フィリピンは危険?安全対策とエリア別治安徹底解説

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日本では留学先として人気のフィリピン。マンツーマン形式の英語の授業で英語漬けの生活を送ることができる点や、リゾートへの旅行気分も味わえる留学先として知られています。

しかし海外に出て留学するということは、比較的安全な日本とは異なる環境で生活しなくてはいけないということです。

フィリピンは、かつては治安が悪いイメージがありましたが、ドゥテルテ前大統領の政権下での治安対策強化もあり、以前に比べて治安は改善傾向にあります。

ですが、全てのエリアで安全が保証されているわけではなく、スリやひったくり、置き引きといった犯罪に巻き込まれる観光客も依然として多いのが現状です。

この記事ではフィリピンの治安面や、どのような犯罪やトラブルに気をつけて過ごせば良いのかということについて詳しく解説していきます。

世界的に見たフィリピンの危険度

フィリピンは日本より治安が不安視される面がありますが、語学留学の場合は生活環境が大きく異なります。まずは全体の危険度や、留学生が実際に過ごす環境について見ていきましょう。

フィリピンの危険度をランキングで確認

まずはフィリピンの危険度について、他の国と比べたランキング形式で見てみたいと思います。

例えば世界の殺人発生率国別ランキングで、フィリピンは57位(2022年)。同じランキングで日本が148位にランクインしているので、それよりも殺人発生率が高いことがわかります。

また、世界の武力紛争発生件数ではフィリピンが21位(2022年、日本はランキング外)です。

ここで紹介できる指標は限られてしまいますが、やはりこのようなランキングを見てみた時に、日本と比べると犯罪が多く発生していて比較的危険であると考えることができそうです。

フィリピン語学留学先の治安

ただし、フィリピンの語学留学に関して言えば、旅行や仕事のための一般的なフィリピン滞在とは事情が異なります。

他に留学先として知られるオーストラリアやカナダなどでは、滞在先から学校に移動するまでの間に市街地を歩くことになりますし、夜に外食するために出かける日があれば、夜間の犯罪に巻き込まれる可能性も出てきます。

しかし多くのフィリピンにある語学学校では学校と学生寮、生活に必要なお店などがキャンパス内やキャンパス近くにあって、食事も学校や学生寮で食べます。朝から晩まで授業があって、学校に籠もりっぱなしになる英語漬け生活になることもあります。

そのため、ほとんど学校、キャンパスから外に出ずに留学生活を送ることになって、犯罪が発生している市街地には行かないということになります。また、日本人の多い学校では治安面に配慮した立地で学校を設立していることもあります。

フィリピン国内の治安は日本より悪いと言わざるを得ませんが、フィリピンの語学学校への留学は少し特殊な環境での生活になるため、犯罪に巻き込まれるような場所への外出が少なくなるのです。

外務省が発表しているフィリピンの危険情報

フィリピンに限らず、海外へ渡航する際は現地の治安情報を事前に把握することが大切です。ここでは、外務省が発信している危険情報と、フィリピン各地域の最新状況について簡潔に確認していきましょう。

外務省の海外安全情報とは?

外務省のウェブサイトでは海外に渡航・滞在する人向けに、海外安全情報を公開しています。このサイトでは渡航先国内の治安面の危険情報や、感染症危険情報を確認することができます。

各国の危険情報は、レベル1から4までの4段階で示されています。一番低いレベル1から順に、
「十分注意して下さい。」(レベル1)、
「不要不急の渡航は止めてください。」(レベル2)、
「渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」(レベル3)、
「退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)」(レベル4)
となります。

ここに掲載されている情報は、法的な拘束力を持って渡航を禁止したり、退避を命令するものではありませんが、現地の状況を確認して安全対策を取るために役立てることができるものです。留学する際には最新の情報を確認するようにしましょう。

