
アメリカのデジタルメディアであるU.S Newsによると、世界で5番目に生活の質が高く、ロシアに次ぐ世界2番目の広大な土地を持つ
カナダ
英語・フランス語圏などの異なる言語が公用語として用いられ
移民族国家として知られており、日本人の移住者も多く留学やワーキングホリデーの行先としても人気があります。
この記事では、カナダへのワーキングホリデーを経験した私が、カナダの人口や都市の人口ランキングについて調査し、カナダへ留学するメリット・デメリットなどについてまとめました。
カナダへの留学を検討されている方の参考になれば幸いです。
- カナダの人口はどれくらい?
- カナダの人口が増えている理由
- 人口増加によるカナダ社会への影響
- カナダはどの国からの移民が多い?
- カナダ人の使用言語
- 人口規模からみるカナダ大都市ランキング
- カナダの大都市で留学するメリット・デメリット
- カナダの人口に関するよくある質問
- まとめ
カナダの人口はどれくらい?
カナダの統計サイトStatistics Canadaによると2024年4Qのカナダの人口は約4,146.5万人。日本と比べると約3分の1程度。
参考URL:
https://www150.statcan.gc.ca/t1/tbl1/en/tv.action?pid=1710000901
世界の人口ランキングをみるとカナダの人口は38位となっています。
https://eleminist.com/article/2728
カナダの国土面積は日本の約27倍となっており、面積でみるとかなり人口が少なくみえます。
州別にみてみるとオンタリオ湖があり、バスケットボールや野球のスポーツチームでも有名なトロントがあるオンタリオ州が最大で、国全体の3分の1以上の人口が集まっています。フランス語圏のケベック州と、日本人も多いバンクーバーのあるブリティッシュコロンビア州が3番手となっています。
カナダの人口密度・人口分布
カナダの人口密度は極めて低く、2025年時点で平米換算約4人/km²とされており、国土面積約9,093,510km²に対してほんのわずかの人口が点在している状況です。
カナダの人口密度は欧米諸国と比較すると圧倒的に低く、例えばアメリカの約36人/km²に比べても大きく下回ります。
なお、カナダの人口のほとんどはアメリカ国境に近い南部に集中し、国土の大部分を占める北部や山間部は依然として人影が疎らです。
特に、ケベック・シティ〜ウィンザー回廊には多くのカナダ国民が居住し、国内人口の約半分に相当します。
また、トロント・モントリオール・バンクーバー・カルガリー・エドモントンなど六大都市が人口の重要中枢を担っている状況です。
参考:https://www.worldometers.info/world-population/canada-population/
カナダの人口推移・動態・増加率
カナダの人口は長期的に増加傾向にあり、1960年代の約1,800万人から2025年には約4,000万人へとほぼ2倍に拡大しました。
なお、近年では移民が人口増加の主因となっており、自然増は増加分の1割に満たない水準です。
Worldometerの推計によれば、2023年は約1.23%、2024年は1.13%の増加率で2025年も0.97%と引き続き安定しています。
しかし、ロイター通信によれば、2024年末は移民政策などを背景に四半期増加率が0.2%へ鈍化し、今後人口減少が想定されています。
参考:https://www.worldometers.info/world-population/canada-population/
参考:https://www.reuters.com/world/americas/canadas-population-grew-slowest-pace-since-pandemic-fourth-quarter-2025-03-19/
カナダの人口ピラミッド
カナダの人口ピラミッドは、成熟国家特有の「つぼ型」もしくは「逆三角形型」に近い形状を示しています。
0~14歳は14~15%と低く出生率の低迷が明確ですが、25~64歳が約65%と厚く、中年層が人口の多くを占めています。
さらに、65歳以上の高齢者は約20%に達しており、現在も少子高齢化が進行していて将来的には「高齢依存率」の上昇が避けられません。
2025年以降はさらに高齢化が顕著になると予測され、2056年〜2057年にかけて65歳以上が15歳以下を大きく上回る構造へシフトしていく見込みです。
参考:https://countryeconomy.com/demography/population-structure/canada
カナダの人口分布
カナダは国土面積が約9.09百万km²と広大ながら、人口密度は4 人/km²程度と極めて希薄です。しかし、実際の人口分布は一様ではなく南部の主要都市圏に集中しており、特にアメリカ合衆国との国境線沿いに約80%の人々が暮らしています。
