航空便で送れないものは何?万国共通の禁制品や荷物の注意点などを解説

航空便、海外、ネイティブキャンプ

国際輸送海外発送をするときに多くの人が利用する、航空便。

航空便では送れないものがあり、それを知らずに荷物に入れると発送時に受け付けてもらえません。もし発送されたとしても、送り先の国で返送や没収などのトラブルになる可能性もあります。

そこで今回は、航空便で送れないもの(禁制品)や航空危険物の具体例、各国特有の規制、その背景、そして規制に対応する方法を詳しく解説します。安全でスムーズな発送のために、しっかりチェックしていきましょう!

航空便で送れないもの:万国共通で送れない禁制品

航空便で送れない「禁制品」とは、法律や規制により、万国共通で輸送が禁止されている品目のことを指します。禁制品として代表的なものをご紹介します。

麻薬等 爆発物、武器、化学兵器 児童ポルノ関連商品 知的財産権を侵害するもの 偽造、海賊版の物品 生きた動物 貴重品等:硬貨、紙幣、旅行小切手、金または銀、宝石等

国際郵便や国際宅急便など飛行機で送れないものには、以上のような禁制品のほかに、航空危険物の対象となる場合がある化粧品や液体などの品目もあります。それでは航空危険物について、このあと続けて解説していきます。

航空便で送れないもの:航空危険物

禁制品に加え、航空法に基づき、航空便では危険物の輸送も厳しく規制されています。

航空機やその乗客に危険をもたらす可能性があるものとして規定されている「航空危険物」です。その数、なんと約3,000種類!航空危険物に該当するとは知らずに持ち込んだものが規定に触れる可能性があるため、確認しておきましょう。

航空危険物の例

航空危険物の代表例として、その一部をご紹介します。海外に送る荷物だけでなく、国内線の飛行機に搭載して運ぶ宅急便荷物やゆうパックの空輸便についても同様に注意が必要です。

火薬類:花火、クラッカー、弾薬など

リチウム電池:

携帯電話やノートパソコンに使用されるリチウム電池は、発火の危険性があるため特別な条件下でのみ送れます。容量が大きい場合や損傷した電池は、ほぼ全ての航空便で禁止されています。

引火性液体:

アルコールを含む香水やネイルポリッシュ。特に高濃度のアルコールを含むものは危険性が高く、航空便では送れません。

放射性物質:

医療用アイソトープや工業用の放射性物質など。

高圧ガス:

スプレー缶やキャンプ用のガスボンベは、爆発の危険があるため禁止されています。
リチウム電池による火災事故は、航空便の危険性を象徴する事例です。2010年、ドバイを出発した貨物機でリチウム電池が発火し、墜落事故が発生しました。この事件を受けて、国際民間航空機関(ICAO)はリチウム電池の輸送規制を強化しました。

航空便の荷物によくある違反物品(危険物)

「危険物とは思わず持ってきてしまった!」という例としてよくあるのは、以下の物品です。

スプレー缶・ガスカートリッジ

殺虫剤やキャンプ用のガス缶などは引火性の危険があるため、ほとんどの航空便で禁止されています。

アルコール度数が高いお酒

ウイスキーの高濃度ボトルなど、70%以上のアルコールを含む飲料は「引火性液体」として扱われます。

香水

高濃度のアルコールを含む香水は航空便で制限されています。購入した免税品も事前確認が必要です。

リチウム電池内蔵商品

スマートフォンやモバイルバッテリーは、容量や条件によって規制対象になる場合があります。

規制対象の危険物を航空貨物として送るためには?

