皆さんの韓国旅行の目的は何ですか?
ショッピングだったり、本場の韓国料理だったり、韓国ドラマのロケ地巡りだったり、韓国の魅力は沢山ありますが、その目的の1つが韓国サウナだという方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな韓国サウナの歴史や効能、韓国人のサウナの楽しみ方などを詳しくご紹介します。現地在住だからこそ分かる、リアルな韓国情報をお届けします!
韓国サウナってどんなところ?
韓国サウナは찜질방(チムジルバン)と呼ばれ、休息やコミュニケーションの場として昔から愛されてきました。
汗をかくことで体内の老廃物を排出し新陳代謝を高める健康施設というのが本来のサウナですが、サウナの形態が多様化し、その利用目的も多彩になりました。
カフェやホテルの様な洗練されたデザインのサウナはカップルのデートスポットとして、キッズルームが併設されたサウナは家族で楽しむレジャー施設として、都会では終電を逃した時の安価な宿泊施設として、韓国サウナは様々な立場の人から愛され必要とされる大衆の娯楽施設として、今もまだ発展を続けています。
韓国サウナの歴史
チムジルバンの原型は「불가마(ブルガマ)」と呼ばれるもので、陶磁器や炭を焼く窯を人々が活用したのが起源と言われています。
約500年前には、ブルガマと同じ形態のサウナ「한증막(汗蒸幕/ハンジュンマク)」ができていたと言われています。現在主流となっているチムジルバンが誕生したのは比較的最近1990年代の話で、2000年代に入ってからいわゆる健康センターの様な形態が増え始めました。
「チムジルバン」と「ハンジュンマク」と「サウナ」の違い
韓国人でも違いがあやふやになるこの3つ。ここで整理しておきましょう。
チムジルバンは、発熱方式が黄土・玉石・ゲルマニウムなどを熱し、その石から出る熱で室内を温めます。単なる温熱作用だけでなく、遠赤外線効果なども期待できます。
ハンジュンマクは、部屋がドーム型なのが特徴で、ドーム内で直接火を起こす為チムジルバンやサウナよりもかなり高温になります。高温を和らげるために麻でできたマントの様なものをかぶったりもします。
サウナは、前の二つに比べて湿度が高く、また浴場の一部に設置されていて服を着ないで利用します。
韓国サウナの効能
ここでは、韓国サウナ=チムジルバンの効能について詳しくご紹介します。なんとなく身体に良さそうですが、実際にどんな効果があるのでしょう。
- 免疫力UP
人間は基礎体温が1度下がると免疫力が30%落ちると言われています。チムジルバンは低温でも免疫力を高めてくれ、特にヒノキ・塩・黄土でできたチムジルバンに高い効果が期待できます。 - 老廃物排出・解毒作用
高温により血管が広がり血流量が増加、発汗を促します。汗はそのほとんどが水分ですが、体内の鉛・ニッケル・亜鉛といった化学物質も一緒に排出させる解毒作用もあります。 - 筋肉弛緩
血液の循環が良くなると自然と凝り固まっていた筋肉もほぐれます。よって、運動後にサウナやチムジルバンを利用するのは筋肉弛緩に効果的なのです。 - 美肌効果
汗を排出することで皮膚の毛細血管が活性化し、毛穴から不純物を排出し、肌の表面をより良い状態に保ちます。 - 自然治癒効果
血液循環がよくなる事で、特に関節痛や筋肉痛の緩和に効果があります。またストレスや睡眠障害にも効果的だと言われています。
韓国サウナの楽しみ方
チムジルバンは銭湯に併設されているのが一般的で、銭湯代+1~5千ウォン払って利用することができます。遅い時間に入店すると深夜割増料金が、宿泊時には宿泊料金が追加されることもあります。
まずはカウンターで料金を払い、チムジルバン用の服・タオル・ロッカーキーを受け取ります。その後男女別々の浴場へ移動します。
入店してから困らない様に、事前に準備しておくべきものや利用時のルールなどを確認しておきましょう。
準備するもの
- 下着
チムジルバンの中で利用する服は半袖半ズボンな事が多いので、中に下着は必須です。下着は汗で濡れてしまうので、替えの下着を持っていきましょう。 - 着替え
お風呂に入った後には新しい服に着替えたいという人は持って行った方がいいでしょう。 - 現金
食堂や売店ではカードが利用できます。ゲームセンター内、マッサージ機やドライヤー利用時に現金が必要になります。 - シャンプー等
備え付けがある場合もありますが、肌や髪に合わない場合もあるので持参することをおすすめします。 - タオル(女性のみ)
韓国独特のシステムなのですが、入り口で女性にはタオルを2枚渡してくれます。一方男性は、入り口ではタオルを受け取らず中で無制限にタオルを利用できます。女性にタオルを無制限に与えるととんでもない量のタオルを使うため、女性にだけ制限を設けているのだそうです。
という訳で、女性は薄っぺらいタオルを2枚しかもらえないのですが、チムジルバンで汗を拭いたり、浴室内に持ち込んだり、入浴後全身を拭く事まで考えると、追加で少なくとも1枚は持参した方が衛生的です。
男女一緒に入店した場合の裏技として、男性側が何枚かタオルを持って男女共用施設であるチムジルバンでこっそり渡すという手がありますが、最近では裏技防止のために男女でタオルの色を分けている店もあるのであまりオススメできません。
銭湯・サウナ利用時のルール
- 連れて入れる異性の子供は満4歳まで
これは女湯に男の子を、男湯に女の子を連れて入る場合の年齢の上限です。 - まずはシャワーをしてから
たとえチムジルバンを先に利用するとしても、一度軽くシャワーを浴びてから利用するのが暗黙の了解です。身体の汚れも化粧も落としてからチムジルバンを利用しましょう。 - 飲酒後の利用は危険!
