書店に赴いて語学教材や資格試験対策本のコーナーを見てみると簡単にわかりますが、日本で出版されている英語系の学習テキストは山のようにあります。
日本における英語学習業界の市場規模は大きく、そのため各出版社があの手この手で参考書を出版し、供給過多ともいえる状態になっています。
選択肢が多いに越したことはないのですが、あまりにも多すぎるとどれが本当に有益なテキストなのかわからなくなります。
そこでこの記事では、玉石混交の英語テキストの中から選りすぐりの良テキストを厳選し、レベル別にまとめてみました。
テキストを使った学習方法のメリット・デメリットを理解しよう
ところで、テキストを使った英語学習のメリットとは何でしょうか。
最近では実践で学ぶアクティブラーニングの重要性が叫ばれていて、机に向かって書籍を開いて学習するスタイルは古臭いというイメージが与えられています。
しかし、テキストを使った英語学習は全く古臭くなく、非常に有効な手法です。
たしかに英会話などのアクティブラーニングは有効ですが、それは基本的な文法や語彙があらかじめ備わっている前提の話です。
全然英語ができない人が海外旅行や留学をしてもペラペラになることはまずありません。
そのため、英語のテキストで学習するというやり方は、英語をマスターしたい人すべてが通らなくてはならない道であるといえます。
このことを理解したうえで、テキストベースの学習を進めていきましょう。
初級者(TOEIC500点以下)向けのテキスト
TOEICで500点を下回る方は、中高生レベルの文法や語彙など、基本的な英語の素養が身についていないレベルにあるといえます。
このレベルだと、きわめて基礎的な英会話はできるものの、フィーリングなどに頼った拙いレベルに落ち着くことがほとんどです。
そのため、このスコアレンジにいる方におすすめできるテキストはずばり、中高生向けに書かれた英語テキストです。
以下で、おすすめのものをいくつか紹介しましょう。
速読速聴英単語(速単)
速読英単語 必修編[改訂第7版] (Z会文章の中で覚える大学受験英単語シリーズ)
- 作者: 風早寛
- 出版社/メーカー: Z会
- 発売日: 2019/03/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Z会が出版する有名な単語帳で、高校英語のスタンダートレベルの英単語をすべて網羅しています。
400ワードくらいの長文の中に学習する単語がちりばめられていて、文脈の中で英単語を覚えることができるようになっています。
また、別売の音源CDを利用すればパッセージをネイティブ音源で聞くことが可能であり、目と耳両方で英単語を学習することができます。
姉妹本に速読英熟語や速読英単語上級編などもあります。こちらもおすすめです。
Evergreen
- 作者: 川崎芳人,墺タカユキ,鈴木希明
- 出版社/メーカー: いいずな書店RT
- 発売日: 2017/01/01
- メディア: 単行本
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Evergreenは、高校生向けの文法解説書で、マスターすべき文法知識がすべてカバーされています。辞書のような厚さでかなりボリューミーです。
このEvergreenでは、学習に使うことはもちろん、知りたい文法知識が出てきたときに適宜参照するといった、辞書的な使い方をすることもできます。
英語の学習をするときにはいつでも手元に置いておいて、わからないことがあったら逐一調べる、という使い方がおすすめできます。
中級者(TOEIC500~700点)向けのテキスト
TOEICの受験者の平均スコアはおおよそ550~600点ですので、このスコアにいる人は日本人英語学習者の中の平均、ということができます。
このレベルの人は、基本的な知識は備わっているものの、速読力やリスニング力など、技術面で今一つ、ということが多いです。
そのようなスキルを向上させるためには、英語の瞬発力の強化に特化した学習テキストを利用することがおすすめできます。
以下でいくつかご紹介しましょう。
どんどん話すための瞬間英作文トレーニング
どんどん話すための瞬間英作文トレーニング (CD BOOK)
- 作者: 森沢洋介
- 出版社/メーカー: ベレ出版
- 発売日: 2006/10/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 80人 クリック: 383回
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瞬間英作文は、その名が示す通り英作文を瞬間的に行うスキルの向上に特化した学習テキストです。
リアルタイムの応答が常に求められる英会話は、英作文の繰り返しであるといえます。
このテキストでは、そんなスムーズな英会話をする上で必須となる、「瞬間英作文」のスキルを磨くことができる良著です。
TOEIC500~700のスコアレンジにいる人は、時間をかければ英作文できるものの、数秒で即座に英作文する力がついていない方が多いです。
これは、英語を日本語を経由して理解したり、英作文をする際にまず日本語で考えて、それを英語に脳内で翻訳するような癖がついていることに起因します。
このような癖を矯正し、英語で理解し英語で発信する頭脳を構築するテキストが、瞬間英作文です。
上級者(TOEIC700~900点)向けのテキスト
このレンジにいる人は英語にそれなりの自信がある人が多いですが、まだ学ぶべきことはたくさんあります。
このレベルまで到達するとテキストベースの学習では物足りなくなります。ハウツー系のものは総じて初心者、中級者向けに書かれており、上級者にマッチするものはほとんどないためです。
そこでおすすめなのが、表面上の知識ではなく、英語の本質に迫ることができるテキストです。ハウツー系のテキストではなく、コラムテイストなものがおすすめです。
「学校ではなかなか教えてくれない英語の本質」を学べる良著を、いくつかご紹介しましょう。
日本人の英語
- 作者: マーク・ピーターセン
