突然ですが、みなさんは「stuff」という英単語、使いこなしていますか?そんなに難しくなさそうな短い単語だし、日常英会話でも海外のドラマや映画でもよく登場する言葉なんですが、あらためて「その意味は?」「使い方は?」と問われると、実はよくわからないという単語の一つかもしれません。
個人的な話で恐縮ですが、私は「stuff」と「staff」をよく混同していました。どっちがどっちだかわからなくなってしまうことがよくありました。「staff」は「店員」「社員」「スタッフ」などの意味ですよね。
では「stuff」の方はどんな意味なのか?今回は、ネイティブの日常会話でもよく登場する「stuff」の意味と使い方について、スラング的な用法も含めながら、たくさんの例文を交えて解説していきたいと思います。
動詞のstuff
「stuff」は動詞として使われる場合と、名詞として使われる場合があります。
まずは動詞として使われる「stuff」を見ていきましょう。
詰め込む、押し込む
何かを何かに「詰め込む」「詰める」「押し込む」などと言いたい時に、動詞の「stuff」がよく使われます。
そしてこの場合の「stuff」には、大きく2通りの使い方があります。「AをBに詰め込む」あるいは「BにAを詰め込む」ならば以下の2通りの言い方が考えられます。
stuff B with A
このどちらのパターンが適切かは、AやBの内容によります。どちらを使っても大丈夫な場合もありますし、どちらか一方の方がより自然な場合もあります。ただその基準は必ずしも明確ではありません。
彼女は慌てて後ろのポケットにハンカチを押し込んだ。
この場合は、She stuffed her back pocket with a handkerchief 〜とはあまり言いません。
出発しますよ! すぐにバッグに衣類を詰め込んでください。
この例文の場合、Stuff your clothes into your bag immediately.としてもOKです。同じ意味です。
お気に入りのクッションがすり減ってきました。 新しい羽を詰めなければなりません。
感謝祭です! 母は七面鳥にたくさんの食材を詰めています。
ふさぐ
最初の「詰める」と基本的な意味合いは同じですが、「stuff」は、穴やひび割れなどを「ふさぐ」という場合にも使われます。
またこの際、「stuff up」というように「up」を伴うこともよくあります。
水が漏れています。ひび割れをふさいでください。
「〜でふさぐ」という場合は、次のように前置詞の「with」がよく使われます。
ボートの底に穴が開いています。 何かでふさがないといけません。
過去分詞・形容詞のstuffed
動詞「stuff」の過去分詞が「stuffed」です。英和辞書・辞典によっては既に形容詞として項目が立てられています。
意味は、「詰まって」「詰め物をした」「満腹で」などです。
彼は大金が詰まった封筒を持っていた。
鼻が詰まっています。
トイレが詰まっています。
お腹がいっぱいです。
上の「I’m stuffed.」は、「鼻が詰まっている」時にも使われます。以下のように、詰め物をした料理や、クッション、動物などのぬいぐるみにも「stuffed」が使われます。
今日のメインディッシュはピーマンの肉詰めです。
柔らかい綿がたっぷり詰まったクッションが気持ちいいです。
娘はぬいぐるみが大好きです。
上の例文の、「動物のぬいぐるみ」を意味する「stuffed animal」はアメリカ英語です。イギリス英語では「soft toy」と言われることが多いです。
なお、「stuff」の形容詞形には「stuffy」という単語もあります。「(鼻が)詰まった」「風通しの悪い」「(人が)堅苦しい」などといった意味です。
鼻が詰まっています。
その他
その他、動詞の「stuff」には、スラング的な使い方を含め、「(動物)を剝製にする」「(試合で相手)を打ち負かす」「(人)にいっぱい食べさせる」「〜なんかほしくない」「不正票を入れる」「セックスをする」など、さまざまな意味があります。
中にはちょっと下品なスラング英語もありますので、十分注意しましょう。
甘いものをお腹いっぱい食べたい。
くだらない話はやめやがれ。
名詞のstuff
次は、名詞として使われる場合の「stuff」です。名詞の「stuff」にもさまざまな意味があります。以下、代表的なものを取り上げます。
なお、名詞の「stuff」は数えられない名詞(不可算名詞)です。特別な場合を除き、「stuffs」などとはなりませんので注意しましょう。
漠然とした「もの」「こと」
主にカジュアルな会話において、名詞の「stuff」は、漠然とした「もの」や「こと」といった意味でよく使われます。名前を具体的に出さない、あるいは出せない場面で用います。
この意味では、後で取り上げる「thing」もよく使われますが、「stuff」の方がよりカジュアルな印象を与えます。
ジョージには挑戦してみたいことがたくさんありました。
その遊園地には楽しいものがたくさんありますよ。
ヴィンセントの部屋は素敵なものでいっぱいでした。
流行情報には詳しいですよね。
