今回ご紹介するのは、「奇跡」の英語表現です。
日常では、「奇跡」と呼びたくなるほどの出来事にはなかなか遭遇しないものです。
絶望的だと思われていた物事が上手く運んだとき、絶体絶命の状況で生き延びたときなど、「誰もが悲観するようなシチュエーションで、信じられないような素晴らしいことが起きた」というニュアンスで用いることが多いのではないでしょうか。
英語ではもうちょっとカジュアルに使える表現です。例文を交えつつ、「奇跡」の英語表現を見ていきましょう。
「奇跡」の英語表現
「奇跡」は英語で「miracle」と表現し、「ミラクル」と発音します。
「miracle」は、ラテン語で「不思議なこと」「驚くべき素晴らしいこと」「偉業」などを意味するmiraculumから派生した言葉です。
miracleは、驚きの感情を喚起する出来事を指しているといえます。もともとは「神の驚異的な偉業」という宗教的な文脈で用いられた言葉でしたが、後に、超自然的な力に関係なく用いられるようになっていきました。
“不思議”を意味する言葉は、他にも「wonder(不思議)」「strange(奇妙な)」などさまざまですがが、「miracle(奇跡)」は何か素晴らしいことが起こったときに用います。
「miracle」は可算名詞なので、冠詞をつけて「a/the miracle」、または複数形のsをつけて「miracles」となります。
miracle
それでは、「miracle」を用いた例文を見ていきましょう。
Well, that's a miracle.
先日の試験は絶対に不合格だと思っていたのに、合格したんだ!
それは奇跡が起こったね
Do you believe in miracles?
先日都内で大きな事故が起きたが、幸い一人も怪我人はおらず、ニュースでは「奇跡」と報じられた。
あなたは奇跡を信じますか?
「奇跡」のこぼれ話
英語の聖書では、預言者やイエス・キリストが行ったさまざまな偉業が「奇跡」と翻訳されます。ちなみに、新約聖書の原典であるギリシャ語には、直接的に「奇跡」を意味する言葉は登場しません。
ハイドンの、「交響曲第96番ニ長調」は、「奇跡」という通名で知られています。ハイドンの姿をよく見ようとした聴衆がホールの前方に押し寄せ、真ん中に誰もいなくなったタイミングでシャンデリアが落ち、一人も怪我人が出なかった……というエピソードが由来です。しかしこの事件は、96番ではなく、他の楽曲を演奏していたときに起きたのだとか。
奇跡が起きる
「奇跡が起きた」ときは、miracleを主語として「A miracle happened.」と表現します。
何か奇跡でも起こらない限り、事態が好転するとはとても思えない。
生死を彷徨った後にその患者は生還した。奇跡が起こったのだ。
奇跡を起こす
「奇跡を起こす」場合はどうでしょうか。この場合は「miracle」を目的語として、「work a miracle」「perform a miracle」と表現します。
たとえ彼が奇跡を起こすことはないとわかっていても、私たちは彼を応援せずにはいられなかった。
奇跡を起こすことはできないが、それでもできる限りの努力はしなければならない。
奇跡的
「奇跡的」は、「miraculous」という形容詞で表現できます。
「奇跡的な出逢い(miraculous encounter)」「奇跡的な勝利(miraculous win)」など、形容詞+名詞で表現できます。副詞で「miraculously(奇跡的に)」と表現することもできます。
奇跡的な出逢いを果たした二人は、後に結婚した。
彼が率いる小隊は、熾烈な戦いが繰り広げられる戦地から、奇跡的な生還を果たした。
「奇跡」の関連表現
次に、「奇跡」の関連表現をご紹介します。
軌跡
「奇跡」の同音異義語として「軌跡」がありますが、まったく異なる意味の言葉です。
漢字を見るとわかるように、「軌跡」は車輪が通ってできた轍(わだち)のことをいいます。転じて、ある人が辿ってきた道のりを指します。英語では「path」が近しい意味合いを持ちます。
彼は手帳に、毎日出来事を綴った。それは彼が歩んできた人生の軌跡そのものだった。
不思議
「不思議」を意味する言葉は、「wonder」「mysterious」「strange」「weird」など、ほかにもたくさんありますが、それぞれニュアンスが異なります。
例文で使い方を見ていきましょう。
wonder
「wonder」はよく耳にする表現ではないでしょうか。名詞としての用法では、“感嘆すべきこと、驚くべきこと”を意味します。
It’s no wonder.
彼、昇進したんだって
当然のことだね
wonderの前に否定のnoをつけることで、「それは当然だ」という慣用表現になります。動詞としての用法では、「I wonder〜」で「〜かしら?」といったニュアンスになります。
彼はきっちり集合時間にやってくるかしら。
また、控え目に何かを頼むときに、「〜してくれないかなあ?」というニュアンスで「I was wondering if〜」と表現できます。
ちょっと手伝ってもらえたりしないかな?
『不思議の国のアリス』の原題は、「Alice in Wonderland」ですね。また、SF用語に「センス・オブ・ワンダー(sense of wonder)」という表現があります。人間の理解の範疇を超えた出来事に遭遇して、知的好奇心を掻き立てられるような感覚を指していいます。
また、『沈黙の春』を著したことで有名な生物学者、レイチェル・カーソンは、『センス・オブ・ワンダー』という本を上梓しました。自然に触れたときに起こる不思議な感動のことを「センス・オブ・ワンダー」と称しています。
アーサー・C・クラークの『宇宙のランデヴー』は、センス・オブ・ワンダーをかきたてるSFの名著だ。
mystery
また、解き明かせない「謎」を指すときは、「mystery」を使用します。
考古学者たちの間で、ピラミッドがどのように建設されたのかは、長い間、謎だった。
ミステリーは、探偵などのキャラクターがさまざまな事件の謎を解き明かしていく小説のジャンルだ。
strange
「strange」は、奇妙な出来事を指すときに使用します。
彼は昨晩、屋外で奇妙な物音を聞いた。
weird
また、「strange」の類語として、「weird」もよく口語的に用いられます。Strangeと同様、ネガティブな意味合いで使われます。
That's weird. I thought they weren't closed yesterday.
昨日図書館に行ったんだけど、閉まっていたんだよ
それは変だな。昨日は休館日じゃなかったと思ったけど
まとめ
「奇跡」の英語表現をご紹介しました。
日常で奇跡的な出来事に遭遇することはなかなか少ないものの、“It’s a miracle!”というフレーズは比較的よく耳にする表現ですので、ぜひ覚えて使ってみてくださいね。
◇経歴(英語を使用した経歴)
アメリカの四年制大学に留学
◇英語に関する資格(資格、点数など)
大学入学時にTOEFL580点を取得
◇海外渡航経験、渡航先での経験内容(仕事、留学、旅行など)
高校卒業後に留学し、アメリカ、ニューヨークの四年制大学を卒業
アメリカ国内の他に、カナダ、ドイツ、ポーランド、香港を旅行得
◇自己紹介
ライター/編集者/時々漫画家
出版社、広告代理店を経て、現在は編集プロダクションに勤務しながらフリーランスのライターとしても活動。さまざまなマイノリティが住むブルックリンに滞在していた経験から、人種・ジェンダー・貧困などの社会問題に関心を持つようになり、現在の活動の軸となっている。好きなものは大型犬。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.