韓国語など外国語習得は勉強を始めてすぐに理解できるようになったり会話ができるようになるものではなく、ある一定の成果が出るまでにはそれなりの時間がかかるスキルの習得です。
韓国語習得にどのくらいの時間がかかるかは人により違うため一概には言えません。
例えば、どの程度のレベルの韓国語を身に付けたいのか、学習時間はどのくらい確保できるのか、また韓国語学習を始める年齢などの条件によって変わります。
個々の条件によって習得までに要する時間が変わるとは言え、韓国語を全く分からない初心者が韓国語を日常的に必要としない環境で外国語として学ぶ場合、少なくとも2年から3年程度かかるとみておくのが妥当です。
このように習得までに長い時間がかかる韓国語習得ですが、2~3年を超えて5年、10年と勉強を続けているにもかかわらず、ずっと初級から抜け出せない、韓国語会話ができるようにならないと悩む人が数多くいます。
その原因のひとつが勉強法を知らないまま自己流で勉強をしていることが挙げられます。そして、その自己流の方法が何となくだったり好きなやり方であったりすることでとても効率の悪い勉強になっていることが多々あります。
今回の記事では、韓国語習得ができないよくある間違った勉強法をまず挙げ、その問題を解決する方法として守破離(しゅはり)の3ステップを使った勉強法について説明します。
やりがちな間違った韓国語の勉強法
韓国語を学ぶ目的や目指すレベルは学校の勉強のように全員が一律で同じではなく、個々に違います。
それらの個々に違う目標を達成するためには、その目標に合った勉強法や練習法を取り入れてする必要がありますが本質的な勉強法は目的やレベル問わず同じです。
ところが、韓国語学習をしている人の中には自分の目標や現状のレベルに合わない間違った勉強法をしているために成果が出ていないことが少なからずあります。
間違った勉強法の主なものを以下に挙げます。
最初からやりたいことで勉強している
韓国語を勉強している人の中には、K-POPや韓国ドラマなど韓国のエンタメに興味を持ったことがきっかけで韓国語学習を始める人が多いです。
他にも、韓国語会話ができるようになりたいという人も多いです。
このような学習者の中には、韓国ドラマを見て聞き取りの勉強をしたりいきなりオンラインレッスンなどで韓国人と会話をしたりといったことをしている人がいます。
ですが、これらのことは韓国語を使ってすることであるため、前提としてある程度の韓国語能力がなければできません。
つまり、最初から韓国語ドラマを理解するとか会話をするといったことは韓国語自体の勉強をしっかりとしていない状態で韓国語を使って他のことをしていることになるため、やってもできなかったり学習効率が悪いです。
自分の学習レベルに合わない勉強をしている
これは先の項目と重なる部分がありますが、勉強を一生懸命にしているのになかなか成果が出ないと悩む学習者がしていることの多くが自分の学習レベルに合わない勉強です。
例を挙げると、聞き取りができるようになるために聞き流しが良いと聞いて何でも良いからとにかく韓国語を聞くといったことや、日常会話ができるようになりたいからといきなりフリートーキングをするといったことです。
第二言語習得論にインプット仮説というものがあります。インプット仮説では、適切な目標設定は現在の能力より+1とされています。
+1がどの程度かと言うと、今すぐにできるようになることはできないが、やれば何とかできるようになりそうだというレベルです。
また、学ぶべきものについても自然的な順序に沿った次のレベルとされています。
このことからも、現状の自分のレベルとかけ離れた勉強をしても効果がないということが分かります。
暗記が目的の勉強をしている
韓国語習得をするためには、単語と文法を知識として学ぶことは必須です。
まずは教材を使いこれらをひとつずつ知識として自分の中に取り込んでいくことが、韓国語を理解したり使えるようになるためには必要です。ですが、これらを覚えることは手段であって目的ではありません。
ところが、学校教育の影響もあって韓国語学習の目的が単語暗記や文法をそのまま覚えることになってしまっている学習者がとても多いです。
会話ができるようになりたいととにかくフレーズを暗記するといった勉強をする人がいますが、それらを何の理解もなく暗記をしてもできる会話はごく限られたものにしかなりません。
韓国語習得の守破離(しゅはり)
ここからは、韓国語習得を確実にするための勉強法について説明します。
まず、韓国語習得を確実にするためには、守破離の考え方をもとに進めます。
守破離とは?
