人の特徴を表わす慣用句や熟語って、たくさんありますね。
意志が強い・器が大きい・センスがいい などといった言われて嬉しいもの、反対に 厚かましい・自己中心的 など耳が痛いものもあります。
”頭”を使う慣用句はいくつかありますが、そのひとつに「頭がキレる」という表現があります。
言われて嬉しい表現のひとつですね。
言われて嬉しい表現は知っておくとコミュニケーションに役立ちます。
そこで今回の記事では、「頭がキレる」についてご紹介します。
反対語の”頭がキレない”や、そもそもなぜ”キレる”と言うのかなどにも触れますので、この機会に理解を深めていきましょう!
頭がキレるって、どんな人?
まずは、頭がキレる人とはどんな人なのか、イメージを具体的にみていきます。
頭がキレる人はStreet smartと称されています。
Street smart(ストリートスマート)の人は、経験・実践から問題の解決や実務などをこなすことができる人です。
・頭の回転が速い
相手の話すことについて理解度が高かったり、変化などに臨機応変な対応ができます。
また、それまでの経験から得た知識や情報を的確かつ効率的に活かすこともできます。
物ごとを整理して考えることができるということは理解度が高いということであり、従って、人へ説明することも得意ということになります。
仕事の上でトラブルが起こっても、問題点を見極め、対処することができます。
・考え方が的確かつ鋭い
物ごとを鋭く見抜く洞察力が高く、観察する内容をさらに一歩踏み込んだ推測ができます。
相手の発言に対して疑問に思うことがあれば、それを明確に問いただす質問力、そして冷静に考え正しい対応ができる判断力も持ち合わせています。
・発想力がある
固定観念に縛られず、他人と違う視点で物ごとを見ることができます。自らの発想力でアイデアを生み出すなど新しいことにチャレンジすることを恐れません。
このように具体的に挙げてみると、頭がキレる人の特徴がよく分かりました。
情報処理能力に長ける部分がクローズアップされ、言ってみれば 「頭がキレる人=個人プレーをする人」 と勘違いされることがあるかもしれません。
しかし、頭がキレる人ほど 「まとめ上手・聞き上手」 という面も持ちあわせ、コミュニケーション能力が高い人と言えます。
様々な意味合いが重なって、「頭がキレる」という表現になっていることが分かりました。
なんでもかね備えている人、こういう人が側にいると勉強になりますね。
皆さんの周りにも、頭がキレる人いますか?
その一言で様々な意味を含む「頭がキレる」という日本語はとても便利ですが、英語ではそれに当たるものはありません。
そこで、いくつかの表現から相手に合っているニュアンスのものを選ぶことが必要になってきます。
「頭がキレる」英語の表現5つ
ここからは、「頭がキレる」に使える5つの表現を解説します。
上述した日本語と合うものはどれか、ニュアンスや例文とともに確認していきましょう。
1. Insightful
Insight(洞察)+ful(満ちた)で、”洞察力がある”という意味の形容詞です。
頭がキレる人は”洞察力”をもっています。
困難と思われる問題や状況においても、明確で独自の理解を示すことができます。
「カタカナの発音表記→インサイトゥフル」
例文
・The Osaka mayor takes insightful action regarding the pandemic of COVID-19.
- 大阪府知事は、新型コロナウイルスの世界的大流行について洞察力のある行動をしている。
・She commented on the points for both the advantages and disadvantages about working from home which was quite insightful.
- 彼女はリモートワークのメリット・デメリットについてコメントしたが、とても洞察力のあるものだった。
2. Intellectual
”考え方が的確かつ鋭い””論理的思考”というニュアンスになります。
カタカナでインテリジェントまたはインテリと使われているintelligentがありますが、こちらは知的レベルが高く賢い人物に使われます。
それに対し、Intellectualは知的であること、さらに論理的思考に長けていたり、物ごとの理解度が高いことを表わします。
「カタカナの発音表記→インテレクチュアル」
例文
・My boss is an intellectual, so she makes wise decisions regarding finances.