上の例文中の「hot stuff」はスラング的表現で、「流行のもの」「最新情報」「非常に優れた人・物」「性的に興奮させる(セクシーな)人・物」「熱いもの(食べ物・飲み物)」などといった意味があります。
その店には良いものがそろっています。
何か甘い物はないですか。
野菜を買いにスーパーに行きました。
上の例文中の「green stuff」は「緑のもの」、つまり野菜ということですね。
所持品、荷物、道具
名詞の「stuff」は、人の所持品や荷物、道具などを示す場合にもよく使われます。「もの」「荷物」「道具」などと日本語に訳されます。
「my stuff」「your stuff」「his stuff」「her stuff」など、「stuff」の前に所有を表す言葉が来ることが多いです。
これは私物です。会社のものではありません。
急いで荷物をまとめてください。
釣り道具を探しているのですが、どこにしまったか思い出せません。
素質、資質、才能
特に、「the right stuff」という表現で、優れた素質、資質、才能といった意味になります。
また、前述の例文で「良い品ぞろえ」という意味だった「good stuff」も、優れた素質などの意味でも使われます。
宇宙に挑む戦闘機パイロットの姿を描いた1983年のアメリカ映画『ライトスタッフ』の原題も「The Right Stuff」でした。
この計画のパイロットの条件にかなう優れた資質を持つのは彼だけだ。
その他の意味、熟語表現
名詞の「stuff」は、その他にも、「材料」「題材」「資料」「くだらないもの」「たわごと」「現金」「(野球の投手の)球種・球速」などといったさまざまな意味で使われます。どのような意味で使われているかは文脈で判断することになります。
また、以下のような、よく使われる熟語的なフレーズもあります。
and stuff、and stuff like that
名詞の後に「and stuff」または「and stuff like that」を付けると、「その他いろいろ」「何やかや」「そのようなもの」といった意味になります。
あなたはベンチャーズとかそういったたぐいの曲が好きなんですね。
all that stuff
「all that stuff」も「そのようなもの」「そんな種類のもの」といった意味ですが、こちらは動詞の目的語などになります。
そんなものを買うお金はありません。
do one's stuff、show one’s stuff
「自分の腕前・得意なことを披露する」という意味です。
彼が得意技を披露するって。 見に行きましょう。
stuffの関連表現
「stuff」に関連する英語表現を2つほどご紹介しましょう。「thing」と「luggage」です。
thing
「stuff」と同様に、漠然とした「もの」や「こと」という意味でよく使われるのが「thing」です。「stuff」とは違い、数えられる名詞(可算名詞)なので、複数形の場合は「things」となります。
また、前述のように、「stuff」の方が「thing」よりもカジュアルな印象を与えます。
海外旅行ではさまざまなことを体験できます。
luggage
「stuff」には「荷物」という意味もありましたが、より意味をはっきりさせたい場合は、「荷物」「旅行用かばん」「スーツケース」などを表す「luggage」や「baggage」という単語を使うといいでしょう。いずれも数えられない名詞です。
私の荷物はどこ? 見つからないんです。
まとめ
いかがでしたか?今回は「stuff」のさまざまな意味とその使い方について解説しました。
「stuff」は、基本的にはカジュアルな表現です。意味も幅広いため、いろんな場面で使えます。上手に使えるとネイティブっぽい英語を話せます。
ただその分、逆にちょっと意味が曖昧になる可能性もあるため、使い過ぎには注意しましょう。より具体的な意味を持つ単語と併用していくのがいいのではないかと思います。
それではまた。英語学習、がんばってください。
◇経歴
児童英語講師
オンライン英会話講師
NC英語アドバイザー
英語学習ライター
元大学教員
◇資格
TESOL/TEC(CANADA)
中学校教諭二級免許状(英語)
◇留学経験
アメリカ・サンディエゴに語学留学(2カ月)の経験あり
その後、オーストラリア・シドニーに大学院留学(2年)の経験もあり
◇海外渡航経験
25歳で初めて、短期間の語学留学をきっかけに本格的に英語の勉強を開始しました。
雑誌の編集・ライティング、テレビCMの企画・撮影等などの仕事が長く、英語を使っての海外取材や撮影経験も多く経験しています。また海外で日系新聞社の副編集長をしていたこともあります。
◇自己紹介
「英語学習に終わりはない」「継続は力なり」を実感し、50代半ばから毎日英語の勉強を続けて2000日近くが過ぎました。
「楽しく学ぶ!」をモットーに、僭越ながら私の異文化経験や英語の知識などをブログに織り交ぜながら、執筆することを心がけています!ネイティブキャンプのオンライン講師もしています。初心者・初級者限定ですが、ぜひ一緒に学びを続けましょう。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.