「ですます」一辺倒の文章が単調で読みづらいように、会話でも「ですます」で終わる会話ばかりでは教科書を読んでいるような面白みのない印象を与えてしまいます。
基本の「ですます」を習得したのなら、もう一歩先へ踏み出して色々な語尾のバリエーションを学習してみませんか?
語尾のバリエーションが増えれば表現力が豊かになり、韓国語で話すことがもっと楽しくもっと身近になるはずです!
語尾とは
文法論で言うと、語尾とは用言の変化する部分を指すとされます。
と言われても何のことだかしっくりきませんよね。
分かりやすく例を挙げてみると、「食べる」という単語は「食べたら」「食べながら」と言う様に様々な形に変化します。
このように変化する言葉を「用言」、変化を「活用」といい、変化しない部分、すなわち「食べる」の「食べ」の部分を「語幹」、変化する部分「たら」「ながら」を「語尾」と言います。
また、日常的に「語尾」とは単に「話し言葉の最後の部分」「言葉尻」を意味することもあり、その場合は「食べよう」「食べろ」の「よう」「ろ」の部分のみを語尾と表現する事になります。
今回はそういった日常的に使われる意味での「語尾=言葉尻」について、韓国語でどういったものがあるのか取り上げ、文法や使い方など詳しくご紹介していきたいと思います。
韓国語の語尾
語尾は韓国語で「어미(オミ)」と言い、その解釈は日本語の語尾とほぼ同じす。
今回取り上げる「語尾=言葉尻」は韓国語で「終結語尾/종결 어미(ジョンギョㇽオミ)」といい、まさに文を終結するときに使う言葉という文法的意味を持ちます。
韓国語も日本語同様、年上の人に対して使う丁寧語と、友達や年下に対して使うパンマルと呼ばれるタメ口とがあるというのはご存じですよね。
この記事では、丁寧語の表現を基準に記載し、その下にパンマルを〈〇〇〇〉の形で表示しています。
まずは基本となる丁寧語で語尾表現をしっかりマスターし、余裕がある方はタメ口にも挑戦してみましょう。
基本の2大語尾
「-입니다」「-아요/어요」この丁寧語の2大語尾は皆さんご存じかと思いますし、今回の記事の目的はこの2大語尾以外の語尾表現の習得ですので、ここはサクッと通り過ぎましょう。
ちなみに、「-입니다」を崩してタメ口にすることはできず、「-아요/어요」の場合は「요」を取れば簡単にタメ口形を作ることができます。
例)
「추워요.(チュウォヨ)」「寒いです」
↓
「추워.(チュウォ)」「寒い」
自身の意見を伝える時の語尾
~じゃないですか
-잖아요(ジャナヨ):~じゃないですか
〈-잖아(ジャナ):~じゃん〉
例)
「그래서 내가 말했잖아요!(クレソ ネガ マレッジャナヨ!)」
「だから私が言ったじゃないですか!」
聞き手が既に知っていることを確認したり思い出させる時に使います。
これに関連して、「있잖아~(イッジャナ~)」についてもここで触れておきましょう。
ドラマなどで「있잖아~」から会話が始まる事がよくありますが、この場合は日本語で言う会話を切り出す「あのさ」や「あのね」に当たります。
~なんですよ/~ですってば
-거든요(コドゥニョ):~なんですよ/~ですってば
〈-거든(コドゥン):~なんだよ/~だってば〉
「-거든요」には2種類の使い方があります。
①相手の知らないことを説明したり、理由や根拠を伝える時に使う「~なんですよ」。
例)
「일 끝나면 한잔하자!(イㇽ クンナミョン ハンジャンハジャ!)」
「仕事終わったら一杯やろう!」
「나 오늘 술을 못 먹어. 내일 검진이거든.(ナ オヌㇽ スルㇽ モッモゴ. ネイル コㇺジニコドゥン)」
「俺今日酒飲めないんだ。明日検診なんだよ。」
②怒って相手の意見に言い返すときに使う「~だってば!」
例)
「여기 있었던 케이크 니가 먹었어?(ヨギ イッソットン ケイク ニガ モゴッソ?)」
「ここにあったケーキあんたが食べたの?」
「나 아니거든!(ナ ア二コドゥン!)」
「私じゃないってば!」
~だったんです/~でしたよ
-더라고요(トラゴヨ):~だったんです/~でしたよ
〈-더라(トラ):~だったよ〉
見たこと経験したことなどを伝える表現です。
語幹にそのままつけるだけですが、使い方には文法的条件があります。
・動詞+더라고요
動詞の主語となる人物は自分以外=他人の行動や見聞きしたことにのみ使用
・形容詞+더라고요
自分が経験したことや感じた事に使う
例)
「내가 봤을 때는 전화를 하더라고요.(ネガ バッスルッテヌン チョナルㇽ ハトラゴヨ)」
「私が見たときは電話をしてたんですよ」
「처음으로 먹어봤는데 맛있더라.(チョウムロ モゴバンヌンデ マシットラ)」
「初めて食べてみたけど美味しかったよ」
問いかける時の語尾
~でしょう?/~ですよね?
