見るだけじゃない!「보다」の活用法

見るだけじゃない!「보다」の活用法

 

見るを意味する「보다」は、韓国語学習初級のそれも最初の方で習うので、みなさんよく知っている動詞だと思います。

「テレビを見る」「写真を見る」の様に日常生活で使用頻度の高い「보다」ですが、実は「見る」以外にもたくさんの意味を持っているんです。

今回は、知っておくとためになる「보다」の活用法を例文を使って詳しく解説します。

 

動詞の「보다」

 

(目で対象物を)見る

 

これが韓国語辞典で「보다」を引いたとき一番最初に出てくる基本となる「見る・観る」です。

例)
ネ フュデポン モッ バッソ?
내 휴대폰 못 봤어요?
私の携帯電話見なかった?

チュマレ ヨンファラド ボㇽレヨ?
주말에 영화라도 볼래요?
週末に映画でも見ませんか?

 

会う

 

「会う」を意味する単語には「만나다(マンナダ)」もありますが、同じくらいの頻度で「보다」も使われますので必ず覚えておきたい使い方です。

「만나다」は顔を合わせてお互い会ったと認識した「会う」「보다」「만나다」の会うに加えて一方的に「見かけた」という意味でも使えます。「보다」の場合、相手と顔を合わせて会ったのか、見かけただけなのかは話の流れで汲み取るしかありません。

例)
タウメ ト ボジャ!
다음에 또 보자!
次回また会おう!

オモニルㇽ ボゴ シッポヨ
어머니를 보고 싶어요.
母に会いたいです。

日本語を直訳すると、「〇〇に会いたい」→「〇〇에 보고 싶다」となりそうですが、前に来る助詞は目的語を表す을/를になる点に注意しましょう。

 

(世話を)する

 

日本語の「看る」に相当し、(子供や動物を)世話するという意味で使われます。

例)
チャㇺカン アイルㇽ バジュㇽレヨ?
잠깐 아이를 봐줄래요?
ちょっとの間子守りをお願いできますか?

 

(家や店を)守る

 

(家や店を)守る=留守番、店番をするという意味で使われます。

例)
オヌルン カゲルㇽ バヤ デソ モ ノラ
오늘은 가게를 봐야 되서 못 놀아.
今日は店番しないといけないから遊べないよ。

 

(仕事などを)取り扱う・行う

 

仕事などを任されて受け持っている・取り扱っている事を言い表します。

例)
ナヌン フェサエソ フェゲルㇽ ボゴ イッスㇺニダ
나는 회사에서 회계를 보고 있습니다.
私は会社で会計を受け持っています。

 

(試験を)受ける

 

試験を受けるは「시험을 치다(シホムㇽ チダ)」で覚えた人もいるかもしれません。「치다」だけでなく「보다」もよく使われますので併せて覚えておきましょう。

例)
シホㇺ チャㇽ バッニ?
시험 잘 봤니?
試験ちゃんとできた?

 

(大小便を)する

 

「出す」や「する」の様な直接的な言葉を遠回しに言い表せるのが「보다」です。

また、「보다」を活用させた「볼일(ボㇽイㇽ)」という単語を使って、大小便を婉曲して表現することもできます。

例)
ボㇽイㇽ ボロ ファジャンシㇽ タニョオㇽケヨ
볼일 보러 화장실 다녀올게요.
用を足しにトイレに行ってきます。

 

(利益・損害を)受ける

 

이익(イイㇰ/利益)を得たり、손해(ソネ/損害)を被った場合のどちらも「보다」を使って表現することができます。

例)
イゴルㇽ ヘド ウリガ ソネ ボㇽ コン オプソヨ
이거를 해도 우리가 손해 볼 건 없어요.
これをしても私たちが損することはありません。

 

(医者が患者を)診察する

 

「診察する」の直訳は「진찰하다(チンチャラダ)」になりますが、日本語の「診る」と同じように「보다」を使うこともできます。

例)
イ ウィサソンセンニムン オジョネマン ボㇺニダ
이 의사선생님은 오전에만 봅니다.
この先生は午前中のみ診察します。

 

(味を)みる

 

味見するという意味でも「보다」が使われます。ここに出てくる「간(カン)」とは、塩加減や味加減を意味する言葉です。

例)
オモニㇺ, カン チョㇺ バジュシゲッソヨ?
어머님, 간 좀 봐주시겠어요?
お母さん、ちょっと味見してもらえますか?

