美しい自然と活気あふれる文化が魅力のオーストラリア。オーストラリアの公用語は英語ですが、アメリカやイギリスとは異なる特徴を持つことをご存知ですか?
オーストラリアの英語のルーツはイギリス英語ですが、アメリカやイギリスとは違った歴史的・文化的背景から、英語もこの国独自の進化を遂げてきました。
それは単語や発音といった単なる言語としての特徴ではなく、オーストラリア人のアイデンティティを形作る重要な要素の一つであると言えるでしょう。
今回は、そんなオーストラリア英語の特徴と魅力を、様々な観点からみていきます。
オーストラリア英語の特徴とは?
「オーストラリア英語は聞き取りにくい」
そのように言われることがあります。その原因は、イギリス英語やアメリカ英語にはない、オーストラリア英語ならではの独自の特徴があるためです。
ここでは、オーストラリア英語の発音と表記方法の特徴について見ていきます。
①発音の特徴
・Rを発音しない
アメリカ英語ではRは巻き舌のような形で発音しますが、オーストラリア英語ではRは発音しません。
例えば、water(水)を発音する時、アメリカ英語では最後が巻き舌になりますよね。ところが、オーストラリア英語ではそのまま「ウォーター」と発音します。Rの発音が苦手な日本人にとっては嬉しい特徴ですよね。
・Aは「アイ」と発音する
アメリカ英語では、Aは「エ」「エー」「エイ」という感じで発音しますが、オーストラリア英語では「ア」「アイ」と発音します。
有名な例を挙げると、「today」の発音です。アメリカ英語の発音は「トゥデイ」ですが、オーストラリア英語の発音だと「トゥダイ」になります。これは知らないと聞き取れないかもしれませんね。
・Hは「ヘイチ」と発音する
アメリカ英語の場合、Hの発音は「エイチ」ですよね。一方、オーストラリア人の多くは「ヘイチ」と発音します。
②単語などの表記の特徴
・erをreと表記する
例えば、アメリカ英語での綴りが「center(中心)」という単語を、オーストラリア英語では「centre」と表記するという違いがあります。
これはイギリス英語がベースとなっているためです。オーストラリア英語には、イギリス英語と発音や表記などで似通っている部分が多くあります。
・orをourと表記する
例えば、アメリカ英語では「color(色)」という単語が、オーストラリア英語では
「colour」と表記します。こちらもイギリス英語と同じですね。
・izeをiseと表記する
こちらもイギリス英語と共通になりますが、例えば、アメリカ英語では「realize(理解する)」と綴る単語は、オーストラリア英語では「realise」と表記します。
このように、単語の表記方法だけを見ても、多くの点で私たち日本人がこれまで学習してきたアメリカ英語とは異なるため、「オーストラリア英語は難しい」「聞き取りにくい」と言われているのかもしれませんね。
アメリカ英語とオーストラリア英語の違い
ここでは、私たち日本人の多くが学習するアメリカ英語とオーストラリア英語の違いについて、より深掘りしてみていきます。
冒頭でも述べた通り、両者は歴史的背景も大きく異なるため、それぞれの違いを押さえるためには、アメリカとオーストラリアの歴史を理解する必要があります。
そこで、両国の歴史を踏まえて、今日までアメリカ英語とオーストラリア英語がどのように姿を変えてきたのかを見ていきましょう。
①アメリカ英語の歴史
アメリカ合衆国がある北アメリカ大陸には、元々ネイティブアメリカンと呼ばれるアジア系の人々が住んでおり、イギリスによって17世紀後半に植民地化されました。
広大なアメリカ大陸の開拓のため、ヨーロッパ各国やアフリカ大陸から多様な人種が訪れ、それぞれの言語や文化がお互いに影響し合って、アメリカ独自の発音や表現が生まれました。
これが現在のアメリカ英語のルーツです。
そう、アメリカ英語は多様な言語の影響を受けながら、イギリス英語から変化を遂げてきた形なのです。
②オーストラリア英語の歴史
オーストラリアは、18世紀後半にイギリス人によって植民地化され、イギリスの囚人や自由移民が送られました。
アメリカとの大きな違いは、独立後もイギリスとの繋がりがあったことです。
20世紀初頭にイギリス自治領としてオーストラリア連邦が成立し、事実上の独立を果たしましたが、その後も自治領としてイギリスとの関係は続きます。
このことは、今日のオーストラリアの国旗からもわかります。イギリスの国旗であるユニオンジャックが描かれていますよね。
オーストラリア英語はアメリカ英語とは違い、あくまでイギリス英語がベースにあるのです。そのため、基本的にはイギリス英語に近いという特徴があります。
③アメリカ英語とオーストラリア英語の違い
アメリカ英語とオーストラリア英語の違いは、前述の通り、他民族国家としての特徴が強く現れている前者と、イギリス英語がベースにある後者というイメージです。
