「Thanks to」にプラスのイメージだけを持つのは危険? ネイティブスピーカーが持つマイナスのイメージとは?

Thanks to, ネイティブキャンプ、オンライン英会話

「Thanks to」といえば、「~のおかげで」だと思っている方も多いと思います。

しかし、アメリカ人の日常会話では、ネガティブな意味合いで使われることを知っていましたか?

「Because of」などのフレーズも復習しながら、正しい使い方を身につけましょう!

そもそも「Thank」って何?

「Thank you」や「Thanks」で身近な言葉ですが、「Thank」がもともと動詞なのを、皆さんはご存知でしたか?

Thank

 【他動詞】(人に)感謝する,礼を言う;《thank A for B》A(人)にBのことで感謝する

例文を見てみましょう。

「The store manager thanked all workers for their help.」

店長は、手伝ってくれた全社員にお礼を言った。

直訳は、「店長は彼らの手伝いのことで全社員にお礼を言った」となりますが、自然な日本語に翻訳すると、「手伝ってくれた全社員にお礼を言った」となります。

「You don't have to thank me.」

お礼には及びません。

直訳すれば、「あなたは私に感謝をする必要はない」。

「何かお返しを…」と言われたときなどに、さらっと使いたい表現ですね。

本来は「I thank you」と言っていたのが、「Thank you」だけで「ありがとう」や「感謝します」を表すようになりました。

続いて、「Thanks」です。

Thanks

【名詞】感謝、感謝の言葉や気持ち

【間投詞・感嘆詞】ありがとう

※参照:【間投詞】とは、喜怒哀楽などを感情をこめて表す1種の叫び声で、文法にとらわれず、文中のどの場所にも挿入することができる。

※参照

nativecamp.net

「She expressed her thanks to the police officer.」

彼女は警察官に感謝の気持ちを表した。

【間投詞・感嘆詞】の「Thanks」は、かなりカジュアルな表現であるということを、覚えておきましょう。

ぶっきらぼうに「Thanks」と言っただけでは、「ど~も」くらいに受け取られかねませんよ。

※参照:「感謝が足りない」と思われてしまうThank you.とは?

ポジティブな「~のおかげで」

ここで「Thanks to」に話を戻しましょう。

「Thanks to A」で「Aのおかげで」を意味する【成句】となりますので、文章として成立させるために、「Aのおかげで、~であった、~となった」など、結果の部分が必要となります。

これが「Thanks」や「Thank you」などの【間投詞・感嘆詞】との違いです。

※参照:【成句】とは、2語以上の語が習慣的に結び付いて、ある決まった意味を表す言い回しのことで、熟語やイディオムとも呼ばれます。

さて、日本語でも「○○さんのおかげで」と人に対して表現しますが、それと同じ使い方で問題ありません。

「Thanks to you, I was able to find a good personal computer.」

君のおかげで、いいPCが見つかったよ。

ただし、「Thanks to everyone」を使うなら、何に感謝しているのかを具体的に述べる必要があります。

次のような表現はビジネスシーンでも使えますので、ぜひ活用しましょう。

「Thanks to everyone, our project proceeded smoothly.」

皆さんのおかげで、プロジェクトはスムーズに進みました。

「~の」の部分には、物やサービス、会社などを使っても構いません。

「Thanks to the latest system, the total number of overtime hours has been reduced.」

最新システムのおかげで、残業時間の合計が減ってきている。

嫌味を込めた「~のせいで」

ここまではかなりポジティブな印象の「Thanks to」ですが、アメリカ人のネイティブスピーカーは、日常会話の中でマイナスの方向、つまり「嫌味」の意味で使うことがあるそうです。

この場合、嫌みを言っても大丈夫な間柄、つまり親しい人や気のおけない友人に対して使う方が無難です。

「Thanks to Kevin, I was late for dinner and my mom was really upset.」

ケビンのせいで夕食に遅れたのに、ママが本当に怒っちゃってさ。

ケビンがちゃんとしていれば、遅れなかったのに…というニュアンスです。

対象が事物であれば、もっと気楽に使えますね。

「Thanks to the rain, my car is wet AGAIN after car wash!」

雨のせいで、洗車の後に車がまた濡れちゃった!

