スラングといえば、「俗語、卑語、隠語」といったものを想像しますね。英会話で下手に使ってしまうと、ちょっと危険な匂いも!?
ところが、年配の人や品のある人でも使うスラングもあるんです。どんな表現があるのか、スラングの世界を覗いてみましょう。
婉曲表現としてのスラング
先に書いたように、「スラングといえば、俗語や卑語」を言います。
よく知られているのが、Fワードですね。なので「スラングに上品も下品もあるのかな?」と思う方も多いことでしょう。
しかし、英語にも婉曲な表現があり、それらもスラングに分類されています。代表的なものを取り上げます。
1. Darn / Dang
「Damn」の婉曲的な表現です。
「Damn」は、もともと「ののしる;けなす」などを意味する他動詞で、「Damn」や「Damn it」で「ちくしょう!」や「くそっ!」を意味します。
また、驚きや怒り、悔しさを表したり、協調したりするときにも「Damn」を使いますが、子供の前やフォーマルな場での使用は好ましくありません。
その代わりに、「dang」や「darn」が丁寧な言い回しとして使われます。「Darn」はちょっと古い言い方で、どちらかというと年配の人が使う表現。一方の「Dang」は、より若い人向けの言い方です。
また、「Damn」の代わりに「Dammit」と言うこともありますが、その丁寧な言い回しが「Dang it」です。「Damn」は「Very」の代わりに使ったりしますが、「Darn」や「Dang」も同じように使えます。
B: Yeah, I like it too!
A:この曲、めちゃいい!
B:私も好き!
2. Crap / Shoot
主にアメリカで使われる「Shit」の婉曲表現です。
「Oh, shit!」で「しまった!」のような意味で用いられ、映画やドラマでよく耳にしますが、本来は「排便;大便」のこと。その点、「Crap」や「Shoot」であれば、下品な印象になりません。
また「Shit」にちなんで、「うわ~!」や「くそっ!」を意味する「Holy shit!」という表現。これに品を持たせたのが、「Holy cow」です。「Crap」を代わりに使って、「Holy crap」という表現もできます。
うわ~、バスが遅れてる!
3. Fudge / Frick
Fワードと言われる「Fuck」、その婉曲表現がこの2つです。
皆さんもよくご存知のように、Fワードはネイティブスピーカーの日常会話の中で頻繁に使われています。ですが、さすがに子供の前やフォーマルな、きちんとした場面では敬遠されています。
「Fudge」は「チョコファッジ」などでも知られている柔らかなお菓子のこと。「Frick」の方はとくに意味はないそうです。
B: You gotta go now.
A: やばっ!スマホを会議室に置いたままだ!
B: すぐ戻った方がいいよ。
「Gotta」は、「have got to」のことで、「~しなければならない」を表す口語です。「I gotta go.」で「行かなきゃ」という意味になります。
4. Jeez / Goodness / Gosh
よく知られているように、ネイティブスピーカーはよく「Oh my god」もよく使います。
しかし、「Jesus(イエス・キリスト)」や「God」をスラングのように使うのは、基本的には好まれません。<本人に悪気はないとしても、熱心な宗教家のいる場所で軽率に使うと、トラブルの素になってしまったり。
そこで、一般的にアメリカでは、「Jesus」に対して「Jeez」が、「God」に対して「Goodness」や「Gosh」が、それぞれ婉曲表現として使われます。
B: I’m gonna go out with Jake.
A: Oh gosh! Why didn’t you tell me!
A: なんか幸せそう。何ごと?
B:Jakeとデートなの。
A: マジで!?言ってくれないなんて!
挨拶や日常生活で使うスラング
5. What’s up?
次の「Sup?」とも英米は問いません。
もともとは「調子はどう?」や「何かあった?」という意味でしたが、次第に「Hi」と同じように使われることも多くなりました。「Hi」ということは、ただの気軽な挨拶だと思って大丈夫です。
B: What’s up?
6. Sup?
「What’s up?」の短縮が「Sup?」で、こちらもよく使われています。
どちらも「Hi」と同じなので、「Sup?」と言われたら「Sup?」と返すことができます。
7. How ya doing?
こちらは私もアメリカでよく聞いた「How are you」のカジュアルな口語表現です。
正確には「How are you doing?」ですが、「どうしてる?」とか「どんな感じ?」と訳されます。
答えとしては、「I’m doing well」や「I’m good」、「Great」、「All right」などと答えます。
B: I’m doing well. How about you?
A:どうしてるの?
B:まあまあだね。そっちは?
8. How’s it going?
こちらも「How are you」のカジュアルな口語表現で、「調子どう?」という意味です。「It’s good」などと答えます。
B: It’s not bad. You?
A: やあ、調子はどう?
B: 悪くないよ。そっちは?
ここでの「you?」は、「and you?」の「and」を省略しています。
9. Hiya
こちらはイギリスの女性が好んで使う挨拶で、「How are you?」の短縮したものです。
アメリカ人の「Hi」のように、「Hiya」と気軽に使うようです。
10. Cheers
日本でよく知られているのは、「乾杯」の意味ですね。
ところが、イギリス英語やオーストラリア英語では、「ありがとう」や「さよなら」の意味でも使われます。
① カジュアルなお礼
「Thanks」のような意味で使うときには、男性が好んで使う「友達、仲間」の意味を持つ「mate」とセットにして「Cheers, mate」と使うのが一般的だそうです。
次の文に出てくる「brolly」は「umbrella」の短縮形で傘のことです。
B: Cheers, mate!
