「tradition」「custom」「habit」は3つとも、「伝統、慣習、習慣」などを表現するときに使う英単語です。
どれも試験や英会話では、頻出の単語なので、英語学習をしている人であれば知っている人も多いでしょう。しかし、それぞれが違う意味とニュアンスを持っており、誤って使うと意味が通じないこともあります。
では、「tradition」「custom」「habit」にはどのような違いがあり、どのように使い分ければいいのでしょうか。
正確な意味と正しい使い分けを、例文を用いて徹底解説していきます。今後の英会話や英語学習に役立ててください。
tradition・custom・habitの違い
「tradition」「custom」「habit」の違いは主に、「人数・期間・重要度」です。
その伝統や慣習を行っている人の数や種類、行われている期間、そしてそれを守ることの重要性によって、それぞれの単語の使い方を理解することができます。最初に、大まかな違いをまとめます。
団体で務めて守っている伝統や慣例。団体は、国や組織、地域、家族という単位になることがある。守らなければ、所属している団体からペナルティーを受ける可能性があり、重要度と強制力が高いものが多い。
団体で守っているルールという点では、Traditionと同じだが、守られてきた期間が短いものが多く、時代の流れによって変わりやすい。文化的な目的よりも、利便性に基づく理由で生まれたものが多い。Traditionほどの重要性と強制力はない。
個人に対して使われるということが、決定的な違い。個人の癖や行動パターンについて使われ、団体の決まり事に使われることは、基本的には無い。
traditionの意味と使い方
Traditionは通常、国や都市、宗教、民族などが文化的な根拠に基づいて創り出し、継続して行っている行動やしきたり、アクティビティーのことを差します。
・ハロウィンにはかぼちゃを飾る
・結婚式では、新婦が白いドレスを着る
・葬式では黒い服を着る
これらの伝統はTraditionに分類できます。複数の世代によって、意識的に守られていく行動パターンであることが多いです。
例外として、「Family Tradition」というフレーズがあります。これは家族の間だけで守られている伝統のことです。
「長男は家業を継ぐ」という格式ばったものから、「夏休みに母の実家へ帰る」「誰かの誕生日には外食をする」といったように、カジュアルな慣習でもTraditionが使われます。
また、決まったメンバーのいる友達のグループや学校、スポーツチームなどの慣習にTraditionを使っても不自然ではありません。
ちなみにTraditionには「伝承・伝説」という意味もあるので注意しておきましょう。
花火は独立記念日におけるアメリカの伝統です。
この村では、人々はまだ古い伝統を守っている。
夏に祖父母を訪ねることが、我が家の伝統です。
若い世代が地域の伝統に興味を持つことは珍しいことだ。
伝説によると、彼らは鬼の子孫だ。
例文からもわかるように、Tradition、Custom、Habitの3つの中ではスケールが大きく、安定して存在している印象があります。
customの意味と使い方
Customは、「団体で長期間守る決まり事」という点ではTraditionと大きく変わりません。
実際に、Traditionの代わりにCustomが使われる場面や、混同して使われていることも頻繁にあります。
Traditionとの大きな違いは、ルールとしての重さです。Customは、守られてきた期間が短くルールとしての重要度が低くなります。
Traditionのように文化や思想から生まれたものというよりは、生活の中で利便性を求めることによって自然発生した、決まり事といったニュアンスです。
・アメリカではウェイターにチップを払う
・日本のエスカレーターは、左側によって乗る
これらはCustomの例です。「Traditionとの重要度の違い」が分かるでしょうか。Traditionのように意識して守っていく、というよりは「守らないと不便だから守る」と言った雰囲気になります。
また、個人の生活ルーティンを説明するときに、まれにCustomが使われることがありますが、不自然にはなりません。
なお、Customには「(商売の)お得意様、顧客」、「関税」という意味や、「カスタムされた」「関税に関する」というような形容詞の意味もあるので注意しておきましょう。
初対面の時に名刺を交換するのは、日本のビジネスマンの慣習です。
多くの外国人は、来日したときに独特な慣習に慣れるのに苦労する。
彼らの文化を理解したいのなら、まず彼らの慣習を学ばなければなりません。
良い習慣を育てることは、成功の秘訣だ。
ある地域の習慣は、同じ国出身の人ですら驚くべきものであることがある。
Traditionよりも、もっと日常生活に密着した慣習であることが、例文からもわかるでしょう。
habit の意味と使い方
Habitと、Tradition・Customの一番の違いは、Habitは個人に対して使われるということです。
TraditionやCustomは、個人の習慣に対して使われることはなく、団体に対してしか使うことができません。
Habitは個人的に守っている習慣や、癖、行動パターンを表現するときに使われる単語です。
例外として、国や特定のグループの縛りが無い場合の不特定多数の人間について話すときには、団体に対しても使うことができます。
例えば、「調査によると、朝にコーヒーを飲むというHabitを持っている人が50%に上った」という文章があったとします。この場合50%の団体に対してHabitという単語を使っていますが、文章は成り立ちます。
その他の違いは、習慣としての重要さです。TraditionやCustomが、守るべきルールというニュアンスがあるのに対して、Habitは意味も無く続けていることや重要でない習慣、悪習などの意味があります。
また、良い習慣よりも、直すべき悪い習慣に使われることが多いです。単語そのものに悪い意味はありません。
彼女は早口で喋るくせがある。
私たちは、もっと頻繁に運動をする習慣をつけなければならない。
タバコのような悪習を直すのは大変だ。
飲酒癖によって身を滅ぼす人もいる。
習慣は第二の天性
私たちの何人かには、働く過ぎるくせがある