個人が使用する範囲内の荷物量かつ現地で購入可能な品物であれば、危険物を送るための対応の手間やコストを考慮しても無理に発送することはおすすめしません。しかし、何らかの理由で規制対象の物品を送る必要がある場合は、航空会社や配送会社のガイドラインを確認して正しく対応することで、輸送の制限を回避できる場合があります。

必要な対応は以下のとおりです。

①特別な梱包・表示・危険物申告書の作成

航空法に準拠した専用の梱包資材を使用し、適切なラベルを貼ることが重要です。

あわせて「危険物申告書」の提出も必要になります。特に、品目の表記は、品目のカテゴリではなく具体的な品名を正確に明記するようにしましょう。アルコールの場合は、度数や量を明記しておきましょう。

②専門の配送会社を利用

危険物輸送に特化した業者や、大手国際貨物輸送会社を選ぶと安心です。

航空便に限らず国際輸送に制限があるもの

禁制品や航空危険物以外にも、国際輸送に制限があるものとして「動植物」があります。

動植物はく製の輸送は、多くの航空便や船便でも禁止されています。

これは、ワシントン条約(絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)によって、生きている動植物のみならず毛皮皮革製品及び漢方薬等が規制対象とされているためです。

税関で輸入差止め等の多い品目は、麝香(じゃこう)虎骨(ここつ)を使った漢方薬、爬虫類の皮革製品アクセサリー類です。さらに、生きている動植物としては、ランサボテンカメなども輸入差し止めの対象となるため注意しましょう。

税関では、年間500件以上の野生生物の違法な輸出入を日本の水際で取り締まっています。

しかし、例えば海外引越の際のペットの航空輸送など、犬や猫などの小動物は特別なペット輸送サービスを利用できます。これらの場合でも、動物福祉法や検疫法に基づいた書類の準備や輸送条件が厳しく規定されています。

国ごとの規定による航空便で送れないもの

国ごとの規定は、その国の法律や文化、宗教的背景に影響されています。そのため、特定の商品が送れない場合があります。

例えば、ヤマト運輸の公式サイトでは、国別に送ることができないものをチェックすることができます。

ここでは、国ごとの独自の制限事項を知ることができます。利用する際はチェックしてみてください。

オーストラリア

強力なレーザーポインターが送れないものとして指定されています。その他、オーストラリアはそもそも生鮮食品や植物の持ち込み制限が厳しく、種子や土壌、ハチミツも禁止されています。

地理的にも他の大陸と遠く離れているオーストラリアでは、固有の生態系を保護するために、輸入品が生態系に与える影響を考慮している背景があります。

サウジアラビア

食品、トランプ・さいころ他ギャンブルにかかわるもの、イスラエル製品、衛星機器(部品も含む)、偶像神(人/動物)を模った人形玩具、武器関連用品(書類や部品など含む)、宗教関連製品(コーラン、聖書含む)は国際宅急便で送ることが禁止されています。これらの規制は、サウジアラビアの国教であるイスラム教の教義に基づくものです。

インド

食品、中古品、地図(不正確なインド国境を示したもの)、ドローンなどが国際宅急便で送れないものとなっています。また、インドのプラスチック廃棄物管理規則のもとで、使い捨てプラスチック製品についても輸入禁止となっているため送ることができません。

台湾

食品、中国原産の製品、化粧品、玩具、電気通信機器(電話機/無線機等)、オーディオ機器(ビデオ/CD/DVD/ブルーレイ再生機器等)、活性炭を使用する空気清浄機やマスク等は、国際宅急便で送ることが禁止されています。

アメリカ

国際宅急便では、アメリカ向けの食品(飲料含む)の荷物の引き受けを禁止しています。お菓子や加工食品でも、動物由来の成分に対する規制が厳しいため注意しましょう。イラン製品やロシア産のアルミニウム、銅、ニッケルなどについても、規制対象となっています。

マレーシア

コーラン(イスラム経典)を模写した繊維製品、玄米茶、ラジオ及びラジオ関連機器、ポートランドセメント、カラーコピー機、活性炭を使用した空気清浄機、マスク等は、国際宅急便で送ることが禁止されています。

