「犠牲」って英語でなんていう?victimやexpense、類語なども含めてご紹介します!

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今回ご紹介するのは、「犠牲」の英語表現です。

「プライベートを犠牲にして昇進する」「大きな犠牲を払って学ぶ」など、ある目的のために大事なものを捧げる、という文脈でよく耳にする表現ですね。

また、「戦争の犠牲者」「犯罪の犠牲者」など、災害や不慮の事故、犯罪などで命が失われてしまったときにも使います。

英語で「犠牲」を意味する「sacrifice」や「victim」は、ニュースやビジネスシーンでもよく登場する単語です。語源やニュアンス、使用シーンを理解して、使い分けられるようになりましょう。

犠牲

英語で「犠牲」を意味する類語表現は多様です。文脈によって使用する単語が異なるので、言葉のもつイメージを理解すると覚えやすくなりますよ。

まずは、代表的な表現である「sacrifice」「prey」「victim」「expense」を解説します。

これらの単語に共通するのは、「何かを得るために何かを失う」というトレードオフのイメージです。

「犠牲」という漢字に注目すると、両方とも牛偏が使われていますね。これは古代中国の宗教儀式で牛などの動物を神に捧げたことからきています。実は英語で「犠牲」を意味する「sacrifice」も、宗教儀式に由来する単語なのです。

sacrifice

「犠牲」という意味をもつ単語でまず覚えたいのは、「sacrifice」です。

「sacrifice」は「神聖な〜」を意味する「sacer」と、行う・作るを意味する「facere」が結合してできた単語で、日本語では「生贄」がもっとも近い意味を持ちます。

先ほど触れたように、「犠牲」は洋の東西を問わず、古代の宗教儀式が語源となっています。ユダヤ教には、羊や牛、ヤギなどの動物を神に捧げる儀式がありました。旧約聖書の『レビ記』には、献げ物をするときの作法が事細かに記載されています。

失っても痛くもかゆくもないようなものでは神への献げ物になりませんから、自分の大切なものを捧げなければなりません。そのため、「犠牲」という言葉は重いニュアンスを伴います。

He had to sacrifice his personal time in order to get promoted in the company.
会社で昇進するため、彼はプライベートの時間を犠牲にしなければならなかった
Many young men sacrificed their lives for the war.
戦争のため、多くの若者が彼らの命を犠牲にした
He was prepared to make any sacrifice to achieve his goal.
彼は目的を達成するためには、いかなる犠牲も問わない覚悟だった

prey

より限定的に使われる単語として「(肉食動物の)餌食」を意味する「prey」があります。

草食動物が肉食動物に襲われるイメージを当てはめるとわかりやすいでしょう。転じて、抵抗できない弱い者が強い者の犠牲になるという文脈で使われます。

名詞のpreyは犠牲になる人や動物そのものを指し、動詞として使う場合はprey on〜で「食い物にする」という意味になります。ちなみに、「捕食・被食関係」は「predator-prey relationships」

In nature, herbivores prey on carnivores.
自然界では、草食動物は肉食動物の餌食となる
The scammer made a lot of money by preying on ignorant young women.
その詐欺師は、無知な若い女性を食い物にして大金を稼いだ
Women and the elderly, who lack the power to resist, are easy prey for crime.
抵抗する力がない女性やお年寄りは、犯罪の餌食になりやすい

victim

「victim」は、「犠牲、被害者」という意味をもつ単語です。

戦争や事故、災害などに巻き込まれた被害者、また犯罪の被害者という意味でも使用されます。

The tsunami, triggered by a strong earthquake, claimed victims throughout the coastal region.
強い地震によって引き起こされた津波は、沿岸の地域一帯に犠牲者を出した
Its lawyers worked hard to help victims of crime.
その弁護士は、犯罪被害者を救済するために奔走した

