今日から始める中国語講座

中国語、学習、四声

みなさん、はじめまして。

私は、大学で中国語を教えているリンムーと言います。

このコラムをご覧になっているということは、みなさんは中国語を学び始めたばかりか、これから学んでみようと興味を持っている方だと思います。

今日から始まるこの講座では、そんなゼロから中国語を学習する方に向けて、中国語を身につけるポイントについてお話ししていきたいと思います!

記念すべき第一回目は、ズバリ「四声」についてです。

ある意味最も難しい「四声」

すでに学習を始めている方はお分かりだと思いますが、中国語で最初に学ぶことになるのがこの
「四声」です。

「四声」は発音の基礎として重要なもので、大学などでは一回目の授業をフルに使って練習し、その後の学習でも教員が適時間違いを直しつつ、次第に正確な発音ができるようにしていきます。

この「四声」、実は一番始めに学ぶものでありながら、中国語学習者にとって身に付けるのが最も難しいものでもあります。

私の大学でも、中国語の入門講座で学んだ学生のうち、「四声」を十分に身につけられる学生はそう多くありません。

中級、上級に進んだ学生、留学して日常会話が話せるようになった学生、そして中国語を教えている大学教員でさえ、時には「四声」を間違えてしまうことがあります。

実は中国出身者でも、「四声」を間違えることがあるんですよ。

ですから、初級者のみなさんが「四声」を間違えてしまったとしても、全く気にすることはありません。

むしろどんどん間違えながら、正しい「四声」を身につけていきましょう。

「四声」とは?

「四声」とは、「声調」とも言い、簡単に言えば音の上げ下げ、つまりイントネーションによって言葉を区別するものです。

このように表現すると難しく感じるかもしれませんが、それは「四声」に類するものが日本語にはほとんど無いからです。

主にベトナム語などの東南アジア地域の言葉に、「四声」と同様のイントネーションが見られます。

さきほど日本語には「ほとんど」無いと言いましたが、実は全く無いわけではありません。

日本語でも音の抑揚によって言葉を識別することはあります。

例えば「ハシ」という発音です。

「ハシ」と始めのハにアクセントを置くと、食事をするときに使う「箸」という漢字がみなさんの頭の中に思い浮かぶと思います。

逆に「ハシ」というように「シ」に力を入れると、「橋」「端」の意味になります。

このように、確かに日本語でも音の上げ下げが無くはないのですが、音の変化は大きくありませんし、それで識別しないといけない単語も多くはありません。

しかし中国語では、発音の体系として四声という4つのイントネーションのパターンがあり、同じ「a」という発音でも、この「四声」の違いによって全く違う意味になってしまうので、注意が必要です。

標準語の「普通話」では、「声調」は四つ!

おそらくほとんどの方、99%以上の方は標準語の「普通話」を学習されると思います。

「普通話」とはもともと「北京官話」ともいい、首都の北京周辺で話されている言葉を標準語化したものです。

中国語というのは地域による方言の違いが大きく、実は中国人同士ですら、住んでいる地域が大きく離れていると言葉が通じないこともあるんです。

よく言われるのは北と南では言葉が全然違うということですが、実際には南北だけでなく、東と西や、ごく近い地方同士でも意味をとるのが難しい場合があります。

「普通話」は、ピンインで「pǔtōnghuà」と表記し、「プートンホワ」と発音します。

ピンインというのは、中国語の発音を表すアルファベット+四声のことを言います。

中国語の発音表記は、このように西洋のアルファベットを使います。

このアルファベットの「u」、「o」、「a」の上に、なにやら真っ直ぐや斜めになっている線がついていませんか?

これが「四声」を表す記号、
「声調符号」です。

「普通話」の「声調」を「四声」というのは、全部で4つパターンがあるからです。

それは、第一声、第二声、第三声、第四声です。

「普通話」だと4つだけですが、広東語では9つもあります。

9つですよ!

これを全部覚えるのは大変そうですよね。

それでは、これから「四声」を1つずつ発音できるように練習していきましょう。

四声の練習では、まず「ma(ま)」の発音で発声します。

「お母さん」を指す「妈妈māma(まーま)」にも使われる音で、発音の仕方は日本語の「ま」と同じです。

「まま」や「ぱぱ」は、赤ちゃんでも発音できる音ごく簡単な言葉です。

第一声(一定の高い音で)

さて、第一声は簡単です。

一定の高さで発音する声調です。この時、やや高い音で発音することに気をつけましょう。

頭の上の方で音を響かせるようなイメージです。第一声の「ma」を表記すると、「mā」となります。

声調符号も直線で一定の高さになっていますね。第一声は上げたり、下げたりしてはいけません。「マー」と一定の高い音で発声します。

これは、それほど難しくはないでしょう。

第二声(下から上に音を上げる)