航空便で送れないものの規制違反に対する罰則の例

航空便の規制に違反した場合、国や地域によって異なる罰則が科されることがあります。

違反の内容や悪質性に応じて、罰金、刑事責任、荷物の没収、さらには航空会社や運送業者からのサービス拒否、損害請求といった厳しい結果を招く可能性があります。

ここでは、違反に対して科される罰金について、アメリカ・EU加盟国・シンガポールの例を見ていきましょう。

アメリカ

危険物の不適切な輸送や虚偽申告に対しては、最大75,000ドル(約1,000万円)の罰金が科される場合があります。また、悪質なケースでは刑事訴追の対象となります。

EU加盟国

EUでは、危険物の規制違反に対し、数千ユーロから数万ユーロの罰金が科される場合があります。例えば、ドイツではリチウム電池の不適切な輸送で最大5万ユーロ(約750万円)の罰金が科されることがあります。

シンガポール

厳しい規制を持つシンガポールでは、禁制品の輸送に関わった場合、最大10万シンガポールドル(約850万円)の罰金が科されるほか、6か月以上の禁固刑もあります。

海外旅行から航空便で持ち帰るお土産に関する注意点

現地で購入したお土産を航空便や機内持ち込みで持ち帰ろうとした際に、思わぬ規制に引っかかってしまう可能性があります。規制されやすいお土産について、注意点をお伝えします。

食品

日本の検疫では、生肉、果物、乳製品の持ち込みが厳しく制限されています。

よくある例として、ハワイで購入したパイナップルや、タイから日本に持ち帰ったマンゴーなどのような果物があります。現地では値段が安く日本人にも人気のため、ついつい買ってしまう人も多く、検疫で没収されがちです。

一方で、未開封の市販品、常温で6ヶ月以上保存可能な食品等は、持ち帰りが可能なことも多いです。持ち帰りたいものが制限の対象に該当するかどうか、現地の出国前にガイドラインでチェックしましょう。

工芸品

文化的な芸術品として人気な、はく製もののアクセサリーやバッグ、衣類なども注意が必要です。象牙や亀の甲羅を使用した製品が文化遺産や野生動物保護法に触れる場合があります。

お酒

アルコールは、度数や量によって制限があります。関税が課せられることがあるため、購入時に確認が必要です。日系航空会社では、保安検査後に購入したものでアルコール度が24%を超えて70%以下のお酒は、1人当たり5リットルまで機内持ち込みできます。アルコール度が24%以下のものには、持ち込みの量に制限はありません。アルコール度数70%を超えるものは、量にかかわらず航空便での輸送ができません。

航空便の規制に対応する際のポイント

海外に航空便で送りたい物品がある場合は、送れるものと送れないものについての最新情報の確認が必要です。その際は、以下に挙げるポイントを押さえておきましょう。

丁寧に事前調査を行う

各国の公式サイト、日本の農林水産省や旅行先の税関サイトで禁制品リストを確認するなど、事前調査を行うことがとても重要です。不明点があれば、各国の税関窓口や日本郵便に直接問い合わせておくと確実です。

また、発送代行サービスを利用する選択肢もあります。規制の多い国への発送には、専門の発送代行サービスを利用することでスムーズに対応できます。

正確な証明書を取得する

特定の食品や工芸品は、購入時に輸出入許可証を発行してもらうとスムーズに持ち帰れます。正確な許可証を用意するためには、信頼できる販売業者から購入することも大切です。

税関申告を怠らない

税関申告を怠ると罰金や没収の対象となるため、正確に内容物を申告しましょう。航空便専用の梱包資材を使い、必要なラベルを貼付することでトラブルを回避できます。

まとめ

空輸できないものには、万国共通の禁制品から、国ごとに異なる特有の規制まで幅広く存在します。航空便を利用する際は、禁制品や航空危険物はもちろんのこと、国ごとの規制をしっかりと確認することが重要です。

ルールを知らずに送ろうとすると法的トラブルに発展する恐れもありますが、この記事で紹介した知識を活用すれば、安心して対応できます。

安全でスムーズな国際輸送を行うために、事前に航空会社や配送会社のガイドラインをしっかりチェックして、適切な輸送方法を選びましょう。

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