社会的な上下関係がある程度明確に決まっている場合、例えば会社の上司と部下との関係などでは、立場が上の人が下の人に何かを「命令する」ことがよくあります。会社からの命令ということになると「社命」と言ったりもしますよね。
また、海外の映画やドラマを見ていると、会社などビジネス上の上下関係に加え、警察や軍隊などの組織が描かれる中で、誰かが何かを「命令する」シーンによく遭遇します。
ではこの「命令する」は英語では何と言うのでしょうか?
今回は「命令する」、およびそれに類似するさまざまな英語表現と、それらのニュアンスや使い方の違いについて詳しく解説していきたいと思います。
「命令する」を表す英単語には基本的で重要なものが多く、また、それらは他の意味でもよく使われるものばかりです。「命令する」という意味と一緒に、それぞれの単語の他の主要な意味や使い方も覚えてしまいましょう。英会話の幅がきっと広がります。
では、順に見ていきましょう。
- order
- orderのその他の意味・使い方
- direct
- directのその他の意味・使い方
- command
- commandのその他の意味・使い方
- mandate
- instruct
- instructのその他の意味・使い方
- 「命令する」に関連するその他の表現
- まとめ
order
さまざまな意味を持ち、日常生活を含めた多くのシーンでよく使われるのが「order」です。
「命令する」という意味とその他の意味に分けて、この「order」の使い方を例文を挙げながら解説していきます。
「命令する」のorder
「命令する」というのは立場が上にある者がその優位性を生かして他人に命じることですが、今回ご紹介する中では、この「order」が最も一般的な言葉でしょう。
日本語に訳す場合は、状況によって「指示する」などの方が適切な場合もあります。
政府は避難命令を出した。
市長は洪水の原因解明を命じた。
医者は更なる検査を指示した。
トムは家に帰るよう命じられた。
次のように、「order A to 〜」の形で、「Aに〜するように命令する」という意味になります。Aの部分には人などを表す言葉が入ります。
警察は建物内の人々に直ちに退去するよう命じた。
また、セリフと組み合わせることもあります。
「あの人をつかまえて」と彼女は部下に命じた。
次のようにthat節を使うこともできます。この場合「that」は省略可能です。
CEOはその工場を閉鎖するように命令した。
上の例文では、アメリカ英語では「should」が省略され、動詞は次のように原形のまま使われます。
The CEO ordered that the factory be closed.
「order」は、「命令」「指示」という意味の名詞としても使われます。
指揮官は状況に応じて適切な指示を出さなければなりません。
orderのその他の意味・使い方
「命令する」「指示する」という以外に、「order」は「(品物や食べ物などを)注文する・発注する」という意味でよく使われます。
レストランで食べ物や飲み物を頼む時、また、買いたい商品を注文する時などに用いられます。
そのイタリア料理店で昨日は何を注文したの。
ルームサービスでウイスキーを注文しますよ。
ご注文はお決まりでしょうか。
「order」が名詞として使われる場合、上述した「命令」「指示」のほかに、以下のような意味があります。
・注文、注文品
私はまだ注文していません。
上のように、「order」を「注文」という意味の名詞として使う場合、「place an order」というフレーズがよく使われます。
ご注文をおうかがいしてよろしいでしょうか。
・順番、順序
文を正しい順序に並べてください。
・秩序、安定、治安
我々はその町に法と秩序を取り戻さなければならない。
direct
「direct」は「ダレクト」あるいは「ダイレクト」と発音します。
前者は主にアメリカ、後者は主にイギリス発音です。いずれも「レ」の部分を強く読みます。
「命令する」のdirect
「命令する」の意味の「direct」は比較的硬い言葉です。 また、ニュアンス的には「order」よりも強制的な意味合いは弱い場合が多いです。
「direct A to 〜」の形で「Aに〜するよう命令する・指示する」となります。
私はナンシーにすぐ戻るよう命じた。
「order」と同様に、that節を用いることもできます。
I directed that Nancy should return immediately.
