大学生や社会人の中には、海外留学を通じて将来のキャリアアップを目指す方も多いのではないでしょうか?
「海外で何か学びたいが、何を学ぶかは決まっていない。」
「将来的なキャリアにつながるような資格をとりたい。」
「費用対効果の高い留学がしたい。」
そんな方のためにおすすめしたい留学の一つが、TESOL留学です。
TESOL(テソル)は英語教授法の学問分野で、日本では認知度は低いですが、海外の教育機関では、有名な教授法の一つです。
本記事では、そんなTESOL留学について、内容や費用、メリットやデメリットについて詳しく解説をしていきます。
TESOL留学とは?その基本と意義
TESOLの基本的な意味と勉強する意義について
TESOLとは、Teaching English to Speakers of Other Languagesの略で、非英語圏の人々に英語を指導するための専門知識とスキルを学ぶ分野です。TESOLは、TOEICや英検のように英語スキルを証明する資格ではなく、英語を教えるための体系的な教育プログラムです。
TESOLを学ぶ方法には、短期間で修了できるCertificateコースと、学士・修士・博士課程を含むDegreeコースがあります。
英語を教えるための分野なので、機関によっては受講や入学の際に一定以上の英語力を求められる場合もあります。
TESOLを学ぶ意義の一つは、英語の指導スキルを体系的に習得できる点です。発音記号などのテクニカルな部分から、生徒に合った教材の選び方や実践的な部分まで網羅的な学習内容で、英語を教える際のスキルとして役立ちます。
TESOLは、日本よりも海外での教育機関での認知度が高く、海外の教育関連機関において、英語教授の一定レベルのスキルを保有するという証明になります。
ただし、TESOL自体は共通の認定機関があるわけではないので、キャリアアップの手段として考えたい場合、認定機関の信頼性も重視されるので、注意が必要です。
TESL(テスル)、TEFL(テフル)の言葉の意味
TESOLと関連する用語として、TEFL(テスル)とTESL(テフル)という言葉があります。TESOLはTEFLとTESLを包括する概念として使われています。
TEFLは、Teching English as a Foreign Languageの略で、英語が公用語として使われない国で英語を「外国語」として教える方法を学ぶ学問領域です。日本で英語を教える場合などがあたります。
一方で、TESLは、Teaching English as a Second Languageの略です。英語が公用語として話されている国(英語圏)で、英語を「第二外国語」として教える方法を学ぶ分野です。シンガポールやフィリピンで英語指導をする場合、アメリカやオーストラリアで英語を母国語としていない移民に英語を教える場合にあたります。
TESOLの中には、どちらかの分野により特化したコースもあるため、自分の興味や目標を明確にしておくことが大切です。
CETLA(セルタ)、DELTA(デルタ)との違い
TESOLと関連する用語として、CELTA(Certificate in English Language Teaching to Adults)、DELTA(Diploma in English Language Teaching to Adults)があります。
CELTA、DELTAともTESOLと同様、英語教授法ですが、TESOLが統一的な認定機関がないのに対して、CELTA、DELTAともイギリスのケンブリッジ大学の一部門である英語検定機構による認定があります。
CELTAの受講条件は、英語力がCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)でC1以上であるため、英語を母国語としていない人にはハードルが高いコースです。DELTAは、更に英語講師として最低2年の実務経験が必要となっています。
TESOL留学できる地域や費用
TESOL留学できる地域
TESOLは、英語圏の専門学校や大学を中心に受講可能です。オンラインで受講が可能なコースもあります。
アメリカでは、レナート・ニューヨークTESOLセンター(Rennart New York TESOL Center)や、ティーチング・ハウス(Teaching House)、UCLA大学のExtention、アメリカン大学ではTESOLの修士号のコースがあります。
イギリスでは、リーズ大学のTESOLの修士号(TESOL Studies MA)が有名です。
オーストラリアでは、インターナショナルハウス(International House Sydney)、ウーロンゴン大学には、TESOLの修士号を1. 5年で取得できるコースがあります。