-지요(ジヨ):~でしょう?/~ですよね?
〈-지(ジョ):~でしょ?/~だよね?〉
口語では「지요(ジヨ)」を縮約した「죠(ジョ)」の形でよく使われます。
事実の確認をする時、共感を求める時などに使われ、名詞に付けて使う事もできます。
例)
「이 책 재미있었죠?(イ チェㇰ チェミイッソッジョ?)」
「この本面白かったでしょう?」
~ましょうか?/~でしょうか?
-ㄹ(을)까요?(ㇽッカヨ?):~ましょうか?/~でしょうか?
〈-ㄹ(을)까?(ㇽッカ?):~ようか?/~かな?〉
母音で終わる語幹には「-ㄹ까요?」、子音(パッチム)で終わる語幹には「-을까요?」が続きます。
2種類の用法があるのでそれぞれ例文とともに見ていきましょう。
①主語が一人称。相手に提案したり聞き手の意向を尋ねる「~ましょうか?」
例)
「제가 도와 드릴까요?(チェガ トワ トゥリㇽッカヨ?)」
「私がお手伝いしましょうか?」
②主語が二・三人称。話し手の疑問や推測を表す「~でしょうか?」
例)
「저 가게 아직 있을까?(チョ カゲ アジㇰ イッスㇽカ?)」
「あの店まだあるかな?」
~ましょうか?
-ㄹ(을)래요?(ㇽレヨ?):~ましょうか?
〈-ㄹ(을)래?(ㇽレ?):~ようか?〉
前出の「-ㄹ(을)까요?」と同じ「~ましょうか?」なんですが、微妙にニュアンスが違います。
「-ㄹ(을)까요?」は「一緒に」もしくは「私が」しましょうか?という意味合いが強く、
「-ㄹ(을)래요?」は相手に選択をゆだねる意味合いが強いという特徴があります。
例)
「여기 앉을까요?(ヨギ アンジュㇽッカヨ?)」
「ここに座りましょうか?」(話し手も一緒に座る)
「여기 앉을래요?(ヨギ アンジュㇽレヨ?)」
「ここに座りますか?」(相手に座る事を勧めていて、話し手も一緒に座るかどうかは分からない)
命令する時の語尾
~しなさい
-해라(ヘラ):~しなさい
〈-해(へ):~しろ・~して〉
語尾に「라」が付いた方がややきつく上から命令する印象、「라」がつかない方は友達同士でも使えるきつくない印象です。
例)
「기다리지 말고 먼저 가.(キダリジ マルゴ モンチョ カ)」
「待たないで先に行って」
勧誘する時の語尾
~しましょう
-요:~しましょう
〈-자(チャ・ジャ):~しよう〉
基本の「-아요/어요」形はそのまま丁寧語の勧誘表現としても使えます。
一方、パンマルの場合は語幹に「자」を付けて「~しよう」の意になり、丁寧語とタメ口とで全く違う形になるので注意しましょう。
例)
「한국어 공부 같이 하자!(ハングゴ コンブ カチ ハジャ!)」
「韓国語の勉強一緒にしよう!」
ここで少し余談!