 

(機会・時期を)みる

 

日本語でもタイミングを判断するという意味で「機会をみる」「時期をみる」と言いますね。韓国語でも同じように「보다」を使う事ができます。

例)
キフェルㇽ ボゴ イヤギハヌン ゲ チョッゲッソヨ
기회를 보고 이야기하는 게 좋겠어요.
機会をみて話した方が良さそうです。

 

(物を買いに)でる

 

장(시장)을 보다の形で使われます。「장(ジャン)」は漢字で「場」と書き商品を売り買いする場を、「시장(シジャン)」「市場」を表します。日常で非常によく使われる言い回しです。

例)
ジャン チョㇺ ボロ ナガッタ オㇽケヨ
장 좀 보러 나갔다 올게요.
ちょっと買い物に出てきますね。

 

対象や判断基準を指す

 

主に「〇〇을/를 보고」の形で使われます。日本語に訳すと「〇〇に」となる事が多いですが、「〇〇に向かって」「〇〇を相手にして」という意味合いを含みます。

例)
ナルㇽ ボゴ ハヌン マリエヨ?
나를 보고 하는 말이에요?
私に(向かって)言った言葉ですか?

 

対象を評価する

 

主に「〇〇으로」「~게」「~고」などの後に続いて、「~だと判断する」「~だと評価する」というニュアンスで使われます。

例)
トデチェ サラㇺㇽ ムォロ ボゴ クロン マルㇽ ハヌン コエヨ?
도대체 사람을 뭐로 보고 그런 말을 하는 거예요?
一体人を何だと思って(どう評価して)そんな事を言うんですか?

ナヌン イ カギョギ チョクダンハダゴ バ
나는 이 가격이 적당하다고 봐.
私はこの値段が適当だと思う(判断する)。

 

補助動詞の「보다」

 

~してみる

 

これは日本語と同じ考え方になるので、日本人はすんなり理解できる文法だと思います。

가다(行く)+보다(みる)= 보다(行ってみる)
먹다(食べる)+보다(みる)=먹 보다(食べてみる)
생각하다(考える)+보다(みる)=생각 보다(考えてみる)

この様に、動詞+みるの形で「ためしに~する」「~してみる」の意を表します。ここで気を付けなければいけないのが、前に来る動詞の形が変わるという点です。

前の動詞は아/어/해の形に変える必要があり、この規則は丁寧語아요/어요/해요の変換パターンと同じになります。

語幹(単語から다を取った部分)によって以下の様に変わります。

語幹の母音が「ㅏ」「ㅗ」 → 「아」をつける
語幹の母音が「ㅏ」「ㅗ」以外 → 「어」をつける
「하다」動詞の場合 → 「하」が「해」になる

※가다 → 가아 → 가 この様に同じ母音が二度続く場合はひとつが省略されます。
※보다 → 보아 → 봐 この様に母音が組み合わさる場合は短縮されます。

例)
イ ドゥラマ チンチャ チェミイッソ. ハンボン バ バ
이 드라마 진짜 재미있어. 한번 봐 봐.
このドラマ本当に面白いよ。一回見てみ。

イ オ ハンボン イボ バド テㇽカヨ?
이 옷 한번 입어 봐도 될까요?
この服一度着てみても良いですか?

