副詞の「only」は、「〜だけ」「〜のみ」というような、何かを限定する意味を持っています。また、副詞の「even」には「〜でさえ」「〜でも」「〜すら」「〜だって」といった意味があります。このように意味は異なりますが、この2つの副詞に共通することがあります。それは「入れる場所に要注意!」です。
「only」と「even」はいずれも、「主語を修飾する場合」と「主語以外の語句を修飾する場合」との2通りに大きく分かれます。それぞれの場合に、文のどこに入れなければならないのか、それが重要なのです。
つまり、「only」や「even」を入れる場所によって、文全体の意味が異なってくるのです。そして、どこに入れればどんな意味になるのか、ちょっとややこしく感じられるかもしれません。入れる場所を間違って使っている人も多いかもしれません。
今回は、そんな副詞の「only」と「even」を取り上げ、その意味と正しい使い方を例文フレーズとともにわかりやすく解説していきたいと思います。
- 「only」の位置と使い方
- 主語の前に置かれ、主語を修飾する「only」
- 主語以外の語句を修飾する「only」
- 「even」の位置と使い方
- 主語の前に置かれ、主語を修飾する「even」
- 主語以外の語句を修飾する「even」
- その他:「just」も文中の位置によって意味が変わる
- まとめ
「only」の位置と使い方
まず副詞「only」の解説から始めましょう。副詞「only」は「〜だけ」「〜のみ」という意味ですが、「主語の前に置かれ、主語を修飾する場合」と「主語以外の語句を修飾する場合」に分かれ、文全体の意味も変わってきます。
まずは、次の3組の英文の「only」の位置と日本語訳を見てみてください。
私だけが出張でロンドンを訪れた。
I only went to London on my business trip.
私は、出張でロンドンだけを訪れた。
私だけがオーストラリアに行く予定です。
I’m only going to go to Australia.
私はオーストラリアだけに行く予定です。
彼だけがフランス語を話すことができる。
He can only speak French.
彼はフランス語だけを話すことができる。
いかがでしょうか。これらを見てわかるように、「(主語)だけが〜」という場合には、「only」は主語の前に置き、主語以外のものを修飾する場合は、「only」は主語の後の方に置くことが理解できたのではないでしょうか。
では、「主語の前に置かれ、主語を修飾する場合」と「主語以外の語句を修飾する場合」のそれぞれについて、詳しく見ていきましょう。
主語の前に置かれ、主語を修飾する「only」
「(主語)だけが〜」と言いたい場合には「only」は、主語の前に置きます。
私だけが出張でロンドンを訪れた。
私だけが真実を知っていた。
彼女だけが本をなくした。
主語以外の語句を修飾する「only」
「only」が主語以外の語句を修飾する場合、一般動詞の前に置く場合とbe動詞や助動詞の後に置く場合があります。
・一般動詞の前に入れる「only」
主語以外のものについて「〜だけ」と言いたい場合「only」は、一般動詞の前に置くのが基本です。
私は、出張ではロンドンだけを訪れた。
ジョージは、昨年はインドネシアだけを訪れた。
彼女はそのノートだけを買った。
・「be動詞」や「助動詞」の後に置かれる「only」
文の中に「be動詞」や「助動詞」がある場合「only」は、「be動詞の後」あるいは「助動詞の後」に置きます。
私はオーストラリアだけに行く予定です。
彼はフランス語だけを話すことができる。
彼らはそのビルだけを取り壊す予定です。
私の子どもはいくつかのアルファベットを書けるだけです。
「only」が「主語以外の語句を修飾する場合」は、以上が基本的な決まりです。
しかし、「only」は他の場所に置かれるケースもあります。動詞が2つある場合(不定詞が含まれる場合)や、書き言葉の時に見られる「only」の位置です。併せて覚えておくと便利なので、以下に説明します。
・動詞が2つある場合(不定詞が含まれる場合)
「1つの文に動詞が2つある」というのは、ここでは、文中に不定詞などがある場合を指します。例えば「want to+動詞の原形」(〜したい)です。
