ネイティブキャンプのコラムをご覧のみなさん、こんにちは!今回のネイティブキャンプのこのコラムではズバリ、「高校生の交換留学」について特集していきます。
「交換留学」と聞くと、大学生が在学中に行う留学の種類だと思う方も多いと思われますが、実は高校生のうちに行う交換留学も存在するんです。
なるべく年齢の若いうちに異文化や海外での経験をしておくことで、その後の人生についての価値観が大きく広がり、たくさんの物事や自分とは異なる人の考え方などについて寛容な心を育てることができます。
そしてもちろん、習得したい外国語を習うには年齢が若いうちの方がベストです。
そこで今回のコラムではまず、高校生における交換留学について、交換留学とはそもそもどのような海外留学のことを指すのか、どのような制度なのか、概要を説明したいと思います。
その後、交換留学と私費留学の異なる点についても解説していきます。自分はどちらの留学方法が適切なのかを判断する参考にしてみてください。
高校生のうちに留学する上で大切なのが留学先の国選びです。このコラムではおすすめの留学先の国と地域や、現地での滞在方法についても紹介していきます。
また、渡航するまでに必要な事前準備や備えておくべき英語力についても解説します。
最後に、高校生のうちに交換留学を行うことで得られるメリットと、渡航する前にしっかりと理解しておきたいデメリットについても触れて行きます。
全てを考慮した上で、最高の交換留学ができるよう、今のうちから準備して行きましょう。
高校生交換留学について
「交換留学」と聞くと、日本の大学が協定を結んでいる海外の学校にある特定の期間留学をするーといったイメージを持つ学生さんが多いのではないでしょうか?実際、日本の国公立大学、私立大学にかかわらず多くの大学には海外に協定校があり、その大学との留学や学生同士の交流などのイベントが行われています。
では、高校生が行くことができる交換留学とは一体どのような制度なのでしょうか?グローバル化に伴い、日本でも早期英語教育が発展し、幼い頃から英語を習い始める子供達の数も年々増え続けています。このような影響から、高校生のうちに海外経験を積んでおきたいと考える学生さんや保護者の方も多くいます。
高校生が交換留学を行う場合、いくつかの方法があります。下記にまとめてみました。
AFS (公益財団法人AFS日本協会)
AFS (公益財団法人AFS日本協会)は、中高生に向けて異文化学習の機会を提供している世界的な教育団体の日本支部です。中高生に向け、海外ボランティアや海外留学の機会を提供しています。
中高生は、AFSの提携している国に留学をすることが可能です。提携国は、インド、インドネシア、タイ、中国、フィリピン、香港、アメリカ、カナダ、イタリア、オーストリア、スイス、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギーです。
留学の種類は主に短期留学と年間派遣プログラムというものがあります。短期留学では、語学学習や文化体験、STEM、リーダーシップ、SDGsなどの特定の分野を短期間で学ぶことができるプログラムで、最低10日間〜1ヶ月程度まで滞在できます。
年間派遣プログラムでは、ボランティアで留学生受け入れをしてくれるホストファミリー宅に1年間滞在し、現地の高校に交換留学生徒として通学します。
JFEI (特定非営利活動法人 日本国際交流振興会)
JFEI (特定非営利活動法人 日本国際交流振興会)は、国内外における留学サポートがとても充実しています。留学生・保護者への渡航前オリエンテーションや現地での到着後オリエンテーションはもちろんのこと、現地でのコーディネーターによる継続的なサポート、帰国後の進路の選択やその相談にも乗ってくれるという手厚いサポートで高校生の交換留学生にとても人気があります。
提携している国はアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドと基本的な英語圏の国5カ国のみですが、どこも英語を極めたい人にとっては好都合な国ではないでしょうか。
主要都道府県別の留学プログラムを運営している高校
現在中学生の方は、独自の留学プログラムを実施している高校に進学するという手段もあります。自分が今住んでいる都道府県や地域に留学プログラムを提供している高校があるかどうか、調べてみるのも手でしょう。
なお、高校独自の交換留学はその学校によって1年間の留学であったり、単位だけ認定される1学期間の留学であったり形態はさまざまです。また、提携している国も高校によって異なります。進学する高校を選択する際にはしっかりとプログラムの内容まで調べ、吟味しましょう。
高校生交換留学の種類!私費留学とはどう違うの?