対照的に、ノースウェスト準州・ユーコン・ヌナブトなど北部の3準州・地域は国内面積の大半を占めながら0.32%未満の人口しか暮らしていません。このように、南北・都市と地方の極端な二極化が、カナダの人口地理上の大きな特徴です。
参考:https://www.worldometers.info/world-population/canada-population/
人口の多い州TOP3
カナダで人口が多い州のTOP3は、以下の通りです。
| オンタリオ州 | 約1,600万人 |
| ケベック州 | 約900万人 |
| ブリティッシュコロンビア州 | 約565万人 |
カナダで最も人口が多いのはオンタリオ州で約1,600万人となっており、国勢調査でも常にトップの地位を維持しています。
次に続くのはケベック州で約900万人が暮らしており、カナダで唯一のフランス語圏の州として文化的にも独自性があります。
3位はブリティッシュコロンビア州で人口は約560万人となっており、温暖な気候と自然環境に恵まれているエリアです。
参考URL:
https://worldpopulationreview.com/canadian-provinces
カナダの人口が増えている理由
カナダは年々人口が増え続けており、2014年には約3,500万人だったのが2024年には約4,100万人にまで増加しています。どのような理由で人口が増えているのかを調査しました。
大きくは「国策としての移民受け入れ」と「留学生向け学生ビザ」の2つが理由となっています。
国策としての移民受け入れ
カナダは国策として直近まで年間約50万人の移民受け入れを行ってきました。しかし、2025年以降は住宅や社会サービスなどのひっ迫状況緩和のために今後3年間で段階的に移民数を減らしていくことを計画しています。
参考URL:
https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/10/a4714c074894639b.html
留学生向け学生ビザ
カナダは世界大学ランキング21位のトロント大学をはじめとして教育水準の高い大学が多くあります。
また、英語圏であることや治安のよさ、移民を受け入れているため多様なカルチャーや価値観が尊重される環境であることも留学先として人気な理由になっています。
2023年ごろには留学生向けの学生ビザが約50万人に達しています。しかし、移民政策と同様に学生ビザの発行数も、2023年対比で35%減の36.4万件に減らすことを2024年に発表しています。
参考URL:
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN230390T20C24A1000000/
https://www.studyin-canada.com/japan/study-guide/canada-universities-ranking-times-higher-education-world-university-rankings-2023/
https://www.benesse-glc.com/lab/blog/jyouhou200828
人口増加によるカナダ社会への影響
人口増加によるカナダ社会への影響はよいものばかりではありません。よい影響とよくない影響の両方の側面をみていきます。
人口増加によるカナダ社会へのよい影響
人口増加によるよい影響としては、経済への貢献が挙げられます。個人消費が増加しつつ労働力不足の解消を促し経済成長を促進する効果があります。
参考URL:
https://jp.reuters.com/article/world/-idUSKBN2Z707T/
実際に毎年のようにGDPは成長をしており基本的には右肩上がりで成長しています。
カナダのGDP推移
カナダの2014年〜2024年におけるGDP推移は、以下の通りです。
| 2014年 | 1,994.90 |
| 2018年 | 2,235.68 |
| 2022年 | 2,813.29 |
| 2024年 | 3,018.52 |
※単位:10億カナダ・ドル
2020年以降に新型コロナウイルスの影響で一時的にマイナス成長へ転じたものの、人口増加の影響などもあり、カナダのGDPは右肩上がりで上昇しています。
参考URL:
https://ecodb.net/country/CA/imf_gdp.html
人口増加によるカナダ社会へのよくない影響
急速に人口が増加してきたことにより住宅供給不足に直面。着工が追いつかず手ごろな住宅供給が少なくなったことで移民に対する世論が悪化してきています。
また、公共サービスについても急激な人口増加により、新たな移民が公共サービスを圧迫している側面もあります。
カナダはどの国からの移民が多い?