フィリピンの危険情報

フィリピン国内では地域によって、レベル1、2、3に分かれて指定されています(2025年4月時点)。

レベル3「渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」に指定されているのは、テロや誘拐が発生しているミンダナオ地方の一部地域です。特にミンダナオ地域中部以西では、イスラム過激派組織によるテロや誘拐事件、当局との武力衝突等が頻繁に発生しています。

例えば、ダバオ市では2016年に爆発事件が発生し、国家非常事態宣言が発出されたこともあり、今でも市街地ではフィリピン軍や警察による警戒や検問が行われています。外国人は、決して足を踏み入れることのないようにしましょう。

ちなみに語学留学で人気のセブ島やマニラは、レベル1「十分注意して下さい。」に指定されています。

しかし、他の地域より危険度が低いとされているレベル1の地域であっても、テロや身代金目的の誘拐が発生する可能性があります。特に留学生は外国人であるため、富裕層とされる外国人を狙った犯罪に巻き込まれてしまう可能性があります。

フィリピン国内で危険度が高いエリア

フィリピンの治安は地域によって大きく異なります。ここでは、マニラとセブの特に注意が必要なエリアと、比較的安全とされるエリアについて解説します。

マニラ・マラテエリア

マニラのマラテエリアは観光客や外国人訪問者が多い歓楽街です。日本料理店や韓国料理店もあるため、足を運びたくなる街ですが、ナイトクラブやカジノが集まるネオン街・路地裏も多く、人が集まるが故にスリひったくり美人局(つつもたせ)などの犯罪が多発しているエリアです。夜間の一人歩きは危険で、拳銃による強盗の被害なども起こっています。お酒を飲む際は注意散漫にならないよう十分に気をつけ、行き帰りも身の回りに細心の注意を払う必要があるでしょう。

マニラ・イントラムロス地区(旧市街)

マニラのイントラムロス地区は16世紀にスペイン人によって造られたエリアで、マニラの中でも歴史のある地区です。サンチャゴ要塞マニラ大聖堂など、マニラを代表する観光スポットがあり、多くの観光客が訪れる場所ですが、観光客を狙ったスリひったくりも発生します。

また、観光スポット間の移動に利用できる自転車タクシーや馬車がありますが、よく値段を確認してから乗車しないとぼったくりに遭う可能性もあるので注意が必要です。

セブ・パシル地区

語学学校の多いセブ島にも特に気をつけるべきエリアがあります。特にパシル地区はローカルの人たちが多く集まり人口密度が高く、バラックのような建物も密集している地域です。治安が極めて悪いことで有名で、犯罪の温床となっているため、地元の人たちも避けているエリアです。「ドラッグ街」という異名もあるほど危険で、観光スポットもないため、危険を避けるためには決して近づかない方が良いでしょう。

セブ・SMモール周辺

ショッピングモールの近くというと安全そうなイメージがあるかもしれません。しかしモールの近くにはストリートチルドレンが多く、カバンの中身を開けられたり、荷物をすられてしまったりする危険性があります。街中やエスカレーターなどで立ち止まった時に不自然に近づいてくる人がいたり、子どもに囲まれたりしたら警戒するようにしましょう。

その他、特に注意が必要なローカルエリア(トンド・コロン・カルボンマーケットなど)

トンド:
世界的に有名なスラム街を含む地域で、細い路地が多く、貧困層が住む密集した居住区です。観光客が立ち入ると目立って非常に危険な地域なので、近づかない方が賢明です。

コロン:
セブ市に古くからある庶民の繁華街で、夜はナイトマーケットが賑わいますが、治安はあまり良くありません。夜間は特に注意が必要で、語学学校によってはコロンへの立ち入りを禁止しているところもあります。

カルボンマーケット:
セブ最大の市場で、ローカルの人々で賑わう観光スポットでもありますが、人混みの中でのスリや置き引きには十分注意が必要です。所持品は決して手から離さないようにしましょう。