ここで、高校の交換留学と私費留学の異なる点を比べてみましょう。私費留学とは、別名「正規留学」と言い、その留学の目的は単位の取得とその高校を現地で卒業することです。
ですので基本的に私費留学の場合は高校3年間のうち1年間だけ留学するのではなく、1年生から3年生までの3年間全てを現地で過ごすことになります。
一方、交換留学は、主な目的は生活や文化体験、現地の言語の習得であることが多いです。そのため日本の高校に在籍しながら、長期休みを使った10日間程度の短期間のものから1学期間や半年間、1年間などの定められた期間のみ現地の高校に通い、期間が過ぎたら日本の高校へ戻って日本の高校を卒業することになります。
費用の面での違いも見てみましょう。私費留学では基本的に留学費用はすべて自己負担です。一方交換留学は、学校や国が授業料や渡航料を負担してくれることも多いため、かかる費用は少なく済むことが多いです。ただし参加するためには選考があったり、一定の英語力を持っていないと選考から落とされてしまうこともあります。
留学先の国と地域や滞在方法
高校生のうちに交換留学をすることはその後の人生に大きな影響を与える素晴らしい経験となりますが、それまで育った国、地域、親元を離れて1人で海外で生活するということは精神的にも体力的にも変化の大きいイベントです。
そのため、渡航する国や地域を慎重に選ぶことも大切なポイントです。ここでは高校生の交換留学におすすめの国をいくつか紹介していきます。また、滞在方法の種類もいくつか解説していきます。
おすすめの国① オーストラリア
日本からの時差もほとんどなく、天気や気候に恵まれ、治安もいいとされるオーストラリアは日本人の高校生の留学先としてとても人気が高いです。
青い海や砂漠、多くの野生動物に囲まれ、おおらかでフレンドリーな性格のオーストラリア人との留学生活はかけがえのないものとなるでしょう。学期制度が日本の高校と異なるため、夏休みを利用した短期留学も人気です。
オーストラリアの特徴として、シドニーやメルボルンなどの都会の中にも自然が融合している点が挙げられます。常に大都会のなかで過ごすことに疲れを感じやすい人は、便利なオーストラリアの都市部に留学するのをお勧めします。
オーストラリアでは、公立校でも盛んに留学生を受け入れています。新年度は2月からスタートし、4学期制であるため希望があれば年に4回、留学生を受け入れるチャンスがあります。高校によっては、入学前に英語力の証明を求められる場合があります。
IELTSやTOEFLなどの試験で指定された以上のスコアが取れれば問題なしですが、渡航までにスコアを取ることができなかった場合は現地の英語教育機関で留学生向けの「高校進学準備コース」を受講してから留学します。
オーストラリアの高校は基本的に自分の興味のある科目を選択し、そのクラスに自分が移動する移動教室制度です。日本のように多くの時間をホームルームで過ごすことはありません。
おすすめの国② ニュージーランド
続いて紹介するのは同じくオセアニア地域にあるニュージーランドです。美しく壮大な自然を保持する、美しい国ニュージーランド。島国という点から、他の国のバックグラウンドを持つ人を歓迎し、移民で構成されていると言っていいくらい多国籍な国です。特に首都のウェリントンと最大の都市オークランドには多くの移民がいます。
日本人のようなおもてなしの精神があり、レストランやカフェ、タクシーなどに乗った際に受けるサービスに丁寧さが伺えるところが他の英語圏と異なるところです。フレンドリーで暖かい国民性、治安の良さから、初めての留学でも保護者の方も安心してお子さんを見送ることができます。
ニュージーランドの高校は、オーストラリアと同様、新年度は2月からで4学期制を導入しています。私立校でも公立校でも積極的に留学生を受け入れており、2週間だけという短期の受け入れから、卒業を目指した正規留学まで希望にそった留学プランが可能です。
また、他国のように教育委員会というものが存在せず、留学生受け入れのやりとりは直接学校とやりとりをすることになります。そのため留学生専門のカウンセラーが常駐する高校も多いです。授業は少人数制度を導入しており、一クラス20人以下のクラスが基本です。先生と生徒の距離が近いことも特徴の一つです。