カナダ統計局が2022年にまとめた調査によると、人口の4分の1近くにあたる830万人が移民であることが明らかになっています。2016〜2021年の調査ではインドが最多の18.6%を占め、次いでフィリピンが11.4%、中国が8.9%と続きます。
ちなみに、日本からの移民は0.3%で49番目の数になっています。
カナダ人の使用言語
カナダ人は公用語が英語とフランス語です。公営の美術館等に行くと英語とフランス語の両方で説明されていることも珍しくありません。
少し古いデータになりますが、カナダ統計局の2011年の調査結果によると人口の58%が英語のみ、18.2%がフランス語のみを自宅で使用しているとのこと。増加率で見ると北京語やアラビア語などが増加しています。
北京語(+50%)、アラビア語(+47%)、ヒンディー語(+44%)、クレオール言語(+42%)、ベンガル語(+40%)、ペルシア語(+33%)、スペイン語(+32%)
参考URL:
https://www.afpbb.com/articles/-/2909524
私がトロントで生活していたのは2013年ですが、中国語で話している人はとても多く中国人に間違えられて声をかけられることも時々ありました。
人口規模からみるカナダ大都市ランキング
カナダの大都市の人口規模をランキングし、それぞれの都市の特徴をかんたんに解説します。
参考URL:
https://worldpopulationreview.com/cities/canada
トロント/約260万人
トロントはオンタリオ州にあるカナダ最大の都市。スポーツや芸術も盛んでカナダ経済の中心地でもあります。
スポーツでいえば、バスケットボールNBAのトロントラプターズやかつて日本人野球選手も活躍したトロント・ブルージェイズ、アイスホッケーのトロント・メープルリーフスなどのプロスポーツチームが複数あります。
多文化であふれるこの街を歩くと街中で様々な国の料理を食べることができます。日本人も多いので日本のレストランやスーパーなどもあり日本人も生活しやすいです。
少し足を伸ばせば世界三大瀑布であるナイアガラの滝があったり、ニューヨークへのアクセスも比較的よいので観光にも最適です。
参考URL:
https://www.efjapan.co.jp/blog/language/10-reasons-to-love-toronto/
モントリオール/約160万人
モントリオールはケベック州にある都市でフランス語が公用語。街並みはカナダ建国の時代を思わせる、石畳のレトロな雰囲気で観光客にも人気のある場所です。トロント在住の日本人もモントリオールに旅行へ行く人が多いです。
公用語はフランス語ですが英語も十分通じます。
カルガリー/約102万人
カルガリーはカナディアン・ロッキーの麓に位置しており、カナダ特有の豊かな自然を味わうことができます。
世界の住みやすい都市第7位にも選ばれており100万人都市でありながら治安もよく生活がしやすいです。
トロントやバンクーバーなどと比べると日本人も少ないため、強制的に日本語を使わない環境を求めている方や、治安のよい場所に留学したい方におすすめです。
参考URL:
https://www.successcanada.ca/calgary.asp
https://torja.ca/number-calgery
オタワ/約81万人
オタワはカナダの首都でトロントと同様のオンタリオ州に位置します。首都というと東京のようなイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、トロントと比べると規模も小さく街中でも自然が豊かです。
この場所は、1857年にビクトリア女王によって首都に定められ、イギリス系のオンタリオ州とフランス系のケベック州との州境に位置。イギリスとフランスの両文化の懸け橋となるようにとの願いが込められた都市です。
緻密な都市計画のもとに建設された都市で、
全体が公園のように整備され、美しい理想的な都市となっています。
参考URL:
https://www.p-u-r-e.net/cities/ottawa/
エドモントン/約71万人