コッチョンテミョン ハンボン ヨンラㇰヘ バ
걱정되면 한번 연락해 봐.
心配なら一度連絡してみなよ。

 

~したら~していると

 

主に「~고/다 보니」「~고/다 보면」の形で、前の動詞の行動の後/もしくは行動の最中に、後続する事実を知ったり、また後続する文章の状況になる事を言い表します。

例)
ソㇰ ダㇽ サㇽゴ ボニ チャㇺ チョウン トンネ イン コ カッタヨ
석 달 살고 보니 참 좋은 동네 인 것 같아요.
三か月暮らしてみたけれど、とっても良い地域だと思います。

イラダ ボミョン イㇰスケジョソ ソㇰドガ パㇽラジネヨ
일하다 보면 익숙해져서 속도가 빨라지네요.
仕事をしていると、慣れてきて速度が早くなりますね。

 

補助形容詞の「보다」

 

~なようだ~みたいだ

 

動詞や形容詞に付いて「~은가/는가/나 보다」の形で、推測を表す時に使う表現です。

例)
ク サラミ インキガ マンヌンガ バヨ
그 사람이 인기가 많은가 봐요.
その人は人気があるようですね。

オディ ノㇽロ カヌンガ ボネ
어디 놀러 가는가 보네.
どこか遊びに行くみたいだね。

トンセン カジョキ トチャケンナ ボダ
동생 가족이 도착했나 보다.
弟家族が到着したようだ。

 

~するかと思って

 

動詞や形容詞・이다について「~을까 봐」の形で使われ、そうなるかと心配したり恐れている様子を表します。

例)
ホンナㇽッカ バ イヤギルㇽ モッテッソヨ
혼날까 봐 이야기를 못 했어요.
怒られるかと思って話できませんでした。

ピガ オㇽッカ バ ウサヌㇽ カジョワッソヨ
비가 올까 봐 우산을 가져왔어요.
雨が降るかと思って傘を持って来ました。

 

副詞の「보다」

 

より・更に

今ある水準と比べて「一層」「もっと」という意味合いで使われる副詞です。副詞が修飾するのは用言(動詞・形容詞・形容動詞)なので、必ず後ろには用言が来ます。

例)
ボダ パルゴ ジョンハッカゲ イルハトロㇰ ハゲッスムニダ
보다 빠르고 정확하게 일하도록 하겠습니다.
より早く正確に仕事する様に致します。

ボダ チョウン ジョコンエ フェサロ オムギョッソヨ
보다 좋은 조건의 회사로 옮겼어요.
より良い条件の会社に移りました。

 

助詞の「보다」

 

~より

 

副詞の「より」は文章の最初に来ることも可能ですが、こちらは助詞なので体言(名詞など)の後について使われます。差がある二つ以上のものを比較する時に使います。

例)
クヌン ナボダ トゥ サㇽ オリョヨ
그는 나보다 두 살 어려요.
彼は私より2歳年下です。

ク マウムン ヌグボダ ネガ アルジ
그 마음은 누구보다 내가 알지.
その気持ちは誰よりも僕が分かるよ。

 

日本人が間違えやすい「보다」

 

最後に、日本人が間違えて「보다」を使いがちな例をひとつご紹介します。

ここまで、動詞の보다は漢字こそ違えど、日本語の「みる(見る・診る・看る・観る・視る)」にほぼすべて対応できるという事が分かりました。

そこで、보다=みるで覚えた時に日本人が間違えやすいのが「夢を見る」です。

「夢を見る」は韓国語で「꿈을 꾸다(クムㇽ クダ)」。この場合だけは보다が使えず꾸다という全く別の動詞になる点に注意しましょう。

例)
オジェパメ ムソウン クムル クォッソヨ
어젯밤에 무서운 꿈을 꿨어요.
昨日の夜怖い夢をみました。

 

おわりに

動詞としての「보다」はもちろんのこと、今回取り上げた補助動詞・補助形容詞・副詞・助詞としての「보다」も日常生活の中でとてもよく使われます。

習得できれば韓国語の会話力・文章力が格段にUPするどれもとても大事な文法ですので、ひとつづつ確実に覚えて行って欲しいと思います。