「自由」を表す英語といえば、「free」や「freedom」を思い浮かべる人が多いでしょう。
一方で、中級以上の人は、「自由の女神像(statue of liberty)」にも使われている「liberty」と、「freedom」との違いが気になるかもしれません。
この記事では、「freedom」と「liberty」の違いを中心に、「自由」に関連する英語フレーズについて、例文とともに解説します。
自由を表す「freedom」と「liberty」の違い
「freedom」と「liberty」はどちらも「自由」と訳されますが、それぞれが指すものは少し違います。
「freedom」には「持って生まれた自由」という意味があり、「先天的・受動的」な自由を表します。
それに対し「liberty」は、「自ら勝ち取った自由」という意味で、「後天的・能動的」な自由を表します。
もっと具体的に言うなら、「freedom」はただ単に「肉体的・精神的に制約を受けていない状態」を表しますが、「liberty」は「抑圧から解放されて初めて手に入る自由」を表します。
次のセクションからは、具体的な例文とともにfreedomとlibertyの意味を見ていきましょう。
freedomの意味と使い方
「freedom」は「free」の名詞形で、「誰もが生まれながらにして持っている自由」という意味があります。
また、「束縛からの解放」・「制約を受けない状態」という意味もあります。
捕虜たちが自由を得るのに2年かかった
言論の自由は守られなくてはならない
どちらの意味も、人間がもともと持っているべき「身体・精神の自由」について表しています。
libertyの意味と使い方
「liberty」は「自ら勝ち取った自由」や「政治的に認められた権利としての自由」を指します。
「政治的に保障された自由」は、長い歴史の中で人間が確保した自由といえるでしょう。
また、libertyと同じルーツを持つ言葉に「liberal(自由主義)」があり、この単語は政治的意味合いの強い言葉です。
「自由の女神像」も、アメリカの「自由と民主主義の象徴」であり、その自由は生まれながらにして持っていたものではなく、様々な人の尽力によって得られたものです。
そのため、「statue of freedom」ではなく「statue of liberty」という言葉が適切といえます。
アフリカ系アメリカ人たちは、自分たちの自由を得るために尽力した
表現の自由は憲法によって保障されている
しかし、「表現の自由」や「言論の自由」などは、歴史の中で勝ち取られてきたものであると同時に、人間が生まれながらにして持っていると認められるべきものでもあります。そのため、「言論の自由」については、「freedom of speech」と「liberty of speech」のどちらも使われます。
freedomとlibertyは、語源的に似たルーツを持っていることもあり、ネイティブスピーカーでも、freedomとlibertyの違いを把握していない場合も少なくないそうです。
それでも「freedom」と「liberty」の違いをあえて挙げるなら、freedomは「生まれながらにして持っている自由」、「liberty」は「自ら勝ち取った自由」ということになります。
freeの意味と使い方
英語初心者は「free」と「freedom」の違いがそもそも気になるかもしれませんが、「freedom」は名詞、「free」は形容詞です。そして、どちらもコアとなるイメージは同じです。
「free=自由な」と直訳してしまいがちですが、和訳をベースに覚えるのではなく、freeやfreedomのコアとなるイメージをもとにすると、freeが様々な状態を表すことも納得できると思います。
「自由な」
「free」はfreedomとほぼ同じで、何の制約も受けない自由な状態を指します。
この部屋はご自由にお使いください
学生なら誰でも図書館に自由に出入りできます
「feel free to〜(自由に〜する)」はfreeにまつわる重要フレーズです。ぜひおさえておきましょう。
また、「〜に自由に出入りできる(have free access to~)」も余裕があれば押さえておきたいところです。
「~なしの」
freeには「解放された」という意味があるので、「〜がない」状態を意味することもできます。
日本語でも「グルテンフリー」「バリアフリー」といった言葉が使われていますよね。
脂質を抑えたいなら、脂肪分ゼロのヨーグルトを選ぶといいよ
ここは飲酒禁止区域だよ
「無料の」
「free」は、「解放された」という意味があるため「お金の支払いの義務から解放された」、つまり「無料である」ことを指すこともできます。
日本ではポケットティシューがタダでもらえるんだよ
とんかつ定食を注文したお客様はライスが無料でおかわりできます
「無料で」を意味する「for free」や「free of charge」というフレーズをおさえましょう。
繰り返しになりますが、「free=自由な」という訳を丸暗記していると、派生的な意味をとらえにくくなるかもしれません。
そのため、「free=何かから解放された状態」というコアイメージを把握しておくとよいでしょう。
「自由」に関する英語表現
「自由」に関する言葉を英語で表す時にも「free」を使うことが多いですが、その使い方は様々です。
それぞれ例文と一緒に見ていきましょう。
自由気まま
「自由気ままな」状態を表すには、いくつかの英語表現があります。
まず、「空を飛ぶ鳥のように自由な」という意味で「as free as a bird」というフレーズがあります。
学生時代は自由気ままに過ごしていた
また、特に人をさして「自由気ままな」という場合は、「freewheeling」を使います。
彼の自由気ままなライフスタイルがうらやましいよ
また、「自由気ままな生活」などと言いたい時は、「気にかけることのない・心配事のない」という意味で「carefree」を使うこともあります。
彼女は仕事を辞めて自由気ままな人生を楽しんでいる
自由人
「自由人」の英訳として、まず挙げられるのが「free person」です。ただ、この言葉の意味は「何にも制約を受けず、自分で自分の命運を決められる人」であり、「奴隷」の対義語となります。
「自由人」という日本語にはそういった意味もありますが、現代日本で頻繁に使われる用法とはいえません。
日本で日常的に使われる「自由人」とは、「世間の意見にとらわれず、自分らしく生きる人」という意味でしょう。そういう意味での「自由人」を指す英語表現としては「free-spirited」が適切です。
「spirit(精神)が自由な人」ということで、「社会の常識にとらわれない人」を表すことができます。
有名な坂本龍馬は自由人だった
彼女は自由人だ
「free-spirited」で1つの過去分詞を構成しており、文中では形容詞的な働きをしていますが、「そういう人」という意味の名詞を表すこともできるフレーズです。
まとめ
freedomは「生まれながらの自由」を意味し、libertyは「自ら勝ち取った自由」という意味の違いがありました。
ただ、freedomは「自由」を指す表現として幅広く使われるため、迷ったらfreedomを使うとよいでしょう。
海外に行っても、英語を話せないと、本当に欲しいものが買えなかったり、レストランで好きなものが頼めなかったりします。それはある意味「不自由」な状態です。
英語が必要な環境で自由な生活を送るためには、英語を読み・書き・聞き取り・話せるようになる必要があります。
世界中を自由に飛び回れるようになるためには、英語学習が必要です。まずはその一歩として、「自由」に関する英語表現をこの記事でしっかりおさえておいてください。
◇経歴
東北大学大学院で「日本人の英語習得」について研究、英語で論文執筆・学会発表
◇資格
・TOEIC860点
◇海外渡航経験
ギリス・アメリカ・オーストラリアに留学、フィンランドで学会発表
◇自己紹介
はじめまして。英語学習Webライター・兼・英語学習研究者のなっつるんです。
Webライターという仕事を通して、「日本人の大人がどうやったらラクに英語を覚えられるか」を追求しています。
最近英会話のカンが鈍ってきたと感じ、オンライン英会話のレッスンを受け始めました。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.