この記事を読んでいる皆さんのほとんどが、英語を学習してきたと思うのですが、韓国語も英語と同じで、単語を覚えることは、避けては通れません。
ただし、日本語ネイティブであれば、ハングルのつづりから単語の意味が推測しやすかったりするなど、少しのアドバンテージがある場合もあります。
そのアドバンテージの話は後ほどしますが、まずは、単語を覚える重要性について見ていきましょう。
- 単語を覚える重要性
- 人間の脳の仕組みと単語学習
- 初心者におすすめの覚え方と工夫
- 音声と単語を結びつける
- 初級後の覚え方、その他いろいろな覚え方
- 日本人は有利?韓国語の単語暗記
- アプリで韓国語単語
- おわりに
単語を覚える重要性
言語学習において、単語(語彙)と文法をまず覚え、それらを使うことで読んだり書いたり、会話をしていく…というのが通常の流れですが、すべての基礎となるのが単語、すなわち語彙です。
1本の木を想像してみてください・・・根がしっかりしている木は、そこから太い幹、多くの枝葉を伸ばします。
単語という根がしっかりしていればこそ、文法という太い幹から会話、読解、リスニングなどの枝葉を伸ばしていくことができるのです。
つまり、文法の知識もとても大事なのですが、単語を分かっていなければ使いようがありません。
また、いくら韓国語の文章をリスニングしたとしても知らない単語ばかりであったならば、ちっとも理解できません。
しかしながら、単語暗記で苦労している学習者が多いのも事実です。
筆者自身も、学習を始めた当初は、頭にスルスルと単語が入ってきたような記憶もありますが、パタリとなかなか覚えられないスランプに突入した時期もあります。
それらの経験談も含めて、単語暗記のコツなどを紹介していきます。
人間の脳の仕組みと単語学習
「忘却曲線」という言葉を聞いたことがありますか?
ヘルマン・エビングハウスというドイツの心理学者が、人間の脳が情報を忘れていく仕組みを「忘却曲線」にして表しました。
それによると、なんと、1時間後には56%を忘れてしまい、1日後には74%も忘れてしまうというのです。
人間は忘れる生き物といいますが、この数値から見ても明らかですね。
それから、語学をかじって勉強法の書籍を読んだことがある方は、「長期記憶」と「短期記憶」についてもご存知かもしれません。
「短期記憶」
何かの集まりで初めて会った人たちの名前を、その集まりでは覚えているけれど、数日後には忘れてしまうような記憶の事。
「長期記憶」
数十年も前のことも思い出すことができるような蓄積されている記憶の事。
長期記憶の量に制限はないとも言われています。
韓国語に限らず、短期記憶された情報を長期記憶の貯蔵庫にどれだけ移行していくかが、暗記のキーポイントになってくるのですが、一番基本的なことが、「復習」することです。
私は 「忘却曲線に示されたタイミングで復習すると効率がいい」 という説を聞いた時に、実際に試してみたことがあるのですが、私自身にとってはそれ自体が少し煩雑だったので、あまり細かいことは気にせず、とにかく「復習」することだけは徹底しています。
韓国語の単語も、教科書に出てきたものを1回見ただけで覚えるということはほぼ不可能です。
忘れてきた頃に復習して定着させることで、忘れにくくなっていきます。そして、実際の会話で使うとさらに定着度が増します。
初心者におすすめの覚え方と工夫
単語の覚え方には、「これが最も良い」という王道はないと考えます。勉強スタイルは各自、異なるものだからです。
自分に合った方法で覚えるといいのですが、韓国語を学習し始めた初心者は、何が一番合うのかが分からないと思うので、紹介します。
単純に、入門書や初級の教科書に出てきた単語を、もれなく覚えていくことです。
筆者自身は、初心者のころ、NHKラジオの「まいにちハングル講座」で勉強していました。
ラジオ講座は1日15分ですが、15分間ではとてもとても単語すべては頭に入りません。
少々面倒でも、復習の時間を設け、テキストに出てくる単語を逐一覚えていきました。
その後、検定試験を意識するようになったので、「ハングル能力検定試験(ハングル検定)」の、必須語彙リストの単語を覚えてきました。
初級の5級~4級の試験対策本に、語彙リストが掲載されていましたので、それらを暗記し、自分で復習テストをする…の繰り返しです。
当時のことを思い出してよかったと思うのが、私の使った試験対策のテキストは、単語が種類ごと(品詞ごと、特に名詞は「食べ物」「乗り物」「生きもの」など、種類ごと)に整理されていたということです。
検定協会から公式に市販されている語彙リストもあります。「ハン検公式ガイド 新装版合格トウミ」です。
これには単語がカナダラ順に表記されているので、少々覚えにくいと感じるかたもいらっしゃるかも。
もちろん、暗記モレを防ぐという意味で、チェック用に「トウミ」を持っておくことに異論はありません。
尚、「トウミ」を使う場合は最新版を使うようにしてくださいね。
音声と単語を結びつける
音声とともに覚えていく重要性についても付け加えておきます。ハングルには、連音化や鼻音化などの「音変化」があるからです。
例えば
「博物館」=「박물관」
「博物館が」という文節になると、
「博物館が」「박물관이」
となります。
あまりカタカナで書きたくないのですが、便宜的に少しだけカタカナを使います。
万が一、「パクムルグァンイ」のような発音で覚えていたとしたら、リスニング問題では聞き取れないでしょう。
なぜなら、音変化が起こって、「パンムルグァニ」みたいな音に聞こえるからです。
「博物館」を「박물관」ときっちりスペルミスなく書けたとしても、音声とともに覚えていないと聞き取れないということになってしまうわけです。もったいないですよね。
ですから、なるべく音声付きのテキストを選ぶことをおすすめします。声に出したり、手を動かして書いたり、体を使って覚えていくとよいでしょう。
初級後の覚え方、その他いろいろな覚え方
初級はとにかく、テキストの単語を覚えることを優先してほしいと強調してしまいましたが、それだけだと飽きてくるのも事実。ここでは、その他の覚え方も少し紹介しますね。
1.自分の身の回りのモノに韓国語の付箋を貼る
自分の身の回りのモノを韓国語でなんというか調べ、それらに韓国語の単語を書いた付箋を貼って、しょっちゅう目に入れるようにするというのもいいでしょう。覚えたら、付箋をはがしていきます。
2.自分の好きな韓国ドラマを見る
ドラマのセリフを使った学習法は難易度が高めなので、無条件におすすめできるものではありませんが、好きなものに対する愛情があれば、少々難しくてもクリアできるかもしれません。
セリフに出てくる単語の難易度がバラバラなので、セリフの中に、難しい単語も出てきます。
あまり細かいことは気にせず、好きなセリフやフレーズを、そのシーンまるごと覚えてしまうのです。
注意点としては、あまり長いシーンになると負荷がかかるので無理しないことです。
初級のころはよく理解できていなかった部分も、中上級になってから振り返ることで、きっと分かるようになっています。
そうした成長が感じられる瞬間はうれしいものです。
ここで少し余談!下記記事で韓国料理を使った韓国語勉強法をご紹介します!