守破離とは、剣道や茶道など日本の伝統的な芸事を習得する過程を示したものです。
守破離は、剣道や茶道などに限らず、ビジネス、スポーツ、技術の習得に幅広く応用される普遍的な考え方です。
これは韓国語習得にももちろん当てはまり、守破離の考え方をもとに学習を進めることで確実に習得ができます。
まず、守破離は以下の3ステップに分かれます。
基本となる型や技を忠実にそのまま真似て基本を確実に身に付ける段階
基本を身に付けた次の段階である破では、基本に少しだけアレンジを加えて応用する段階
基本から完全に離れ、破で身に付けた応用力をもとに自分のオリジナルができる段階
この守破離の3ステップを段階的に着実に進めていくことで、自分の現状のレベルに合わない勉強をしたり単なる暗記をすることが目的の勉強をすることがなくなります。
韓国語習得の守破離
守破離の考え方は韓国語習得にも当てはめることができます。
ここからは、守破離を韓国語習得に応用した勉強法について説明します。なお、この勉強法はレベルを問わず使える勉強法です。
守
守の段階では教材などの学習内容をそのまま忠実に真似て基本の型を身に付けます。
教材を使ってする学習でまずすることが単語や文法を学び知識を習得することです。教材の各課で学ぶ単語と文法は例文の中で使われています。
その例文や会話文、読解文をそのまま真似て書くことで綴りを覚え文法を理解し、音読練習をすることで発音をできるようになり、聞き取りをして聞き取れるようにします。
文法解説で出ている例文は汎用的に使える基本の型であることが多いので、それをまず基本としてそのまま覚え、次の破の段階でするアレンジのベースとなる文とします。
この守の段階は韓国語の基本であるため特に重要で、韓国語の基本の型や日本語とは違う韓国語特有の表現などをしっかりと学び定着させることが重要です。
この段階で基本をしっかり身に付けないまま破や離に進むと、自分が普段使っている日本語をもとにした韓国語を作ってしまい自然な韓国語が身に付きません。
破
破の段階では守で身に付けた基本の型を部分的にアレンジし基本の型から派生させた文を作れるようにします。
部分的にアレンジするだけでベースとなる型は崩さないことがポイントです。
例:下記の例文をアレンジする
① ② ③
この例文を基本の型として①~③の部分をいろいろな単語に置き換えてアレンジします。
①をアレンジ
日曜日に駅で友達に会いました。
②をアレンジ
昨日明洞で友達に会いました。
③をアレンジ
昨日駅で同僚に会いました。
最初は一か所だけアレンジをして、その後は①と②をアレンジ、②と③をアレンジ、①~③までアレンジのようにすることでひとつの例文から多くの文を作ります。
それを書いたり音読練習することでいろいろなパターンの文を理解し話せるようになります。
教材に出ている各例文を上記の方法でそれぞれアレンジするだけでもかなりな数の文を作ることができるはずです。
離
離の段階では守で身に付けた基本、破で身に付けたアレンジ力を活かしオリジナルができるようになる段階です。
オリジナルは基本的には作文や会話など自分から発信する部分に必要になってくる能力ですが、ここまでの勉強で数多くの文を理解できるようになっていれば、読解や聞き取りなどでの理解度も上がっているはずです。
離の段階では、このひとつ前の破の段階で身に付けたアレンジを組み合わせることでオリジナルを作りだせるようになるイメージです。
例:破でアレンジした文を組み合わせてオリジナルの文を作る
昨日明洞で友達に会いました。
友達と一緒に昼食を食べました。
昨日友達と明洞で会って一緒に昼食を食べました。
韓国語に限らず英語でもそうですが、会話がなかなかできるようにならないという悩みを持つ学習者が多いです。
会話がなかなかできるようにならない原因は、話すことに慣れていないだけで文を作ること自体はできる場合とそもそも文を作ることができない場合があります。
文を作ることができない原因は単語や文法を学んでも、それを実際に使う練習が足りないために知識として知っているだけで使えるようになっていないことが原因です。
もしくは、単語暗記など覚えることが目的の勉強になってしまっている為です。この場合は、上記の守破離の3ステップで勉強をしていくことでその問題は解決されます。
まとめ
ここまで韓国語習得ができないよくある間違った勉強法とその問題を解決する方法として守破離(しゅはり)の3ステップを使った勉強法について説明してきました。
韓国語を勉強している人は自分なりに試行錯誤して一生懸命に勉強をしていると思います。ですが、その方法が間違った方法であれば一生懸命にしても残念ながら結果には結びつきません。
韓国語を確実に習得するためには、自分のやりたいことややり方をするのではなく、遠回りだと思っても基本、応用、オリジナルの守破離の考え方でひとつずつ着実に積み重ねていく方が結局のところ早く目標達成ができます。
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◇経歴
日本、韓国の企業で通訳・翻訳、アシスタントとして勤務
日本にて韓国語講師として5年勤務
フィリピンにてフリーの通訳として英語、韓国語、日本語の3言語の通訳を担当
◇資格
韓国語能力試験(TOPIK)6級
延世大学校韓国語教員養成課程修了
◇海外渡航経験
ワーキングホリデーにてソウルの企業数社で通訳・翻訳、セールス、マーケティングを担当
韓国語習得のための留学5回(一般韓国語、ビジネス韓国語)
延世大学校にて韓国人と共に韓国語教育について学ぶ
◇自己紹介
韓国語学習コンサルタント
韓国語講師
講座構築コンサルタント
オンラインで韓国語学習に悩みを持つ学習者の問題解決をする韓国語学習コンサルタント、韓国語講師として韓国語習得に成功する学習法や練習法も指導しています。
また、英語と韓国語習得に成功した経験とカリキュラム構築、教材作成の経験を活かし講座構築の方法をあらゆるジャンルのプロに指導するコンサルタントとしても活動しています。
海外就職でフィリピンのセブに移住して5年半在住、現在はタイのチェンマイに住んでいます。
外国語に興味があり、英語、韓国語(ビジネスレベル)、中国語(中級)、現在はタイ語習得を目標に勉強しています。