A:おい、これって君の傘じゃないか?
B:ああ、ありがとう!
② カジュアルな挨拶
出会い頭の「こんにちは」、別れの時の「さようなら」、そのどちらにも使うことができます。
男性が好む「Cheers, mate!」なら、「よお、元気?」という感じでしょうか。
11. What’s good?
こちらもイギリスで使われる表現で、「最近いいことあった?」という意味です。
「What’s up?」と同じ感覚でOK。あまり変わりなければ「Not much」、特に何もないのであれば「Nothing special」と答えれば大丈夫です。
B: Nothing special. You?
A:最近はどう?
B:別に。そっちは?
12. You all right?
こちらもイギリス英語で使われる表現。
真剣に「大丈夫?」と聞いているわけではなく、これも「How are you?」のように考えて問題ありません。
B: Good. What about you?
A:元気?
B:元気だよ。そっちは?
13. See you!
皆さんもよくご存知の、「またね!」ですね。英米を問いません。気軽な間柄であれば、「See ya」という言い方もできます。
14. Catch you later!
こちらは「あとでね」という意味です。「See you」と似ていますが、会う予定があるときに使います。
B: Sure. Catch you later!
A:午後2時頃、カフェテリアで会える?
B:いいよ。またあとで!
15. Take care
本来であれば、「Take care yourself」で、「(身体に)気を付けてください」や「お大事になさってください」という訳語になります。
ただ、知り合いや友人同士であれば、とくに何もなくても、別れ際に「Take care」を使います。
コロナ禍では、「Stay safe」や「Be careful」もよく使われました。同じく、「気を付けてね」という意味です。
B: Thanks. You too!
A:じゃあね。気を付けて。
B:ありがと。あなたもね!
感情や気持ちを表すスラング
16. Lovely
おもにイギリス人が好んで使います。
「Great」、「Excellent」などの「素晴らしい」という意味で使ったり、「Thank you」の代わりに使ったり。汎用性の高い表現です。
B: Oh, lovely. Thanks!
A:このお土産、受け取って。
B:え、ステキ! ありがとう!
17. Brill!
こちらもイギリスのスラングで、「Brilliant」の省略形です。アメリカ英語の「Cool」や「Awesome」と同じように使われます。
B: Wow, that’s brill!
A:おい、サッカーのチケット取れたぞ!
B:お~、最高じゃん!
「footy」は「Football」、つまりサッカーのことです。しかし、アメリカで「Football」といえば「アメリカンフットボール」、NFLを指します。この辺は、慣れないうちは少しややこしいですね。
18. chuffed
イギリスで使われる「(~に)喜んで;ご機嫌で」という意味です。
「very pleased」と同じように使えます。「chuff」そのものは、機関車のシュッシュポッポという音のことだそう。
母の旧友が訪ねてきたとき、母は大喜びだった。
19. Gutted
もとの語である「gut」は、腸や消化管のことを指します(テニスのラケットなどに使われるガットですね)。
動詞の「gutted」で「(魚などの)はらわたを取り除く」を意味しますが、イギリスやオーストラリア、ニュージーランドなどでは、「とてもがっかりした」、「打ちひしがれた」というニュアンスで用いられます。
好きな選手が決勝で敗退したんだ。がっかりだよ。
20. Awesome
アメリカでよく「最高!」や「すごい」、「素晴らしい」という意味で用いられます。
しかし、本来は「畏怖の念を起こさせる」や「荘厳な」を意味し、神がかり的な力を指しています。年配の方はそうした元々のイメージを強く持っているため、スピーチや公の場で使う表現ではありません。
彼って最高!
まとめ
いかがでしたか?スラングといっても、下品な表現や卑語だけではないことが、よくお分かりになったと思います。
日本語の中にもありますよね、正しい日本語とは言われていない言葉の数々。よく耳にするし、実際によく使う、でも正確じゃないといわれる言葉のことです。
それらもまたスラングであると考えれば、日本語学習者が知っておきたいと思うのは、当然のこと。それが英語のスラングにも当てはまりますね。
けれど、膨大な数のスラングが使われて、また廃れているのも事実です。
慌てず焦らず、自分に合ったものを取り入れるのがコツ。また、自分で使っていいかどうか、「ネイティブキャンプ」で確かめてみましょう!
福岡県出身。現在は関東圏に在住。英語の面白さに目覚めたのは、夫の転勤に伴いアメリカに住んだ時。日本語との違いが楽しくて、渡米中の3年間でどんどんハマりました。もともと英語を「書くこと、読むこと」で勉強したので、「聞くこと、話すこと」の方が苦手。でも、オンライン英会話を活用することで、肩の力が抜けて、慣れるものだなぁと実感しました。趣味は山登り。低山から山小屋を利用した縦走まで、山とその周辺の自然に幅広く親しんでいます。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.