ストレッチの意味と使い方
子供の頃は、ラジオ体操をやっても「これっていったい何に役立つのだろう」などと思ったりしました。しかし、だんだん大人になるにつれて、たまに体操したり運動やヨガをしたりすることが大事だと分かってきます。一生懸命勉強をしていたり、仕事で長時間パソコンに向かっていたりしていると、知らない間に体が固まってしまいますよね。
本格的な運動とまではいかなくても、勉強や仕事の合間、あるいは朝起きた時や寝る前に推奨されているのが、体を伸ばし筋肉をほぐす「ストレッチ」です。習慣にすれば、健康管理・体調管理に役立ちます。
そしてこの「ストレッチ」、英語では「stretch」です。英語がほぼそのまま日本語になっている、と考えてもいいかもしれません。
ただ、この英語の「stretch」は、実は、体を伸ばすという以外にもさまざまな意味を持つ、日常生活でもよく使われる便利な言葉なんです。
今回はこの「stretch」について、詳しく見ていきたいと思います。
引き伸ばす
「ストレッチする」「体を伸ばす」という意味も含めて、「stretch」にはまず何かを「引き伸ばす」という意味があります。
体を引き伸ばすstretch
冒頭でも触れた、体を伸ばして筋肉をほぐしたりする、いわゆる「ストレッチ」を表す「stretch」です。ただし、運動として意識された「ストレッチ」だけではなく、ちょっと軽く体を伸ばすような動きも英語では「stretch」といいます。
加えて、何かを取ろうとして手を伸ばしたりする体の動きも「stretch」で表すことができます。
自動詞として使う場合は「伸びる、ストレッチする」、他動詞として使う場合は「〜を伸ばす」などとなります。
I do stretching exercises every day.
私は毎日ストレッチ体操をします。
After shutting down his computer, he stretched and yawned.
コンピュータの電源を切った後、彼は体を伸ばし、あくびをした。
Could you stretch your arms?
腕をいっぱいに伸ばしていただけますか。
He stretched out his hand to her.
彼は彼女に手を差し伸べた。
I stretched out for the remote controller and fell.
リモコンを取ろうと手を伸ばしてひっくり返りました。
My son likes stretching himself out.
息子は背伸びをするのが好きなんですよ。
また、「体を伸ばしながら横になる、寝そべる」という意味もあります。
She stretched out on the sofa.
彼女はソファに寝そべった。
以上は「stretch」を動詞として使った場合ですが、加えて「stretch」は名詞として使うこともできます。
Making a stretch is good for your health.
ストレッチは体にいいですよ。
物などを引き伸ばすstretch
人間の体だけではなく、物を引き伸ばす場合や、物が伸びている場合にも「stretch」が使えます。他動詞として「〜を引き伸ばす」、自動詞として「伸びている」の、どちらでも可能です。
よく使われるのが、伸縮性のある素材でできた衣服が伸びてしまったような場合です。
The sweater is stretched at the elbows.
そのセーターは両肘のところが伸びています。
My trousers have stretched a little.
私のズボンは少し伸びています。
Please stretch the rope tight.
ロープをぴんと張ってください。
この意味の「stretch」にも名詞があります。「伸縮性」などと訳される場合もあります。
This T-shirt has completely lost its stretch.
このTシャツは完全に伸び切ってしまった。(伸縮性を失った。)
働かせる
「stretch」を他動詞として使う場合、「(仕事などが〜の能力を)働かせる」「最大限に発揮させる」「倒れそうになるまで働かせる」といった意味もあります。
I can’t stand it anymore. This task always stretches me.
もう耐えられない。この仕事はいつも私をへとへとになるまで働かせる。
This new job may stretch me a lot, but I’m happy to try it.
この新しい仕事は懸命に働くことを必要とするかもしれないが、喜んでトライしたい。
広がる
範囲などが広がることを表現する際にも「stretch」は使われます。以下、「空間の広がり」と「時間の広がり」に分けて、その使用例を見ていきましょう。
空間の広がりを表すstretch
人や物がある空間において広がっている様子、あるいは、空間そのものが広がる様子などを表す「stretch」です。
例えば、行列が伸びていたり、土地が広がっているなどの状況を表現します。
I saw a very long line stretching around the corner.
角を曲がっても続いている長い行列を見たよ。
A lush green field stretched away to the skyline.
青々とした草原が地平線まで広がっていた。
Chile stretches from tropical to subantarctic latitudes.
チリは熱帯から亜南極の緯度にまで広がっています。
以上は動詞としての「stretch」ですが、名詞にも同様の意味があります。何かの「一面の広がり」や「連なり」を表します。
We were astonished by the stretch of a green field.
私たちは、一面に広がる緑の野原に驚きました。
Look! That’s a splendid stretch of river.
