みなさん、突然ですが、日本語で「厳しい」と聞いてどういう意味かご存知ですよね。Weblio辞書によると、日本語で「厳しい」の意味は、「厳格で少しの緩みも許されない様」や「いい加減な対処が許されない様」と定義されています。
では、英語で「厳しい」に相当する単語は一体なんでしょうか?Strict? Severe? harsh? stiff?...あれ?英語で厳しいという単語を調べると、複数の、しかも1つや2つではない数の単語が出て来るではありませんか!
日本語では「厳しい」という単語は概ね上記で紹介したような意味で使われることがほとんどですが、英語のネイティブスピーカーたちはこの複数の「厳しい」をどのように使い分けているのでしょうか?
この記事を読めば、英語ネイティブスピーカーたちが普段日常生活で使うさまざまなニュアンスに合わせた「厳しい」の意味がわかります。
まず始めに、英単語を勉強する上でとても大切な「Pragmatics」という概念について紹介したいと思います。pragmaticsとは、言語習得研究の分野で近年研究が多く行われているテーマの一つです。簡単にいうと「時と場合、状況に合わせた単語の選択をすること」です。
今回紹介していく、微妙にニュアンスの違いのある「厳しい」という単語がそれぞれ、どのような時、場合、状況に適切なのかをしっかりと知ることで、とても自然なコミュニケーションになります。特に、目上の人や上司、年上の人とコミュニケーションを取る際にこの、pragmaticsは注意しなければなりませんね。
pragmaticsの話をした後に、「厳しい」という意味を持つ複数の英単語がそれぞれ、どのように使われるかを具体的な会話の例を紹介しつつ紹介していきたいと思います。
ちなみに、この記事で紹介する「厳しい」という意味の英単語は、①strict ②severe ③harsh ④stiff ⑤grim ⑥stern ⑦rigit ⑧stringent の8つになります。①から⑧の単語の定義、語源、例文と実際によく使用されるシチュエーションに合わせて会話の中での使い方の例を紹介していきます。
英単語の勉強に大切なルール「Pragmatics」ってなに?
Pragmaticsとは日本語で「語用論」と訳されます。第二言語習得論や応用言語学、英語教育学の分野で近年注目されている研究分野の一つになります。
Pragmaticsの研究によると、言語を実際に使って相手とコミュニケーションを取る際、その時の「文脈」に合わせて話す言語を選択、使用することが大切であると言われています。「文脈に合わせて話す言語を選択、使用すること」とは具体的にどのようなことを指すのでしょうか。
参考文献:岡田もえ子. (2010). 語用論的視野に立つ英語教育: 主にポライトネスとビジネス英語を中心に. 専修大学外国語教育論集, 38, 13-28.
例えば、あなたは今、英語圏の大学に留学中だとしましょう。新学期を迎え、これから履修したいクラスの履修登録を行うところです。あなたが履修したい授業に、自分の英語力でついていけるかどうかが心配になったため、実際にその授業を開講している教授に質問をすることにしました。
さて、実際に教授にアポイントメントを取り、当日教授の研究室で「あなたの授業にとても興味があり、受講したいと思っています。」と言いたい場合、どのような英単語を選択し、どのような言い回しで伝えるのが適切でしょうか?
I think your class sounds very interesting! はたまたなのか、I am interested in your class so I would like to take it.なのか...。もちろん、学校の文法のテストとは違い実際の会話の中ですから、こう言えばいい!という正解の英語の文章は存在しません。
ですが、この「文脈」で注意しなければいけないポイントがあります。それは、相手が目上の人で教授だということですよね。その状況に合わせて、「興味があります。」、「履修したいと思っています。」という表現を、選択し使う必要があるということです。
この課題は、語彙力もつき、海外旅行で自分の意思を伝えられたり、ネイティブスピーカーレベルまではいかなくとも、自分の言いたいことは伝えられるようになっていたり、外国語によるコミュニケーションが可能になってきた状態の学習者が一度は悩むものではないでしょうか。
多くの単語を覚えてきたからこそ、実際のコミュニケーションの場で似たような意味の単語、どちらを用いることが今の文脈に適切なのか判断をするのが難しいのだと思います。現に筆者も、英語ネイティブスピーカーの方と仕事をしていて同じ壁にぶつかることがあります。特に、日本で生活していて外国語を使う機会の多い方は、この問題にぶつかることがあるのではないでしょうか。
普段英語圏で生活をしていない人が「文脈」に合わせた単語・言い回しの選択を間違えてしまうのは当たり前のこと。仕方のないことです。日本にいながら文脈にあった英語表現の選択を鍛えるためには、どうすればいいのでしょうか?
実は、いくつも存在する似たような意味の単語をいっぺんに比較しつつ、「その単語が使用される文脈やニュアンス」も一緒に覚えるようにするのがおすすめなんです。単語そのものの意味だけではなくて、実際にどのような会話の中で用いられるか例文を調べてみるのもおすすめです。
今回は、似たような意味を持つ「厳しい」という意味の英単語8つを、このやり方に乗っ取って、各単語が醸し出すニュアンスと実際の会話文を参照しながら紹介していきたいと思います。
「厳しい」という意味の8つ英単語〜意味とニュアンス、具体的な例文〜
1:Strict
Strict
品詞:形容詞
定義:厳しい、厳格な
語源:ラテン語の「きつく締められた、縛られた」という意味がごげん。靴紐やロープなどでぎゅっと締め付けられるイメージです。
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ニュアンス:ルールや規則に縛られていて窮屈な感じ 例:校則や就業規則など
会話の例:
A: Have you met our new homeroom teacher? I heard that she's very strict.
B No I haven't. I should come to school earlier from tomorrow then.