directのその他の意味・使い方
「命令する」以外で「direct」がよく使われる場合の意味をいくつかご紹介しましょう。
・指揮する、管理する
ジョージがその新規プロジェクトを指揮することになっている。
・(映画やテレビ番組などを)監督する、演出する
その映画は日本の有名な俳優が監督を務めました。
彼が監督した映画は常に人気があります。
・道を教える
最寄りの銀行へ行く道を教えていただけませんか。
「direct」はまた、形容詞としてもよく使われます。意味は「直接の」「じかの」「直行の」などです。
日本への次の直行便は何時ですか。
彼はいつも単刀直入に質問する。
直射日光に気をつけてね。
command
「command」も「命令する」という意味でよく使われます。
また、「指揮する」「支配する」といった意味もあります。
「命令する」のcommand
軍隊などで命令する人のことを「コマンダー」と言ったりしますね。
「命令する」という意味では「order」が比較的幅広いシチュエーションで使われるのに対し、「command」は国王や軍の上官が部下へ出すような強い命令の場合に特によく用いられます。
従わなければ罰されるような、そんな厳しいニュアンスがあります。
国王は宮殿の破壊を命じた。
次のように、「command A to 〜」の形で、「Aに〜するように命令する」という意味になります。Aの部分には人などを表す言葉が入ります。
将軍は全部隊に攻撃を命じた。
次のようにthat節を使うこともできます。この場合「that」は省略可能です。
私の上司は、その書類を昼の12時までに仕上げるよう命令した。
また、セリフと組み合わせることもあります。
「その人たちを解放しなさい」と女王は命じた。
「command」は名詞として使われると「命令」「指令」といった意味になります。
教えてください。いつその撤退命令が出されたのですか。
commandのその他の意味・使い方
「命令する」にやや似ていますが、「command」には「指揮する」「制する」「支配する」といった意味もあります。
アメリカは長い間その国を指揮下に置いてきた。
名詞として使われる場合、「指揮(官)」「統率」「支配」といった意味もあります。
ここの指揮官は誰ですか。
mandate
やや硬い言葉ですが、「mandate」も「命令する」という意味で使われます。
主にアメリカ英語です。「義務づける」「強制する」といった日本語に訳される場合もあります。
その自治体は、全ての住民がその地域に住むことを命じている。
私たちは環境をきれいに保つために廃棄物を減らすことが義務付けられています。
「mandate」の形容詞形は「mandatory」です。意味は「義務的な」「強制的な」などです。
この大学の1、2年生は英語が必修です。
instruct
「instruct」には「命令する」「指示する」のほか、「教える」などの意味があります。発音のアクセントは後ろの「ru」の部分にあります。
「命令する」のinstruct
「instruct」は、同じ「命令する」でも、「order」や「command」に比べると少々命令の厳しさが弱めです。「指示する」という日本語が当てはまる場合が多いかもしれません。
「instruct A to 〜」の形で「Aに〜するよう命じる、指示を与える」という意味になります。Aの部分には人などを表す言葉が入ります。
医師は彼女にその薬を1日3回飲むように指示した。
「wh節・句」を使うこともできます。
弁護士はヴィンセントに人々の前で何を言うべきかを指示した。
次のようにthat節を使うこともできます。この場合「that」は省略可能です。
先生は、発熱している子供にはマスクを着用するように指示しました。
また、セリフと組み合わせることもあります。
「建物の周りを3回走れ」と男は命じた。
instructのその他の意味・使い方
「instruct」は「教える」という意味でよく使われます。スポーツなどの指導者を「インストラクター」などと言いますよね。あの「インストラクト」です。
私の兄は私にギターの弾き方を教えてくれた。
教授は喜んでその若い女の子に物理学を教えました。
「命令する」に関連するその他の表現
「言う」という意味でよく使われる「tell」は、「命令する」というようなニュアンスの場合にも使うことができます。
他の単語がとっさに出てこない時は、この「tell」を使うのが便利です。
彼の継母は、宿題を終えるまで家から出ないように彼に命じました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「命令する」という意味の英語表現や用語について解説しました。
少々難しめの単語もありますが、覚えておくと役立つものばかりです。
「命令する」以外の意味も含め、例文を繰り返し読み返しながら各単語の使い方を復習してみてくださいね。力がつきますよ。

◇経歴
児童英語講師
オンライン英会話講師
NC英語アドバイザー
英語学習ライター
元大学教員
◇資格
TESOL/TEC(CANADA)
中学校教諭二級免許状(英語)
◇海外渡航経験
25歳で初めて、短期間の語学留学をきっかけに本格的に英語の勉強を開始しました。
雑誌の編集・ライティング、テレビCMの企画・撮影等などの仕事が長く、英語を使っての海外取材や撮影経験も多く経験しています。また海外で日系新聞社の副編集長をしていたこともあります。
◇自己紹介
「英語学習に終わりはない」「継続は力なり」を実感し、50代半ばから毎日英語の勉強を続けて2000日近くが過ぎました。
「楽しく学ぶ!」をモットーに、僭越ながら私の異文化経験や英語の知識などをブログに織り交ぜながら、執筆することを心がけています!ネイティブキャンプのオンライン講師もしています。初心者・初級者限定ですが、ぜひ一緒に学びを続けましょう。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.