- 上司は論理的思考の持ち主であり、資金管理に関して賢明な決定をする。
・He is good at debating because he is quite an intellectual person.
- 彼は大変知的であるので、討論が得意だ。
3. Astute
聞き慣れないかもしれませんが、astuteも”頭がキレる”と言いたいときに使える単語です。
特に、状況を素早く理解し、それをいかに活用するか発想力とともにチャレンジできる感覚を持ちあわせています。
類語には、”sharp”(明敏な・賢い)や”Shrewd”(鋭い・やり手の)があります。
sharpは”quick thinker”のニュアンスになります。
「カタカナの発音表記→アスチュートゥ」
例文
・You are astute to handle the complicated problem.
- あなたは明敏であり、複雑な問題を対処しますね。
Being astute, he solved the problem of the new product quickly.
- 鋭敏さによって、彼は新商品の問題を迅速に解決した。
4. Wise
経験が豊富であり、賢明な判断・決定や選定をすることができます。
通常、wiseは年を重ねた人に使われることが多いです。
あなたが問題点に直面しても、人生の先輩から教わることは少なくないのです。
wise choice, wise decisionといった使い方もあります。
「カタカナの発音表記→ワイズ」
例文
・He has been working as a diplomat and became more wise.
- 彼は外交官として働いており、さらに賢明な判断ができるようになった。
・You’d be wise to keep quiet.
- あなたは静かにしておくほうが賢明ですよ。
5. Clever
利口な・賢いといった意味のcleverは、難しい状況下でも別の可能性を見出すことができる、そこから脱出できる頭脳を持っているといったニュアンスになります。
「カタカナの発音表記→クレヴァー」
例文
How clever she is to pass the entry exam to Cambridge University, as people need, not only a high pass mark, but also life skills and experiences in order to develop her life and career.
- 高得点だけでなく、人生やキャリアを築いていくためのスキルや経験も必要なことから、ケンブリッジ大学の試験に合格した彼女はなんて賢いんだろう。
He is clever to propose a strategy for the marketing project.
- マーケティングプロジェクトの戦略を提案した彼は賢い。
番外編.Smart
頭の良い人という意味を持ったSmart
intelligentにとても近いニュアンスを持っています。
試験などで高得点を稼げる、多くの知識を持っているといった人に使える表現です。
get smart with XX(人物)で「XXに生意気なことを言う」といったネガティブなニュアンスになりますので、使う際には要注意です。
例文
・He is so smart to get a very high score in the physics exam.
- 物理の試験で高得点を取れる彼はとても利口だ。
・My brother is smart but no common sense.
- 弟は利口だが、一般常識に欠けている。
ここまで「頭がキレる」の表現5つを紹介しました。
それにしても、なぜ「頭がキレる」というのでしょう?
「頭がキレる」の語源は?
ここまで、頭がキレるという表現について色々解説しましたが、皆さんは語源を想像できますか?
”頭”からは、頭脳や思考力を簡単にイメージできますね。
では”キレる”のほうに注目してみましょう。
”キレる=切れる”には、いくつかの意味があります。
まず、裂け目ができること、そして彼との縁が切れるといったときに使う、繋がっていた関係がなくなるということにも使われます。
そして、
・頭の回転が速く、物ごとの処理能力に長けている
および、
・見事な効果を示す
という意味があり、頭脳や思考力と合わせ、「頭がキレる」の語源になりました。
ハサミを使って切る→ハサミはシャープ→sharpの頭のキレるという意味を持つ、といったように日本語と英語の関係も調べてみると面白いかもしれませんね。
さて、ここまで頭がキレるという褒め言葉について書いてきました。
でも世の中には「頭がキレない」人もいますよね?
