曲のサビ・金属のサビってそれぞれなんて言う?「サビ」の英語表現について

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音楽の一番盛り上がる部分を「サビ」と表現します。

サビと呼ばれるようになったきっかけは、諸説あります。

有力な説は、お寿司に使われるワサビの「ツーン」とする感じを、音楽の盛り上がる箇所に例えたという説。

もう1つは、俳句の最も美しい部分を「寂(さび)」と呼び、それが音楽に受け継がれているという説です。

そして日本語で「サビ」というと、金属が酸化する「錆び」の意味もあります。

今回の記事では、日本語でもややこしいこの「サビ」という言葉の英訳や表現を解説していきます。

「サビ」に関連する表現も紹介していくので、ぜひボキャブラリーをガッツリと増やしていってください。

「サビ」の英語表現

前述したように、「サビ」には主に「音楽の盛り上がる部分」と「金属の酸化」という2つの意味があります。

もちろん、これら2つを英語に直したら全く違う言葉になります。

それぞれの英訳を分けて見ていきましょう。

音楽のサビ

まずは、音楽のサビです。主にボーカルのある曲において、一番盛り上がるところ、CMなどで使われる箇所ですね。

Chorus / Hook

もっとも適した単語はchorusです。

和製英語にもなっている「コーラス」と同じ意味ですね。

chorusのもともとの定義は、「複数人のグループで歌うこと、もしくはそのグループの呼び名」といったところです。

なぜこのchorusという単語が「サビ」を意味するようになったかというと、ポップ音楽が生まれるはるか昔、欧米地域で音楽と言えば教会で歌われる讃美歌でした。

讃美歌は複数のパートに分かれており、それぞれのパートを複数人ずつ分担していました。

しかし讃美歌のもっとも重要な部分は、全てのパートがそろって歌ったのです。

その様子から、音楽の重要な部分は「コーラス全体が一緒に歌う」という意味をこめて「コーラス」と呼ばれるようになりました。

その文化が現代の音楽にも残っており、1人で歌うとしても、音楽の大事な部分は今でもchorusと呼ばれているのです。

もう1つ、サビを表す一般的な単語があります。Hookです。

Hookは「フック」、釣り竿の先についている金属などの名称ですね。

なぜhookがサビを意味するかというと、サビは人々の意識をフックのように「引っ掛ける」からです。「騙す」という意味ではなく、聞いている人の意識を引き付ける、という意味ですね。

街中やラジオで音楽が流れていて、ずっと聞き流していたけど、サビに入った瞬間にハッと引き付けられ、意識的に聞く姿勢になった、という経験はあるでしょうか。

その状態が「フックに引っかかった」状態です。

このフックの質が良いほど、多くのリスナーが意識して聞いてくれるので、その曲は人気になります。

ただ、このhookという単語は、音楽において「耳に残る箇所」という意味でもあります。

Aerosmithの「Walk This Way」のギターリフ、サザンオールスターズの「勝手にシンドバッド」のイントロ部分などのこともhookと表現することがあるのです。

必ずしも「hook=サビ」にはならないので、注意しましょう。

金属のサビ

次は金属のサビです。漢字で書くと「錆」ですね。

金属が空気中の酸素と水に触れることにより酸化して、別の物質に変化したものが、サビと呼ばれます。

「サビてる、サビができている」というフレーズは、他の言葉で言い換えることが困難です。正しい言い方をしっかりと覚えておきましょう。

Rust / oxidize

一番よく使われる単語が、rustです。

rustには「サビ」という意味の名詞、「サビる」という意味の自動詞、「サビさせる」という意味の他動詞があります。

いろいろな使い方ができることを覚えておきましょう。これを知らないと、長文読解や文法問題のつまずきの原因になります。

rustのいろいろな使い方をデモンストレーションした例文を用意したので、確かめていきましょう。

名詞のrust

The handle of my bicycle is covered with rust.
私の自転車のハンドルはサビている。

There is rust forming.
サビができてきている。

You can file away rust.
サビはやすりでスリ落とすことができる。

rust-proofing
サビ止め、サビ防止

まずは名詞のrustの例文を紹介しました。

covered with rust、file away rustなどはすぐに使えるフレーズなので、覚えておくといいですね。

ちなみにrustは不可算名詞なので、気を付けましょう。複数形にはなりません。

自動詞のrust

The metal part will rust easily.
金属の部分はサビやすい。

Don’t leave your bicycle outside when it’s raining. It will rust.
雨が降ってたら自転車は外に放置しないでください。サビてしまいます。

Better worn out than rusty.
サビてしまうよりもすり減るほうがよい。

自動詞の特徴は、後に目的語を取らないということです。つまり、主語がサビているときには、自動詞のrustが使えます。

3つ目の例文はことわざです。じっとしていて動けなくなってしまうより、アクティブでい続けてすり減るほうが良い、という意味です。お年寄りに向けてよく使われます。

他動詞のrust

The door handle is badly rusted.
ドアノブはひどくさび付いていた。

You shouldn’t rust away your talent.
あなたの才能をサビ付かせてはいけない。

他動詞は、後に目的語を取る動詞です。他動詞があるため、受動態の形でも使うことができます。

他動詞としてrustを使う時は、rust awayのように句動詞になることがよくあります。

rustは英検準1級以上の単語で、テストなどではくせ者の単語なので、しっかりと使い方を覚えておきましょう。

「サビ」を表すときに、rustに次いでよく使われる単語が、oxidizeです。

「oxy,oxi」は「酸」を表す接頭語(単語の頭に付く語)です。Oxidizeは「酸」に関する動詞「酸化する、酸化させる」であることが分かりますね。

rustよりも「意図的に酸化させる」という意味合いがあります。

また、oxidizeも自動詞と他動詞があるので、気を付けましょう。

こちらの単語も、例文を2つ用意しました。

Oxidizing silver is one of the techniques for processing.
酸化させることは、加工技術の1つだ。

They oxidize silver in order to produce a dark color.
黒い色を付けるために、銀を酸化させる。

oxidizeは、化学の話をするときにはよく耳にする単語です。化学の分野に属している人や工場に勤務している人だけではなく、翻訳の仕事などでも使う機会が多いので、覚えておいて損は無いでしょう。

