
ドルというと、米ドル(USドル)が最初に頭に浮かぶのではないでしょうか。しかし、他にもさまざまな国で「ドル」と呼ばれる通貨が使われています。
アメリカの他にドルを使う代表的な国は、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、香港、シンガポールです。その他にもバハマ、バルバドス、バミューダ、ベリーズ、ケイマン諸島、ジャマイカ、リベリア、東カリブ諸国があります。
この記事では、アメリカ以外でも使用される米ドル(USドル)に焦点を当て、なぜ米ドルを使用する国々があるのか、そして米ドル硬貨を使用できる国についてご紹介します。さらに、米ドルへの両替方法、そして米ドル硬貨が余った場合、どのように使うかについてご紹介します。
- 米ドル硬貨が使える国は?法定通貨・併用国リスト
- なぜ「ドル」を使用する国が複数あるのか?
- 米ドル(USD)を自国通貨と併用できる国は?
- 日本円から米ドルに両替する賢い方法
- 余った米ドル硬貨を無駄にしない!賢い使い道と対処法
- まとめ
米ドル硬貨が使える国は?法定通貨・併用国リスト
世界で「ドル」という名前の通貨を使っている国は多くありますが、その中でも米ドル(USドル)を法定通貨として使用する国々について、お話ししましょう。
米ドルの硬貨の種類
最初にアメリカのドル硬貨を見てみます。アメリカのドル硬貨と、補助通貨であるセント硬貨は全部で6種類です。
| 1セント | 約1円玉 | ペニー |
| 5セント | 約5円玉 | ニッケル |
| 10セント | 約10円玉 | ダイム |
| 25セント | 約25円 | クォーター |
| 50セント | 約50円 | ハーフダラー |
| 1ドル | 約100円 | - |
50セントと1ドルコインは、アメリカ国内でも日常ではあまり使われていません。1ドルは通常、紙幣です。
米ドル硬貨まで使える国は、米ドルが法定通貨として使用されている国、つまり主に、アメリカと政治的または経済的に結びついている地域です。
ドルを併用している国では、紙幣は受け付けてもコインは受け付けない国や、たとえコインが使えたとしても、多くの場合、お釣りは自国の通貨で戻ってくることがあります。そのため、米ドル硬貨は基本的に法定通貨国で使い切るのが安全です。
米ドル(USD)を法定通貨とする国・地域一覧
米ドルが法定通貨として使われている国の一覧は以下の通りです。
米国領土のグアム、北マリアナ諸島、米領ヴァージン諸島、プエルトリコ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、パラオ、エクアドル、エルサルバドル、パナマ、東ティモール、サモア、英領ヴァージン諸島、タークス・カイコス諸島、BES諸島
なぜ「ドル」を使用する国が複数あるのか?
米ドルを使用する国が複数ある理由は、歴史的、経済的、政治的な背景から、米ドルが世界経済に与える影響が大きいためです。
理由を4つ簡単にご説明します。
1. 米国の経済的影響力
米国は世界最大の経済大国で、その通貨であるUSドルは国際金融取引の基準として、世界貿易そして金融システムにおいて大きな役割を担っています。
そのため、アメリカ以外の多くの国でもドルが使われ、ドルを基準にした通貨政策を採用したりしているのです。
2. 通貨の安定性と国際取引
USドルは、世界で最も取引量が多く安定性の高い通貨で、多くの国際貿易がドル建てで行われています。経済が不安定で為替の変動が大きい国では、米ドルを使用することで、取引を安定して行うことができます。
このような場合、ドルを法定通貨とする国、また併用して使う国もあります。
米ドルを併用している国では、自国通貨があっても、給与がドルで支払われたり、不動産、高級品、国際貿易などの高額取引に米ドルが使用されている国があります。このような国は、カンボジア、ベトナムなどです。
3. ドル化政策
ドル化とは、国内通貨の価値が不安定となったり、ハイパーインフレーションが発生したりした国が、米ドルを法定通貨として採用することです。
自国通貨に信用がなくなった場合、ドル化することで物価の安定や国際取引における信頼性を高めることができます。このような理由でドル化した国は、エクアドル、エルサルバドルなどが挙げられます。
4. 米国との経済的・政治的関係の強い国
米国と強い経済的・政治的関係を持つ国々、また米国領土ではドルを使用しています。
米国との貿易や投資が多い国々や、経済が不安定で為替の変動が大きい国では、米ドルを使用することで、取引を安定して行うことができるためです。
例えば、キューバは法定通貨としてペソを使っていますが、ドルも広く流通しています。また、プエルトリコ、グアム、米領ヴァージン諸島などは、米ドルを使っています。
またアメリカから近い観光地でも、外国人観光客や企業が多いため米ドルが使われています。バハマやカリブ海地域の国々などがありますね。
他にも、カナダやメキシコは、アメリカと国境が近い地域でドルを使うことができます。
米ドル(USD)を自国通貨と併用できる国は?
