韓国ドラマやK-POPの人気を受けて、日本では韓国語学習者が年々増えて来ています。
何を目的に韓国語を勉強しているかは学習者により違います。
ですが一般的にある言語ができるという時は、話せることをイメージすることが多いのではないでしょうか。
ところで、日本人は学生時代に英語を中学、高校と6年間学んできていますが、多くの人は6年間も勉強したにもかかわらず話せるようになっていないと思います。
その理由は、学校での英語教育の目的は試験で点を取ることや受験に合格するためのものであり、会話ができるようになることが目的ではないからです。
しかしながら、韓国語を学ぶ韓国語学習者の多くが、同じ外国語である英語を学んだ方法を真似てしている傾向があるように思います。
韓国語を話せるようになるためには、そのための考え方を持ち勉強法を実践する必要があります。
ところが、それに対し多くの誤解があるため、習得がうまくできずにいる学習者がいるように思います。
今回の記事では韓国語習得に関する誤解について挙げ、それに対する改善策も併せてご紹介していきます。
韓国語学習でよくある誤解
ここからは、多くの学習者が信じているよくある誤解について挙げていきます。
日本語をそのまま置き換えれば韓国語の文ができる
韓国語の勉強でまず始めるのは韓国語の文字であるハングルを覚えることです。
その後、文法を学んでいくことになります。
既に韓国語を勉強している人であれば気づくと思いますが、日本語と韓国語は文法的にとても似ているため、日本語をそれに対応する韓国語に変えれば文ができることが多いです。
例えば、「私は学生です」を例に挙げます。
저는 학생입니다.
私は学生です
- 저 私
- 는 ~は
- 학생 学生
- 입니다 ~です
このように語順も同じで、それぞれに対応する語があるので並べれば文ができます。
初級段階ではこのように置き換えれば文ができるものが多いため、初級学習者は、韓国語は日本語をそのまま置き換えれば韓国語ができると思いがちです。
しかしながら、学習が進むにつれて置き換えでは文が作れないものが段々と出て来ます。
そして、この置き換えればできるという考え方のまま学習を進めると日本語を置き換えただけの不自然な韓国語が身に付いてしまいます。
単語と文法をたくさん覚えないといけない
韓国語に限らずどんな言語でも、会話のみならず理解し使えるようになるために単語と文法を学ぶ必要があります。
そのため、多くの学習者は教材を使い単語と文法を一生懸命に学んでいると思います。
とにかくたくさん単語を覚えて、文法も難しいものをどんどん学ばないといけないと思って勉強している人が多いように思います。
ですが、会話目的ということであれば単語や文法は多くの学習者が思っているほど必要はありません。
私たちは、学校教育の中でとにかくたくさん覚える、難しいことを勉強するということをしてきているので、こういった価値観のまま韓国語の勉強もしてしまいがちです。
ですが、このような知識偏重の勉強によって必要以上に覚えた知識は、会話においては逆にムダな知識にもなってしまうことがあります。
漢字語が覚えやすいから漢字語を覚える
韓国語には韓国の固有の言葉である固有語と元々漢字から来ている言葉の漢字語があります。
韓国語では今は漢字を使うことは一部を除いてはほぼありませんが、漢字を理解できる日本人にとっては漢字を基にした漢字語は固有語よりも覚えやすいです。
そのため、ネットの情報などでは韓国語の単語は漢字語をたくさん覚えれば単語数を増やせると言った情報が出ています。
ですが、漢字語が覚えやすいからと言って覚えても、それらの単語が良く使われるかは別の話なので、漢字語が覚えやすいからと増やしてもあまり意味がありません。
会話フレーズや例文を暗記すれば話せる
学習者の中には会話ができるようになりたいと思って、会話のフレーズ集や例文集のようなものを使いとにかくフレーズを暗記するという方法で勉強している人もいるかも知れません。
確かに、挨拶や誰でも同じ言い方をするようなことであれば丸暗記で話すことはできます。
例えば、日本語で例を挙げれば、「おはようございます」や「こんにちは」のような挨拶や「いくらですか」「すみません」のような決まった言い回しです。
ですが、そういった決まった言い方以外のものは自分が言いたいことに合わせて自分で文を作れなければ話すことはできないので、暗記で会話ができるようにはなりません。
韓国人のように発音できないといけない
英語もそうですが、日本人は発音をとても気にする人が多いです。
いわゆるネイティブ至上主義というもので、韓国語であれば韓国人のように発音ができなければいけないという考え方です。
もちろん、発音があまりにも違い過ぎると、いくらきちんとした文で話しても通じないという問題があるため重要ではあります。
しかしながら、大人になってから外国語として意図的に言語を学ぶ場合は、厳密に言うとネイティブと同じ発音になることはできません。
それは、日本人として生まれた以上、どれだけ頑張って韓国人になりたいと思っても韓国人になれないのと同じことです。
韓国留学すれば話せるようになる
韓国語習得で、特に会話力を伸ばすために留学をすることは有効な方法です。
しかしながら、留学をすれば必ずしも話せるようになるわけではありません。
留学をすることで、話せる環境の中に身を置くことができるだけです。
