブルを防ぐことにつながります。

海外留学で住民票は抜くべき?2つの判断ポイント

海外留学では「住民票を抜くべきかどうか」を決める必要があります。判断の基準となるのは、以下の2点です。

・留学期間
・年間で123万円の収入の有無

それぞれ解説します。

ポイント1. 留学期間

原則として、1年以上海外に滞在する場合は住民票を抜かなければなりません。

これは住民基本台帳法で定められており、長期滞在者は国内の住民として扱われないためです。逆に1年未満であれば、住民票をそのまま残すことができます。数週間から数か月程度の短期留学では、特別な手続きは不要です。

ポイント2. 年間で100~125万円の収入の有無

滞在期間が1年未満であっても、年間でおよそ100~125万円程度の収入がある場合は注意が必要です。

この場合、住民税や国民健康保険料の支払い義務が発生する可能性があります。特に社会人が休職して留学するケースや、留学中にリモートワークで収入を得るケースでは見落とされがちです。

海外留学で住民票を抜くメリット・デメリット

海外に滞在する間に住民票をどうするかは、上述のように、2つのポイントに当てはまるかどうかの確認が必須です。ここではまず抜いた場合のメリット、そしてデメリットを挙げていきます。

住民票を抜いた場合のメリット

もし、お住まいの市区町村の役所で住民票を抜いた場合、留学する人にはどのようなメリットがあるのでしょう。

海外留学にあたり住民票を抜く最大のメリットは、金銭的な負担を大きく減らせる点です。具体的には、国民健康保険、国民年金などの資格が失われ、よって保険料を支払う義務がなくなります。また、住民税の負担もなくなります(住民税は1月1日に日本に住む人が支払い対象)。

したがって、留学期間が長ければ長くなるほど、数十万円というお金が節約できることになります。

留学には留学費用だけでなく、海外保険への加入や現地での生活費や医療費など様々な費用がかかるため、日本国内の健康保険や年金を支払わなくてよくなるのは大きなメリットといえます。

一方で、未成年の学生などで親の扶養に入っている場合、もともと国民年金や国民健康保険の支払い義務がありません。そのため、海外転出届を出すメリットはほとんどありません。

このように、扶養の有無や立場によって得られるメリットの大きさは異なるため、自身の状況を確認してから判断することが重要です。

住民票を抜いた場合のデメリット

一方、住民票を抜くことのデメリットもいくつかあります。

まず、日本で受けている医療サービスが利用できなくなる点です。歯科治療や健康診断などは渡航前になるべく済ませておかないと、現地で高額な医療費を負担する可能性があります。

また、年金を支払わない間は「カラ期間」となり、将来受給できる年金額がわずかに減少する可能性もあります。住民票を抜いても国民年金は任意で加入できますので、心配な人は加入することをおすすめします。

さらに、これはあまり多くの人に当てはまらないかもしれませんが、新規で銀行口座やクレジットカードが作れなくなる場合があります。すでに持っている口座やカードは利用できますが、新規契約は制限されることがあるため注意が必要です。

現在はRevolutやWiseといった金融アプリもありますので、ぜひチェックしてみましょう。英語圏各国やヨーロッパではかなり利用されています。

海外留学で住民票を抜くべき人とそのままでよい人

住民票を抜くかどうかは、本人の留学期間によって決まります。単に「抜いた方が得だから」「残した方が楽だから」という選択ではなく、法律上の扱いに基づいた判断が必要です。

1年以上海外に滞在する人

1年以上の長期留学を予定している人は、住民票を抜く必要があります。

大学や語学学校への進学、長期交換留学などが該当します。これにより国内での社会保険や税金の対象外となり、無用な支払いを避けられます。

海外滞在期間が1年未満の人

海外留学が1週間~3か月程度といった1年未満の短期留学の場合、住民票を抜くための手続きは必要ありません。

海外転出届も同様で、海外滞在期間が1年未満の場合は提出義務がありません。

しかし、1年未満であっても123万円以上(年間)の収入があるときは国民健康保険料や住民税を支払う対象となりますので、この点を覚えておきましょう。

このように、長期留学者は「抜く」、短期留学者は「そのまま」が基本的な判断基準になります。自分のケースがどちらに当てはまるかを出発前に必ず確認しましょう。

住民票を抜く際の手続き方法

住民票を抜くと決めたら、出国前に居住地の市区町村役所で「海外転出届」を提出します。

届ける場所: 現在住民登録をしている市区町村役所の窓口です。
届け出の期間: 転出予定日の14日前から出国当日まで
手続きに必要なもの:本人確認書類(パスポートや運転免許証など)、印鑑、マイナンバーカードや住民基本台帳カード(交付を受けている場合)など

窓口に直接行くのが基本ですが、自治体によっては郵送で受け付ける場合や代理人が届け出できる場合があります。まずは、お住まいの区役所や市役所の情報をご確認ください。

手続きが完了すると、住民票は除票扱いとなり、日本国内の住所が一時的に消える形になります。この状態で留学生活を送ることになり、国民健康保険や国民年金、住民税の支払い義務から外れることになります。

住民票を抜く際の手続きの注意点

ここまで、留学中の住民票をどうすべきか解説してきました。最後に、住民票を抜く際の住民票に関する手続きで注意したい点もまとめます。

住民票の届け出時期を見逃さない

海外転出届は出国する日の14日前から当日まで、住んでいる自治体の役所で手続きします。

この期間に届け出をしない場合、最大5万円の過料を科される可能性があります。この過料については住民基本台帳法にて決められています。

忙しい時期ではありますが、海外へ発つ前1か月間を有効に使い、スムーズな届け出ができるよう準備しましょう。

住民票の届け出を忘れてしまった場合

バタバタする時期、うっかり住民票の届け出を忘れてしまった!こんな人もいます。

その場合でも、留学先から郵送で申請することや、日本に残っている家族が代理で手続きを行うことが可能です。手続きに必要な情報を事前に確認しておきましょう。

帰国後はすぐ住民票を戻す

留学を終えて帰国した場合は、14日以内に住民票を元に戻す必要があります。

あわせて、国民健康保険や国民年金、税金関連の手続きも再開しなければなりません。帰国直後は忙しい時期ですが、忘れると保険証が使えないなど生活に支障が出るため、早めの対応を心がけましょう。

関連するその他の公的手続き

住民票を抜くことで健康保険や年金の資格が外れるため、それに伴う関連手続きも必要になります。

具体的には以下が挙げられます。

・健康保険:資格喪失届を提出
・国民年金:資格喪失届を提出
・税の支払い:支払い義務がある場合は納税を済ませておく
・運転免許証更新:留学中に更新時期が重なる場合、特例で更新期間より前に手続きが行なえます

これらの手続きは住民票の扱いとも密接に関連しており、留学前に整理しておくことで余計なトラブルや出費を防ぐことができます。

まとめ

海外留学の準備では、学校選びやビザの取得に目が行きがちですが、住民票の扱いも生活に直結する重要な手続きです。判断の基準は「留学期間が1年以上かどうか」「年間123万円以上の収入があるかどうか」の2点になります。

住民票を抜けば健康保険料や年金、住民税の負担を減らせますが、日本での医療を受けられない、年金額に影響する、口座やカードの新規契約が難しくなるといったデメリットもあります。どちらの影響が大きいかを冷静に見極め、自分に合った判断をすることが大切です。

出国までの時間は限られています。早めに住民票の手続きを確認し、安心して留学生活をスタートできるよう準備を整えていきましょう。

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