突然ですが、皆さんは「beat」と「win」の違いとその使い分けについてわかりますか?
両方とも日本語にすると「〜に勝つ」という意味になりますが、両者には明確な違いがあります。ネイティブスピーカーはこの2つの言葉を日常会話で自然に使い分けています。
では、さっそくこれらの違いと使い方について説明しましょう。「beat」「win」それぞれの意味をきちんと理解すれば、ネイティブスピーカーの英語感覚にますます近づけますよ!
ちなみに、「beat」も「win」どちらも不規則変化動詞ですので次のように変化することをまずは復習しておきましょう。「beat」の過去形の発音は現在形と同じです。
win - won - won
beat - beat - beaten
- Beatの使い方1:勝つ
- beat upとbeatとwinの違い
- Beatの使い方2:かなり疲れた
- Beatの使い方3:最高の・敵うものはない
- Beatの使い方4:あっちへ行って・一人にして
- Beatの使い方5:先にやる
- Beatの使い方6:楽だ
- Beatを使ったスラング
- 「つまらない」という意味の「beat」
- 「魅力的じゃない」という意味になる「beat」
- Beatを使って、こなれた会話をしよう!
Beatの使い方1:勝つ
「beat」は「人やチームなど対戦相手がいる時に、その相手に対して勝つ場合」に使用し、「win」は「試合やギャンブルなどの出来事などにおいて勝つ場合」に使います。ちょっとわかりにくいかもしれませんので、具体例を示しましょう。
例えば、「ベアーズがジャイアンツに勝った。」という場合は「The Bears beat the Giants.」と「beat」を使います。ジャイアンツという相手を負かした、という意味ですね。
一方、「ベアーズが試合に勝った。」という時は「The Bears won the game.」と「win」を使います。「試合(the game)」は対戦相手ではありませんので、ここでは「beat」は使いません。
ちなみに「宝くじに当たった。」という場合は「I won the lottery.」となります。また、「win」に限っては目的語がなくても使えます。例えば、「彼勝ったよ!!!」という時は「He won!!!」というように使います。
さらにスポーツなどの試合で「勝つ」を表現する場合、「〜点差で勝つ」や「○対○で勝つ」という結果も一緒に表現したいですよね。このような「〜点差」や「○対○」を表したい時、また、以下のように「〜において」「〜で」といった情報を付け加えたい時には、「by」「in」「at」などの前置詞を使います。
ベアーズがジャイアンツに5対2で勝った。
ベアーズがジャイアンツに3点差で勝った。
オセロで父に勝ったことがない。
彼は今年の選挙で負けた。
beat upとbeatとwinの違い
「beat」に「up」をつけて、「beat (人など)up」「beat up (人など)」とすると「(人など)をボコボコにする」「(人など)をフルボッコにする」または「(人など)を殴り倒す」といった意味になります。
誰かとケンカをした場合などは、相手を完膚なきまで叩きのめす様子、またスポーツなどでは対戦相手に圧勝することを意味しています。
ロッキーは対戦相手をボコボコにしました。
おまえのことフルボッコにしてやる。
「ボコボコにされた」という受け身の場合は、「got beat up」を使って表現します。
ベアーズはボコボコにされましたね。
なお、「get」を使うこの形は受動態であり、本来は「get + 過去分詞」すなわち「get beaten up」になるのが文法的には正しいのですが、もっぱら「get beat up」の形で使われています。
Beatの使い方2:かなり疲れた
「beat」には形容詞として「ヘトヘトに疲れた」という意味もあります。
会話ではよく使われますので、「I'm very tired.」「I'm exhausted」「I'm pooped.」など他にもいろいろある「とても疲れた」表現の中に加えておきましょう。
すごく疲れた。
疲れているように見えるよ。
ただし注意しなければならないのは、この「疲れた」という意味の場合は、「☓ I’m not beat.」のように「否定形」では使われないということ。「疲れていない」と言いたい時に、「not」をつけて「☓ I’m not beat.」とは言わないようにしましょう。
Beatの使い方3:最高の・敵うものはない
・You can’t beat it/that.