また、ニュースや新聞の報道では、「victim」の代わりに「casualty」を用いることもあります。

Enemy attacks caused many casualties in the army.
敵軍の攻撃によって、軍には多くの犠牲者が出た

「sacrifice」は自ら進んで捧げるニュアンスですが、「victim」や「casuality」は不条理な災害や事件に巻き込まれるときに使用されることがわかりますね。

expense

「expense」は、「費用、支出」という意味を持つ言葉です。

何かを実行するために費やされるお金や時間、労力を指します。転じて、「expense of〜」で「〜を犠牲にする」となります。

expenseを使った表現に、「worth the expense(費やす価値がある)」「at great expense(多大なコストを支払って)」「at someone’s expense(誰かの費用で)」「go to the expense of〜(〜するのに費用を費やす)」などがあります。

He went to the expense of hiring a lawyer.
彼はお金を払って弁護士に依頼した
Terrorism is a means of achieving a political statement through violence and fear, often at the expense of many innocent civilians.
テロは暴力や恐怖によって政治的な主張を達成しようとする手段であり、しばし多くの無実な市民を犠牲にする
It takes a large expense to maintain a car.
車を維持するためには多額の支出がかかる

犠牲フライ sac fly(略称)

野球が好きな方は、「犠牲フライ」といった言葉をよく耳にするかもしれませんね。

英語でも「sac fly」「sacrifice fly」といいます。ちなみに、犠牲バントは「sac bunt」「sacrife bunt」です。

「犠牲」を意味する代表的な英語表現をご紹介しました。次に類語表現をご紹介します。

犠牲 類義語シリーズ

身代わり scapegoat

「scapegoat」は、冒頭で紹介した「sacrifice」と関連づけて覚えましょう。

この言葉は旧約聖書のレビ記に記された、贖罪の日に人々の罪を負わせて荒野に放された山羊のことを指します。「逃げる(escape)」という動詞のもととなっている「scape」と「goat」、つまり直訳すると「逃げるヤギ」となります。

転じて、不満を解消するために特定の集団や個人を標的にして憎悪や怒りの矛先を向けさせるその対象を指すときに使われます。現代でもしばし意図的にスケープゴートが作り出されます。コロナ禍のアメリカで起こったアジア人差別などもその一例といえるでしょう。

The executive director used one department as a scapegoat for deteriorating performance.
執行役員は、業績悪化の原因としてある部署をスケープゴートにした

おとり decoy

「decoy」は、「おとり」を意味します。

デコイとは、鳥が自分と同じ姿をしたものに集まる習性を利用して、獲物をおびき寄せるために作った模型のこと。人を騙しておびき寄せるサクラ、おとりなどの意味で使われます。

Fishermen floated carved wooden decoys on the pond to lure the birds.
漁師は鳥をおびき寄せるために、木彫りのおとりを池に浮かべた。

代償 compensation

何かを得るために別のものを犠牲にするとき「代償を払う」と言いますが、英語ではcompensationという単語で表現できます。「補償する、埋め合わせる」という意味を持つ動詞「compensate」の名詞形です。

The case, which caused a public uproar, was settled by paying compensation to the victim.
世間を騒がせたその事件は、被害者へ賠償金を支払うことで解決した
Those who suffered health problems due to pollution received substantial compensation from the companies.
公害による健康被害を受けた人々は、企業から多額の補償金を受け取った

献身的 dedicated、committed

dedicate、commitという単語は、「献身する(自分自身を捧げる)」という意味でよく使われます。

いずれも、受動態の「dedicated」「committed」で「献身的な」と表現することができます。日本語でも、何かに真剣に打ち込むことを「コミットする」と言いますね。

Her dedicated work became a stronghold for many people in difficulty.
彼女の献身的な働きは、困難を抱える多くの人々の拠り所となった。
No major project would have been completed without the work of dedicated people.
大きなプロジェクトは、献身的な人々の働きなしには完遂されなかっただろう
It took a committed workforce to make that company a great success.
その企業が大きな成功をおさめるには、コミットした労働者の力が必要だった。

まとめ

「犠牲」のさまざまな英語表現を解説しました。代表的な「sacrifice」「prey」「victim」「expense」といった表現のほかにもさまざまな類語表現があります。

語源や使用シーンを学ぶと、使い分けやすくなるのではないでしょうか。ニュースやビジネスシーンでもよく登場する言葉なので、ぜひ覚えてみてくださいね。

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