洗車後の車をせっかく拭き上げたのに、また濡れてしまった、という意味です。

「AGAIN」と、力を込めて言うのがポイントです。

「Thanks for」との違いは?

「Thanks to」があるなら、「Thanks for」は?と思う方がいても、不思議ではありません。

では、この違いはなんでしょうか?

前置詞の違いだけ?

いえいえ、実際にはしっかりとした違いがあります。

「Thank you for」のカジュアルな言い方が、「Thanks for」なのです。

お礼を言っている相手は、ずばり会話の対象者だということです。

「For」の後に行為や事物を置いて、具体的な感謝の対象を表します。

例文を見ておきましょう。

「Thank you for your call.」

電話をありがとうございます。

 ↓

「Thanks for your call.」

電話をありがとう。

先に述べたように、「Thanks for」よりも「Thank you」の方がフォーマルに近くなります。

しかし、明るく親しみやすい雰囲気で「Thanks for」を使えば、ビジネスの場面や職場でも全く問題ありません。

簡単なクイズです。

次のうち正しいと判断できる表現は、いくつあるでしょうか?

A: Thanks for his advice.

B: Thank you for his advice.

C: Thanks for your advice.

D: Thanks to his advice, I passed the exam.

正解は、CとDです。

難しかったでしょうか?

先に述べたように、「Thanks for」は「Thank you for」が変化した形です。

ですので、AもBも、「彼のアドバイスのことで、あなたに感謝します」となり、あなたが彼を紹介したのかな?と考え込むような、おかしな表現となります。

Cは「(あなたの)アドバイスをありがとう」、Dは「彼のアドバイスのおかげで、試験に受かった。」となります。

Cはお礼を言う表現なので、そのままでOK。

ただし、Dの「Thanks to」は「~のおかげで」を表す【成句】ですので、それだけでは文章として成立しないことを覚えておきましょう。

「~のおかげで」を表す他の表現

「~のせいで」や「~の結果」を表す他の表現を見ておきましょう。

どれも名詞や代名詞が続きます。

1.Because of

意味:~のために、~のおかげで、~ために

原因や理由を表す最も一般的な表現で、2の「Owing to」や、3の「Due to」よりも口語的です。

ポジティブにもネガティブにも使えます。

「The baseball game was canceled because of the heavy rain.」

大雨のため、その野球の試合は中止になった。

「The baseball game attracted many people because of a local player.」

その野球の試合は、地元選手のおかげで大勢の人々を引きつけた。

2.Owing to

意味:~のせいで、~の影響で、~のために

「Because of」よりもフォーマルな印象で、公式な文書などでも用いられる表現です。

こちらもポジティブ、ネガティブ両方に使えて、さらに文頭で使うことも可能です。

「Owing to the heavy rain, we had to give up the idea of a boat trip.」

大雨のため、船旅のアイデアを諦めるしかなかった。

3.Due to

意味:~のために、~のおかげで、~のせいで

ややフォーマルな表現で、文章上でもよく使われます。

「Owing to」はBe動詞の後に置くことはできませんが、「Due to」はそれが可能です。

ポジティブ、ネガティブの両方でOK。

「The festival was postponed due to the storm.」

暴風のため、お祭りが延期になった。

「The postponement of the festival was due to the storm.」

お祭りの延期は、暴風のせいである。

まとめ

üそもそも「Thank」は 他動詞で、「(人に)感謝する,礼を言う」の意味。

ü「Thanks」は名詞で「感謝、感謝の言葉や気持ち」、間投詞および感嘆詞で「ありがとう」を意味する。

ü「Thanks to」はポジティブに「~のおかげで」を意味するが、ネイティブスピーカーは「~のせいで」の意味で使う時がある。

ü「Thanks for」「Thank you for」と同じでForの後に行為や事物を置いて、具体的な感謝の対象を表す。

ü「~のおかげで」を表す他の表現として・・・

Because of:最も一般的かつ口語的で、ポジティブにもネガティブにも使える。

Owing to:フォーマルな印象があり、公式な文書などでも用いられる。ポジティブ、ネガティブともに可。

Due to:ややフォーマルな表現で、文章上でもよく用いられる。ポジティブ、ネガティブともに可。また、Be動詞の後に置くことができる。

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