「beat」は、以下の例文のように、「最高である」あるいは「敵うものはない」などの意味を表したい時にも使えます。
例えば、商品の広告や宣伝などで「すごくお得な商品」「すごくお得なサービス」「これ以上安いものはない!」などと表現したい時によく見られます。また、レストランでおいしいものを食べた時にも使えるなど、とても使い勝手のいい言葉です。ぜひ自分の会話フレーズのレパートリーに加えましょう。
それにかなうものはない。/それに勝るものはない。/最高だ。
このラーメン店は最高だ。これに勝るものはないですよ。
・Nothing can beat〜
「Nothing can beat〜」という言い方で「〜に勝るものはない」という意味を表すこともできます。
彼/彼女の愛に勝るものはない。
生演奏に勝るものはない。
・No one can beat〜
「No one can beat〜.」で「誰も〜に勝てない」という意味になります。
誰もそれには勝てない。
記憶力ではだれにも彼女にかなうものはいない。
Beatの使い方4:あっちへ行って・一人にして
「Beat it.」というと、マイケル・ジャクソンの歌を思い出す人もいるのではないでしょうか。曲中のエディ・ヴァン・ヘイレンのギターも最高ですよね。実はこの「Beat it.」は、「あっちへ行って」「一人にして」という意味なのです。「Go away」や「Get away from me!」「Get out of here」などよりもキツい印象になる可能性があると言うネイティブスピーカーもいます。ですので、使う時には注意が必要です。
仕事中は邪魔しないで。あっちに行って!
ふざけんな!失せろ!
Beatの使い方5:先にやる
「beat 人 to it」で「(人)より先にやる」「(人)に対して先手を打つ」「(人)を出し抜く」などという意味になります。僕が皿を洗おうと思っていたのに、妻に先を越されたんです。
また「beat 人 to it」の「to it」を省略することもできます。この場合「You beat me.」で「先を越された」「一足遅かった」というような意味になります。
ええ! もう新しい英語の教科書買ったの? やられた!
Beatの使い方6:楽だ
「A beats B」は、「BよりAがラク」「BよりAが楽しい」という意味を表すこともできます。私にとって、英語を勉強することは仕事をするより楽しい。
車をシェリングする方が買うよりラクだ。
Beatを使ったスラング
他にも「beat」を使ったスラング表現を紹介しましょう。・It beats me.
「わからない」というと「I don't know.」や「I have no idea.」を思い浮かべると思いますが、「It beats me.」も「わからない」という意味になります。
アメリカでよく使われるスラングですが、どちらかというと「知らん」や「知らねえ」といったような、乱暴でぶっきらぼうな感じのニュアンスです。「It beats me.」と言ったり、「It」を抜かして「Beats me.」のみで使うこともあります。
B:It beats me.
A:私の緑色のペンどこいったか知らない?
B:知らねえ。
・beat the traffic / beat the rush
「ラッシュを避ける」という意味で、「beat the traffic」や「beat the rush」のような言い回しを使うことがあります。直訳すると「渋滞に勝つ」ですが、確かに渋滞を避けると、「よし!避けることができたぞ!」と、そんな気分になりますので納得できる言い回しですね。
7時だわ、急いで! ラッシュを避けるために、早めに出発した方がいいと私は思うわ。
「つまらない」という意味の「beat」
「beat」には「つまらない」という意味もあります。この場合の「beat」は形容詞です。
「退屈な」「つまらない」というのは「boring」という形容詞をよく使います。「この映画はつまらない」を「This movie is boring.」とも言いますが、「beat」でも表現することができます。
この映画はつまらない。ここから出よう。
「魅力的じゃない」という意味になる「beat」
形容詞「beat」は、他にも「魅力的ではない」という意味でも使うことがあります。
その仕事は魅力的じゃなかった。
Beatを使って、こなれた会話をしよう!
いかがでしたか?「beat」にはさまざまな意味があること、さらに「beat」と「win」の違いもわかりました。
ネイティブスピーカーが日常会話の中でよく使う「beat」。皆さんも違いや意味を理解して、どんどん使ってみましょう!
これらの表現パターンを使って会話をすると、よりこなれた感が出ること間違いないですよ!
◇経歴
児童英語講師
オンライン英会話講師
NC英語アドバイザー
英語学習ライター
元大学教員
◇資格
TESOL/TEC(CANADA)
中学校教諭二級免許状(英語)
◇海外渡航経験
25歳で初めて、短期間の語学留学をきっかけに本格的に英語の勉強を開始しました。
雑誌の編集・ライティング、テレビCMの企画・撮影等などの仕事が長く、英語を使っての海外取材や撮影経験も多く経験しています。また海外で日系新聞社の副編集長をしていたこともあります。
◇自己紹介
「英語学習に終わりはない」「継続は力なり」を実感し、50代半ばから毎日英語の勉強を続けて2000日近くが過ぎました。
「楽しく学ぶ!」をモットーに、僭越ながら私の異文化経験や英語の知識などをブログに織り交ぜながら、執筆することを心がけています!ネイティブキャンプのオンライン講師もしています。初心者・初級者限定ですが、ぜひ一緒に学びを続けましょう。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.