海外転出届と住民票の基礎知識|罰則・復活方法・出し忘れ対応まで徹底解説

住民票、ネイティブキャンプ、オンライン英会話

海外転出届は、1年以上海外に住む予定がある方に必要な大切な手続きです。提出を忘れると住民税や保険料の負担が続いたり、銀行口座・マイナンバーにも影響が出ることがあります。

本記事では「海外転出届を出さなかった場合のデメリット」「帰国後の住民票復活方法」「出し忘れ時の対応」まで、実際に必要なポイントをわかりやすく解説します。

海外転出届を出さないとどうなる?

海外転出届をお住まいの市区町村に提出すると、住民基本台帳から住民票が除票されます

海外転出届を出す必要がある基準は市区町村により異なりますが、一般的には『一年以上海外に暮らす予定である』時には、海外転出届を提出するべきだと考えられているようです。

海外転出届を提出するべき期間の基準については、お住まいの自治体に問い合わせてみましょう。

住民税はどうなる?海外転出届を出さなかった場合の注意点

海外転出届を出さずに住民票を残したまま出国すると、日本に住んでいなくても住民税の課税対象になります。住民税は市町村民税と道府県民税を合わせたもので、前年の所得を基に、毎年1月1日時点で住民票がある自治体に課税されます。

国外転出する際に「納税管理人」を届け出ておけば、通知書(6月頃送付)を代理人が受け取り支払うことができます。

住民税の負担額は前年度の収入により異なり、多くの方は毎月1万円弱〜になるため、年単位で考えると重い負担だと言えるでしょう。

海外転出手続きをして海外に渡航し何年も住民票を戻さなければ、長期的に住民税を支払わずに済みます。ただし、後半の章で説明する住民票を抜くデメリットも知っておいてください。

海外転出届の提出方法と必要書類

海外転出届は実際に出国をする日の2週間前から市役所に提出できます。海外転出手続きに必要な持ち物は、以下を参考にしてください。

・マイナンバーカード
・健康保険証
・印鑑
・年金手帳

必要な持ち物・手続き内容は自治体によって変わるため、事前に確認しておきましょう。

一部自治体ではマイナポータルを利用したオンライン申請が可能ですが、海外転出では窓口対応が基本です。

渡航先で必要な在留届とその役割

3ヶ月以上海外に滞在する場合、外務省への在留届提出は法律で義務付けられています。渡航時の安全確保や選挙参加のためにも欠かせない手続きです。

在留届は、外務省が海外にいる日本人の実態を把握する・海外で日本人が関係する事故や事件が起こった時に安否を確認する際に欠かせない資料として活用されます。

その他にも、以下のような役割を持つため、渡航先の国の大使館または総領事館に在留届を提出しましょう。

・在外選挙人名簿登録申請などの領事サービスを受けるために必要
・事件の発生状況・注意喚起をメールで周知してもらえる
・小中学生向けの教科書配布サービスの連絡を受け取れる

外務省では、海外に住所を定めて3ヶ月以上滞在する場合には、在留届を提出するように義務付けています。

また、海外に3ヶ月未満の滞在する予定がある方には、海外安全情報無料配信サービス「たびレジ」の登録をお勧めします。海外で自分の身を守るために、必要な情報が受け取れる環境を用意しておきましょう。

住民票を復活させる方法

海外から帰国した場合、住民票を復活させるには「転入届」を提出する必要があります。14日以内に届け出をしないと住所不定扱いとなり、保険や年金の手続きにも支障が出るため注意してください。

転入届を提出する際の注意点(帰国後14日以内)

海外転出届を出して海外に暮らしていた方が日本に帰国した場合、転入届(住民移動届)は転入から14日以内に提出する義務があります。

提出書類は市区町村により異なりますが、必要書類はパスポート(入国日確認用)、年金手帳のほか、マイナンバーカードや印鑑を求められるケースもあります。

罰則やデメリットは?

国外転出届を出さなくても直接的な罰則はありませんが、子供の就学義務違反や保険・年金・選挙権など生活面で大きなデメリットが生じます。ここでは罰則の有無と具体的な影響を解説します。

国外転出届と罰則の有無

国外転出届の提出は任意であり、提出しなかったからといって罰則を受けることはありません。

ただし、小中学生の子供がいる家庭が住民票を残したまま海外に暮らすと、就学義務に違反する可能性があります。この場合、教育委員会から督促を受け、最悪の場合は10万円以下の罰金が科される可能性があります。

なお、国外転出届に伴う社会保障や税制上のメリット・デメリットについては次の項目で詳しく説明します。

国民年金:任意加入に変わる仕組み

海外転出で住民票を除票すると、国民年金の加入は義務から任意に変わります。負担軽減になる一方、将来受け取れる年金額が減るリスクがあるため注意が必要です。

日本国内に暮らす20歳以上60歳未満の方は、全員国民年金または厚生年金に加入しなければいけませんが、国外に暮らす方には加入義務がないのです。

国民年金には老後に受け取れる老齢年金以外に以下のような年金も含まれています。

・自分が怪我や病気で障害者認定を受けた場合:障害年金
・自分が亡くなった遺族に対して給付される:遺族年金

「支払わなくてよい」というメリットの裏側で、老齢年金だけでなく障害年金や遺族年金の受給にも影響するというデメリットがあります。

国外転出手続きをした上で国民年金を支払い続けたいと考えている方は、住民票の除票とともに国民年金の任意加入手続きも済ませる必要があります。

令和6年度の国民年金支払額は月額16,980円であり、毎年見直されます。任意加入するかどうかは、滞在期間や将来設計を踏まえて慎重に検討しましょう。

国民健康保険:強制脱退の影響

国外転出届を提出すると住民票が除票され、国民健康保険は強制的に脱退となります。国民健康保険は怪我・病気などで病院に行った時の医療費をカバーする制度です。具体的には、小学校入学後から70歳未満の方は医療費を3割負担で済ませられます。

