韓国語を勉強していると、どう使い分けたら良いか分からない類似した文法に良く出会いませんか?
それらは日本語では同じ訳になるのに微妙に違うニュアンスを持つため、初級者は特に混同しやすいのです。
今回は、そんな学習者泣かせの類似表現にスポットを当て、それぞれの違いと使い方を詳しく解説していきたいと思います。
1.「~아/어서/ 해서」と「~니까」
「~아/어서/해서」と「~니까」はどちらも 「~なので、~だから」 といった理由を話すときに使われます。
日本語に訳すとほぼ同じである為、学習者が間違えやすい文法のひとつです。
「~아/어서/해서」のニュアンスをつかもう
「~아/어서/해서」は
一般的
客観的な理由
原因
表すのに使われます。
と文章で言われても分かりづらいですよね。
例文を見てニュアンスを掴みましょう。
어제는 너무 추워서 집에 있었어요.
昨日はすごく寒くて家にいました。
돈이 없어서 못 샀어요.
お金がなかったから買えませんでした。
많이 먹어서 배불러요.
いっぱい食べたからお腹いっぱいです。
どれも文の後半部分の理由や原因を「~아/어서/해서」を使って述べています。
特徴は、理由・原因と結果の因果関係が一般的である、つまり、理由や原因が誰が聞いても納得できるような内容であることです。
また、理由や原因を表現するため、「~아/어서/해서」に続く文章は過去形が多いという特徴もあります。
「~니까」のニュアンスをつかもう
一方で「~니까」は主体的な理由や根拠・動機を表します。
こちらも例文で確認してみましょう。
그 옷을 입으니까 더 젊어 보이네.
その服着るともっと若く見えるね。
어제는 집에만 있었으니까 오늘은 밖에 나가려고요.
昨日はずっと家に居たから、今日は外に出ようと思います。
오늘은 추우니까 옷 단단히 입고 왔어요.
今日は寒いからしっかり着こんできました。
ポイントは、「~아/어서/해서」よりも話し手の主観が強く込められている点です。
その服を着ると若く見えるというのは、誰が見てもそう感じるわけではなく話し手の主観ですよね。
また、今日は外に出ようと思った動機も、話し手の主観によるものです。
最後の例文は「추워서」を使うと、気温が低く誰もが寒いと感じる天気だからしっかり着込んできたニュアンス。
「추우니까」を使うことで、話し手が寒いと感じている点が強調されます。
この様に、「~니까」は主観的表現になるので、後ろには話し手の意見やこれから起こそうとする行動が来ることが多くなるのが特徴です。
ではこの場合はどちらを使うのが良いでしょうか。
私が遅れたから、コーヒー奢るよ。
1. 내가 늦어서 커피를 살게.
2. 내가 늦었으니까 커피를 살게.
どちらも日本語訳は同じになりますが、私が奢ろうと考えた主観的な根拠を述べているので回答は 2.늦었으니까 になります。
遅れたら飲み物を奢らなくてはいけない法律があるならともかく、遅れた=奢るというは一般的ではないので、늦어서は適切ではありません。
命令・勧誘・警告には「~니까」
命令・勧誘・警告が続く文章では「~아/어서/해서」は使えず、「~니까」のみになります。
こちらも例文で見てみます。
遅くなったから早くいけ。
(〇)늦었으니까 빨리 가.
(✖)늦어서 빨리 가.
雨が降ってきたから今日は家に居よう。
(〇)비가 오니까 오늘은 집에 있자.
(✖)비가 와서 오늘은 집에 있자.
熱いので気を付けてください。
(〇)뜨거우니까 조심하세요.
(✖)뜨거워서 조심하세요.
うっかり「~아/어서/해서」を使っても意味は通じますが、正しい文法ではないので気を付けましょう。
挨拶・謝罪には「~아/어서/해서」
挨拶・謝罪の文章には必ず「~아/어서/해서」を使います。
お会いできてうれしいです。
(〇)만나서 반갑습니다.
(✖)만나니까 반갑습니다.
遅れてすみません。
(〇)늦어서 죄송합니다.
(✖)늦었으니까 죄송합니다.
後者は、(謝りたくないけど、遅れちゃったから仕方なく)すみません。というニュアンスになってしまい、受け取る相手が不快に感じる良い方です。
先ほどの命令・勧誘・警告では「~아/어서/해서」と間違えてもなんとなく分かってもらえますが、謝罪文になると意味合いが変わってしまいます。
謝る時には「~니까」は絶対使わないと肝に銘じておきましょう。
まとめ
~아/어서 해서 | ~니까 | |
---|---|---|
ニュアンス | 一般的・客観的 | 主観的 |
表現 | 原因・理由 | 根拠・動機 |
命令・勧誘・警告 | ✖ | 〇 |
挨拶・謝罪 | 〇 | ✖ |
ここで少し余談!
韓国語を勉強している方、これから勉強する方、もし韓国語力を伸ばしたいのであればこれだけは避けては通れません。下記記事をご覧ください。
2.「벌써」と「이미」と「이제」
この3つは、どれも日本語では「もう」と訳されることが多いのですが、面白いことに、違いを説明するサイトやブログなどでは
筆者が日本人の場合「벌써」と「이미」を
筆者が韓国人の場合「벌써」と「이제」を
比較説明されている事が多いんです。
日本人は「벌써」と「이미」の使い分けが難しいと悩んでいるのに、韓国人からすると「벌써」と「이제」って似ていて外国人には難しいでしょ?と考えているんですね。
せっかくですからここでは、벌써も이미も이제もすべてまとめてマスターしてしまいましょう!
