自分のことを過大に評価して自信満々になっていたりいばっていたりすることを「自惚れる(うぬぼれる)」といいます。微妙にニュアンスの違う部分はありますが、似た表現としては、「天狗になる」「ナルシストになる」などもあります。
これらは、基本的にはあまりポジティブな表現ではないため、誰かのことを批判する時に使われることが多いようです。「あの人は自惚れている」「あの人、ちょっと天狗になってない?」「あいつナルシストすぎるよね」……などなど。
加えて、たまに、自分自身のことをちょっと自嘲気味に言うような場合もあります。「俺って自惚れ屋だからさ…」「こんな言い方はナルシストっぽいかもしれないけれど…」といった使い方ですね。
さてでは、「自惚れる」や、それに似た表現、関連する表現は英語でどう言えばいいのでしょうか?今回は「自惚れる」やその類似表現を英語にした場合のさまざまなフレーズをご紹介したいと思います。
初めにおことわりしておきますと、今回はちょっと難し目の単語が多いかもしれません。でも、こうした微妙な心理を表す言葉を使えるようになると、会話の幅が広がることは間違いありません。がんばって覚えていきましょう。
be conceited
「conceited」は、「自惚れた」という意味の形容詞です。
主に誰かを非難する時に使われます。「be」の部分には、「is」「are」「am」「was」「were」などのbe動詞が入るほか、be動詞以外にも「become」「get」「sound」といった動詞と一緒によく使われます。
彼はとても自惚れていて、他人のアドバイスを受け入れようとしません。
大学院時代、私は自惚れていた。
自惚れないで。
「conceited」は形容詞として名詞の前で使うこともできます。
彼女は自惚れた目をしている。
「conceited」の副詞形は「conceitedly」です。意味は「うぬぼれて」です。
ジョージはうぬぼれてそんなことを言ったが、結局失敗した。
「conceited」の名詞形は「conceit」です。意味は「うぬぼれ」「虚栄心」などです。
ナンシーはとてもうぬぼれが強い。
be full of ~self
直訳すると「〜自身に満ちている」となります。自惚れていたり、天狗になっていたり、ナルシストになっている状態を表します。
「自分のことばかり考えている」「利己的である」「自己中心的である」「態度が高慢である」「思い上がっている」「のぼせ上がっている」「すっかりいい気分になっている」などと訳されることもあります。
「〜self」のところには「myself」「yourself」「himself」「herself」などの、いわゆる再帰代名詞が入ります。
「be」の部分にはbe動詞が入りますが、「get」などの動詞と組み合わせることもできます。
トムという友だちがいるんだけど、いつも自惚れているんだ。
彼女、少しばかり自惚れが強いんじゃないか。
私の息子はすぐ天狗になるのよ。
be cocky
「cocky」は主にカジュアルな場面で使われる形容詞で、「自惚れ屋の」「小生意気な」「高慢ちきな」などと訳されます。やはり誰かをけなす場合に使うことが多いです。
また、be動詞のほか、「get」「look」などと共にも使われます。
あなたがそんなに自惚れ屋とは知りませんでした。
そんなにつけあがるなよ!
角の所に若い子がいたわよ。生意気そうな感じだったわ。
braggart
やや古めの言葉の「braggart」も、「自惚れ屋の」「自慢屋の」といった意味の形容詞です。
「自惚れ」「自惚れ屋」「自慢」「自慢する人」といった意味の名詞としても使われます。
彼ってちょっと自惚れ屋じゃない?
このグループは自惚れ屋でいっぱいのようだな。
douche
「douche」はアメリカ英語のスラングで、「嫌なやつ」「見下げたやつ」「浅ましいやつ」といった意味の名詞です。これらの訳からわかるように、誰かを非難する言葉として使われます。
基本的には「嫌なやつ」全般を指しますので、「自惚れ屋」「天狗」「ナルシスト」といったものも含まれると考えて大丈夫です。ただ、より直接的に「自惚れ屋」などと言いたい場合は、他の単語を使った方がはっきりすると思います。
また、「douche」は元々フランス語語源で、膣洗浄器を指す言葉です。ですので、よほどくだけた場でない限り、あまり使わない方がいい言葉だと覚えておくのがいいでしょう。
なんて嫌なやつなんだ!