エドモントンはカルガリーの北部に位置しており、夏場は過ごしやすい気候ですが真冬は最大でマイナス40度になり、オーロラを鑑賞できることもある都市。近年は日本人留学生が少ない場所ということもあって、英語環境に身を置きたいという理由でエドモントンを選ぶ方も増えてきているようです。
都会と比べるとゆったりした場所で都会のよさと田舎の落ち着いた雰囲気のバランスが取れた暮らしやすい街です。
参考URL:
https://www.ryugaku-canada.com/edmonton
https://www.p-u-r-e.net/cities/edmonton/
カナダの大都市で留学するメリット・デメリット
カナダの大都市で留学するメリット・デメリットをまとめました。
カナダの大都市で留学するメリット
カナダの大都市で留学するメリットは下記6つが挙げられます。
②日本人も多く生活がしやすい(日本の食材/調味料などもそろいやすい)
③多国籍な文化でひとつの国にいながら様々な文化に触れられる
④スポーツや芸術などエンターテイメントが豊富
⑤比較的治安がよい
⑥訛りのないきれいな英語で聞き取りやすい
私が生活していた時の感想としては、アメリカほどYES/NOがはっきりしている文化でもなく、人当たりも優しい環境で暮らしやすかったです。
カナダの大都市で留学するデメリット
カナダの大都市で留学するデメリットは下記4つが挙げられます。
②場所によっては治安がよくないため事前に調べておく必要がある
③日本と比べて物価が高い
④冬の寒さが厳しい
私がいたトロントでもマイナス10度以下になることもあり、日本で購入するような防寒具だけでは耐えきれません。また、昨今の円安状況で物価がかなり高く感じるため、留学する時の痛い出費になることもあります。
カナダの人口に関するよくある質問
カナダの人口に関するよくある質問として、以下の2点を紹介します。
・バンクーバーの人口は?
カナダは広大な面積に対してなぜ人口が少ない?
カナダの面積は約9.98百万km²に達して世界第2位の広大な国土を誇りますが、人口は約4,100万人と相対的に少ない状態です。
上記の乖離の背景には、気候・地形・歴史という3つの要因が複雑に絡み合っています。
まず、北部の広大な領域は極寒の気候により永久凍土やツンドラが広がり、人が住める条件とは程遠い環境です。さらに、カナダシールドと呼ばれる貧弱な土壌を持つ岩盤地帯も広がっており、農業や都市化が進みにくい地形もあります。
また、歴史的にヨーロッパから入植が始まった南部沿岸部・五大湖流域にのみ集中して居住地が形成され、中部以北は開発が遅延していました。
18〜19世紀の開拓時代以降も南部に集中する人口分布が固定化され、結果として国土のほとんど人が住まない地域となり、全体としての人口密度が極めて低い状況が続いています。
バンクーバーの人口は?
バンクーバー市の人口は、2021年の国勢調査で約662,248人とされています。
人口密度に着目すると、バンクーバー市内では5,750人/km²近くとカナダ国内でもトップレベルです。人口密度が高い背景には経済成長による移民流入など、多文化都市として急速に変貌している状況があげられます。
参考:https://vancouver.ca/news-calendar/population.aspx
参考:https://www12.statcan.gc.ca/census-recensement/2021/dp-pd/prof/index.cfm?Lang=E
まとめ
この記事では、カナダの人口や大都市の特徴、カナダの大都市へのデメリット・メリットなどを解説しました。カナダは多国籍な文化が交じり合う多様な考えを受け入れる寛容性のある国で、異文化を学びたい方にはぴったりの環境です。
カナダは、世界第2位の広大な土地の中に様々な大都市があり、それぞれに特徴が異なるため、大都市で学びたいのか自然豊かなところで学びたいのか、などによっても行先が変わります。留学先を選ぶ際はあなたが何を学びたいのか、重視したいのかをよく考えたうえで選択しましょう。
ぜひ今回の記事を参考にして、カナダでの留学先選びを考えてみてください。