前置詞forとtoの違い(使い分け)【英語徹底解説】

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イメージが似ている前置詞のforとtoは理解しているようで、その違いが良く分からないという声をよく聞きます。

これらは、中学英語や高校英語でも頻出の単語で馴染みがありますが、筆者の経験では教育現場では細かく教えていない印象があります。

forとtoは動作を受け取る相手や目的地がある場合に使われますが、どちらも「誰へ・に」「何処へ・に」という和訳になってしまうからです。どちらを使っても同じようだし、違いが分かりにくいのです。

この記事では、そんなforとtoの違いをたくさんの例文とともに徹底解説します!これを読めば、forとtoの使い分けについてもう迷わなくなりますよ。

forとtoの違い(使い分け)。ポイントは「必ず届くかどうか」

混同しがちなforとtoですが、その原因はイメージが共通しているからです。

【for・to】⇒【相手・目的地】

「ある人から相手に何かが動く」、「ある場所から目的地の方向へ動く」イメージです。これが共通点です。

では、forとtoの違いのポイントは何でしょうか?矢印のイメージをもう少し細かく解説します。

【for】⇒⇒⇒  【相手・目的地】
Point:矢印が向かっているだけ(届かないこともある)

【to】⇒⇒⇒⇒⇒⇒【相手・目的地】
Point:矢印が届いている(確実に届く)

例文を使って理解していきましょう。矢印(⇒)が確実に届いているか、いないのかに注目してみてください。

例1
The bus left for Kyoto.
バスは京都に向かって出発した。
⇒は京都に向かっているだけでまだ京都に到着していないので、届いているかは分からない状態です。その人は名古屋で下車するかもしれません。



The bus went to Kyoto.
バスは京都に行った。
⇒は京都に届いているので京都にすでに到着しているので、確実に届いています。

例2
I bought some souvenirs for my colleagues.
同僚たちにお土産を買いました。
⇒は相手に届いていないので、受け取る相手は必ずしも必要ありません。buy(買う)という行為そのものは相手に届くかどうかは関係ないということです。for以下が無くても成り立ちますよね。



I gave some souvenirs to my colleagues.
同僚たちにお土産をあげました。
⇒は相手に届いているので、相手がいないと成り立たない状態です。to以下が無いと意味が通じません。give(渡す)は両者があって成り立つ動詞です。

例3
This project is difficult for him.
このプロジェクトは彼には難しい。
⇒が届いていないということは、彼そのものでなく、間接的に及ぶことになります。すなわち、彼の能力にとっては難しいという意味です。



Our director is kind to me.
我々の部長は私に親切だ。
⇒が届いているということは、私自身に直接的に及んでいることになります。親切な気持ちや行動が私に届いていると考えられます。

forとtoの違いが理解できましたか。何となく使い分けが出来ていた方もこれでスッキリ納得したと思います。

それでは、ここで問題です。

以下の例文はどちらが正しいでしょうか?

【問題1】あなたにトレーニング資料を送ります。
🅰I'll send the training materials to you.
🅱I'll send the training materials for you.

【問題2】あなたにトレーニング資料を作りました。
🅰Is made the training materials to you.
🅱I made the training materials for you.

どちらかは正しく、どちらかは間違った使い方なのですが、この記事をここまで読んでいるあなたならもうわかりますよね?

問題1の正解は🅰で問題2の正解は🅱なのですが、です!正解できましたか?

後半ではforとto、それぞれの句動詞(=動詞+前置詞・副詞のこと)をたくさんの例文付きで紹介しますので、英会話力をアップさせていきましょう!

句動詞から学ぶforのイメージ

「動詞+for」の句動詞は日常英会話でも頻出の表現のひとつですので、覚えておくと良いと思います。

イメージとしては「向かう・狙う・注意を向ける・関連する」といったものです。何となくですが矢印の面影が残っていますよね。

いくつか、例文を見ていきましょう。

come for

【迎えに行く・来る】
I will come for you at 11 o’clock.

11時に君を迎えに行くよ

go for

【目指す、手に入れようとする】
If you want, you should go for it!

もし欲しいなら、それを手に入れるべきだよ!



【XXしに行く】
I went for a drink with my colleagues.

同僚たちと飲みに行きました。

I go for a walk around the park every day.
毎日、公園のあたりを散歩します。

【支持する】
We are going for the government party.

私たちは与党を支持しています。

【襲いかかる、避難する】
A dog was going for me suddenly.