「パリにだけ行きたい」という場合、
私はパリにだけ行きたい。
これが最も一般的ですが、
私はパリにだけ行きたい。
このように、不定詞「to go」の「to」と「go」の間に「only」を入れることも可能です。動詞が2つある場合は、どちらの動詞の前に置いても大丈夫ということです。
・書き言葉に見られる「only」
これまで説明しましたように、主語以外のものを修飾する場合「only」は「一般動詞の前」か「be動詞や助動詞の後」に置くのが普通です。
しかし、書き言葉においては、修飾する語句の直前に「only」を置く場合もあります。
私はケーキしか食べない。
私は菜食主義者です。ですので、私は野菜しか食べません。
この使い方は、日本では教科書などではよく見かけるので、習ったことのある人も多いのではないでしょうか。ただ、特に会話においては、英語ネイティブスピーカーはあまりこのような使い方はしないようです。
「even」の位置と使い方
次に副詞の「even」について解説しましょう。副詞「even」には「〜でさえ」「〜でも」「〜すら」「〜だって」といった意味があります。
そして、「even」も「only」と同様に、「主語の前に置かれ、主語を修飾する場合」と「主語以外の語句を修飾する場合」に分かれ、文全体の意味も変わってきます。
まずは次の3組の英文の「even」の位置と日本語訳を見てみてください。
彼らでさえこれを知っている。
They even know this.
彼らはこのことさえ知っている。
否定文
彼らでさえこれを知らなかった。
They didn’t even know this.
彼らはこのことさえ知らなかった。
ジョージでさえその本を読もうとしているんだよ。
George is even going to read the book.
ジョージはその本さえ読もうとしているんだよ。
否定文
ジョージでさえその本を読もうとしていない。
George is not even going to read the book.
ジョージはその本さえ読もうとしていない。
彼らでさえそれをすることができる。
They can even do it.
彼らはそれさえすることができる。
否定文
彼らでさえそれをすることができない。
They can’t even do it.
彼らはそれさえすることができない。
「only」の場合と同じように、「(主語)でさえ」という場合には、「even」は主語の前に置き、主語以外のものを修飾する場合は、「even」は主語の後の方に置きます。
では、ここからは「主語の前に置かれ、主語を修飾する場合」と「主語以外の語句を修飾する場合」のそれぞれの場合について、詳しく見ていきましょう。
主語の前に置かれ、主語を修飾する「even」
「(主語)でさえ〜」と言いたい場合は、「even」は主語の前に置きます。
彼らでさえこれを知っている。
例えば、話している相手に対して「あなたはこのことを知らないの? 彼らでさえ知っているのに」と言うような場合ですね。「誰だって知っているよ」といったニュアンスです。
また例えば、ここでいう「彼ら」は、ある話題についてあまり関係ない人々かもしれません。「そんな人々でさえも知っていることだ」というような意味合いになります。
他の例文を挙げましょう。
ナンシーでさえ彼の言ったことを理解している。
その子どもでさえ、ジェットコースターに乗るよ。
主語以外の語句を修飾する「even」
「even」が主語以外の語句を修飾する場合、一般動詞の前に置く場合とbe動詞や助動詞の後に置く場合があります。
・一般動詞の前に入れる「even」
主語ではなく文中のものを指して、「〜さえ」と言いたい場合は「even」は一般動詞の前に置きます。
彼らはこのことさえ知っている。
「They even know this.」は、「彼らはこのことさえ知っている」という意味ですが、この場合は、「彼ら」は常日頃からいろいろなことを知っている人たちで、彼らの博識あるいは事情通ぶりを示しています。このように「このことさえ」と表現する場合は、「even」は「know」の前、すなわち動詞の前に置きます。
「このことさえ」なので、日本語で考えると「even」は「this」にかかっているように思えますが、「They know even this.」とは通常は言いません。
