間違いやすい韓国語表現(尊敬に関わる表現)

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韓国語の勉強を既にしている人は感じていると思いますが、韓国語と日本語は文法的に似ています。また文化的にも共通する部分があり、それらが言葉や言い回し、表現に反映されています。そのため、英語など他の言語であれば全く別の表現に置き換えなければならないものでも、日本語の感覚で良いものもあります。そういう面でも、韓国語は日本人にとっては最も習得がしやすい言語だと言えます。

実際に英語学習では苦戦して習得を諦めたという人でも、韓国語では上級レベルになれたという人が私の周りにもいます。しかしながら、韓国語と日本語がいくら似ているとは言っても、別の言語であることに変わりはありません。

日本語の延長線上に捉えて韓国語学習をすると、日本語風の不自然な表現になったり、韓国人が自然に話している韓国語ならではのネイティブ表現の習得ができません。韓国語が日本語と似ていることにより習得しやすいメリットはありますが、それがまた間違いやすいというデメリットでもあります。

今回の記事では、韓国語初心者と初級学習者によくある、日本語を直訳してしまうことによる間違いの実例を助詞の使い方と尊敬表現で挙げながら、間違いやすい韓国語について見て行きます。

間違った韓国語表現を身に付けないために重要なこと

まず、実例を挙げて間違いやすい韓国語について見て行く前に、間違った韓国語表現を身に付けないために重要なポイントをお伝えします。

どんな言語でも日本語とは違うということを理解する
韓国語に限らずですが、どんな言語でも日本語とは違います。

そんなことは当たり前だと思うかも知れませんが、実際に韓国語を始め何かしらの言語学習を始めると、ここをしっかりと理解できていない人がいます。

韓国語のように日本語と似ている言語では、日本語と同じ感覚で韓国語を捉えてしまう傾向があります。つまり、韓国語は外国語であるにもかかわらず、日本語の文法規則に韓国語の単語を当てはめて文を作ってしまう感覚が抜けない学習者が一定数いるということです。

繰り返しになりますが、韓国語と日本語がいくら似ているからと言っても別の言語です。そのため、日本語を単に対応する韓国語に置き換えただけでは必ずしも文を作れるわけではありません。

基本の型をしっかりと理解し使えるようになる

韓国語習得に限らず何事もそうですが、初めから自分のオリジナルではなく、まずはお手本や例を真似て学ぶと思います。

なぜ真似が必要なのかと言うと、基本を身に付けるためです。何事も基本ありきの応用なので、基本がしっかりと身に付いていない状態では応用やその先にある自分のオリジナルはできません。外国語習得でありがちな間違った勉強法として、いきなり自分の言いたいことを翻訳機にかけて訳して覚えるといった方法がありますが、これをすると基本が身に付きません。

まずは教材を使って、そこに出ている例文を素直に真似て基本の型をしっかり身に付け、その例文を少し応用して言い回しを増やし、最終的に自分で自由作文をして文を作れるようになる段階を踏んでいくようにしてください。

文の意味を考えて韓国語にする

私たちが韓国語を外国語として習得する場合、どれだけ勉強してもネイティブスピーカーのような完全に自然な韓国語を身に付けることは正直に言って難しいです。

その理由は、どれだけ勉強して知識を得て文法的に正しい文を作れたとしても、そういう言い回しはしないとかネイティブスピーカーだからこそわかる感覚的な部分は知識習得ではカバーしきれないからです。

これらは、学習を進めながら常に生の韓国語に触れることで自然な表現をひとつひとつ学んでいくというように経験を積んでいくしか方法がありません。

これらのことが原因で多少の不自然さや間違いが残るのは仕方ないです。ですが、そうではなく直訳の置き換えによる明らかに不自然な表現や文法的なミスは学習の中で気を付けることで防ぐことができます。

初級文法の段階では、日本語の感覚で文が作れてしまうことが多いため、初級の学習者は、韓国語は簡単だと思ってしまうかも知れません。ですが、学習が進み中級段階に入ってくるとそれまでの置き換えでは文が作れない、もしくは日本語風な不自然な文になってしまうことが段々と出て来ます。

そのため、初級段階から既に挙げた通り、韓国語は日本語と似ていても別の言語であるということをしっかりと自覚しておくことが大事です。そして、その上で日本語を置き換えて韓国語にするのではなく、文の意味を汲み取って、それを自分が知っている単語と文法を使い、自然な韓国語で表現をする練習をしていくことが必要です。

よくある間違い、不自然な韓国語

ここからは、初心者と初級者によくある間違いと不自然な韓国語の実例を挙げ、それらをどのように表現すればより自然な韓国語になるのかの説明もしていきます。

助詞の誤用による不自然な韓国語

助詞は初級文法の早い段階で基本的なものが出て来ます。

日本語も同じく助詞を使う言語であるため、同じく助詞を使う韓国語は理解がしやすいです。しかしながら、この助詞ですが、日本語をそのまま置き換えると間違えるものが複数あり、初級段階では特に注意すべき学習事項です。

