筆者の住むロンドンでは、どんなに大きな駅でも人とぶつかることがほとんどありません。
そして、お年寄りや体が不自由そうな人、子連れの人をみると電車でもバスでも誰かしらが席を譲ります。
これは100%と言ってもいいくらいの高確率で起こります。車内で寝ている人もいませんし、ちょっと目が合えば微笑み合うことさえあります。
そんなロンドンの電車でも、たまたま気づかずに席と席の間のスペースが空いていて、詰めてくれれば座れるのにな~というシーンに出くわすことがあります。そんなときの英会話フレーズ「すみませんが、席を詰めてくれませんか?」、言えますか?
この記事では、海外への旅行や駐在、留学中に英語圏で使える「席を詰めて」の英語表現を紹介します。カバンにノートブックを詰めるといったときなどの関連フレーズもご参考にしてください。
- 「席を詰めて」は英語で何という?
- 「席を詰めて」とお願いする時
- Can you please, Could you pleaseを使ってお願いする
- 前や後ろに移動してほしい時の英語表現
- その他の「詰める」の英語表現
- まとめ
「席を詰めて」は英語で何という?
「席を詰めて」とは人と人の間に隙間がないように座ることで、電車はもちろん、人が集まる様々な場所で起こり得るんですね。
そこで、どのような言い方で席を詰めてもらうかは知っておいたほうが良いということになります。お願いするフレーズは次で紹介しますが、まずは「席を詰める」の表現をみていきましょう。
「席を詰める」には以下のようにいくつかの言い方があります。
• slide over
• squeeze oneself in
• scoot over
move over
「席を詰める」のもっとも一般的な表現であり比較的ソフトに言いたいときに使いたいフレーズです。
moveはご存知の「移動する・動く」という動詞です。引っ越す、転職するという意味に加えて、お通じがあるときなど幅広く使える単語です。
席を詰めるためにはその人が移動する必要があることからmoveを使う、これは覚えやすいイメージでしょう。
この後解説するフレーズにも使われるoverですが、上に円弧を描くような、もしくはかぶさってというコアイメージがあります。電車の席であれば、席のシートの上をかぶさるように移動すると考えるとmove overが頭にしっかり入ってきますね。
slide over
slide overという言葉は、iPadでアプリ起動中に2つ目のアプリを起動し同時表示、同時操作する機能として皆さんもご存知かもしれません。同時に「席を詰める」「席を詰めて」のフレンドリーな表現としてネイティブスピーカーに使われます。
squeeze oneself in
squeeze(スクウィーズ)は、レモンなどフレッシュな果物を搾るときに使われる英単語です。他にも様々な意味を持つ動詞ですが、そのなかの「(狭い場所に)割り込む・無理に入る」と「(人のために)場所を用意する」が「席を詰める」としてのsqueezeで使われます。
squeezeのニュアンスから、詰めるスペースが小さくてギュウギュウ詰めになるときに特に使いましょう。
scoot over
scoot(スクート)には「急いでいく・突進」の意味を持ち、scooter(スクーター)と言えば子どもが乗るキックスクーターなどにも関連します。子どもがスクーターに乗って急いだりどこかに突進するのは避けたいですが 汗)
overをつけscoot overにすると「席を詰める」、特にアメリカで使われるフレーズ。アメリカンイングリッシュを目指している人におすすめの言い方です。
「席を詰めて」とお願いする時
旅行英語では、駅への行き方や切符の買い方の日常英会話はあっても、車内や映画館などで席を詰めてもらうときの表現はあまりカバーされていないかもしれません。
友人同士でレストランへ行って席に座ったときにも「一つ、席詰めてくれる?」というシーンのためにも「席を詰めて」は知っておくと便利です。
「席を詰める」のフレーズは以下でしたね。
• slide over
• squeeze oneself in
• scoot over
これらを使って、実際に誰かに「席を詰めてくれますか?」「席を詰めてください」とお願いするときの使える英語を紹介していきます。
ネイティブスピーカーはどのような言い方をしてお願いしているのでしょう。さっそく、例文でみていきましょう。
Can you please, Could you pleaseを使ってお願いする
お馴染みのお願いするときのフレーズ「Can you please」や「Could you please」を最初に言い、そこにmove overなどを追加した形にします。
いきなりお願いするのではなく、Excuse meと声をかけるのもおすすめです。
すみません。左に席を詰めてくれますか?
すみません。右に席を詰めてくれますか?
すみません。母が座れるよう席を詰めてくれますか?
