Youを複数形として口語では使わない?!ネイティブスピーカーの表現方法とは

Youを複数形として口語では使わない?!ネイティブスピーカーの表現方法とは

「あなたたち」の意味で使うYouは間違えてる?

英語は日本語よりも単数形と複数形の区別がはっきりした言語です。

例えば、人称代名詞の「私」”I”の複数形は”We”で「私たち」「彼、彼女」”He,She”の複数形はどちらも”They”で「彼ら、彼女たち」になります。

他にも「それ」"It"「それら」"They"、「これ」"This"「これら」"These"、「あれ」"That”「あれら」"Those"といったように代名詞には一般的に複数をあらわす単語が存在します。

では「あなた」”You”の複数形「あなたたち」は何という単語でしょう。”You”の複数形は、現代英語では単数形と同じ”you”になります。どうして”You”だけ複数形が存在しないのでしょうか。

Youの歴史

歴史をさかのぼると、"Thou"というあまり聞きなれない単語を二人称単数の「あなた」"You"を複数形「あなたたち」として使われた時代があります。

”Thou”はザウと発音され、今の日本語に訳すと「汝(なんじ)、そなた」といった古い響きの単語です。この時代にはインフォーマルな単数形の「あなた」として”Thou”、フォーマルな単数形「あなた」と複数形「あなたたち」の両方の意味で”You”が使われていたようです。とてもややこしいですね。

16世紀以降には"Thou"は徐々に廃れていき、"You"がフォーマル、インフォーマルかかわらず単数、複数の両方に用いられるようになりました。

現代英語で単数形扱いの"you"の後に続くbe動詞が"You are"と複数形なのは、昔”You”が複数形として使われていたからです。いまでも古い洋書やシェイクスピアの劇などで"Thou"を見かけるかもしれませんが、日常では使われていません。

辞書で調べると二人称単数代名詞”You”の複数形は”You”と出てきます。英語学習の参考書などには”You”は単数の「あなた」と複数の「あなたたち」を両方表現することができると書かれているのが一般です。

ではネイティブスピーカーは本当に"You"を「あなた」と「あなたたち」という両方の意味で使っているのでしょうか。

英語が母国語の人に”You”の複数形は何?と質問すると、「それは単数形と同じ”You”だよ!」と言う答えが返ってくることは少ないでしょう。

というのもネイティブスピーカーはシチュエーションに応じて”You”をアレンジして、会話の相手に分かりやすいように使いわけているからです。

"You"を「あなたたち」の意味で使うのは、文法的に間違えではありませんが、対象が明確でなくまぎらわしいというのがネイティブスピーカーの一般的な感覚です。

それでは”You”の複数形についてネイティブスピーカーがどのような表現を使っているのかを、いろいろな例文を用いて紹介していきます。

ネイティブスピーカーの捉える"You"の感覚とは

ネイティブスピーカーが”You”を使うときは、ほとんどの場合1人の相手が対象です。

目の前にいる複数の友人やカップルと話しているときなど、”You”が「あななたち」という意味で使われる事もありますが、それでも対象が曖昧になってしまいます。

How long have you been together?

あななたち付き合ってどれくらいになるの?

Did you eat dinner already?

あなたたち夕食はもう食べましたか?

どちらのシチュエーションでも意味は通じます。しかし、言われた相手は「誰に質問しているのだろう?」「私が答えるべきなのかな?」と少しとまどった感覚になるでしょう。

また特定の相手を指定しない場合、大勢に対して”You”を使うことがあります。

You need to be 16 to have a driver’s license.

運転免許は16歳にならなければ取得できません。

You have to be quiet in a library.

あなたたちは図書館では静かにしなければなりません。

この場合は複数の人々が対象ですが、まとめて「あななたち」というより、大勢のグループの1人ひとりに話しかけている・説明しているという感覚です。

「あなたたち」と言いたいとき1:You all

ネイティブスピーカーが「あなたたち」と言いたいときに使うフレーズのひとつは“You all”です。

I’m glad you all came here today.

今日あなたたちみんなが来てくれてよかったです。

I hope you all are doing well.

みなさんが元気であることを願っています。

You all should try this.

これはみんな試した方がいいよ。/みんなにすごくおすすめ。

と言うように、2人以上が相手のときに使われます。会話の相手の人数、性別や年齢は問いませんが、「あなたたち全員」「みんな」という部分が強調されるイメージです。

「あなたたち」と言いたいとき2:You guys

ネイティブスピーカーが「あなたたち」と言いたいとき、最も良く使うフレーズが“You guys”です。

”You all”とほぼ同じ意味ですが、よりカジュアルでフレンドリーなニュアンスになります。この ”You guys”も年齢や性別を問わず使うことができます。

You guys are the best!

あなたたち最高!

What are you guys doing tonight?

みんな今晩何してる?/みんな今晩予定ある?

I really appreciate you guys.

あなたたちに本当に感謝しています。

ここでおもしろいのが、”guy”という単語です。”guy”は単数形では「男性」という意味になり、インフォーマルな会話で使われることが多いです。

日本語に訳すと、「男、あいつ、ヤツ」というのが近いです。大人の男性だけでなく、男の子に対して親しみをこめた感じで使うことや、物に対して使われることなどもあります。 しかし単数の"guy"を女性に対して使われることはありません。

He is a funny guy.