1.「~は」

韓国語で「〜は」に該当する助詞は「〜은/는」だと多くの教材では説明されています。

例えば「私は学生です。」であれば「저는 학생입니다.」に「는」を使います。この例文であれば、助詞に限らず「私、は、学生、です」の全てをそのまま該当する韓国語に置き換えれば簡単に文を作ることができます。

この感覚で「これは何ですか。」を韓国語にすると、「이것은 무엇입니까?」となりますが、この助詞の使い方は間違いです。「これは何ですか。」という場合「〜は」であっても「〜은/는」は使いません。

日本語では、「これ」は自分と相手が既に知っているものとして扱い、新情報ではないとみなし「〜は」を使います。一方、韓国語では、「これ」のようにお互いに何を指すか互いに認識しているものであっても、話題に初めて上った場合には新情報とみなすため「〜이/가」を使います。

2.「~に」

初級学習者が日本語の「〜に」に該当する助詞でまず思いつくのが「〜에」だと思います。

ところが、日本語の「〜に」はすべて「〜에」に置き換えられるわけではありません。日本語で「〜になる」「〜に乗る」と見て、「〜に」だから「〜에」を使うという間違いが多く見られます。

例1:妹が大学生になりました。
誤「여동생이 대학생에 되었어요.」
正「여동생이 대학생이 되었어요.」
例2:バスに乗ります。
誤「버스에 타요.」
正「버스를 타요.」

置き換え思考のある学習者は、「妹、が、大学生、に、なりました」のように単語ごとに分解して文を作ろうとする傾向があります。ですが、そのような置き換え思考によって文を作ると例のような助詞の使い方の間違いをしがちです。

単語ごとの置き換えではなく、「~になる」は「~이/가 되다」、「~に乗る」は「~을/를 타다」という具合に助詞を含めひとつの表現としてしっかりと覚えることで、このような間違いを防ぐことができます。

3.「~の」

日本語では「東京の人口」「医者の父」「雪の降る日」のように「〜の」を使いますが、この「〜の」も注意が必要です。

韓国語で「〜の」にあたる助詞として「~의」があります。ですが、初めに挙げた日本語の「〜の」はすべて意味合いが違うため、すべてを「~의」で置き換えられるわけではありません。これも「〜の」を見て単なる置き換えにするのではなく、意味合いを考える必要があります。「東京の人口」は「~의」で置き換えることが可能ですが、他のふたつは置き換えができません。

「医者である父」、「雪が降る日」という意味を汲み取った日本語にまずは変えて、それを韓国語にすることで間違いません。

「의사인 아버지」、「눈이 오는 날」が自然な韓国語です。

注意が必要な尊敬表現

韓国語は日本語と同じく尊敬表現がありますが、これも初級文法でしっかりと理解しておきたい重要な文法事項です。

1.いくつかの解釈がある日本語の尊敬表現

まず、日本語ではひとつの表現で複数の意味解釈が可能になる尊敬表現に注目し、それを韓国語にするとどうなるかについて見て行きます。

例えば、「いらっしゃる」「おいでになる」といった日本語の尊敬表現はいくつかの意味を表します。これらはその意味をどう解釈するかによって韓国語の表現が変わるため注意が必要です。

例1:「いらっしゃる」
社長は昨日会社にいらっしゃいませんでした。

解釈①会社にいなかった
사장님은 어제 회사에 안 계셨어요.

解釈②会社に行かなかった
사장님은 어제 회사에 안 가셨어요.

解釈③会社に来なかった
사장님은 어제 회사에 안 오셨어요.

例2:「おいでになる」
お客様はいつソウルにおいでになりましたか。

解釈①ソウルにいた
손님은 언제 서울에 계셨어요?

解釈②ソウルに行った
손님은 언제 서울에 가셨어요?

解釈③ソウルに来た
손님은 언제 서울에 오셨어요?

このような表現もやはり「いらっしゃる」を見て、「来る」の尊敬語の過去形として「오셨어요」と置き換えず、文の意味をしっかりと理解した上で、上記のようにそれぞれに合った韓国語にする必要があります。

2.目上の人へ訪ねる敬語表現

目上の人に「何歳ですか」や「名前は何ですか」のような直接的な表現で尋ねることは失礼になるので、「~이/가 어떻게 되세요?(〜がどのようになられますか)」を使います。

お名前は何ですか。
성함이 어떻게 되세요?

おいくつ(年齢)ですか。
연세가 어떻게 되세요?

3.目上の人に勧める敬語表現

この場合も、直接的な表現は失礼になるため避けるべきで、以下のような表現を使います。

(車などに)お乗りください。
타시지요.

出かけられますか。
나가실까요?

昼食を召し上がられたらいかがですか。
점심을 드시면 어떠세요?

まとめ

ここまで見て来たとおり、自然な韓国語を使えるようになるために大事なことは、日本語を文字通りに置き換えるのではなく、意味を汲み取ってそれを韓国語にすることです。

また、敬語については日本語と同様に丁寧語と尊敬語で違う単語になったり、例で挙げたような間接的な言い回しをする必要があるため、しっかりと理解してください。

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