少し前までは「海外留学」と聞くと、その行先は欧米をイメージするのが一般的でした。
しかし現在、英語力を磨きたい日本人の海外留学先としてフィリピンを選ぶ人が増えています。
一体その理由は何でしょうか?
この記事では、特に「高校生」が留学先としてフィリピンを選ぶ際の特徴やメリット・デメリット、注意点についてまとめています。
気になる費用についても解説していますので、留学を考えている方はぜひ参考にしてみてください!
フィリピン留学の特徴
フィリピン留学の特徴は、大きく分けると以下の4つです。
・「コスパのよい語学留学」が叶う
・ビザの手続きが不要
・リゾートも楽しめる
・世界各国の学生・講師と学び、生活できる
それぞれ順番に見ていきましょう。
「コスパのよい語学留学」が叶う
フィリピン留学の欧米留学との最も大きな違いは、英語漬けの生活にもかかわらず、費用が1/2程度に抑えられる点です。
欧米よりも物価や人件費、航空券代が低いため、トータルの留学費用をぐっと抑えることが可能。
フィリピンでは学校内の寮で生活し、カリキュラムは講師とマンツーマンで5〜8時間×週5日行われるのが基本です。
一方、欧米ではグループレッスンを中心に1日3時間程度。
欧米に比べ、英語を短期間で集中的に学ぶ環境が整っています。
そのため「低コスト」で「高密度の学習」が実現でき、非常におすすめの留学先です。
ビザの手続きが不要
ビザ(査証)とは、渡航先の国が発行する入国許可証のようなもので、渡航目的や滞在期間などによって種類が分かれ、国によって要否が異なります。
フィリピン留学では、事前のビザ申請をせずに渡航するのが基本。
有効期間が6ヶ月間以上残っているパスポートと、復路の航空券があれば入国時に「30日間」有効な観光ビザが発行されます。
なお30日を超えて滞在したい場合は、語学学校を通じて「ビザの延長申請」ができます。
その場合は、最大3年まで滞在延長が可能。
リゾートも楽しめる
フィリピンは太平洋に浮かぶ島国のため、セブ島を中心にマリンレジャーなどのリゾートアクティビティが豊富です。
平日はしっかりとカリキュラムに取り組み、土日には徒歩圏内のビーチで遊んだり、島々をめぐるアイランドホッピングに出かけたりなど、リフレッシュできる環境があるのも魅力。
また、リゾートホテルを学生寮として使用している学校もあり、校内に大きなプールやジムを備えているケースも多く、勉強の負担を減らす工夫が見られます。
英語学習以外にもリゾートを満喫できる留学先は、世界中探してもそれほど多くはないでしょう。
世界各国の学生・講師と学び、生活できる
現在フィリピンは、アジアを中心とした多くの国の学生から理想の留学先として選ばれています。
そのため、それらの国の学生と関わると互いの文化や言語、考え方に触れられ、多様性を意識した留学が可能に。
また、学校によっては学生寮には学生3人+講師1人など、講師と寝食を共にできる部屋もあります。
授業以外の時間も講師と生活し英語漬けの日々になるので、欧米によくある学生のみでの部屋割りよりも、スピードアップして英語力向上を目指せるでしょう。
高校生が参加できるフィリピン留学の種類
ここまではフィリピン留学の特徴について見てきました。
ここからは実際に高校生が参加できるフィリピン留学の種類をご紹介します。
大きく分けて2つあるので、どちらがご自身の目指すべきものに近いか確認してみてください。
春休み・夏休みを利用した1週間~1ヶ月の「短期語学留学」
日本の高校生に最も多く利用されているのが、春休みや夏休みを利用した1週間〜1ヶ月の「短期語学留学」です。
日本の高校に通いながら長期休暇を活用して留学できるため手軽で、特に「初めて海外に行く・留学する」という方に◎。
日本で英語の授業を受けている時とは比べ物にならないほどどっぷりと英語に浸れるため、大学進学前などに短期間で英語力を高めたい学生によく選ばれています。
ビジネスレベルやネイティブレベルで話せることを目標とするには期間が短いですが、実際に「現地に行って生活する経験に投資したい」場合には、希望にマッチすると言えます。
数か月~1年の「長期語学留学」
数か月〜1年単位の「長期語学留学」は、先程の「短期語学留学」よりも期間が長いため、将来海外の大学への進学や就職を見据えているような高度な英語力を身につけたい学生に選ばれています。
なお、現地の語学学校で取得した単位の認定については高校によって判断が分かれます。
場合によっては留年の可能性があるため、事前によく確認しておくことが重要です。
日本の高校が提携する現地の高校に通う「交換留学」や、現地の学生が通う高校で学ぶ「高校正規留学」は単位認定されやすい反面、現地生徒と切磋琢磨しながら英語以外の教科も学ぶため、よりハードと言えるでしょう。
高校生のフィリピン留学のメリットとデメリット
では、高校生が留学先にフィリピンを選ぶメリットとデメリットは何でしょうか?