彼はおもしろいヤツです。

Who is this guy?

この男の人は誰?

Hello little guy!

こんにちは、ボク!(小さい男の子に対して)

This little guy is going strong.

これは壊れることなく機能している。(物のレビューなどで使われる表現)

単数では女性に対して使われない”guy”ですが複数の”guys”となると、男女どちらにも使える「あなたたち」という意味の単語に変わります。男性だけのグループ、女性だけのグループ、男女混合のグループ、すべて"You guys"でOKです。

What have you guys been up to?

あなたたち今日なにしてたの?

See you guys.

じゃあみんなまたね

Could you guys do me a favor?

あなたたちにお願いがあるのですが。

"You guys"はとてもよく使われるフレーズです。

基本的に日常的な仲間内での会話やカジュアルな場面で使われる表現です。初対面の人や目上の相手、ビジネスシーンで使うと少し不愉快に思う人もいるかもしれないので、注意が必要です。

「あなたたち」と言いたいとき3:You+○○

“You guys” と同じく「あなたたち」という意味ですが、”guys”の部分を“ladies”、”gentlemen”、”girls”、”boys”、”kids”といった別の複数形の単語におきかえることができます。

相手が大人のグループの場合“You ladies”や"You gentlemen"、若者のグループの場合“You girls”や“You boys”、子供たちの場合"You kids”と状況にあわせていろいろな単語を使うことができます。

What would you like to eat, you ladies?

あなたたち何を食べたいですか?

You gentlemen are great.

あなたがたは素晴らしいです。

Can you girls hear me?

あなたたち聞こえる?

How did you boys get here?

あなたたちどうやってここに来たの?

Do you kids like ice cream?

あなたたちアイスクリームは好き?

他にも“You both”、"You two"、"You three"、"You four"などが使われます。ふたりが相手の場合"You both"や"You two"、3人に話しかけている場合"You Three"といった感じになります。

You both are doing a great job.

あなたたちはとても良い仕事をしています。

You two are perfect together.

あなたたちはとてもお似合いのカップルですね。

Where are you three from?

あなたがたはどちらの出身ですか?

ただし"you"の後に数字を使う場合、"four"くらいまでが一般で、それ以上の数字はあまり使われません。

You+○○を使う時ののポイント

"You guys"は2語まとめて1語のように扱われます。"You are guys"の短縮形ではありません。

You guys!

あなたたち!

You are guys.

あなたたちは男性です。

といった具合に全く違った意味になるので注意してください。

また"You guys"の"You"を省略して"guys"だけ使われることがあります。この場合、意味は変わりません。呼びかけや会話の中で日常的によく耳にする表現です。この場合も年齢や性別を問わず使われます。

Hey guys. How’s it going?

やあ君たち。調子はどう?

Thanks guys!

ありがとうみんな!

カジュアルな飲食店やお店で、店員さんにこういった声をかけられることはとても多いです。これらのフレーズを覚えておくと『guysって言っているけど誰に話しかけているの??』と戸惑わずにすみますね。

「あなたたち」と言いたいとき4:All of you

“You all”と似た表現に“All of you”というのがあります。

こちらも「あなたたち」という意味で使われ、相手の年齢や性別問わずに幅広く使えるフレーズです。”You all”と同じくその場面にいる「全員」に向けて話しているというのが強調されたイメージです。

All of you are invited.

みなさんお越しください。/あなたたちみんな招待されています。

I want to say thank you to all of you.

ここにいるあなたたち全員に感謝を伝えたいです。

All of you are doing great.

みんなとても良くやっている。

「あなたたち」と言いたいとき5:Each one of you, Every one of you

これらの表現も「あなたたち」という意味で使うことができます。

”Each one of you”や”Every one of you”は単純に「あなたたち」というより、その場面にいる「あなたたち1人ひとり全員」という感じがさらに強くなります。

A huge thank you to each one of you!

みなさん1人ひとりに深い感謝を伝えたいです!

I want to meet every one of you.

あなたたち全員に会いたいです。

“Each”と”Every”を合わせて、”Each and every one of you”と使われることもあります。

I’m very proud of each and every one of you.

みなさん1人ひとりを、大変誇りに思います。

“Each one of you”、”Every one of you”はどちらも少し大げさな感じがする表現なので、日常会話で耳にすることはあまりないかもしれません。フォーマルな場面や、文面で使われることが多いでしょう。

Youの複数形まとめ

"You"の複数形「あなたたち」のさまざまな英語での表現を例文とともにご紹介しました。

"You"を「あなたたち」の意味で使うことは決して間違いではありませんが、まぎらわしいのでわかりやすくした表現が"You+○○"です。

ネイティブスピーカーは"You"1語より"You+○○"を使うことで、話している相手が複数であることを明確にしています。なかでもよく使われる”You guys”を覚えておくと、ネイティブスピーカーとの会話はもちろん、映画・ドラマの場面やシチュエーションをもっと理解しやすくなるでしょう。

"You+○○"の表現は意外と種類が多く、驚かれたかもしれません。それぞれのニュアンスや注意点を理解し、英会話を楽しんでください。


nativecamp.net

nativecamp.net