つまり、「アメリカ英語vsオーストラリア英語」は、「アメリカ英語vsイギリス英語」という構図に近いということですね。
代表的な違いとしては、冒頭のオーストラリア英語の特徴の紹介で述べた「Rを発音しない」「erをreと表記する」「izeをise」と表記するといったものです。
基本的にアメリカ英語との比較で解説しているので、気になった方はもう一度読み返してみましょう。
イギリス英語との比較
前述の通り、オーストラリア英語はアメリカ英語と比べて、よりイギリス英語に近いという特徴があります。とはいえ、オーストラリアもイギリス本国からは遠く離れた場所にあります。
原住民と移民との交流の中で、イギリスとは異なる特徴も持ち合わせていることも事実です。
ここでは、イギリス英語とオーストラリア英語の違いを見ていきましょう。
①オーストラリアならではの言葉
元々オーストラリアにしかなかったものは、当然ながらイギリス英語には存在しません。
代表的なのは、「kangaroo(カンガルー)」「コアラ(koala)」などですね。先住民であるアボリジニの言葉に由来すると言われています。
②オーストラリア独自の発音
オーストラリア英語には、イギリス英語とは異なる発音が存在します。冒頭にご紹介したAを「アイ」と発音するというのも、オーストラリアだけです。
また、語尾の発音にも特徴があります。オーストラリア英語には、「G」「T」「K」が語尾にくる単語は発音されないという特徴があります。
例えば、「start(始める)」はイギリス英語では「スタート」のようにTをしっかり発音するのが一般的ですが、オーストラリア英語では「スターッ」のようにTの音が欠落します。
③使用される単語の違い
同じ意味の単語でも、イギリスとオーストラリアでは使用される単語が異なる場合があります。
基本的にイギリス英語と同じことが多いですが、以下のような単語はそれぞれ別の単語が使用されます。
イギリス英語:abroad(海外)→オーストラリア英語:overseas
イギリス英語:lorry(トラック)→オーストラリア英語:truck
イギリス英語:pavement(歩道)→オーストラリア英語:footpath
イギリス英語:aubergine(ナス)→オーストラリア英語:eggplant
オーストラリアのスラング
オーストラリア英語には、独自の面白いスラングがたくさんあります。英語学習をする際には、こうしたその国や地域の独自の表現も学んでみることで楽しく学習を進められますよ。
具体的には、以下のようなスラングがあります。
オーストラリア英語独時の意味を持つ表現
・How are you going?
How are you doing?とほぼ同じ意味で使われます。オーストラリアではよく耳にする挨拶の表現です。
・Kiwi
ニュージーランド人を指します。これは、ニュージーランドの国有種で羽のない鳥「キーウィー」に由来しています。
・I’m stuffed.
「疲れた」という意味です。アメリカでは「お腹いっぱい」という意味で使われますが、オーストラリアでは全く別の意味で使われています。
・Good oil
「良いアイデアや情報」という意味です。
・Piece of piss
「とても簡単なこと」という意味です。アメリカ英語でいう「piece of cake」に似ていますね。
オーストラリア英語独自の略称
・Brekkie:breakfast(朝食)
・Servo:service station(ガソリンスタンド)
・Aussie:オーストラリア人のことです。現地の人たちは自分たちのことをしばしば「オージー」と呼びます。
・Nasho:the National Services(公共サービス)
・Barbie:barbecue(バーベキュー)
オーストラリア英語のスラングはまだまだたくさんあります。
しかしながら、こういったその国や地域独自の言葉は教科書や参考書には載っていないケースが多いです。
スラングを学んでより実用的な英語力を身につけたい場合は、やはり英語ネイティブに教えてもらうことが一番の近道です。
なかなかネイティブとの接点がないという方は、オンライン英会話を利用してみるのも一つの手ですね。
日本にいながら定期的にネイティブから英語を教えてもらう機会を作ることができますよ。
まとめ
今回はオーストラリア英語の特徴について詳しくご紹介しましたが、いかがでしたか?
旅行先や留学先がオーストラリアになったなど、これからオーストラリア英語を学びたいという方は、今回の記事を参考にしてみてくださいね。
英語力は一朝一夕で身に付くものではありません。すぐに目に見える結果がでなくても、諦めずに勉強を継続することが大切です!
英語ネイティブと話したり、英会話学習のプログラムに参加したりして、生きた英語に触れる機会をどんどん増やしていきましょう!