その環境を自分で活かさなければ日本で勉強しているのと変わりがないので、留学さえすれば話せるようになるわけではありません。
よくある誤解に対する改善策
ここからはここまで挙げてきた韓国語学習でよくある誤解に対する改善策を挙げていきます。
日本語の置き換えではなく意味を考える
韓国語と日本語は文法的に似ていても日本語をそのまま韓国語に置き換えることはできません。
中級以降になると置き換えでは文が作れないことが多くなってくるため、置き換えではなく、文の意味を考えて韓国の文を作ることが必要になります。
例えば、「今日は足がないので行けません」といった言い方を日本語でします。
これであればその意味は「交通手段がない」という意味になるので、それを韓国語にするということです。
単語と文法は覚えるだけではなく使えるようになる
単語や文法の勉強をして知識を得ることは外国語習得では必要です。
ですが、だからと言ってとにかく単語数だけ増やせば良いということではありません。
日本の学校教育では詰め込みの知識偏重の勉強をさせられるため、韓国語習得でもそのような勉強の仕方をしてしまう人がとても多いです。
ですが、話すために必要なのは数多くの単語や複雑な文法知識ではなく、知識として得た単語や文法を使えるようになることです。
そのためには、基本の文を学びそれを応用し最終的には自分で文を作れるようになることが必要で、繰り返しの練習が必要になります。
漢字語か固有語かに関係なく必要な単語から覚える
韓国語では初級段階では漢字語より固有語の占める割合が高いです。
漢字語は日本語と同様、改まった文や難易度の高い読解などで出てくる傾向があります。
そのため、漢字語が覚えやすいからと覚えて日常で使うと、なんでそんな難しい言葉を使うのか?と韓国人から言われることがあります。
例えば、「言う」であれば日本語なら「述べる」「言及する」など類義語がいくつもありますが、日常的に使うのは「言う」だと思います。
韓国語も同じです。
漢字語が覚えやすいというのは日本人にはメリットではありますが、「覚えやすい=よく使われる」ではないです。
まずは、テキストにのっている頻度の高い単語を固有語、漢字語に関係なく覚えていきましょう。
会話フレーズや例文は基本パターンとして覚える
会話フレーズや例文は出ているものをすべて覚える必要はありません。
基本となるシンプルな使いまわしのきくフレーズを基本パターンとしてまず覚え、そのフレーズの単語を入れ替えたり、他の単語やフレーズを追加したりすることで応用します。
挨拶や決まったフレーズはそのまま丸暗記で使っても良いですが、それ以外のフレーズは自分の表現を増やすためのベースとなる表現として覚える、という考え方で使えるものを覚えるようにしてください。
まずは通じる発音をできるようになる
発音に関しては、既に触れた通り外国語として学ぶ場合はどれだけやっても韓国人と同じ水準にはなりません。
そういうレベルになろうとしていないにしても、これから発音ができるようになるために練習する段階なのであれば初めからうまく発音しようとすることはハードルを上げ過ぎです。
まずは、できない状態からひとまず通じる程度の発音になることを目標に発音練習を繰り返ししていくことが現実的な目標設定と言えます。
韓国留学は韓国語習得の手段のひとつ
韓国留学は韓国語が常に話される環境に入ることができるため、日本にいる時とは違い韓国語を話す機会を作りやすいです。
そのため、留学をするメリットはやはりあります。
ですが、重要なことはどこで勉強するかではなくいかに勉強や練習を普段から習慣づけてしているかどうかです。
留学は韓国語を学ぶための手段のひとつとして考えるべきもので、話せるようになるかならないかを決定づける要因にはなりません。
今ではオンラインレッスンなどを使うことでどこにいても話す機会を作ることができるようになったので、そのようなサービスを利用することも有効です。
まとめ
韓国語習得を成功させるためには、間違った思い込みや誤解を解いて正しい考え方で勉強をしていく必要があります。
それによって、今まで問題だと思っていたことが実は問題ではなかったり、より効率的、効果的に韓国語習得ができるようになります。
今回の記事の内容を一度確認してみてください。
◇経歴
日本、韓国の企業で通訳・翻訳、アシスタントとして勤務
日本にて韓国語講師として5年勤務
フィリピンにてフリーの通訳として英語、韓国語、日本語の3言語の通訳を担当
◇資格
韓国語能力試験(TOPIK)6級
延世大学校韓国語教員養成課程修了
◇海外渡航経験
ワーキングホリデーにてソウルの企業数社で通訳・翻訳、セールス、マーケティングを担当
韓国語習得のための留学5回(一般韓国語、ビジネス韓国語)
延世大学校にて韓国人と共に韓国語教育について学ぶ
◇自己紹介
韓国語学習コンサルタント
韓国語講師
講座構築コンサルタント
オンラインで韓国語学習に悩みを持つ学習者の問題解決をする韓国語学習コンサルタント、韓国語講師として韓国語習得に成功する学習法や練習法も指導しています。
また、英語と韓国語習得に成功した経験とカリキュラム構築、教材作成の経験を活かし講座構築の方法をあらゆるジャンルのプロに指導するコンサルタントとしても活動しています。
海外就職でフィリピンのセブに移住して5年半在住、現在はタイのチェンマイに住んでいます。
外国語に興味があり、英語、韓国語(ビジネスレベル)、中国語(中級)、現在はタイ語習得を目標に勉強しています。