否定文の例を見てみましょう。
彼らはこのことさえ知らなかった
こうした場合、「even」は「know」の直前に入ります。「didn’t」など否定語の前ではないことを覚えておきましょう。
驚いた! そのネコは日本語さえ話す。
彼らはスペイン語さえわからなかった。
・「be動詞」や「助動詞」の後に置かれる「even」
文の中に「be動詞」や「助動詞」がある場合は、「even」は普通「be動詞の後」あるいは「助動詞の後」に置きます。
ジョージはその本さえ読もうとしている。
「be動詞」がある場合は、このように「even」はその後に入ります。
「George is even going to read the book.」(ジョージはその本さえ読もうとしている)は、ジョージは普段からとても本が好きで、その本がつまらないと前評判でわかっていてもなお読もうとしている、というような状況を示しています。
「助動詞」がある場合は、「even」はその後に置かれます。
彼らはそれさえすることができる。
そのラジオさえルーシーは聞こうとしている。
彼はデンマーク語さえ話せる。
「even」が「主語以外の語句を修飾する場合」は、以上が基本的な決まりです。
しかし、「even」は他の場所に置かれるケースもあります。動詞が2つある場合(不定詞が含まれる場合)がその一つです。
・動詞が2つある場合(不定詞が含まれる場合)
「1つの文に動詞が2つある」というのは、ここでは文中に不定詞などがある場合を指します。例えば「want to+動詞の原形」(〜したい)です。
「その国にさえ行きたい」という場合、
彼女はその国にさえ行きたがっている。
これが最も一般的ですが、
彼女はその国にさえ行きたがっている。
このように、不定詞「to go」の「to」と「go」の間に「even」を入れることも可能です。
次の場合も同様です。
ジョージはその本さえ読もうとしている。
ジョージはその本さえ読もうとしている。
その他:「just」も文中の位置によって意味が変わる
副詞「just」が「〜だけ」という意味で「only」と同じように使われる場合も、置かれる位置によって文の意味が変わってきます。基本的な決まりは「only」や「even」と同じです。
次の2つの英文の「just」の位置と日本語訳を見てみてください。
私だけがりんごを食べました。
② I just ate an apple.
私はりんごだけ食べました。
①の「just」は主語の前に置かれ、主語を修飾する場合です。「(主語)だけが〜」となります。
彼のパーティには友だちが2人だけしか来なかった。
私だけハンバーガーを満喫しました。
②の「just」は主語以外のものを修飾する場合です。②の場合「りんごだけ」という意味になります。
「just」が置かれる位置は、「only」や「even」の場合と同様、「動詞の前」が基本です。
その猫はドアを引っかいただけですよ。
あなたと話がしたいだけです
まとめ
いかがでしたか?今回は、英語学習者が悩みがちな「only」と「even」、そして「just」の使い方について、特に、それが置かれる場所によって文の意味が変わってくるということについて解説しました。
簡単そうでけっこうややこしい「only」「even」「just」ですが、意味を確認しながら何度も例文を音読暗唱して自然に口から出るようにすると、英会話力もアップすること間違いなしです。ぜひ学習の参考にしてくださいね。

海外で、テレビCMの制作、日系新聞社で副編集長、日本では大学教員などを経験。現在は執筆業の傍ら、編集・制作プロダクションを経営。英語ニュース記事が大好き。「自分で英語のニュース記事を書いてみたい!」と、長年の経験とカンによる自己流英語から脱するべく、本格的に英語のやり直しに目覚める。英語力アップには「継続することが大事」とわかっているのだが、筋金入りの飽きっぽい性格。とにかく「毎日1行でも英文を読む」という目標を自分に課し、なんとか1000日以上が経過。現在も継続中!いずれは「趣味は英語」と言える日を目指している。夢は還暦過ぎての留学!

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.