その他の関連表現

ここからは、「サビ」に関連する単語や表現を紹介していきます。新しい語彙を学ぶときは、それに関連する語も学ぶことで、効率よくボキャブラリーを増やすことができます。

Intro, Outro/イントロ、アウトロ

前半で、音楽の盛り上がる部分という意味の「サビ」はchorusまたはhookということを学びました。

それ以外の部分は、どう言えばいいのでしょうか?1つずつ見ていきましょう。

まずは曲の始まり「イントロ」です。これはそのままintroで通じます。

日本語でも「イントロダクション」を略すのと同じように、introductionがintroと短くなります。

曲の終わりを表す単語でも同じです。Outroductionoutroと略されます。

ただし、outroductionは実は正式に辞書に載っている単語ではありません。Introductionと対になる単語として生まれた俗語なのです。

outroという単語を使っても通じますが、厳密には存在しない言葉だということは覚えておきましょう。

曲の最後は正確には、codaやtagなどの単語を使います。しかし通じないことが多いです。

verse/Aメロ

イントロ、サビ、アウトロを学んだら、あとはその間、「Aメロ」ですね。

Aメロは、一般的なポップスにおいて、イントロの後に流れるメロディーのことです。

Aメロは英語だとverseと言います。

本来の意味は「韻文、詩の1行、詩編」です。それが転じて、歌のパートを指す単語として使われるようになりました。

Bridge/Bメロ

歌の中には、Aメロとサビの間に、まったく新しいパートがあるものもあります。

サビへと盛り上がっていく「Bメロ」ですね。

Bメロは多くの場合、bridgeと表現します。

bridgeは「橋」という意味です。Aメロからサビへと、リスナーを導く「橋」という意味から、bridgeと呼ばれるようになりました。

Interlude/間奏

サビの後などに、歌の無いインストの演奏があることがあります。「間奏」と呼ばれるものですね。

曲によってギターソロだったり、オーケストラの演奏だったりします。

この歌無しの部分はinterludeと呼ばれます。

interは「間」という意味で、ludeは「play」を意味するラテン語ludoから来ています。文字通り、「間に演奏する」という意味です。

Refrain/リフ

「リフ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

リフは「楽曲の中で繰り返し使われるフレーズ」という意味の音楽用語です。ギターを弾く人は「ギターリフ」をたくさん練習したりしますね。

リフの例を挙げると、反町隆史さんの「poison」のイントロで弾かれているギターフレーズ、Michael Jacksonの「Beat It」のギターフレーズなどです。イントロだけでなく、曲中で何度も繰り返されていますよね。

リフは英単語のrefrainを略したものです。Refrainは「畳句(文章や詩で、同じ句を重ねて用いる手法)」という意味です。

英語でもriffと略されることがあります

stainless/錆びない

「錆びない」はrust-proofで表現できますが、もっと身近な単語にstainlessがあります。カタカナで書くと「ステンレス」ですね。

ステンレス製、ステンレス鍋といったように、日本語でも誰もが知っている言葉です。

発音に少々気を付けなければいけませんが、英語でもステンレスは通じます。

stainless steel sinkで「ステンレスの流し台」、stainless bottleで「ステンレスのボトル」といった具合ですね。

Not fade, undiminished /錆びない(比喩表現)

「錆びない美貌」、「錆びない力」といったように、サビるを比喩表現として使うことがあります。こういった使い方をしたい場合は、どうすればいいのでしょうか?2種類の言い方を紹介します。

1つがnot fadedです。Fadeは「色あせる」という意味。

Her beauty hasn’t faded at all.
彼女の美貌は少しもサビていない。

2つ目はundiminished、「衰えない」という意味の形容詞です。

Even after retirement, his skill is undiminished.
引退後でさえ、彼の技術はサビついていない。

まとめ

「サビ」はどちらの意味でも、日常で何気なく使う単語です。しかし英語にすると、英語上級者でも意外とわからないもの。

英語を勉強していると、このような「意外と知らない英語表現」に永遠に遭遇し続けることになります。

そのたびに調べ、練習し、マスターしていかなければなりません。憂鬱になってしまう人もいるかもしれませんが、「ずっと成長し続けられる」という見方もできます。

人生をかけて成長し、新しい自分に出会うことができると考えると、ワクワクしてきませんか?

ちなみにネイティブキャンプでは、ネイティブスピーカーとのマンツーマンレッスンを通して、こういった「意外と知らない英語表現」に多く遭遇することができます。新しい発見が多いのは、やはり教科書よりも実践の会話なのです。

ネイティブキャンプでは無料体験レッスンも行っているので、ぜひチェックしてみてください。

nativecamp.net

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