サウナに入ってお酒を抜くなんて言う人もいますが、実際は脱水症状になる恐れもあり、大変危険です。チムジルバンでは飲酒後2時間は空けてから利用を勧めています。 - 30分以上の利用は危険!
いくら体にいいとはいえ長時間の利用は身体に負担になります。休息をはさみながら適度に楽しみましょう。 - シビアな席取り合戦
日本ではありえない話ですが、韓国の銭湯では自分の荷物(シャンプーなどが入ったかご)で、湯船に入っている間シャワーの場所取りをします。
かごが置かれたシャワーは先に人がいると諦め、他のシャワーを探しましょう。
サウナと一緒に
あればもっとチムジルバンを楽しめる、チムジルバンを利用する際の必須アイテムをご紹介します!
羊の耳
タオルを使って羊の耳を作ります。これはテレビなどで見たことある人も多いのではないでしょうか。
作り方は簡単。タオルを横長に広げ、短い方の辺が1/3になるように上から1回下から1回折ります。両端の部分を内側から外側に袖をまくる要領でクルクルと2~3回巻きます。真ん中の部分を広げ、帽子のようにかぶると羊の耳の出来上がり!
子供から大人まで、チムジルバンには羊の耳を付けた人がたくさんいますよ。
パック
チムジルバンの中で使っても良し。休憩スペースで休みながらゆっくり使っても良し。
色々な種類のパックが売店でも販売されていますので、気になったパックを試してみてもいいですね。
卵
구운계란(クウンケラン)と呼ばれるチムジルバンでは外せないおやつです。クウンとは굽다(クㇷ゚タ)=焼くという動詞の変形したものなので、焼き卵という意味になります。
加熱した石から放出される遠赤外線で中から火を通した卵で、表面は焼けたような茶色で、ゆで卵とは違う凝縮された旨味が特徴です。
식혜(シッケ)
うるち米やもち米を発酵させ砂糖や蜂蜜で甘く味付けし、冷たく冷やして飲む韓国の伝統的な飲み物です。
サイズが大きいので、ストローを人数分さしてシェアして飲んだりします。汗をかいた後には冷たいシッケがピッタリです。
팥빙수(パピンス)
チムジルバンの中だけでなく休憩スペースも温かいので、冷たいものがついつい欲しくなります。
日本でも人気のパピンスはチムジルバンでも人気商品です。これもサイズが大きいのでシェアして食べる人がほとんどです。
チムジルバンおすすめ人気店
숲속 한방랜드(森の中漢方ランド)
炭の熱と効果を直接皮膚から吸収できる炭釜が自慢の森の中漢方ランド。売店でサツマイモとお餅を買って、炭で焼いて食べるのが通の楽しみ方です。
屋外でチムジルバンを楽しめるのは韓国でもここだけ。テレビ番組にもよく登場し、韓国人にも外国人旅行客にも人気の伝統あるサウナです。
※ホームページは現在リニューアル中です
드래곤힐스파(ドラゴンヒルスパ)
ドラゴンヒルスパは、ソウル観光名所としても有名な大型スパ施設です。7階建ての建物は、中国の皇室をコンセプトとした派手なインテリアで飾られ、スパ・娯楽施設・サウナ・プール・屋上庭園などの施設が24時間365日利用できます。
ヨンサン駅から徒歩1分とアクセスが良いのも嬉しいところ。すぐ横にはアイパークモールがあるので、スパの後にショッピング・映画・食事・お茶などを楽しむ事もできます。
클럽K서울 선릉찜질방사우나(クラブKソウル ソンルンチムジルバンサウナ)
今までのチムジルバンの常識を覆す、お洒落で洗練された都会のイメージをもつサウナ。原料から厳選したこだわりのコーヒーと焼きたてパンが味わえるカフェも併設されています。
美術館の様な館内では、芸術作品に囲まれながらタブレットやノートパソコンを自由に利用でき、現代人に合わせたリラックス空間になっています。
ソンルン駅から徒歩2分。近くにユネスコ世界文化遺産に指定されている선정릉(ソンジョンルン)があるので、観光してから入るのも良いですね。
おわりに
旅の疲れを癒しながら、体の中からキレイになれて、韓国文化も楽しめる!チムジルバンはまさに旅行客にピッタリの観光スポットです。
韓国語でのやり取りや利用方法に不安があって今まで挑戦できなかったという方は、ぜひこの記事を参考に一度チムジルバンへ足を運んでみて下さいね!
韓国蔚山市在住10年目、2児の母です。2011年語学留学中のLAで知り合った韓国人男性と結婚。それを機に無謀にも韓国語が全くできない状態で韓国での生活を始める。2019年より自身がゼロから学習してきた経験を元に、韓国語学習に関する執筆活動を開始。最近は、辛さの奥にある韓国料理の魅力を再発見し、趣味で韓国料理を学び、好きが高じて国家資格「韓食調理技能師」を取得しました。