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1988/04/20
- メディア: 新書
- 購入: 135人 クリック: 2,138回
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日本人の英語は、マーク・ピーターセンが書いた書籍で、文庫本として今でも出版されています。30年以上前の古い本ですが、英語学習者にとっては目から鱗の情報が書かれています。
可算名詞と不可算名詞の本質的な違いは何か、なぜアメリカ(the US)やオランダ(the Netherlands)にはtheがついて日本(Japan)や中国(China)にはつかないのかといった、いままでなんとなく理解していた、あるいは理解していたつもりだったことの本質を学ぶことができます。
日本人なら必ず誤訳する英文
越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文 (ディスカヴァー携書)
- 作者: 越前敏弥
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2013/01/11
- メディア: 新書
- 購入: 20人 クリック: 165回
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日本人なら必ず誤訳する英文は、日本人が引っ掛かりやすい英語特融の表現や言い回しをマスターできるテキストです。
フィーリングで理解するととんでもない意味で理解してしまう、そんな例文が数多く収録されています。
日本人の英語同様、英語の本質を学ぶにはおすすめの良著です。
上級者のほとんどは英語を英語で理解する素養がついているため、翻訳のスキルは関係ないのでは?という方もいるかもしれません。
しかし、英語を正しく理解しているかどうか、というのは、翻訳で母語に正しく変換できるかどうかではじめてわかります。
超上級者(TOEIC900~990点)向けのテキスト
TOEICで満点近いスコアをとれる人は、ノンネイティブとして十分な英語力をつけているといえます。
しかし、まだこの先にも進むべき道があり、TOEIC満点が英語学習の終着点ではありません。
このレベルになったら、いわゆる英語学習者向けのテキストはほとんど必要ありません。
その代わりに、英字新聞や英語雑誌など、ネイティブに読ませるためにネイティブが書いた文章をテキストとして利用しましょう。
TIMEやエコノミストなどの週刊誌、New York Timesなどの老舗新聞社が出版する新聞は、継続かつ安価に利用できるのでおすすめです。
ほかにも、オンラインで利用できるコンテンツなども有効です。海外のニュースサイト、ブログ記事などは、非常にレベルの高い良質な学習コンテンツになります。
フォロー、購読をして、定期的に読み進めていくことがおすすめです。
ネイティブ向けに書かれた文章の中には、ネイティブ特有の言い回し、テキストにはなかなか書かれていないフレーズが数多く隠れています。
英語でさらなる高みを目指したいひとには、この手のコンテンツの利用が強くおすすめできます。
もちろん、英語学習者向けのテキストと比較すればレベルは桁違いであり、TOEIC900点越えの人でも挫折する可能性もあります。
ですが、チャレンジする価値は間違いなくあるので、腕に自信があるのであれば試してみてはいかがでしょうか。
挫折する心配があるのであれば、購読をする前にお試し版などを利用して試して、購読するかどうかを判断しましょう。
また、この手のコンテンツを利用することのメリットは、最新の情報を英文オリジナルの情報として摂取できることです。世の中の流れ、トレンドをいち早くキャッチすることができます。
どのレベル層にもおすすめできるNHK英語講座の学習テキスト
長い歴史と実績がある、NHKラジオ、テレビの語学講座のテキストも非常におすすめできます。
NHK語学講座のテキストのいいところは、初心者から上級者まで、幅広いラインナップが用意されていることです。
また、レベルのすみ分けのみならず、ビジネスシーンから日常会話まで、あらゆるジャンルに特化した講座が用意されています。
1冊400円から、便利な定期購読などもできるので、お好みの番組から試してみてはいかがでしょうか。
学生時代の教科書を取り出して、勉強するのもあり、学生時代に使った英語の教科書や参考書が手元にあるなら、それを利用することもおすすめです。
英語のノウハウというのは時代を超えても変わりませんので、数十年前のテキストでも十分役に立ちます。
また、中学校、高校で使われる教科書には国の検閲が入っていますので、コンテンツの質はかなり高いです。
ネイティブキャンプを活用した英語学習
ネイティブキャンプでは、オンライン英会話のみならず、英語学習者向けのテキストも数多く用意しています。
書店では見つからないイチオシのテキストが利用可能ですので、こちらの利用も検討してみてはいかがでしょうか。
もちろん、ネイティブキャンプのオンライン英会話では、いつでもネイティブとの会話が楽しめます。
テキストで学んだことを実践で試す良いチャンスですので、こちらも積極的に利用してみることがおすすめです。
さいごに
いかがでしょうか。
今回紹介したテキストは、どれも非常に有名かつ有益なものばかりです。まだ手に取ったことがないものもあるかと思いますので、ぜひ購入してその中身をチェックしてみてください。
もちろん、今回紹介した英語のテキスト以外にも、優良なものは数多くあります。自身でそれを探し当てて、英語学習の糧にすることもおススメできます。
英語学習歴10年以上のフリーランス翻訳者、ITやテクニカルが専門。本業の傍らネイティブキャンプなどの英語学習メディアの寄稿をこなす生活を送る。趣味はランニング、旅行など。場所や時間にとらわれず、自分のやりたいことをどんどん実現していくことを生きがいとする。TOEIC945点、英検準一級、工業英検二級取得。好きな食べ物はラーメンや餃子などのこってり系。