医療費負担が増える一方で、毎月の保険料を払わなくて済むという側面もあるため、メリットとデメリットを理解して判断しましょう。

また、国民健康保険には「海外療養制度」が用意されています。旅行・海外赴任中などの急な怪我や病気でやむを得ず現地の医療機関に行った場合、帰国後に申請することで一部医療費の払い戻しを受けられる場合があります。

ただし、払い戻しの対象は日本国内で保険診療として認められる行為のみであり、インプラントや美容整形は適用されません。治療を目的として海外に渡航した場合も支給対象外となるため、注意してください。

国民健康保険が強制脱退になるというポイントも、メリットとデメリットの両方が存在すると考えるべきでしょう。

銀行口座・クレジットカード作成の制限

海外転出により住民票がなくなると「非居住者」となり、日本で新しく銀行口座やクレジットカードを作ることができません。

また、日本の銀行の中には非居住者の口座開設を受け付けないだけでなく、既存口座の継続利用を制限する場合もあります。必要がある場合は、日本にいる間に口座を見直すことが大切です。

クレジットカードを増やしたい場合も、国内住所があるうちに審査を済ませておきましょう。さらに、渡航先によっては利用しにくい国際ブランドがあるため、ブランド選びも事前確認しておくと安心です。

海外転出届を出し忘れた場合の対応

日本から出国する前に海外転出届を出し忘れると、住民税や社会保険の負担が残り続ける恐れがあります。ただし、一時帰国時に遡って手続きすることが可能ですので慌てず対応しましょう。

海外転出届を提出し忘れてしまった場合でも、一時帰国時に市役所へ行けば遡って転出手続きが可能です。この際はパスポートの出入国スタンプや航空券・eチケットなどで渡航事実を証明します。一部の市区町村では海外から郵送で提出できるケースもありますが、対応は自治体ごとに異なるため必ず事前に確認してください。

海外転出届を出し忘れてしまった方は、住民票がある自治体に問い合わせてみてください。また、次の章で紹介する代理申請を活用しても良いでしょう。

代理申請やオンラインでの対応可否

この章では、海外転出手続きの代理申請・オンライン対応についてまとめました。実際に窓口で海外転出手続きをすることが難しい方は、ぜひ参考にしてください。

代理人申請の範囲と必要書類

海外転出手続きは本人以外に、世帯主・同一世帯の方・法定代理人・任意代理人に依頼できます。時間に余裕がない方は、代理人申請も検討すると良いでしょう。代理人に手続きを依頼する場合には以下の書類が必要です。

・委任状
・運転免許証やパスポートなどの本人確認書類
・マイナンバーカード

自治体によって必要書類や手続きの流れが異なるため、必ず事前に役所へ確認してください。

オンライン申請の限界(国内転出のみ対応)

マイナンバーカード利用者は「マイナポータル」を通じて転出届をオンライン申請できますが、対象は国内の引越しのみです。海外転出届はオンラインでは受け付けられず、必ず窓口での手続きが必要となります。

マイナンバーカードをお持ちの方は国のオンライン窓口サービス「マイナポータル」を利用し、国内の引越しに限り転出届をオンライン提出できます。

しかし現段階では海外転出届には対応していないため、海外に移住する場合は市区町村窓口での手続きが必須です。さまざまな行政サービスのオンライン化が進む中で、今後は海外転出にも対応する可能性があります。

海外居住者とマイナンバーカードの新ルール(2024年5月〜)

以前まで海外居住者はマイナンバーカードを保持できず、海外転出届の提出と同時に失効していましたが、2024年5月の制度改正により、海外居住者もマイナンバーカードを保持し続けられるようになりました。これにより海外からの確定申告や本人確認がスムーズになり、大使館・総領事館での申請も可能です。

利用できる行政サービスには一部制限があるため、詳細は外務省や自治体の案内を確認する必要がありますが、マイナンバーカードの活用により、海外からの確定申告などもスムーズに行えるようになりました。

まとめ|海外転出届と住民票の手続きポイント

1年以上の期間、外国に暮らす予定がある方はお住まいの市区町村に海外転出届を提出する必要があります。

手続きを忘れると、住民税や年金などの支払い義務が発生するでしょう。国外転出届に直接的な罰則はありませんが、子供の就学義務違反や社会保険の脱退など生活面での影響が大きいため注意が必要です。

また、2024年5月からは海外居住者もマイナンバーカードを保持可能になり、確定申告などがスムーズに行えるようになりました。帰国後は転入届を14日以内に提出して住民票を復活させてください。

手続きや必要書類は自治体によって異なるため、出国前に必ず確認し、銀行口座やクレジットカードなどの生活基盤も事前に整えておくと安心です。

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