見て! 素晴らしい川の流れよ。
時間の広がりを表すstretch
何かがある期間に渡って続くといった「時間的な広がり」も「stretch」で表現できます。「続く」という意味の「continue」や「last」などが類語です。自動詞としても他動詞としても使われます。他動詞の場合は「be stretched」という形で使われることが多いです。
The battle stretched over 10 hours.
その戦闘は10時間にも及んだ。
The research may be stretched into years.
その研究は何年にも及ぶかもしれない。
以下のように「stretch」を名詞として使い、「a stretch of〜」で連続した一続きの期間を表します。
He’s been absent for a stretch of three weeks because of a severe injury.
彼はひどいケガをしたため、3週連続で休んでいます。
話を盛る・大袈裟に言う
「stretch」の基本的な意味は「何かを伸ばす・広げる」ということですが、そこから発展して、話の内容を実際よりも誇張するというような意味もあります。「話を盛る」「大袈裟に言う」といった日本語も当てはまります。
I think he is always stretching everything.
彼っていつも、どんな話でも盛っていると思う。
Be honest! Don’t stretch the truth.
正直に言って。真実を曲げて大袈裟に言わないで。
I don’t want to hear stretched stories.
大袈裟な話は聞きたくありません。
以下のように、「拡大解釈する」「こじつける」といった文脈でも使われます。
You must not stretch the law.
法律を都合のいいように解釈してはいけません。
To persuade others, sometimes, we need to stretch a point.
他人を説得するために、時にはこじつけをする必要があります。
stretchのスラング表現
これまで見てきたように、「stretch」はフォーマルな場面でも日常会話の中でもよく使われる言葉です。
ここでは、特にカジュアルな場面でスラング的に使われることの多いフレーズをいくつかご紹介したいと思います。
・That’s a stretch.
上で解説しましたように、「stretch」には「話を盛る・大袈裟に言う」といった意味があります。そして、名詞の「stretch」にも「拡大解釈」「こじつけ」「誇張」「おおげさ」という意味があります。「That’s a stretch.」はカジュアルに使われる、相手の誇張を指摘するフレーズです。そういえば日本語の「盛る」の方もスラングですね。
That’s a stretch, isn’t it?
盛ってない?
・stretch one’s legs
直訳すると「足を伸ばす」ですが、これは「散歩に出かける」という意味でも使われます。
Why don’t we stretch our legs after lunch?
ランチの後、散歩に出かけない?
・by any stretch of the imagination
「どんなに想像をたくましくしても」という意味のスラング表現です。普通は否定文で、「どんなに想像をたくましくしても〜ない」という形で使われます。
It can’t be a true story by any stretch of the imagination.
いくら想像力をたくましくしても、それが本当の話のはずはない。
形容詞のstretchとstretchy
ここまで、動詞と名詞の「stretch」について解説してきましたが、最後に、「stretch」が形容詞として使われる場合と、関連語である「stretchy」について触れたいと思います。
「stretch」が形容詞として使われると、「伸縮性のある」「よく伸びる」といった意味になります。通常、名詞の前に置かれます。
The manufacturer often uses stretchy material.
その製造会社は伸縮性のある素材をよく使います。
一方の「stretchy」は形容詞で、意味は同じく「伸縮性のある」です。ただしこちらは形容詞の「stretch」と違い、名詞の前でも、また、次の例文のように、be動詞の後など補語としても使われます。
My pants are very stretchy.
私のパンツはとっても伸縮性があるの。
まとめ
いかがでしたか?
体を伸ばして筋肉をほぐす「ストレッチ」は誰もが知っている日本語ですが、その元となった「stretch」にはさまざまな意味や使い方があることがおわかりいただけたかと思います。
「stretch」をうまく日常会話に取り入れて、英語力を高め、会話の幅を「広げて」くださいね。

◇経歴
児童英語講師
オンライン英会話講師
NC英語アドバイザー
英語学習ライター
元大学教員
◇資格
TESOL/TEC(CANADA)
中学校教諭二級免許状(英語)
◇海外渡航経験
25歳で初めて、短期間の語学留学をきっかけに本格的に英語の勉強を開始しました。
雑誌の編集・ライティング、テレビCMの企画・撮影等などの仕事が長く、英語を使っての海外取材や撮影経験も多く経験しています。また海外で日系新聞社の副編集長をしていたこともあります。
◇自己紹介
「英語学習に終わりはない」「継続は力なり」を実感し、50代半ばから毎日英語の勉強を続けて2000日近くが過ぎました。
「楽しく学ぶ!」をモットーに、僭越ながら私の異文化経験や英語の知識などをブログに織り交ぜながら、執筆することを心がけています!ネイティブキャンプのオンライン講師もしています。初心者・初級者限定ですが、ぜひ一緒に学びを続けましょう。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.