英語でもそうですが、「時間」にまつわる表現は意外に混乱することがありますよね。。下記記事では韓国語の「時間」にまつわる表現をご紹介しています!ぜひ参考にしてください♪♪
感嘆の語尾
~ですね
-네요(ネヨ):~ですね
〈-네(ネ):~だよね〉
-군요(グニョ):~ですね
〈-구나(グナ):~だね〉
日本語に翻訳すると、どちらも「~ですね」となりますが、使い方が少し違います。
「-네요」
・自分が直接経験し感じた事に対する感嘆
・話し相手が存在し、自分の気持ちを相手に伝える
「-군요」
・自分が直接経験した以外の事柄に対する感嘆にも使用可
・納得や理解を表現
・相手がいない独り言としても使える
例)
「이거 맛있네요.(イゴ マシッネヨ)」
「これ美味しいですね」
「맛있어요」は単純に「美味しいです」と感想を述べているに留まりますが、語尾を「네요」に替えると「知らなかった!美味しいんだね!」といった感嘆を伝える表現になります。
例)
「벌써 잘거야? 정말 피곤하구나.(ボㇽソチャㇽコヤ?チョンマㇽ ピゴナグナ)」
「もう寝るの?ほんとに疲れてるんだね」
~だなんて
-라니(ラニ)/-다니(ダニ):~だなんて
体言(名詞)には「라니」、用言(動詞形容詞等)には「다니」をつけて、予想していなかったことに対する驚きや感嘆を表現します。
例)
「저사람이 남자라니!(チョサラミ ナㇺジャラニ!)」
「あの人が男だなんて!」
語尾とイントネーション
今回はその語尾の持つ性質ごとにまとめてみましたが、実際はイントネーションやシチュエーション次第でガラリと意味合いが変わったりもします。
問いかけの語尾「~でしょう?」「~지요」を例に挙げて見てみましょう。
①「장소는 다들 아시죠?(ジャンソヌン タドゥル アシジョ?)」
「場所は皆さん分かりますよね?」
問いかける時の語尾で既に説明しましたね。疑問形では確認する意味や同意を求めます。
②「네. 알죠.(ネ. アㇽジョ)」
「はい。(もちろん)知ってます。」
平叙文では話し手の意思を伝えたり確認する「(当然)~です」「~なんです」のようなニュアンスを持ちます。
③「선생님도 저희랑 같이 가시죠.(ソンセンニㇺド チョヒラン カチ カシジョ)」
「先生も私たちと一緒に行きましょうよ。」
勧誘表現にもなることができ、やや柔らかい勧誘になります。
④「선생님은 이쪽으로 앉으시죠(ソンセンニㇺン イッチョグロ アンジュシジョ)」
「先生はこちらにお座りください。」
命令形に変化することもあります。この場合もとても柔らかく勧誘に近い命令になります。
このように同じ語尾でも様々な意味合いを持つことになるという事を頭に入れておけば、その都度柔軟に対応できるはずです。
ここでまた少し余談!
下記記事では韓国語の「5W1H」について詳しく解説しています!文法を攻略して効率よく韓国語学習を進めていきましょう♪♪
おわりに
今回は日常会話で使用頻度の高い韓国語の「語尾=言葉尻」についてご紹介しました。
ほかにもまだまだ韓国語の語尾表現はありますが、ここにまとめた語尾だけでも十分に会話は成り立ちますし、意思表示には困らないレベルで会話できます。
まずは記事を参考に新しい語尾を少しづつ取り入れ、より表現豊かな会話を目指しましょう!

韓国蔚山市在住10年目、2児の母です。2011年語学留学中のLAで知り合った韓国人男性と結婚。それを機に無謀にも韓国語が全くできない状態で韓国での生活を始める。2019年より自身がゼロから学習してきた経験を元に、韓国語学習に関する執筆活動を開始。最近は、辛さの奥にある韓国料理の魅力を再発見し、趣味で韓国料理を学び、好きが高じて国家資格「韓食調理技能師」を取得しました。