例では、to your left(左へ)/to your right(右へ)と横にずれることをお願いしていますが、それを言われた人が気づくのでシンプルに「Excuse me. Can you please move over?」でも大丈夫でしょう。
CanをCouldに変えればさらに丁寧なニュアンスになります。ただ、車内で会う初めての人に対してもCanで始めることで問題ありません。
高齢の家族など車内で立っていることが辛いときがあります。席を譲ってまでは言いにくくても、詰めてもらうのならお願いしやすいですね。まったく知らない人が誰かのためにCan you move over for her?なんて親切に言うこともあります。
「席を詰める」は何も乗り物に限られたことでなく、友人数人で予約を入れたレストランに行き料理を食べ始めたとき、後から遅れてきた人が奥に座っている友達に「席詰めて~」のように言うシーンもあります。そんなときも、ぜひ使ってみましょう。
squeeze oneself inの使い方
overを使う他の3つの言い方と違い、squeeze oneself inだけが少し違うフレーズですね。
squeeze oneself inは特に、ちょっと強引気味で詰めるスペースが小さくてギュウギュウ詰めになるときに使う表現でした。この表現が他と異なる大きな点は”主語は席を詰めてもらう人”になるポイントです。
入ってもいい?
この例文では無理があるけど私も座っていい?そのために席を詰めてくれませんか?というニュアンスが含まれています。
一人一人の席でなくベンチなどの席を詰めてもらってぎゅうぎゅうだけれど一緒に座る際などにもってこいのフレーズです。
また、席でなくても満員電車に乗りたいとき、そして大勢で撮る写真に映り込むときや、エレベーターに自分も乗りたいときにもスクイーズしてそこに入るというように使えます。
前や後ろに移動してほしい時の英語表現
ここまでは横移動で席を詰める言い方を紹介しました。では、前や後ろに移動してほしいときにはどのようにお願いするのがベストなのでしょう。
例文の紹介に入る前に、前そして後ろの英単語について確認します。
前へ・前方へ「forward(フォーワード)」
後ろへ・後方へ「backward(バックワード)」
前に移動してほしいとき
forwardで思い出すのはlook forward to(~を楽しみにしている)ではないでしょうか?このようにforwardは空間的にも時間的にも前・先のことを表すときに使われます。
美味しいラーメン屋、新しいスマホが発売され購入するのに長い行列ができることがありますが、前の人があまりにも動かないのを見たときに以下のように声がけすることができます。
または、野外ライブ会場で自分のスペースがないときに前の人に少し動いて欲しいときも例文のように言えます。
前に進んでくれますか?
もう少し前にいってくれますか?
後ろに移動してほしいとき
forwardの反対語としてbackwardがあります。しかし、後ろにというときにもう少し自然な英会話ができるようにしたいところです。そんな場合、シンプルにbackを使いましょう。
後ろに下がってくれる?
私の前のスペースがないので、少し後ろに下がってもらえますか?
その他の「詰める」の英語表現
最後に、「詰める」の関連表現もみていきましょう。普段使っている日本語を英語でもしっかり言えるようにするチャンスです。
カバンに詰める
普段のカバンや旅行のためにスーツケースに必需品を詰めるときには「put」または「pack」を使うことができます。
彼女は小さなハンドバッグにパスポートを入れた。
今晩のうちにスーツケースに荷物を詰め込まないといけないの。
packの反対語であるunpackで開ける、梱包を解くという意味になります。旅先でホテルルームに着き、持ってきたものをスーツケースから出す、こんな時に使うことができます。ぜひ、セットで覚えましょう。
隙間を埋める
荷造り中に隙間を埋めたい、本棚の隙間を埋める、など様々な隙間に何かを詰める作業があります。
この場合、容器や場所をいっぱいに満たすという意味の「fill」を使います。fillは「隙間を埋める・塞ぐ」としても使われるからです。虫歯でできた穴に詰め物をするときにもfillになります。
壁の隙間は幾らかの新聞紙で埋められた。
行を詰める
ページの余白が足りず、行を詰めなければいけないことがあります。
この時、行や行間を詰めて対処します。詰めるということはスペースを少なくするということで「reduce」(減らす・縮小する)を使い表現することができます。
彼は原稿の行間を詰める必要がありました。
まとめ
• slide over
• squeeze oneself in
• scoot over
Can you pleaseやCould you pleaseを文頭につけることで、電車内や出掛けた先で知らない人にも「席を詰めてくれますか?」「席を詰めてください」とお願いすることができます。
海外の人は気楽にsure!の一言を言ったり、また無言でもサッと動いてくれることがほとんどです。席を詰めてくれた人には笑顔でThank you!のお礼の言葉を忘れずに!
イギリスであっという間に18年目、英語を使って生活中。 外資系製薬会社勤務や各国への旅行で英語を使ってきたものの、南ロンドンでの生活は人生にもコミュニケーション力アップにも貴重な経験に。暮らしの英語はもちろん、イギリス人夫と運営する剣道道場のメンバー達とのやりとりをメインに、日本文化を紹介する地元グループ代表として行政とのやりとりなど幅広く活動しています。 息子がUK大学に入学、イングランド西部の世界遺産の街にある大学寮生活が始まったものの、英国代表として剣道をする彼のサポートはエンドレス。ヨーロッパ各国に飛ぶこともある口だけ八段の道場おかみの夢は日本・イギリス完全2拠点生活。いずれにしても、英語はコミュニケーションで大いに役に立つ言語であることは間違い無し!です。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.