「벌써」と「이미」の違い
まずは日本人が混乱する「벌써」と「이미」から詳しく解析してみましょう。
「벌써」は
「思ったよりも早く・いつの間にか」といった意味を含む「もう」
「이미」は
「すでに終わっている・前もって揃った」といった意味を含む「もう」
詳しく例文で見てみましょう。
벌써 공부 다 했어?
もう勉強全部終わったの?
응, 엄마가 말하기 전에 이미 했거든.
うん、お母さんに言われる前にもうやったよ。
質問したお母さんの予想より早かったから「벌써」、お母さんに言われる前に前もってしたので「이미」となります。
次はこんなシチュエーションです。
待ち合わせの時刻はお昼の12時。
2人が出会い、お昼ご飯の話題になりました。
A 점심 벌써 먹었어요?
お昼もう食べたんですか?
B 네. 이미 먹고 왔어요.
ええ、もう食べてきました。
Aの予想より早くBがお昼を食べていたので「벌써」、Bは約束前に前もって食べてきていたので「이미」となります。
だいぶ掴めてきたでしょうか?
さて、次の場合はどうでしょうか。
私が会議室に入って来た時、もう席がありませんでした。
1. 내가 회의실에 들어왔을때 벌써 자리가 없었어요.
2. 내가 회의실에 들어왔을때 이미 자리가 없었어요.
この場合は「벌써」と「이미」どちらも可能になります。
前者は、あると思ってきたのにもう席が無かった。に対して後者は、既に席が無かったという事実を述べていてどちらも自然な韓国語です。
「벌써」を「부터」と一緒に使うとどうなる?
「벌써」は後ろに「~から」を表す助詞の「부터」をくっつけて、「벌써부터」として「もう」を表す事も出来ます。
「벌써부터」は「벌써」単体で使われる場合とは違い、その状態が続いているニュアンスになります。
아직 5살인데 벌써부터 한자를 시켜요?
まだ5歳なのにもう漢字をやらせるんですか?
아직 시작도 안했는데 벌써부터 걱정하면 어떻게.
まだ始まってもいないのに、もう心配してたらどうすんの。
どちらも、そんなに早く・既にという状態がこの先もしばらく続く(もしくは過去から続いている)ニュアンスです。
この「벌써부터」は「벌써」に交換可能ですが、反対に「벌써」をすべて「벌써부터」に変えられるかというと、それは違いますので注意が必要です。
先ほどの例
벌써 공부 다 했어? もう勉強全部終わったの?
벌써 점심 먹었어요? もうお昼食べたんですか?
どちらも勉強をやり終わった・お昼を食べ終わった話なので状態が続くことを意味する「벌써부터」は使えません。
3つめの「もう」、「이제」とは…?
ではここでもう1つの「もう」に当たる「이제」についても学習していきましょう。
「이제」は以下の2つの意味を持ちます。
①思ったよりも遅い・今から・そろそろ
이제 출발한다고요?
今から出発するんですか?
이제 알았어요?
今ごろ分かったの?
이제 가자.
そろそろ行こう。
この使い方は今回比較して学習している「もう」とはちょっと違いますね。
しかし、これは韓国人が非常によく使う表現なので、こういう使い方もあるんだなと覚えておくと良いかと思います。
②前と後では別の状態となる「もう」「もうこれから」
이제 두번 다시는 안할게요.
もう二度としません。
이제 안 아파요.
もう痛くありません。
이제 못 먹겠어요.
もう食べられません。
②の「이제」が意味する「もう」は明らかに「벌써」と「이미」とは異なり、日本人的には理解しやすいのではないかと思います。
間違ったことをしてしまった自分と、もうこれからはしない自分。
痛かった状態と、もう痛くない状態。
パクパク食べてたさっきまでと、もうこれ以上は食べられない状態。
会話の前の状態とは断絶されたニュアンスを与える3つめの「もう」です。
「あ~もう!」はどう言う?
余談になりますが、日本では不満がある時や、イライラした時など「あーもう!」って言いますよね。
この場合は今までの3つとは全く関係なく、「아~진짜!」と言います。
「진짜」は本当という意味ですので、「あ~ホントにもう!」という感じですね。
日常会話でよく使われ、テレビ番組やドラマ・映画などでも良く耳にする言葉なので、併せて覚えておくといいですね。
まとめ
벌써 | 思ったよりも早く・いつの間にか |
---|---|
이미 | すでに終わっている・前もって揃った |
벌써부터 | そんなに早く・既にという状態がこの先もしばらく続く(もしくは過去から続いている) |
이제 | 前と後では別の状態となる |
ここでまた少し余談!
学習を継続するコツ!それは楽しく学習する方法を見つけること!下記記事でドラマを使って学習できる方法をご紹介しています!
おわりに
今回は、使い分けが難しい表現についてまとめてみました。
頭で考えずに咄嗟に正しい方を選んで会話できるようになるには、何と言っても慣れしかありません。
出来るだけ多くの例文を見て感覚をつかみ、可能であれば韓国人を相手に使ってみると良いでしょう。
韓国人はこれらの文法を間違って使われると何だかしっくりこないらしく、大概言い直してくれますので、とても勉強になりますよ。
見る・聞く・話すを繰り返し、実践に結びつく会話力を手に入れましょう!