ここで少し余談!下記記事で『パクる』についての英語表現をご紹介しています!表現の幅を広げていきましょう♪♪
「頭がキレない」の!英語の表現5つ
頭がキレるのと反対に、頭がキレない人がいます。
理解が遅かったり、経験不足・優柔不断でなかなか決断できない、問題があるにもかかわらずそれに気づけない、または先を見据えることができないといった感じでしょうか。
1. Indecisive
決断力が欠けている、優柔不断といった”頭がキレる”とは正反対の意味を持ちます。
ビジネス面でもプライベートの面でもなかなか判断できない人に、周りがイライラしてしまうこともあります。
「カタカナの発音表記→インデサイスィブ」
例文
・My former boss is indecisive, I don’t understand why she was able to get the position.
- 以前の上司は優柔不断。どうして彼女があのポジションにつけたのか理解できないわ。
2. Inept
能力に欠ける、不向きなといったニュアンスの言葉です。
無能なのに、威張ってばかりの人は付き合いづらいですね。
「カタカナの発音表記→イネプトゥ」
例文
・I have an inept colleague. He just relies on others.
- 無能な同僚がいるんですよ。彼は、周りに頼ってばかりなんです。
3. Ignorant
知識がない、理解力がないといった意味とともに、無知・無教養ということを示します。
自分には関係ないと言って、興味を持たないことは自分の世界を狭めてしまうこともあります。
「カタカナの発音表記→イグノラントゥ」
例文
・Many teenagers are ignorant about healthy eating.
- 多くの10代は、健康的な食事について無知だったりしますね。
4. Foolish
unwiseとも言えるfoolishは頭が悪いということになり、分別のない愚かなといった意味を持ちます。
「カタカナの発音表記→フーリッシュ」
例文
・He was so foolish by not being patient when buying the new iPhone, as he couldn’t afford to pay the monthly fee for sport gym.
- 彼は新しいiPhoneを買うのを我慢できずすごく愚かだった。だって、スポーツジムの月会費、払えなかったんですよ。
5. Silly
foolishと同じように分別のない愚かなという意味を持ちますが、もう少し可愛げのある馬鹿さ加減といったニュアンスがあります。
思慮は足りていないけれど、愛されるキャラの人っていますよね。
「カタカナの発音表記→シリー」
例文
・You always ask silly questions, but think more please!
- いつも馬鹿げた質問するけど、もっと考えてよ!
ここでまた少し余談!日本人が良く使う『ベテラン』ってこんな意味だったの!?下記記事でネイティブが良く使う『ベテラン』の英語表現をご紹介します!
まとめ
日ごろから、いろいろな事に興味を持って考える癖をつけることで鍛錬(たんれん)すれば、誰でもある程度は頭がキレる人になれる可能性があります。
英語学習は、日本から海外に目を向けることで固定観念に縛られず、思考力を養っていけるひとつの方法です。
知識や情報を得るとともに、物ごとの本質を見極められるようになっていきたいですね!

◇経歴
日本では外資系製薬会社などで勤務。
2006年夏に渡英し、現在イングランド在住。
2012年以来、南ロンドンで剣道道場を運営。地元の行政と関わり、日本文化を紹介するイベントを担当したり、剣道や居合道のデモンストレーションのオーガナイスを行なう。
また、日本の2大学と英国剣道協会とのパートナーシップ締結のためのリエゾンおよび翻訳・通訳を担当。
◇資格
・Food Safety Level 2
・Principles of Internet Safety Prepare to Deliver Excellent Customer Service
◇海外渡航経験
スキューバダイビングで訪れた国々を始め、3ケ月間のヨーロッパ各国バックパッカーの旅を経験。
◇自己紹介
こんにちは!椿サリーです。夫がイギリス人、日英ミックスの息子(UK大学生)という家族構成の国際結婚組です。ライターとして、多国籍メンバーが所属する剣道道場の女将として、日本文化紹介を紹介する地元グループ代表として行政とのやりとりなど、イギリスで幅広く活動しています。英会話ができると世界が広がりますし、外国人とのコミュニケーションは楽しい!を日々実感しています。