英語の学習法の1つ、「チャンク」って一体なに!?

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英語学習者であれば、基礎を学んだ後に自分に合った学習法を見出していくと思います。一般的に「こうした方がいい」と言われるものが自分に合っていることもあれば、海外で取り入れられている学習方法の方が相性が良いと感じる人もいます。

そんな英語学習において、今回はチャンクという学習法をご紹介していきます。今の学習法に取り入れて、自分に合っているか確かめてみてはいかがでしょうか。

チャンクとは

チャンク(chunk)とは、「かたまり」や「まとまったもの」という意味です。英語学習においては、2~8つの英単語のかたまりを指します。

つまり、英語を理解するために単語ひとつひとつを見るのではなく、意味を持つ一定のかたまりを意識するというのがチャンクという英語学習法なのです。リーディングにおいては、意味のかたまりごとにスラッシュを入れる「スラッシュリーディング」と似ています。

ただ、中高生にスラッシュリーディングをするよう言うと、英語に遅れがある生徒はそもそもどこにスラッシュを入れたらいいかわかりません。つまり、チャンクを取り入れるには少なくとも英語の基礎ができている人でないと役に立たないのです。この点があまり指摘されていないように感じるので、念のため注意しておいた方が良いでしょう。

チャンクの概念は、アメリカの心理学者によって紹介されたことが始まりです。言語学者ではない点が興味深いですね。その心理学者によれば、チャンクは人間が一度に処理できる情報の単位であると定義づけられるとのことです。

先ほど、チャンクは英単語が2~8語程度と解説しましたが、特に句や音節で区切るなどの決まりごとはありません。音声で言えば2~3秒くらいとされてはいますが、学習者のレベルによって一度で処理できる情報は変わります。ですから、英語初心者であれば2~3語、上級者であれば6~8語くらいと、変えていくことができます。

なぜチャンクが良いのかというと、単語で区切るより読解速度が早くなったり、内容理解が深まったりするからです。

ちなみに、英語に慣れてくると、チャンクは自然と取り入れられるようになります。ネイティブスピーカーのように区切るタイミングがわかるので、英語を話している時に適切なところで間が取れます。アクセントやイントネーションも加わると、英語ならではの自然な流れやリズムとなっていきます。

チャンク学習のメリット

チャンク学習の具体的なメリットをいくつか挙げていきます。

長文が読みやすくなる

まずは、長文が読みやすくなるメリットをご紹介します。英文を素早く読めないと、学校のテストやTOEICなどの英語試験において不利になります。

速読を考える方もいるかもしれませんが、特殊なトレーニングが必要になることや、内容が脳に残りにくくなるデメリットを考えるとまずはチャンク学習から始める方が良いでしょう。

スピーキングとライティングのスピードが上がる

チャンクでは英語を意味のあるまとまりで捉えるため、単語ひとつひとつをアウトプットするより効率的です。英語におけるアウトプットはスピーキングとライティングですから、苦手と感じている方はチャンクの概念を取り入れてみると良いかもしれません。

リスニング能力の向上に期待できる

リスニングは、文字を見ることなく音だけで英語を理解する難易度の高いものです。瞬時に意味を理解しなければならないのに、ひとつひとつの単語の意味を追いかけていては会話になりません。

しかし、チャンクであればまとまりで理解ができるため、素早さが求められるリスニングにおいても能力向上が期待できます。

3種類のチャンク

チャンクには3種類あります。代表的な品詞別となっているので、以下で詳しく解説します。

名詞チャンク

最初に解説するのは名詞チャンクです。その名の通り名詞的役割を果たすもののことを指し、かたまりとして理解します。

beautiful houses

disadvantage of spending time

woman who walks alone

the professor watching birds

yellow and blue

これらが名詞チャンクです。わかりやすく言うならば、主語になるものですね。名詞そのものだけじゃなく、その名詞を修飾するものまで含まれています。形容詞や関係代名詞が代表的です。

動詞チャンク

次は動詞チャンクの解説です。こちらは動詞だけでなく、目的語や補語まで広くかたまりとして見ていきます。

would break it.