日本人は有利?韓国語の単語暗記
以下は、中級レベルの話になってきますが、初級の方が頭に入れておいてもいい事柄ですので紹介します。
韓国語の単語には種類があります。
・古くから使われてきた「固有語」
・中国から伝わった「漢字語」
・英語などに由来する「外来語」
具体的には、「学ぶ」の「배우다」は固有語。似たような意味の「学習」ですと、「학습」になり、これは漢字語です。「学」が「학」、「習」が「습」に相当します。
固有語は一つ一つ覚えていかなければなりません。
しかし、漢字語には、ハングルからある程度、意味が推測できてしまうという“日本語ネイティブのアドバンテージ”のようなものがあります。
例えば、韓国語で「教室」(きょうしつ)を「교실」といいます。ここで注目すべきは、パッチム「ㄹ」です。
ちなみに
「온실」=「温室(おんしつ)」
「비밀」=「秘密(ひみつ)」
「실장」=「室長(しつちょう)」
規則性があることに気が付きましたでしょうか?
そう、パッチム「ㄹ」を、日本語では「-ツ」と読むのです。
「ㄹ」がすべて「-ツ」ではありませんが、そういう傾向があります。
そして、こういった現象は「ㄹ」に限った話ではなく、他にも「ㅇ」を「-ウ」と読んだり、「ㄴ」を「-ン」と読んだり、さまざまな規則性があるのです。
この規則を初級の段階で頭に入れる必要はないかもしれませんが、規則を体感として感じられるようになってくると、字面から意味を推測できるようになってくるのです。
語彙力を増やすひとつの方法と言えるでしょう。
実際、学習スランプに陥ったことのある私も、漢字語から単語の意味を推測できたおかげで、韓国語学習からリタイアせずに済んだ経験があります。
というのも、パズル感覚で単語の意味を推測できるようになっていたので、知らない単語の意味を推測して全体の意味を拾えることができたんです。おかげで完全に勉強放棄することはありませんでした。
もし、漢字語に興味がある場合は、以下の書籍を読んでみるとより一層知識が深まると思います。
<参考>「韓国語の漢字語マスター 法則が分かれば語彙が増える! 」
アプリで韓国語単語
最後に、単語を覚えるアプリについても紹介しましょう。初級レベルであれば、例えば以下のアプリがオススメです。
・韓国語単語トレーニング
種類ごとに覚えると覚えやすいという話をしましたが、このアプリは
「心とからだ」
「外見・評判」
「自然・生き物」
など、カテゴリー別に単語を分類しています。例文も表示されます。
加えて音声も出るので、音とハングルを結びつけて覚えるのにも適しています。
ゲームのような音が出るので、ゲーム感覚で覚えられますよ。持ち歩いているスマホにアプリを入れて、隙間時間に覚えているかどうかチェックしてみてもいいでしょう。
ここでまた少し余談!下記記事では韓国ドラマを使ったとっておきの韓国語勉強方法をご紹介しています♪♪
おわりに
単語を覚えるのに特別な王道や近道はないといいながらも、私の経験談も含めて、おすすめの習得法を紹介してきました。
王道も近道もありませんが、自分に合った覚え方で身につけるのが重要です。
勉強スタイルさえ確立してしまえば、少しのことでは調子を崩さなくなります。
そうなるまでは少し時間がかかりますが、ここで紹介した方法や書籍が、皆さんの役に立ってくれることを願っています。
秋田在住のライター。韓国語学習歴は2020年で6年目。TOPIK5級。広告の作成業務や学習体験談の執筆業務、校正などを企業にて経験する。ライターになってからは、韓流コンテンツを中心に、韓国ドラマの公式ページに掲載されるあらすじやサブタイトルを作成している。経験から説得力のある文章を書くのが得意。現在、韓日字幕翻訳家を目指して勉強中。韓国ドラマのエンドロールに自分の名前が流れるが夢。