いきなり、犬が襲いかかってきた。

【好む】
She seems to go for tall men.

彼女は背の高い男性が好きみたいだ。

【XXに有利である】
You have everything going for you.

君は有利な素質を持っている。

【XXに当てはまる】
The same situation goes for the company I work for.

私が勤めている会社にも同じ状況が当てはまる。

make for

【急いで向かう】
I've gotta make for home soon!

すぐに帰宅しなくちゃ!



【XXの結果をもたらす、促進する】
The global conference makes for good relations among our project team.

グローバル会議はプロジェクトチーム間に良好な関係をもたらす。

be make for

【向いている、適している】
I believe he isn't made for this job.

彼はこの仕事に向いていないよ。

pull for

【応援する、声援する】
I'm pulling for our local baseball team!

私は地元の野球チームを応援しています!

sit for

【試験や面接を受ける】
I'll sit for the final interview next week for a new job.

来週、新しい仕事の最終面接を受ける。



【XXのモデルになる、写真を撮らせる】
She has sat for the popular magazine.

彼女は人気雑誌のモデルをしている。

stand for

【賛成する、味方をする】
I won’t stand for his idea.

彼の考えには賛成できない。



【XXを表す、象徴する】
What does WHO stand for?

WHOとはなんの略ですか?


ここで少し余談!

下記記事では、BigとLargeの違いについてご紹介しています!似ているので混乱しないように正しい使い方を一緒に覚えていきましょう♪♪

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句動詞から学ぶtoのイメージ

「動詞+to」も同じく頻出の表現です。

イメージとしては「場所へ向かう、到着する」です。forと似ている点は⇒のイメージですが、「そこにたどり着いている」ことが違いです。

ここでの場所は物理的な場所はもちろん、状況など比喩的な意味としても使われます。

toの句動詞はたくさんあるので、ここではよく使いそうなものをピックアップしてみました。

come to

【意識を取り戻す】
The patient came to quickly.

患者はすぐに意識を取り戻した



【突然思い浮かぶ】
An idea of traveling around Asia came to me.

アジアを周遊する旅のアイディアを思いついた

【総計がXXになる】
The rental costs of the BBQ set come to 5,000JPY.

そのバーベキューセットのレンタル料金は総額5,000円だ。

【XXという結果になる】
Her hard work came to nothing.

彼の努力は無駄に終わった

【手に入る】
A huge property came to him due to the world booming economy.

その世界的な好景気で、彼は巨大な財産を手に入れた。

get to

【到着する】
I've got to the airport.

空港に到着した。



【頭にくる】
His behavior gets to me.

彼の行動は頭にくる。

【XXし始める】 get to thinking で使われる
I got to thinking about my future.

自分の将来について考え始めた

look to

【注意する】
Look to your step.

足元に注意して下さい。



【誰かにXXを頼る】
I always look to my brother for help.

いつも兄弟に頼っている。

put to

【提案する】
I'll put my idea to him at the meeting.

会議で私の考えを彼に提案します。


ここでまた少し余談!

下記記事では、have・hold・carry「持つ」の意味を持つ3つの単語の違いについてご紹介しています!ニュアンスが似ている三つの表現の正しい使い方を覚えていきましょう♪♪

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番外編でto不定詞

句動詞ではありませんが、toと言えばto不定詞。実はto不定詞も⇒のイメージがあります。場所に向かうのではなく、「これから・・・」といった感じです。

to不定詞の用法は他にもたくさんあるので、改めて勉強してカンタンな例文だけ紹介しておきます。

I want to become fluent in English.
英語が流暢になりたい

I'm going to Malaysia to meet my friend.
友達に会うためにマレーシアに行きます。

前置詞forとtoの違い(使い分け)まとめ

いかがでしたでしょうか。

forやtoは基本的な単語で似たイメージを持ちますが、使い分けが必要です。

forとtoの違いのポイントは、⇒が到達しているかいないか、でしたね。

【for】⇒⇒⇒  【相手・目的地】
Point:矢印が向かっているだけ(届かないこともある)

【to】⇒⇒⇒⇒⇒⇒【相手・目的地】
Point:矢印が届いている(確実に届く)

また、特にtoの句動詞は本当にたくさんあるのでtoを軸として整理すると良いと思います。

句動詞のイメージを掴むコツとしては、動詞を軸にするのではなく、前置詞(at, in, on, for, toなど )でまとめていくことをオススメします。

その方がイメージを掴みやすいですよ!