aとtheの違いは意外と簡単!その使い分けの方法とは

最終更新日:2019-08-17

aとtheの違いは意外と簡単!その使い分けの方法とは

 

※この記事は8分で読めます。

英文法の勉強をしていると、必ず誰しも一度はつまずくのがaとtheの用法ではないでしょうか。

“a”「ひとつの」で、“the”「その」と訳すことはなんとなく学校で習ったかもしれませんが、自分で使うとなるとどちらを使えばいいか迷ってしまいますよね。

この二つは総称表現として「冠詞」と呼ばれるものですが、そもそも日本語にはないものですから、aもtheもつけずに話してしまうという人も多いと思います。

しかし、可算名詞の単数形では必ず冠詞が必要ですし、複数形でも文章の意味を正しく表すために冠詞が必要な場面は多々あります。

ところが、特に英語力初級レベルの人だと、この冠詞の使い分け方を複雑に感じてしまうでしょう。

そこで今回は、冠詞“a”と“the”の使い分けについてご紹介してみたいと思います。

 

aとtheはとても簡単にマスターできる!

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冒頭で触れた通りaとtheは文法において冠詞と言われるもので、英語をはじめとしたフランス語やスペイン語等のヨーロッパ諸国の言語では当たり前のように存在しています

その中でも英語は名詞に性別がなく、他のヨーロッパの言語のように名詞の性によって変化したりはしないので、ルールはとてもシンプルなものになっています。

 

ですから英語の冠詞については、aとtheの違いと、母音の前ではaはanに、theは「ザ」から「ジ」というような発音に変わるというポイントさえ覚えれば、マスターしたことになります。
(theのカタカナ発音は厳密には実際の発音とは違うので、発音についてはインターネット上の辞書等を使って発音を確認してみてください。)

 

そしてtheは単数形でも複数形でも変化しませんし、aについては単数にしか使わないものですから、そのあたりも他のヨーロッパ言語に比べるととても簡単にできています。

ではその肝心のaとtheの違いについてですが、こちらもわかってしまえばとても簡単に使い分けができてしまいます。まずはこの2つの意味を確認し、その使い方や違いについて考えてみましょう。

 

aの意味とその使い方

“a”(子音の前)もしくは“an”(母音の前)という冠詞は、“one”と置き換えることができます。例えば以下のような感じです。

・I have a pen./I have one pen.

・I buy an orange./I buy one orange.

この例文はどちらも
「私は1つのペン/オレンジを持っています」
という意味になります。

日本語では、持っているペン/オレンジが1つなのか複数なのかということをわざわざ会話上で言い分けることはあまりありません。

 

「いくつ持っていますか?」 と訊かれたときに 「3つ持っています。」 と答えることはありますが、そういった特定の場合を除いて、いくつだろうと「ペン」は「ペン」、「オレンジ」は「オレンジ」ですよね。

ところが英語では持っているモノが1つなのか複数なのかということを、常に明確にします。

日本語表現と英語表現ではそのような違いがあるため、冠詞でつまずく英語学習者が多いのです。

 

上記の例文に戻りますが、この2つの文章がほぼ同じ意味だということからもわかるように、“a”もしくは“an”という冠詞は「1つの」という意味の冠詞になります。

“the”を使わない場合で、その名詞が複数形ではないなら、必ず“a”“an”をつけるようにすれば、ほとんどの場合は間違いはありません。

とりあえず“冠詞a”の基本的な意味と使い方はそういったものだと踏まえて、今度は“the”について見ていきましょう。

 

theの意味はthat

“the”という冠詞は、“that”という単語が変化したもので、定冠詞と呼ばれます。

thatは「その」というような意味ですね。

言葉での説明ではよくわからないかもしれませんから、「aの意味とその使い方」と同じ文章を使って例文をみてみましょう。

 

I have the pen.

I have the orange.
(母音の前の”the”は「ジ」と発音するので注意)

定冠詞theの場合は、このような文章になります。

この文章がどういう意味になるかというと「私はそのペン/オレンジを持っています。」ということです。

この場合、会話の中でとある特定のペン/オレンジについて話題が上がっていたり、聞き手がそのペン/オレンジがどのペン/オレンジのことなのか知っているということになります。

実際の会話例を見てみましょう。

 

A: Do you know what is “Pen pineapple apple pen”?
(「ペンパイナッポーアッポーペン」って何か知ってる?)

B: It’s a kind of pen which is very fashionable and popular in Japan.
(それはペンの種類の一つで、とてもおしゃれで日本で人気なんだ。)

A: Why do you know about it so much?
(なんでそんなに詳しいの?)