おすすめの国③ アメリカ
大学進学を控えた高校生にとって、アメリカに留学をすることはその後の進路選択に大きな影響を与えてくれるでしょう。
これまで紹介した2カ国の中で最も学費や生活費がかかりますが、帰国後の将来を見据えた留学をしたいのであれば胸を張っておすすめできる留学先です。
東海岸であればニューヨーク、ボストンにはコロンビア大学やニューヨーク大学、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学などの名門校も多くある地域です。また、ニューヨークは世界のエンターテイメントの中心地。バレエやダンス、アートや音楽などの専門分野を学びに留学をする人もたくさんいます。
気候も安定し、晴れる日の多い西海岸ではロサンゼルスやサンフランシスコがおすすめ。年間の平均気温の高低差が少なく、ロサンゼルスは世界の映画業界の中心地ハリウッドがあり、ディズニーランドやユニバーサルスタジオなどの商業施設がたくさんあります。サンフランシスコにはゴールデンゲート・ブリッジなどの観光施設が目白押しです。
アメリカの高校の教育制度は完全に州の法律で定められていて、州によって異なります。ですので学習カリキュラムも学校ごとに定められたものを使用しています。高校でも基本的に自分のホームルームがあり集団生活の日本とは異なり、アメリカの高校は基本的に選択科目を選び、授業のたびに教室を移動する制度です。
日本からアメリカへ行くための学生のビザの関係から、基本的には公立高校へ留学できるのは交換留学のみになりますが、一部の高校では私費留学も受け入れています。
高校生交換留学の事前準備と英語力
高校で交換留学を行う場合、現地の高校から特定の英語力を求められることがほとんどです。留学前の準備として最も労力を使うのが、この「英語力の向上」と言えるでしょう。
中学で習った英文法や英単語は使用できるレベルになっておくこと
まず、最低限の英語力として中学校で習った英文法や英単語をマスターして、それらを使って英語で意思表示ができる・聞いて意味を理解することができる状態であることが求められるでしょう。ここをクリアしないと、現地で授業や生活についていくことに苦労します。
英検3級〜2級が目安
特に、1年間の長期交換留学を行う場合は、最低でも英検の3級〜2級レベルのコミュニケーション能力を持っていた方がいいでしょう。このレベルがあれば、自分自身や家族情報、買い物などにおいては文章や表現が理解できるでしょう。また、簡単で身近な話題であれば日常会話が理解でき、時間をかければ文章を組み立てることができます。
高校生交換留学のメリットとデメリット
最後に、高校生のうちに交換留学を経験することによるメリットとデメリットを比較しておきましょう。渡航前にどちらも理解することで、必要な対策を取ることができます。
メリット① 英語習得がスムーズ
大人になってから英語習得を試みるのに比べ、まだ10代である高校生が英語を本格的に現地で学ぶことは習得のクオリティや記憶力に大きな違いがあります。
また、留学中に多種多様な文化や価値観に直にふれ経験することと同時に現地の言葉を学ぶことが、高校での交換留学の醍醐味と言えるでしょう。日本で教科書や英会話教室に通っているだけでは経験のできない気持ちを感じながら言語を学ぶことで、本当に使えるリアルな英語を習得することができます。
メリット② 将来の選択肢が広がる
高校のうちに日本から出て海外の文化や社会、歴史、生活スタイルに触れることで多様な価値観の形成につながります。これまで持っていなかった考え方が身につき、今までは考えもしなかったアイデアや想像力が養われるでしょう。
また、国が異なればカリキュラムや科目も異なります。日本では学ぶことのできない分野を経験できます。また、帰国後に大学受験をする際には帰国子女枠での受験も可能になりますし、さらには日本の大学だけではなく海外の大学受験も視野に入れることも夢ではありません!
