イギリス留学中、イギリスから日本へ荷物を送ったり、日本から荷物を送ってもらったりすることもあるでしょう。しかし、「海外発送」となると、不慣れな手続きに疑問や不安を感じる人も多いかもしれません。
本記事では、イギリスから日本へ荷物を送る場合の料金や日数の目安と、日本からイギリスへ荷物を送る方法、国際発送時の注意点をまとめます。
現在も議論が続くイギリスの郵便局のスキャンダルについても簡単に紹介するので、イギリス留学中の知識として、あわせて参考にしてください。
イギリスの郵便のしくみ
イギリスの郵便局は、郵便局として独立して営業しているものと、コンビニエンスストアなどに併設されているものがあります。
18:00頃までの営業としているところが多いですが、営業形態や立地により、夜遅くまで開いている支店もあるので、利用の際は支店の営業時間を確認しておくとよいでしょう。
イギリスの郵便局には、大きく分けて「Royal Mail」と「Parcelforce」という2つのサービスがあります。
サービスの概要は以下の通りです。
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Royal Mail:主に郵便物を取り扱う
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Parcelforce:主に大きめの荷物を取り扱う
イギリスの郵便局内やウェブサイトでは、これら2つのサービスのロゴが並んでいるのを目にすることもあるでしょう。
イギリスから日本に荷物を送る場合
イギリスから日本に荷物を送る場合には、主に次の3つの方法があります。
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Royal Mail(イギリスの郵便局のサービス)
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Parcelforce(イギリスの郵便局のサービス)
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欧州ヤマト運輸
荷物が2kgを超えてしまうとRoyal Mailでは送れず、Parcelforceや欧州ヤマト運輸を利用する必要があります。
以下、それぞれの発送方法を解説します。
Royal Mail
日本に2kg以内のものを送るなら、イギリスの郵便局の「Royal Mail」のサービスが利用可能です。
日本に送る場合は4つのプランがあり、下記に概要をまとめます。
サービスプラン |
特徴 |
日数目安 |
料金目安 (*オンライン手続きの場合) |
International Tracked & Signed |
・追跡あり ・受取に受取人のサインが必要 |
5〜7営業日 |
£15.40〜 |
International Tracked |
・追跡あり |
5〜7営業日 |
£11.20〜 |
International Standard |
・追跡機能がつかない分、費用を抑えられる |
6〜7営業日 |
£7.45〜 |
International Economy |
・一番費用を抑えられるが、配送がゆっくり |
56日 |
£7.40〜 |
※「Royal Mail - Postage to Japan」に基づき表を作成(情報は2025年2月時点のもの)
どのプランを利用する場合も、サイズ指定は最長辺が60cm以内、3辺の合計が90cm以内です。
窓口での手続きも可能ですが、オンラインで手続きを済ませたほうが料金が安くなります。
Parcelforce
荷物の重さが2kgを超える場合は、イギリスの郵便局のサービスの1つであるParcelforceの利用がおすすめです。
利用プランには大きく分けて、下記の4つがあります。
どのプランを利用する場合も、サイズは最長辺が1.5m以内、長辺と胴回りの合計が3m以内で利用可能です。
サービスプラン |
特徴 |
日数目安 |
globalexpress |
・30kgの荷物まで ・追跡と受取人のサインあり ・配達が早い |
3日〜 |
globalpriority |
・30kgの荷物まで ・追跡と受取人のサインあり |
4〜9日 |
globalvalue |
・30kgの荷物まで ・費用を抑えたい人向け |
7〜12日 |
globaleconomy |
・20kgの荷物まで |
46〜51日 |
※「Parcelforce - Send a parcel to: Japan」に基づき表を作成(情報は2025年2月時点のもの)
Parcelforceの料金は重量によって計算される仕組みなので、詳しい料金についてはParcelforceの料金計算のページで必要な情報を入力して確認してください。
欧州ヤマト運輸
英語に不安がある人には、日本語での案内がある欧州ヤマト運輸の利用がおすすめです。
誰でも利用できる「一般品」の発送だけでなく、日本帰国時に関税の免除対象となる「別送品」としての発送もできます。
日本からイギリスに荷物を送る場合
日本からイギリスに荷物を送るには、大きく分けて次の3つの方法があります。
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郵便局から送る
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ヤマト運輸から送る
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その他民間の国際輸送会社から送る
それぞれの方法について詳しく解説します。
郵便局から送る
郵便局から送る場合、送る荷物のサイズや到着までの希望日数、予算に合わせて発送方法を選べます。
下記は、それぞれのサービスの比較です。
(※表の情報は2025年2月時点、日本郵便「料金・日数を調べる」のページでの「東京→英国」の発送で「3kg」の荷物を送る場合の計算結果に基づきます。)
EMS (国際スピード郵便) |
航空便 (国際小包) |
船便(国際小包) |
|
重さ |
30kgまで |
30kgまで |
30kgまで |
サイズ |
最長辺1.5m以内で、長辺と胴回りの合計が3m以内 |
最長辺1.5m以内で、長辺と胴回りの合計が3m以内 |
最長辺1.5m以内で、長辺と胴回りの合計が3m以内 |
日数目安 |