B: Because I have the pen.
(そのペンを持ってるから。)

一言目で既に、関係代名詞whatの後ろで「どんなペンなのか」が修飾していますし、会話の終わりの時点では、既に「そのペン」と言うだけでその対象がどれか分かるくらいに説明が出てきていますので、最後は”Pen pineapple apple pen”の代わりに“I have the pen.”となっていますね。

 

A: Have you ever eaten a “navel orange”?
(「ネーブルオレンジ」って食べたことある?)

B: No, I haven’t. Is it delicious?
(いや、ないなあ。それ、おいしいの?)

A: It's sweet and delicious. I eat it almost every day.
(甘くておいしいよ。ほぼ毎日食べてるんだ。)

B: Wow! Where can I buy it?
(へえ、どこで買えるの?)

A: My mom sent me the oranges. I can give you some.
(母さんが送ってくれたんだ。いくつか分けてあげるよ。)

この場合は、“the orange=navel orange”ですね。

ペンの時と同様、何回も固有名詞を言うのは面倒なので、話し手と聞き手の間で何の話をしているかが明確になったところで“the”を使って表現します。

 

つまり“a”と“the”の違いとは・・・

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“a”“the”について、それぞれの意味と使いかたをご説明しましたが、ここでまとめてこの2つの違いについて解説します。

 

▼The 〇〇▼

・どのペンのことなのか特定できる場合に使われる。

→ある特定の単数名詞、もしくは複数名詞にスポットライトが当たっているようなイメージ

 

▼A 〇〇▼

・たくさんある中の1つというようなニュアンス。

→そこにスポットライトは当たっていない。

 

日本語にこの冠詞がないので訳すのは難しいのですが、“a pen”を無理やり日本語に訳そうとするなら「とあるペン」という感じでしょうか。

“the pen”だと「そのペン」となるので、“a”“the”の違いがここで明確に現れているのです。

 

“the”はどれのことを言っているのか特定する役割を持つということさえ覚えておけば、あとは段々慣れて“a”の意味もしっかりと理解できるようになり、この2つの冠詞がまったく違うものであるということを感じられるようになるはずです。

 

なんとなくで流さないで!
名詞の前には必ず冠詞を

冠詞の使い方が最も問われるのが、英作文をする場合です。

読むときは冠詞をなんとなく読み飛ばしても大して支障はありませんが、作文するときは避けては通れないのです。

 

従来はリスニングとリーディングに重点が置かれていた学校教育でも、現在はアウトプットのスピーキングやライティングに注目するようになってきています。

大学入試では、私立大学の一般入試や国立大学の2次試験で英作文が出題されるところがとても多いです。

少しでも部分点を獲得するために、冠詞の使い分けを見落とすわけにはいきませんよね。

 

ところが、単数形の可算名詞なのにもかかわらず冠詞がついていなかったり、なんとなく全部“the”もしくは“a”で済ませていたり・・・というパターンは英作文の添削をしているとよく目にしますし、ご質問もよくいただきます。冠詞は文の構成要素の中でも軽視してしまう方が多いため、 「こんな短い単語にこだわらなくても・・・」 と思うかもしれませんが、冠詞の間違いは英文全体の質を落としてしまったり、時に英語フレーズ自体の内容が変わってしまったりすることもあります。

なんとなくで流してしまうことなく、意識してしっかりと使い分けを学んだうえでいろいろな英文に触れることで定着させていきましょう。

 

まとめ

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私たち日本人にとってはなじみのない冠詞ですが、英語をはじめ、世界各国の言語のネイティブスピーカーの共通認識においては、無いとそもそもの意味が違ってきてしまうものです。

「冠詞がなくても通じる」
と思っている人もいるかもしれませんが、意外にも冠詞がなければ正しい意味が通じないこともあるのです。

日本語で言うなら、「は」と「が」を間違って使っているような感じでしょうか。

外国人にとっては「は」と「が」の違いはとても難しいようですが、私たちはきちんと目的を持って使いこなしていますよね。

そして、外国人が使い方を間違えているのを聞くと、内容を理解するのに苦労すると思います。

英語の冠詞は、ネイティブスピーカーにとっての「は」と「が」のようなもので、こちらとしては使い方が難しいものの、ネイティブスピーカーからしたら使えて当たり前であり、間違えていると大きな違和感を覚えるポイントになってしまいます。

「は」と「が」の違いよりは、英語の冠詞の違いの方がはるかにシンプルですから、きちんとマスターして使いこなせるように練習していきましょう。