デメリット① 留学費用がかかる
やはり最も大きなデメリットは、高校生のうちから多大な費用がかかるという点ではないでしょうか。文部科学省によると、英語圏の中でも留学費用が比較的安く済むと言われるニュージーランドでも年間250万円(授業料120万円+その他、滞在費などの諸費用)は必要です。これが3年間ともなると、膨大な費用が必要となります。その後大学進学にもお金が必要と考えると簡単に高校で交換留学をする、と決めることは難しいですよね。
デメリット② ホームシックやカルチャーショックなどへの対処
多くの学生さんはそれまで日本で生まれ、日本の小中高で学生生活を送ってきたと思います。そんなバックグラウンドの中突然、高校生のある期間を海外で1人で過ごすことは皆さんが思うほど簡単なことではありません。
実際に筆者は大学時代に1学期間の交換留学を経験しましたが、大学生で普段日本で一人暮らしをしている身だとしても、環境の変化や文化の違いなどで精神的に辛い時期がありました。
現地の文化に圧倒され、どんなふうにコミュニケーションをとっていいのかわからなくなってしまったり、自分の言語力不足によって誤解を招いてしまったり、日本の家族や友達が恋しくなったり....。
そんな時にどう乗り越えたらいいのか、対処法をしっかりと練ることができるかどうか、相談できる場所(カウンセラー室や高校の留学生専用窓口の利用など)に行く事ができるかどうか、友人やホストファミリーに悩みを相談できるかどうかでその後の生活がポジティブなものへと一変します!留学中は、誰でも悩みや辛い経験をするもの。そうなった時にどう行動するのかのイメージを頭の中で描いておくといいですね!
まとめ
このコラムではここまで、高校生のうちに行く事ができる交換留学について特集してきました。いかがでしたでしょうか?
まずそもそも高校生の交換留学とはどのような制度なのかを解説したのち、私費留学との違いを比較しました。その後は高校生の交換留学のメリットとデメリットを比較して、今後交換留学を検討している学生さんがするべき心構えや準備について深掘りしました。
一生に一度しかない高校生活のうち、一定の期間を留学に当てるのはとても貴重で、素晴らしい経験です!ぜひ、興味のある方は挑戦してみてくださいね。人生が変わりますよ!
出身地は静岡県の下田市です。実家の目の前にはエメラルドグリーンのビーチがひろがっています。小さい頃からスキンダイビングやボディーボードをして育ちました! フェリス女学院大学の英文科在学中にニュージーランドへ留学。そこで国際教育の重要さに気づき、横浜国立大学大学院教育学研究科へ進学。小学生の外国語教育の研究に携わる傍ら、アメリカからの留学生のチューター業務も経験。 修士課程修了後は、都内のインターナショナルプリスクールで5歳児クラスの担任を経験。外国人と日本人バイリンガルの2人体制でこどもたちと英語で探究学習を行う。日本語の授業も担当し、母語の大切さも伝えた。 現在は前職を退職し、英語を教えるだけでなく、国際交流•異文化交流の大切さをそだてるニュータイプのオンライン英会話をネイティブ講師とともに小学生に教えている。 ④ 趣味は洋楽をギターやピアノでカバーすること、ビーチでヨガ、サイクリング、ピアノ耳コピ、ダンス、犬と散歩。 夢は、英語をツールにして音楽やダンスや絵、スポーツなどの自分の得意なことを使って自分自身について表現し、世界の人と交流することを楽しいと思ってくれる子供達が増えるような「先生」そして「表現者」になること。 そしてもう一度大好きなニュージーランドにステキな家族、友人達と長期ステイすること!