例文からも、個人で行っている癖や日常的な習慣であることがわかるでしょう。団体になる場合でも、最後の例文のように限られた範囲の人間についてのことになります。
その他の似た表現
Tradition、Custom、Habitの3つ以外にも、「伝統・慣習」を表す単語で意味の違いや使い方が紛らわしいものがあります。
・Practice
これら2つです。1つずつ見ていきましょう。
culture
「文化」を表すCultureは、TraditionやCustomと近い意味合いがあるように感じます
実際に、いくつもの世代によって受け継がれてきた思想、行動様式、制度という点では、Traditionと同義でしょう。決定的な違いは、Cultureの方が定義が広くなることです。
Traditionが古くから受け継がれてきたものであることは何度か述べました。
つまり、Traditionとして定義されるのは、「Family Tradition」などの例外を除いて古い必要があるのです。ここ10年に世間で発生したものをTraditionと定義することはありません。
一方で、Cultureと定義するのに期間は関係ないのです。例えば、SNSは2004年ごろから使われ始めました。これくらい新しいものをTraditionとは定義しません。
しかしSNSはCultureかと問われたらどうでしょうか。SNSは人間が作り出した立派な文化であると言えます。そのためSNSはCultureと定義できるのです。
まとめると、人々が作り出したCulture(文化的な活動)の中で、複数の世代によって長い間受け継がれてきたものをTradition(伝統)と定義する、といったところです。
ジョシュは日本の文化に興味がある。
昨今の文化の中では、ほとんどの人にとって携帯電話は無くてはならないものだ。
異なる文化に対する理解の欠如が、戦争の原因である。
SNSは、最近の若者文化における重要な一部である。
彼は90年代のポップカルチャーを研究している。
Tradition、Custom、Habitに比べて意味が広いことが、例文からもわかります。Cultureの中で特に意味を限定したいときに、Tradition、Custom、Habitのどれかを使うと良いでしょう。
practice
Practiceは「練習」という意味で知られていますが、「習慣」という意味もあります。
Tradition、Custom、Habitの3つの中ではCustomに最も近いニュアンスを持っているでしょう。Customと同様に、Practiceは「人々が日常的に行う習慣」という意味があります。
Traditionのように精神世界や思考の世界に由来しているものより、利便性によって発生したものであるニュアンスもあります。
主な違いは「意識的かどうか」です。CustomやHabitは、無意識に行う習慣という意味合いが込められています。目上の人に合ったらお辞儀をするCustomや、つい早口になってしまうHabitなどは、たいていが無意識のうちに行ってしまうことです。
一方でPracticeは、意識して習慣づける活動を意味しています。毎朝のウォーキングや、食事制限、あいさつなどがその例です。
また、Practiceは個人的な習慣に使うことがほとんどですが、団体に対して使うこともあります。その場合は、会社やチームなどに限られるでしょう。国や宗教といった大規模な組織には、あまり用いられません。使われたとしても「世間」などといった不特定多数の人に対してでしょう。
ヨガは私の毎朝の習慣です。
これは、私たちが取り入れるべき良い習慣です。
早起きの習慣は人生を変え得る
まとめ
Tradition国や宗教、民族などの大きなコミュニティーで、複数の世代に渡って守られている伝統や慣習のこと。精神世界や思考に基づいているものが多い。 Custom
団体によって守られてきたルール・慣習。時代の移り変わりで変わることがある。精神世界・思考よりも、利便性によって作られたものが多い。 Habit
個人の癖や習慣。基本的に団体に対して用いられることは無い。意識して行っている習慣というよりも、無意識のうちに身に付いてしまっている行動を意味する。悪習に対して使われることが多い。 Culture
「文化」という広い意味で使われる。国や地域などの大きなコミュニティーで使われることがほとんど。Traditionのように古くから伝わるものである必要はなく、数年の間に定着した習慣などもCultureと定義することができる。 Practice
Customに意味が近いが、意識的に行っている習慣かどうかに違いがある。たいていは良い習慣について説明するときに使われることが多い。
慣れるまではややこしいかもしれませんが、例文を読み、自分でもそれぞれの言葉を用いて文章を作っていけば、感覚で理解できるようになるでしょう。
「正しく使い分けられているかどうかわからない」という人は、「ネイティブキャンプ」のオンライン英会話を活用することをおすすめします。ネイティブや、ネイティブレベルの英語力を持った日本人に、直接質問をぶつけることができます。

◇経歴
・アメリカ、オクラホマ州の四年制大学を卒業
・英語学習に関するブログを中心に、英語ライター・翻訳家として活動(現在)
◇資格
・TOEFL503点(大学入学時)
・Bachelor of Arts(文学士号)
◇留学経験
渡航先:アメリカ、オクラホマ州タレクア
留学期間:2012〜2017(5年)
学校名:Northeastern States University
◇海外渡航経験
・高校卒業後に、アメリカのオクラホマ州にあるNortheastern州立大学へ5年間の正規留学を経験
◇自己紹介
高校時代にアメリカの音楽文化に興味を持ち、アメリカへの大学留学を決意したことが、英語学習を本格的に始めることになったきっかけです。渡米後に3ヶ月の語学研修とTOEFL試験をクリアし、正規入学を果たしました。音楽学部にてJazz Studiesを専攻し、複数のバンドでギタリスト・ベーシストとして活動したことは一生の財産です。言葉はその人の価値観を定義付け、語学の習得は世界の見え方を変えます。自分が今も現在進行形で経験している、言語の魅力を発信するために、日々、英語・語学に関する情報発信をしています。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.