いやいや、彼が嫌な人間のはずはないよ。
ratchet
「ratchet」は「ratch」とだけ書かれることもあります。
「ratchet」または「ratch」が名詞として使われる場合、もともとは一方向へのみ回転する歯車であるラチェットを指します。
しかしこれがスラングとして使われると、「粗暴な人」「自分勝手な人」という、やはり誰かを非難する意味の単語にもなります。
あまり他人のことを考えないような人全般を指しますので、「自惚れ屋」「天狗になっている人」「ナルシスト」といった類の人も含まれるイメージです。ですので、逆に、「自惚れ屋」などと明確に表現したい場合は他の語を使った方がいいかもしれません。
当時、その街は粗暴な人々で溢れていた。
彼女はかなり自分勝手な人だと思いませんか。
また、「ratchet」または「ratch」は、形容詞として「粗暴な」、副詞として「粗暴に」という意味もあります。
その他の関連する表現
ここまで、6つの表現を解説してきましたが、最後に、その他のよく使われるフレーズをいくつかご紹介していきたいと思います。
entitled
「entitled」は、元々は「〜する権利がある」「〜する資格がある」という意味でよく使われる言葉です。
例えば、「She is entitled to join the group.」(彼女はそのグループに入る資格がある)といった具合です。
加えて実は、「entitled」は、「自分を特別に思っている」「自分が何をしてもいいと思っている」「自惚れている」「偉そうな態度の」「尊大な」などという意味の形容詞としてもよく使われるのです。
彼女は自分を特別だと思っているね。
高慢なその女優は、誰かの後ろに立つようなことはなかった。
arrogant
よく「傲慢な」という日本語訳があてられることが多いのが「arrogant」です。
私は彼があまり好きではありません。彼は少し傲慢です。
self-centered
「self-centered」は文字通り「自分が中心にいる」という意味の形容詞です。
「自己中」などともよく言いますよね。「自分のことしか考えていない」「自分勝手な」「自己中心的な」などといった日本語に訳されることが多いです。
自己中心的な人間になるな。
selfish
「self-centered」に似ているのが「selfish」です。日本語にするならば「利己的な」「自己中心的な」などとなります。
「self-centered」が自分の価値観を絶対の基準として人にも要求する傾向を指すのに対し、「selfish」は人のことは考えずに自分が好きなことだけやるというわがままさがコアイメージです。
とはいえ、日本語訳からもわかるように、「self-centered」と「selfish」はほとんど同じ意味で使われる場合が多いです。
彼女とはやってられない! ひどいわがままなんだもん!
boastful
「boastful」は「鼻にかけた」「自慢げな」「豪語する」「得意げな」などという意味の形容詞。「天狗になる」と訳されることも多い単語です。
あの小さなプロジェクトを成功させて以来、彼は天狗になっている。
narcissistic
「narcissistic」は、「ナルシスト的な」「自己陶酔的な」といった意味の形容詞です。
日本語にもなっている「ナルシスト」は、自分の行動や考え方に自分で感動して悦に入っているような人ですね。
彼女はみんなが言うほどナルシストではありませんよ。
まとめ
いかがでしたか。今回は「自惚れる」「天狗になる」「ナルシストになる」などに相当する英語表現、またそれらに類似するさまざまな英語表現をご紹介しました。
どちらかというとネガティブなフレーズばかりで、読んでいて少々気分が落ち込まれたかもしれません。でもこうした表現や用語も会話の幅を広げるには大事なものばかり。
ちょっと難しい単語も多いので、一気に全部覚えなくても、少しずつ、興味のある表現方法を覚えるようにしていくといいと思います。がんばってくださいね。
◇経歴
児童英語講師
オンライン英会話講師
NC英語アドバイザー
英語学習ライター
元大学教員
◇資格
TESOL/TEC(CANADA)
中学校教諭二級免許状(英語)
◇留学経験
アメリカ・サンディエゴに語学留学(2カ月)の経験あり
その後、オーストラリア・シドニーに大学院留学(2年)の経験もあり
◇海外渡航経験
25歳で初めて、短期間の語学留学をきっかけに本格的に英語の勉強を開始しました。
雑誌の編集・ライティング、テレビCMの企画・撮影等などの仕事が長く、英語を使っての海外取材や撮影経験も多く経験しています。また海外で日系新聞社の副編集長をしていたこともあります。
◇自己紹介
「英語学習に終わりはない」「継続は力なり」を実感し、50代半ばから毎日英語の勉強を続けて2000日近くが過ぎました。
「楽しく学ぶ!」をモットーに、僭越ながら私の異文化経験や英語の知識などをブログに織り交ぜながら、執筆することを心がけています!ネイティブキャンプのオンライン講師もしています。初心者・初級者限定ですが、ぜひ一緒に学びを続けましょう。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.