より具体的に見ていきましょう。
メリット1.費用が安い
フィリピン留学のメリットとして、真っ先に挙げられるのが費用の安さです。
一般的に欧米と比べると、期間別の費用は以下の通り。
滞在先 | 滞在先 | |
期間 | フィリピン | 欧米(アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア) |
1週間 | 17~25万円 | 25~35万円 |
1ヶ月 | 28~46万円 | 50~70万円 |
半年 | 120~220万円 | 200~300万円 |
1年 | 220~450万円 | 350~500万円 |
※学費や寮費、食事代の他、航空券、旅行保険、学費以外の費用も全て含まれた目安の金額
フィリピン留学の費用は「期間」×「部屋タイプ」で大きく変わります。
「部屋タイプ」で1人部屋を選ぶとどうしても費用が高くなりがちですが、4人部屋など複数人とシェアする場合はコストを抑えられます。
もちろん選ぶ学校やシーズンによって授業料や航空券代が変わってきますが、欧米と比べ1/2以下のコストで留学できる場合も。
メリット2.マンツーマンのカリキュラム
フィリピンでは講師とマンツーマンでのカリキュラムを基本としています。
生徒1人1人のレベルに合わせ5〜8時間みっちりと英語を学ぶ環境が整っていますので、グループレッスンが中心の欧米留学にありがちな「授業に置いていかれる」といった心配は一切ありません。
もちろん希望すればグループレッスンも組み込めます。
また、学校ごとに「スパルタ式」や「セミスパルタ式」などと呼ばれる教育方針を示す基準があり、これは「講師が厳しい」ということではなく、授業の多さや校内ルールの厳しさ(門限や母国語の制限など)を示しています。
より密度の高い学習環境を求めるのであれば、世界一授業数が多く、きめ細かい指導を受けられるフィリピンはおすすめです。
メリット3.「日本人スタッフのいる学校」で生活の全てが成り立つ
フィリピンにある多くの語学学校が、日本人スタッフを常駐させています。
そのため、急な体調不良や困りごとにも日本語で対応してもらえ、留学が初めての学生にとっても安心。
また、日々の食事は学食などでしっかりと3食用意され、掃除・洗濯のサービスも週に2〜3回提供されています。
自ら買い出しや調理、家事をする必要は一切ありません。
生活全般のことまで面倒を見てもらえるので、生徒は勉強のみに集中できます。
デメリット1.講師の英語がネイティブとは異なる
デメリットの1つとして、講師の英語がネイティブとは異なると言われています。
フィリピンでは英語が公用語として日常的に話されていますが、第一言語ではないため特有の訛りがある講師もいます。
そのため、講師の採用基準が厳しい学校や、採用後も定期的にレベルチェック、指導をしている学校を選ぶのがよいでしょう。
また、授業ではいわゆる「教科書英語」を学ぶため、欧米で日常的に使われているスラングは使いません。
ネイティブが使う、よりナチュラルな英語を求める生徒には合わない場合があります。
デメリット2.インフラが整備されていない
日本と比べると、インフラ整備がされていない点もデメリットとして挙げられます。
例えば「道路が舗装されておらずボコボコ」「水道水が飲めない」「Wi-Fiが安定しない」「トイレに紙が流せない」などが挙げられます。
気になる方は、できるだけ設備が新しく、メンテナンスされている学校を選ぶのがおすすめ。
慣れてくると気にならなくなる人もいるようなので「郷に入っては郷に従え」という言葉の通り、多少の不便さは自分をたくましくするよい機会ととらえ、割り切りましょう。
デメリット3.食事が合わないことがある
日本人留学生からの意見として「食事が合わない」というのはよく聞かれます。
学食ではフィリピンや欧米の料理の他、韓国資本の学校も多いため韓国料理が提供されることも。
ヘルシーな日本食と比べると揚げ物など脂っこいものが多く、胃腸に負担がかかったり、短期間で急激に体重が増えたりすることがあるようです。
食事に不安がある場合は、長期保存可能な日本食を持ち込み、ビュッフェスタイルで自由に食べたいものを選べる学校を選びましょう。
滞在中に注意したいこと
ここからは高校生がフィリピン滞在中に注意したいことをまとめています。
住み慣れた日本とは異なる点も多いため、より安全で有意義な留学にするために、以下の3点を常に心に留めておきましょう。
治安に気を付ける
注意したいこととして、第一に挙げられるのが「治安」です。
フィリピンで起こる犯罪のTOP3は盗難、強姦、強盗とされていますが、特に多いのが人混みの多いエリアでのスリ。
財布に入れる現金は最小限にし、スマホなどの貴重品は必ず口が閉まるバッグに入れ、首から前にかけて持ち歩きましょう。
同じフィリピンの中でも、エリアと時間によって危険度が変わります。
学生寮や留学生向けエリアは比較的安全ですが、学外では日本人と分かると狙われる危険性が格段に上がります。
学校の門限に従って行動は朝〜夕方に複数人で行い、夜に1人で出歩くのは絶対に避けましょう。
体調管理に気を配る
体調管理には十分に気を配りましょう。
特に、日本とは異なる環境で毎日ハードに学習していると体調を崩すこともありえます。
体調がよくないと、寝込んでしまったり病院に行ったりと、貴重な留学の時間を有意義に過ごせなくなってしまうことも。
食事や睡眠はしっかり取れているか、メンタルの不調はないかなどをセルフチェックし、日本人スタッフのサポートも得ながら、日々メンテナンスをしましょう。
日本人生徒と関わりすぎない
フィリピンは人気の留学先となっているため日本人生徒が多いことでも知られており、心細さから日本人同士で群れ、日本語を多用してしまうケースがあります。
しかし、それではせっかくお金を払って留学している意味がなくなってしまいます。
最初から日本人生徒が少ない学校を選ぶのもよいですし、悩みがあれば現地講師に相談するのもよいでしょう。
必ず助けになってくれるはずです。
まとめ
ここまでフィリピン留学について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
フィリピンは充実したカリキュラムを低コストで受けられるため、高校生の留学先として魅力が詰まっています。
美しい自然の中でリゾートを満喫しながら多国籍の学生と学べる経験は、人生においてかけがえのないものになるでしょう。
治安など気を付けるべき点をしっかりとおさえ、ぜひ留学先の候補の1つとして考えてみてください。