米ドルを法定通貨ではなく、自国通貨と併用して使っている国は世界に多くあります。これらの国への海外旅行でも、米ドルを現金で持っていくと便利です。
現在USドルが併用できる主な国は以下の通りです。
| 国名 | 自国通貨と併用 | 備考 |
| アルバ | アルバフロリン(AWG) と併用 | - |
| バハマ | バハマドル(BSD) と併用 | 為替レートは1:1 |
| バルバドス | バルバドスドル(BBD) と併用 | - |
| ベリーズ | ベリーズドル(BZD) と併用 | 固定為替レートは 1USD = 2 BZD |
| バミューダ | バミューダドル(BMD) と併用 | - |
| カナダ | カナダドル(CAD) と併用 | USドルは特に国境地帯や有名観光地で併用されています |
| カンボジア | カンボジアリエル(KHR) と併用 | - |
| ケイマン諸島 | ケイマン諸島ドル(KYD) と併用 | 固定為替レートは 1KYD = 1.25 USD |
| コスタリカ | コスタリカコロン(CRC) と併用 | - |
| キュラソー島及びシントマールテン島 | アンティルギルダー(ANG) と併用 | 固定為替レートは 1 USD = 1.79 ANG |
| グアテマラ | グアテマラケツァル(GTQ) と併用 | - |
| ホンジュラス | ホンジュラスレンピーラ(HNL) と併用 | - |
| ジャマイカ | ジャマイカドル(JMD) と併用 | - |
| レバノン | レバノンポンド(LBP) と併用 | レバノンポンドが経済的に不安定なため使用中 |
| リベリア | リベリアドル(LRD) と併用 | - |
| メキシコ | メキシコペソ(MXN) と併用 | 特に観光地、国境都市、大都市圏で併用されています |
| ミャンマー | ミャンマーチャット(MMK) と併用 | - |
| ニカラグア | ニカラグアコルドバ(NIO) と併用 | - |
| セントキッツ・ネイビス | 東カリブドル(XCD) と併用 | - |
| ベトナム | ベトナムドン(VND) と併用 | - |
日本円から米ドルに両替する賢い方法
日本円から米ドルへの両替は、さまざまな方法と場所で行えます。
昔ながらの両替方法は、銀行、空港、外貨両替専門店ですが、今は銀行や空港での外貨取り扱いが縮小しています。そこで、その他の方法で日本でドルをお得に用意する場合をご紹介しましょう。
外貨宅配で米ドルを注文
外貨宅配サービスは、オンラインで外貨を注文し、店舗で受け取るか自宅へ宅配してもらうサービスです。
オンラインで銀行振込、代金引換、クレジットカードのいずれかの支払い方法で外貨を購入し、自宅または店舗での受け取り方法を選ぶことができます。配達の場合は希望配達日を選択できるため便利です。
また外貨宅配サービスは、トラベレックス、外貨両替ドルユーロ、インターバンクなどの両替専門店が展開しています。日本国内で米ドルの現金を準備するなら、手数料やレートを比較して選ぶのがおすすめです。
海外旅行用カードで米ドルに両替(Wise/Revolut)
海外旅行用カードを用意して、米ドルに両替することができます。
WiseデビットカードやRevolut(レボリュート)カードは、日本を出国する前にカードを発行し、アカウントにUSD残高を入れておけば、為替レートを気にすることなく現地で買い物をすることができます。
WiseデビットカードもRevolutカードも、プランや限度額に応じて手数料無料で海外ATMでUSDの引き出しも可能ですよ。
Wiseは、2010年に英国・ロンドンで発祥した海外送金サービスですが、多通貨を保持・管理できるマルチカレンシー口座によるWiseデビットカードを発行しています。
マルチカレンシー口座で外貨を持っていれば、両替することなく、外貨のまま支払いができる便利なサービスです。また現地通貨をATMで一定額まで無料で出金できます。
Revolutも同じくロンドン発の金融サービスで、Wiseと同様のサービスを受けられます。
今のアメリカはキャッシュレス社会が進んでいるため、現金はチップ、路上販売の店舗、フードトラックなどに必要なだけです。大金を日本で両替する必要はありません。