カナダでは、OnTESOL(オンライン受講)や、オックスフォードセミナー(Oxford Seminars)や、バンクーバー・インターナショナル・カレッジ(VIC)などの専門学校が有名です。
日本の教育機関では、神田外語大学や立教大学、テンプル大学などがTESOLの修士課程プログラムを提供しています。シンガポールやフィリピンにもTESOLのコースがあります。
TESOL留学の費用
TESOLコースの授業料は、国や受講形態(専門学校、大学、大学院、オンライン)によって大きく異なります。
TESOL Certificate の場合、学習時間は一般的に100〜180時間程度で、オンラインコースの場合、3〜15万円程度。対面授業の場合、約4週間の授業で20〜30万円程度がかかります。
TESOL Diploma(修士号)の場合、1年〜2年間の授業で200万〜300万円程度かかることが想定されます。
オンキャンパスでの受講の場合、さらに現地での生活費も加える必要があります。
TESOLの授業内容とカリキュラム
TESOLのカリキュラムでは、言語学や英語指導の理論に加え、実践的なクラス運営スキルについても習得します。
授業内容
TESOLのカリキュラムの内容は、理論と実践、教室のマネジメントなど実践的で多岐にわたります。
【言語学の基礎】
言語学の基礎を学びます。音声学と音韻学、統語論と語用論、文法と構文、社会言語学などがあります。
【言語習得論】
第二言語習得論(SLA)や、言語の習得段階、文化背景の言語習得への影響について学びます。
【英語教授法】
英語教授の理論について学びます。例としては、直接法、翻訳法、コミュニカティブ・アプローチ(CLT)、タスクベース学習(TBLT)があります。
リーディング、リスニング、スピーキング、ランキング4技能それぞれの指導法について勉強をします。
レッスンのプランニングやクラスのマネジメントについても学びます。
【教材作成とIT技術の活用】
それぞれのレベル別の教材の作成方法について学びます。生徒のニーズに応じた、カリキュラムにおける長期の指導計画について学びます。
オンラインプラットフォームなどITの活用の仕方について学びます。
【実地研修】
模擬授業や、実際の学習者を対象とした指導の機会が与えられます。
【評価の方法】
テスト、アセスメントなど学習者の評価方法について学びます。自身の指導スキルを振り返り、改善をします。
【特定のトピック】
基礎となるカリキュラムとは別に、特定の分野について勉強できる場合があります。バイリンガル教育、特別な学習者へのアプローチ方法、心理言語学など機関やコースによって様々なので事前にチェックをするようにしましょう。
TESOLの内容は機関やプログラムによって、具体的な内容が異なるので、留学前に希望する機関のシラバスを十分確認することが重要です。
TESOL留学のメリットとデメリット
メリット
①英語教育を体系的に学び、スキルアップできる
まずメリットとして、英語教育法を体系的に学び、英語の指導者としてスキルアップをすることができます。TESOLでは、実践的な英語指導や文化的背景を考慮した教授法を学ぶため、現場での指導に直結したスキルが身につきます。
②英語教育のキャリアに役立つ
TESOLは、国際的に認知されている教授法なので、TESOLを学んだ実績は、今後の英語の教育者としてのキャリアにおいて役に立ちます。
③英語圏で学べば、自身の英語力アップにも役立つ
英語圏の学校でTESOLを学べば、自身の英語力のアップにもつながり、今後の英語指導もより自信を持って行えるようになります。
デメリット
①時間と費用がかかる
デメリットとしては、時間と費用がかかることがあげられます。コース内で実践指導を含む様々な課題があり、勉強へのコミットが必要です。
英語圏に留学をし、滞在することになれば、授業料の他に生活費が必要になります。TESOL留学が、貴重な時間とお金を費やして本当に自分のためになるのかを考える必要があります。
②日本の教員免許の代わりにはならない
TESOLは日本でも認知度は上がってはきているものの、日本の教員免許の代わりにはなりません。
③共通の認定機関がない
TESOLは、CELTAやDELTAと異なり、コースを一律に評価する機関がありません。したがって、TESOLの授業の質は、各専門学校や大学によって異なります。
まとめ
TESOL留学についての基本情報、メリット、デメリットについて、お伝えしました。
TESOL留学によって得られるメリットは多くありますが、どのように活かすか、海外で英語教師のキャリアを積みたいのか、日本で英語教育関連の職につきたいのか、など目的によって留学先の選び方も異なります。
自身のキャリアの目標や予算に照らし合わせて、TESOL留学がご自身に適しているかを見極める材料になれば幸いです。