looked happy

got injured

ただ、動詞チャンクにおいては複数の考え方があり、目的語や補語は含まないとすることもあります。

語数が多いと感じるなら助動詞と動詞のみをチャンクとして捉えるのも良いですが、そうすると1語になってしまうことも多く、結局は単語ひとつひとつを見ていく場合もあります。よって、できれば目的語や補語も含めて意味を捉えられるようにしておくと良いでしょう。

副詞チャンク

最後は副詞チャンクです。副詞とは、動詞や形容詞、他の副詞、あるいは文全体を修飾する品詞です。時間、結果、比較、条件、原因・理由、目的、方法などを表します。

一般動詞の前、be動詞の後ろに置かれる副詞には、never(決して~ない)やno longer(もう~ない)などがあります。文全体を修飾する場合は、文頭や文末に置かれるため認識しやすいです。

チャンクを意識した学習方法

チャンクを意識した具体的な学習方法については、以下で解説していきます。

英語の4技能の、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング、それぞれの勉強の仕方をご紹介します。

リーディング

リーディングにチャンクを取り入れる場合は、序盤で少し触れたいわゆるスラッシュリーディングをすることになります。

こちらに、BBC Newsの引用があります。

Apple has unveiled the iPhone 14, with emergency satellite connectivity and car crash detection technology, at a launch event in the US.

ネイティブスピーカー向けのニュースは一文が長く、英語を学習中の人にとっては理解が難しいものです。こういった文章の読解にチャンクを取り入れるならば、意味のまとまりで区切らなければなりません。

以下は、上記で解説した名詞チャンクや動詞チャンク、副詞チャンクなどで意味のまとまりを作ったものです。

Apple

has unveiled

the iPhone 14,

with emergency satellite connectivity

and car crash detection technology,

at a launch event

in the US.

知らない単語があるとまだ難しいかもしれませんが、単語がすべてわかればかなり読みやすくなります。先ほどの文の全訳はこちら。

「アップルは、アメリカの発表イベントで緊急時の衛星接続と車事故の検知のテクノロジーと供にiPhone14を公開した」

品詞や英語構文が身に付いていない場合にはどこで区切ればいいかわからないと思います。そういった場合には、とりあえずコンマやand、butなどの接続詞で区切るといった方法もあります。しかし、これではまだまだ文が長いため、付け焼刃的指導になります。

リスニング

リスニングは正直慣れによるところが多く、一朝一夕に理解できるようになるものではありません。チャンクを駆使しても、ある記事によれば洋画を字幕なしで理解できるほどのリスニング力を付けるためには、1日1時間リスニングをしても30年ほどかかると書かれているほどです。

基本的なことになってしまいますが、リスニングにおいては毎日コツコツ、少しでも英語に耳を慣らしていくしかありません。もちろん、語彙力やフレーズ、決まり文句も暗記しつつ、です。

ライディング

ライティングでチャンクを活かすなら、英語で最初に書く主語のまとまりを書き、次に述語となる動詞チャンクで繋ぎ、追加情報を付け足していく流れとなります。

もちろん正しい文法でないといけませんが、チャンク学習の仕方を身に付けることを優先するのであれば、文法より語順を意識するようにしましょう。次々チャンクを付け足す方法で行けば、長文が書けないと悩むことも少なくなるはずです。

スピーキング

スピーキングは、上記のライティングを強化したバージョンになります。なぜなら、ライティングは時間があるため考えることができますが、スピーキングは素早くアウトプットする必要があるからです。ライティングがチャンク学習でできるようになれば、そのスピードを上げることでスピーキングもできるようになります。

ただし、実際に口に出して言わなければ下の動かし方、発音の仕方が身に付かないため、ネイティブスピーカーの話し方をマネするシャドーイングで意味のまとまりを意識する方法も取り入れていくと良いでしょう。

まとめ

チャンクという英語の学習方法、既に自然にできているという方もいるでしょうけれど、イマイチ英語の成績が上がらなくなってきた、早く英文が読めるようになりたいという方は取り入れてみることをおすすめします。

試行錯誤していく中で自分に合った勉強方法が見つかることもあります。チャンクは英語中級者当たりから使える学習法だと思うので、英語の構文や英文法がしっかりわかっている方に特に効果が期待できるでしょう。

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