そのため、海外旅行や留学の渡航前に数万円相当を現金に両替し、現地に着いてから必要に応じて、ドルをキャッシング機能付きのクレジットカードやデビットカードを使って現地にあるATMで引き出すことも可能です。
余った米ドル硬貨を無駄にしない!賢い使い道と対処法
ドル紙幣は空港でも日本の両替所で両替できますが、ドルコインが余った時は、どうするのが良いのでしょうか。
もちろん帰国前に使い切ることが一番いいのですが、硬貨のことが頭になく、お札から使ってしまって小銭が余ってしまうことはよくあることです。
1. 空港の免税店などでクレジットカードと併用して使い切る
一番簡単な方法は、空港の特に免税店などで余っているドル硬貨をすべて出し、足りない分をクレジットカード払いにしてお土産などを買うという方法でしょう。
2. 次の渡航まで保管しておく
最も現実的な方法は、次に必要な時まで保管しておくことです。
ドル硬貨の使える国に近いうちに渡航する予定があるのでしたら、それまで保管しておく方法もあります。とはいえ、せっかく取っておいたのに次の渡航でコインを忘れて、お札だけ持っていってしまう方も多いようですので、忘れないように気をつけましょう。
次に行く機会がないけれども、それなりにドル硬貨が残っている場合は、知り合いや家族がドルを使う国に渡航する時に譲ってあげるのはどうでしょうか。
3. ユニセフなどの募金に活用する
国際線の機内でユニセフ(国際連合児童基金)に募金することができます。
ユニセフは、世界各国の航空会社と航空機内の募金活動「チェンジ・フォー・グッド(Change for good)」を展開しています。機内の座席ポケットに備え付けられている募金用の小さな袋に、旅行で余ったコインや紙幣を入れ、客室乗務員に手渡すという機内募金活動です。
「チェンジ・フォー・グッド(Change for good)」は、《良いことに使うための小銭》と《良い方向への変化》という意味の言葉をかけあわせたもので、小銭が子どもたちの未来を変える大きな支援へと変わることを意味しています。
参加している航空会社には、日本航空、アメリカン航空、キャセイパシフィック航空などがあります。
また、ユニセフの外貨用の募金箱が国内の主要国際空港(成田、羽田、関西、中部、福岡、新千歳、仙台、広島)の税関検査場に設置されています。
他にも、三井住友銀行、JTBグループ、毎日新聞社に外国コイン用の募金箱が設置されています。
また、コインは普通郵便(レターパック可・ゆうパック不可)でユニセフへ送ることもできます。保存袋や空き箱に入れ、封筒や伝票には「メタル」と記載してください。
4. ポケットチェンジで電子マネーに交換
ポケットチェンジという、外貨を電子マネーに変換できる新しいサービスを利用することもできます。
日本国内の大型空港や大型ショップ、ゲームセンターなどに設置されている専用端末機に外貨(硬貨及び紙幣)を入れることで、その額に見合った電子マネーやギフト券などに両替することができます。
両替先は、交通系ICカード、Amazonギフト券、楽天Edy、nanacoのポイントなどとなっています。日本だけではなく、アメリカ、中国、韓国などの電子マネーなどに両替することも可能です。またユニセフ、JCVなどの団体へ寄付することもできます。
参照:ポケットマネー公式サイト
ただ、どちらの方法を取るにしても、帰国までにドル硬貨を貯めず、なるべく硬貨を使うように心がけましょう。そうすれば、硬貨が残らないので、その使い方に頭を悩ませることはありません。
また帰国前に硬貨を減らす方法として、海外でコイン換金機を使用してはいかがでしょうか。
Coinstar(コインスター)というコイン換金機が、アメリカのスーパーに設置されています。機械にコインを入れればお札に変えてくれるので、手数料はかかりますが、手軽な方法で硬貨を減らすことができます。
まとめ
いかがでしたか。この記事では、米ドル硬貨に焦点を当て、米ドルが使える国をご紹介し、米ドルへの新しい両替方法、そしてドル硬貨が余った時の使い方をご紹介しました。
世界で一番使われている米ドルですが、最近、キャッシュレス社会が進んでいますので、留学や海外旅行に多額のドルを現金で持っていく必要はありません。その代わりにデビットカードの使用などの新しい両替方法が生まれています。
現金を使わなくなったと言いながらも、硬貨が知らず知らずのうちに貯まってしまった時の対処法もご紹介しましたので、ご参考にしてくださいね。