2:severe
severe
品詞:形容詞
定義:過酷な、容赦のない、痛烈な
語源:ラテン語の「深刻な」という意味の単語が語源
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ニュアンス:人の性格や態度、法律、規律が厳しくて肉体的、精神的に苦痛で余裕がない様
会話の例:
A: If you keep talking loudly during the class, you will be given a severe punishment.
B: Okay I'll keep that in my mind.
3:harsh
harsh
品詞:形容詞
定義:耳障りな、どぎつい、不快な、荒くざらざらした
語源:ノルウェーやデンマーク、スカンディナビア系の言語の中の、「毛でざらざらした」という単語が語源。
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ニュアンス:感覚(聴覚、視覚、触覚など)が不快と感じる、耳障りで鬱陶しいと感じる、きついと感じる様
会話の例:
A: Don't you think this speaker sounds harsh?
B: Yes, I guess we should buy a new one.
4:stiff
stiff
品詞:形容詞
定義:硬直した、硬い、堅苦しい
語源:インド・ヨーロッパ語派やゲルマン語の「押し固める」「硬く硬直した」が語源
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ニュアンス:そもそも柔軟なはずのもの(脳や思考、肩や性格など)が、硬直したり凝り固まっている様。
会話の例:
A: I'm so sorry, my father tends to get stiff and awkward when he is nervous.
B: Oh, that's okay. Make yourself at home, please.
5:grim
grim
品詞:形容詞
定義:いかめしい、怖い、恐ろしい、冷酷な、残忍な、ゾッとするような
語源:ゲルマン祖語の「恐ろしい」「気味が悪い」が語源。グリム童話の「グリム」もその意味を含む。
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ニュアンス:仕事や人の様子が残忍で恐ろしく、気味が悪いさま。冷酷な様子。元気を失っている様。
会話の例:
A: I had a very grim day today. At work, my boss yelled at me when I accidentally spilled my coffee on his laptop.
B: I can't believe he did that to you! It must be a very tough day for you.
6:stern
stern
品詞:形容詞
定義:厳格な、断固たる、容赦のない、人を寄せ付けない
語源:「硬く、厳しい」が語源
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ニュアンス:人に対して使う形容詞。意思を曲げず、頑固で厳しい性格などを表す。
会話の例:
A: You know what? When I entered his office, He gave me a stern look so I just got out of his room without even saying hello.
B: You've got to be kidding me!!
7:rigid
rigid
品詞:形容詞
定義:硬くて曲がらない、融通の効かない、厳格な、こわばった
語源:ラテン語の「硬直している」が語源
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ニュアンス:意思を突き通しており、いい意味でも悪い意味でも頑固で硬い。融通が効かない性格を表すこともあるが、縛りが厳しく破ることや帰ることのできないルールや規則の様子も表す。
会話の例:
A: Do you remember when we actually saw a bear in the backyard? Your face was rigid with fear.
B: Absolutely, yes. I mean, how could I forget? It was the most terrifying moment in my life.
8:stringent
stringent
品詞:形容詞
定義:厳重な、切迫した、金詰まりの
語源:'stringere'という、「引っ張る」という単語が語源
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ニュアンス:人にはあまり用いないで、ルールや法律が厳しく、切迫している様
会話の例:
A: I appreciate that you asked me to live with you. My parents always force me to follow stringent house rules. I can't stand it anymore!
B: No problem sweetheart. You can stay here as long as you want.
ここで少し余談!
下記記事では、今回同様に単語の使い分けについて解説しています。是非ご参考にしてください♪
まとめ
「厳しい」という同じような意味を持つ英単語は8つもあるんですね!そして、この8つの似たような意味を持つ英単語を覚える際に大切なのが、各単語が実際にどのようなニュアンスの、どんな文脈のコミュニケーション使用される傾向があるのかを一緒に学ぶことです。
単語の発音やスペルと意味を一対で覚え暗記するだけでは、実際のコミュニケーションのなかで使用する際に、「あれ?この状況ではどの「厳しい」が最適なのかな?と悩んでしまいます。単語は暗記するために学ぶのではなくて、使うために学ぶもの。そのための学習方法を、「厳しい」という意味を持つ8つの英単語を例にご紹介しました!
英語にはその他にも、似たような意味を持つ単語がいくつも存在していますので、ぜひ今回の記事のように「各単語のニュアンス」と、「実際の会話の中での使用例」を調べて学習してみてくださいね。

出身地は静岡県の下田市です。実家の目の前にはエメラルドグリーンのビーチがひろがっています。小さい頃からスキンダイビングやボディーボードをして育ちました! フェリス女学院大学の英文科在学中にニュージーランドへ留学。そこで国際教育の重要さに気づき、横浜国立大学大学院教育学研究科へ進学。小学生の外国語教育の研究に携わる傍ら、アメリカからの留学生のチューター業務も経験。 修士課程修了後は、都内のインターナショナルプリスクールで5歳児クラスの担任を経験。外国人と日本人バイリンガルの2人体制でこどもたちと英語で探究学習を行う。日本語の授業も担当し、母語の大切さも伝えた。 現在は前職を退職し、英語を教えるだけでなく、国際交流•異文化交流の大切さをそだてるニュータイプのオンライン英会話をネイティブ講師とともに小学生に教えている。 ④ 趣味は洋楽をギターやピアノでカバーすること、ビーチでヨガ、サイクリング、ピアノ耳コピ、ダンス、犬と散歩。 夢は、英語をツールにして音楽やダンスや絵、スポーツなどの自分の得意なことを使って自分自身について表現し、世界の人と交流することを楽しいと思ってくれる子供達が増えるような「先生」そして「表現者」になること。 そしてもう一度大好きなニュージーランドにステキな家族、友人達と長期ステイすること!

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.