フィリピン国内で比較的治安が良いとされるエリア

上記のような危険なエリアがある一方で、フィリピンのビジネス街や高級住宅街では比較的治安が安定しています。

セブ島で比較的治安が良いとされるエリア

セブ・ビジネス・パーク(アヤラセンターセブ周辺):
富裕層が多く住み、金融機関や外資系企業が集中するビジネスエリアです。セブの中では比較的治安が良いとされています。

セブ・ITパーク:
外資系IT企業が多く集まるオフィスエリアで、巨大な商業施設もあります。治安が良く落ち着いたエリアとして知られています。

ビバリーヒルズ:
セブ市山側の高級住宅街で、居住者は華僑など富裕層が多く、治安は良好です。

マニラで比較的治安が良いとされるエリア

マカティ市:
フィリピンの財閥によって開発されたビジネス街で、外資系企業や金融機関が集まります。高級ホテルや綺麗なショッピングモールが立ち並び、治安も安定しています。ただし、一部の繁華街(リトル東京など)の夜間はスリ・ひったくりに注意が必要です。

タギッグ市(BGC:ボニファシオ・グローバルシティ):
近代的なオフィスやコンドミニアムが立ち並ぶエリアで、日本人駐在員も多く住む高級住宅街もあります。治安は安定しており、留学生にも人気の場所です。

ケソン市(イーストウッド周辺):
マニラ最大の人口を抱えるケソン市の一部で、オフィスやショッピングモールが集まるイーストウッドは観光客も多く、比較的治安が安定しています。

フィリピン国内で気をつけるべき犯罪・トラブル

フィリピン滞在で注意したい犯罪の種類は、日本とは大きく異なる点があります。ここでは、留学生や旅行者が特に遭遇しやすい具体的なトラブルと、防止のためのポイントをわかりやすく整理して紹介します。

スリ・ひったくり

日本と同じ感覚で生活していると、スリやひったくりの被害に遭ってしまうことがあります。

例えば、ズボンの後ろポケットに財布を入れていたり、ひったくられやすい手に提げて持つタイプのカバンを持ち歩いていたりすると、犯罪者からターゲットにされてしまいます。

犯罪に遭わないためには、まずターゲットにされないことが重要です。高価なアクセサリーやブランド品は身につけず、バッグはひったくられやすい手持ちタイプではなく、身体にかけるタイプのバッグにしましょう。貴重品(財布やスマートフォン)を不用意にポケットに入れることは絶対にやめてください。

また、フードコートなどで席を確保したい時に、日本では身の回りのものをテーブルに置いていくことがありますが、これも海外ではそのまま盗まれてしまうことがあります。荷物からは手を離さずに、誰かが席に残るか、食べる直前に席を確保するようにしましょう。

ぼったくり

空港からのタクシーや観光地を回る観光タクシーなどでは、ぼったくりに気をつける必要があります。

トラブル事例として、運転手がメーターを使わずに走行したために高い金額を要求される、メーターを動かさずに料金を交渉してくる、わざと遠回りをして高い料金を請求する、お釣りを払わないといったことが発生しています。

乗車時は必ずメーターがあるかを確認し、メーターを回すよう運転手に確認しましょう。

フィリピンではタクシーアプリのGrabが普及しています。Grabであれば、予約時に決まった金額をアプリからクレジットカードでも決済することができるので、留学前から準備しておくことをおすすめします。運転手と直接現金のやり取りをしなくて済む点も安心です。

拳銃を使った強盗

フィリピンでは拳銃を使った強盗事件が発生しています。フィリピンでは許可を得れば銃を持つことが認められており、実際には未登録の銃器や密造銃も出回っています。

まずは夜間の外出を控えること、必要以上の貴重品を持ち歩かないこと、また金品などは分散して持ち歩くことが対策になります。

またもし事件に遭遇した場合には、生命と身体の安全を第一に考えた行動を取る必要があります。

過去には強盗に抵抗した留学生が射殺された事件もあります。財布を出すために急いでポケットに手を入れると、反撃すると誤解されることもあるため、口頭でポケットに財布があると説明して犯人に取らせるようにするなど、絶対に抵抗しないでください。持っているものを差し出せば、犯人はそのまま逃走するパターンが多いです。