5日〜 |
8日〜 |
- |
3kgで東京から発送の場合の料金 |
8,800円 |
8,150円 |
3,700円 |
特徴 |
・最速で送れる ・追跡サービスがあり安心 |
・費用を抑えて早めに送れる ・追跡サービスがあり安心 |
・最安で送れる ・追跡サービスがあり安心 |
以前はエコノミー航空便(SAL便)のサービス提供もありましたが、2025年2月時点は取り扱いが停止となっています。
また、検索結果では船便でのお届け日数が表示されませんでしたが、少なくとも1〜2ヶ月程度かかるものだと思っておくのがいいでしょう。
郵便局のサービス利用を検討する場合は、窓口でより詳しい情報や最新の情報を確認するようにしてください。
ヤマト運輸から送る
ヤマト運輸を利用する場合、「国際宅急便」というサービスでイギリスに荷物を送れます。
書類のほか、3辺の合計が最大160cm以内で25kgまでの荷物を送ることが可能です。
郵便局の海外発送サービスではグラム単位で料金が設定されていますが、国際宅急便の場合は、5kg、10kg、15kgのように5kg〜25kgまでの荷物には5kg単位で料金が設定されています。
また、箱のサイズも料金により規定サイズが変わるため、ヤマト運輸の「国際宅急便国別ガイド」でよく確認しましょう。
その他民間の国際輸送会社から送る
急ぎで荷物を送りたい場合、料金は割高となりますが、FedExやDHLといった国際輸送会社を利用するのも方法です。
また、留学エージェントを利用している場合、エージェントが輸送会社と提携している場合もあります。
おすすめの発送プランを紹介してもらえることもあるので、長期留学で荷物が多くなりそうな場合は、エージェントに相談してみるのもおすすめです。
荷物を送る際の注意点
海外に荷物を発送する際は、禁制品や関税のルールについても理解しておく必要があります。
海外の宛先に荷物を送るときは、全世界共通で送れないものと、送り先の国の定めにより送れないものを理解したうえで荷物をまとめましょう。
各国共通の禁制品には下記のようなものがあります。
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麻薬類
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火薬物や可燃性物質、放射性物質など
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児童ポルノや公安・風俗を害す物品
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特許権や商標権、著作権などを侵害する物品
また、イギリスへ荷物を送るときは、下記のようなものが禁制品とされています。
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はちみつやはちみつが入っている製品
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肉や肉製品
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アルコール度数24%を超える酒精飲料
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ホラーに関する漫画、写真等の出版物
この他にも禁制品があるため、詳しくは日本の郵便局の禁制品情報ページも参照して確認するようにしてください。
また、海外に荷物を発送する際は、内容物とその価格を詳細に書く必要があります。これは税関での検査をスムーズに行えるようにするためです。
申告内容に誤りがあると、税関検査に時間がかかり、荷物の到着までに時間がかかることもあります。
記載内容が曖昧だったり、不備があったりすると、荷物を開けてチェックされる確率も高くなってしまうため、できる限り正確でわかりやすい情報の記載を心がけましょう。
イギリス郵便局スキャンダルについて
最後に、「イギリス史上最大の冤罪」といわれ、現在も議論が続いているイギリス郵便局関連の事件を紹介します。
イギリスの郵便局では、1999年から2015年までの間、窓口の現金とシステム上の残高が合わないということが多くの支店で発生していました。
のちに、これは富士通のイギリスの子会社が開発した会計システム「Horizon(ホライズン)」の欠陥によるものだったとわかるのですが、会計の不足分の責任は当時の郵便局長らが負うこととなり、これまでに900人以上が横領や窃盗の罪で訴追されていたといいます。
この事実をドラマ化した『Mr Bates vs The Post Office』が2024年1月に放送されると、世間からの反響が大きく、その後も責任の所在の特定や被害者救済のための議論が続いています。
イギリスの郵便局を利用するうえでの知識というわけではありませんが、今後もこの件はニュースや情報サイトで取り上げられる可能性があります。
イギリス留学中であれば、知識として知っておいたほうがいいことかもしれません。
まとめ
以上、イギリスの郵便局から国際発送する際に利用できるサービスや、日本からイギリスへの荷物の送り方、発送時の注意点について解説しました。
国際発送では、日本国内で荷物を送るときとは異なるルールが適用されるため、事前の情報収集を怠らず、必要なポイントを押さえて発送手配を進めましょう。
利用するサービスによって指定サイズや料金が異なるため、状況にあわせて最適なサービスを選べるようにしてください。

◇経歴
・ワーホリ3ヵ国経験あり
・海外企業の営業・マーケティングで5年の経験あり
・留学サポート経験あり
◇資格
・ケンブリッジ英検 FCE
・TOEIC 900点以上
◇留学経験
・イギリス・エディンバラ大学附属の語学学校にて1ヶ月の語学留学経験あり
◇海外渡航経験
・ニュージーランド、カナダ、アイルランドでワーホリを経験
・アイルランドの企業で営業・マーケティングを担当(出張でマルタやイギリス、アジア圏の国々にも行きました)
・これまで仕事や旅行で訪れた国は20ヵ国以上
◇自己紹介
留学サポートの経験も経て、現在はWebライターとして活動しています。
大学から本格的に英語を学び始め、留学・ワーホリ経験を通して、世界各国の人たちと交流する楽しさを知りました。現在は、日本で国際交流・異文化理解の場を作るお手伝いもしています。