フィリピンでできる具体的な安全対策

フィリピンで安全に過ごすためには、日頃の振る舞いや持ち物の管理がとても重要です。ここでは、留学生が日頃特に注意したい行動ポイントと、万一トラブルに遭った場合の対処法をまとめて紹介します。

持ち物や服装に注意する

犯罪者のターゲットにされないためには、高価なアクセサリーやブランド品を身につけないようにし、持ち物はひったくられやすいカバンではなく、身体にかけるタイプのバッグにするのがおすすめです。

また、外国人であることから犯罪のターゲットにされることもあります。日本人は比較的地味な色の洋服を選ぶことが多く、現地では目立ってしまうことがあります。中長期の滞在予定であれば、現地の人が着ているような服や持ち物を現地で購入することで、遠くから見た時にすぐに外国人であることがわかりにくくなります。

レストランや繁華街で初めて会った人を簡単に信用しない

海外に滞在している間には、せっかくだから友達を増やしたいという人も多いでしょう。しかし、レストランや繁華街などでは犯罪のターゲットとして話しかけてくる人もいます。

特に、日本人だとわかると日本語を話しながら近づいてくる人がいますが、こうした場合はまず怪しいと思いましょう。

観光地やレストランで親しげに日本語で声をかけられて仲良くなり、飲み物や食べ物に睡眠薬を入れられて意識を失った隙に貴重品を盗む睡眠薬強盗に遭ったり、賭博詐欺に遭う人がたくさんいます。初めて会った人がくれる飲み物や食べ物は口にしないようにしましょう。

相手が現地の人ではなく、他の海外旅行者や日本人である時も要注意です。特に海外で日本人と日本語で話していると安心してしまいますが、日本人による日本人旅行者への犯罪も発生しているので気をつけましょう。

危険なエリアには行かない

フィリピンで思わぬ犯罪に巻き込まれてしまわないように、渡航前からあらかじめ渡航先周辺の危険なエリアを把握しておき、面白半分で近づかないということが大切です。

特にトンド、コロン、カルボンマーケット、マラテといった治安が良くないエリアや、スラム、裏通りは危険性が高いため、外国人は立ち入らない方が賢明です。

ナイトライフを楽しめるバーや繁華街も多いですが、夜の街ではストリートチルドレン物乞いが増え、危険もあるので夜間の単独行動は避けるべきです。

語学学校などの教育機関への留学であれば、初回のオリエンテーションや事前の案内の中で、危険なエリアや夜間の外出などへの注意喚起が行われる場合があります。わからないことがあれば学校のスタッフに聞き、常に異国に来ているという意識を持って生活を楽しみましょう。

トラブルに遭ってしまったら(対処法)

万一、フィリピンで犯罪の被害にあってしまったら、まずは警察署に被害届を出すのが先決です。

しかし、フィリピンの警察の場合、言葉の壁もあり、外国人に対して書類発行料や手数料などの料金を請求してくる場合があります。

そんな時は、大使館や領事事務所へ被害の事実を報告して、今後の対応について相談した方が良いでしょう。特に貴重品を盗まれた場合は、その後の帰国や再入国の手続きが必要になることもあるため、専門機関に相談するのが確実です。

万一、強盗などに遭った際は、前述の通り、絶対に抵抗せずに現金を差し出してください。生命と身体の安全を最優先しましょう。

まとめ

今回の記事では、フィリピン留学中に気をつけるべき治安の状況、危険なエリア、犯罪の種類と具体的な対策について紹介しました。

日本と比べると危険だと感じられたかもしれませんが、まず大切なのは怖がるだけではなく、留学先の状況をあらかじめよく確認しておき、もしもの事態に遭遇する前から持ち物や服装を工夫するなど気をつけておくことです。

今回の記事で紹介したエリア情報や対策、外務省の注意喚起などを参考に、安全で楽しい留学生活となりますように!

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