さて、ここから段々と難しくなっていきます。第二声は下から上に上げる音です。

声調符号をつけると「má」と表記します。

線が下から上に斜めに伸びているのが分かりますよね。

下から上へ、これを十分に意識して発音してください。

ちょっと例えが良くないかもしれませんが、相手に因縁をつける時に語尾を上げながら
「あ~↑?」
というイメージで発音すると良いと思います。

日本語はもともとあまり抑揚の無い言葉なので、初級者は四声のイントネーションを遠慮がちに発音してしまうことが多いのですが、中国語では大げさなくらいに変化を強調して発音してみましょう。

音の変化が十分でないと、相手に間違った四声で伝わってしまうかもしれません。

最近の教科書のほとんどにはCDがついていると思いますので、CDの音を聞きながら何度も練習して下さい。

第三声(低く抑えた音。語尾は少し上げる)

第三声は、基本的に低く抑えた音で発音します。

声調符号をつけて表記すると「mǎ」になります。

谷折りのように、線が下に下がってから上に上がっていますよね。

これは第三声の発音の特徴を上手く表しています。

第三声の発音のポイントは、低く押さえた音ではあるのですが、最後に少しだけ音を上げることです。

イメージとしては、溜息をつく時に思わず出てしまう「あ~あ」という発音です。

溜息をつく時は「あ↓~あ↑」と、一度下に音を下げてから最後に少し音を上げているのが分かりますか?

この要領で「ま~あ」と発音してみてください。

第四声(上から下へ下げる音)

第四声は、上から下へ下げる音です。

ずばり初級者にとって一番難しいのがこの第四声で、毎年私のクラスでも第四声で苦労する学生が多くいます。

ちょうど第二声の反対のイントネーションになるのですが、下から上が比較的分かりやすいのに対して、上から下へ「音の高さを下ろす」というのは、なかなか分かりにくいのではないでしょうか。

イメージとしては驚いた時に「まぁ!」と言う感じです。

ピンインでは「mà」と声調符号は上から斜め下に降りています。

「まぁ↓」と始めを若干強く発音してフェードアウトしていくように発音してみてください。

この第四声の発音が、初心者が最初につまずくところになります。

軽声(軽くそえる音)

中国語は基本的に全ての語に四声がついています。

声調が4つあるから四声、というのはすでに話しましたね。

ただし、例外が一つあります。

4つのパターンの中に含まれない「軽声」というのがあるのです。

例えば、先ほどに例に出した「māma」という語。

これは母親を表す「妈妈」のピンインになりますが、2つめのmaには何も声調符号がついていません。

これを軽くそえる音ということで、軽声と言います。

四声がついている語よりも軽く発音してください。

軽声は単独で「軽声」になることはありません。

必ず前に四声のついた語をともないます。

そのため、前の語の発音に続いてどのように軽声を発音するかがやや難しいかもしれません。

第一声+軽声、第二声+軽声、第四声+軽声は、いずれも四声を発音した後で、それよりもやや音の高さを下げて軽く発音します。

第三声+軽声のみ、軽声の方がやや高く発音します。

CDなどを活用して、この発音の感覚を覚えて下さい。

連続した四声の発音

みなさん、一つ一つの四声は発音出来るようになったでしょうか?

CDやネットで聞くことの出来る音声を利用して、ぜひ正確に発音できるようになりましょう。

実は「mā」、「má」、「mǎ」、「mà」のように一つ一つを発音するのはそれほど難しいことではありません。

難しいのは、2音以上が組み合わさった単語や文章を正確に発音することです。

漢字1字の語は「mā」のように一つの四声ですが、中国語の単語の多くは、漢字2字、あるいは3字で構成されています。

この場合、四声を幾つか組み合わせて発音しなければなりません。

例えば、「日本人」のピンインは「rìběnrén」と表記します。

この場合、4声+3声+2声を連続して流れるように発音しなければなりません。

みなさん、できますか?

まだ母音や子音の解説をしていないので、「ri」、「ben」、「ren」の発音はできなくて構いません。

これを「ma」の発音で置き換えてみると「màmǎmá」となります。

すべて「ま」の発音ですから、四声さえ出来れば発音できるはずです。

また意外に難しいのが、第一声を含む組み合わせです。

例えば、2声+1声の「mámā」

これは2声で下から上に音を上げた後、そのまま高い音をキープし、一定の音で発音します。

字面では十分にお伝えしきれませんので、みなさん教科書のCDなどで確認してみてください。

四声を勉強する時によく例として出されるのは、「妈妈骂马(お母さんは馬を罵った)」という文章です。

あくまで例文ですので、日常会話としてはちょっとありえない内容ですが、四声の重要性が良く分かる文章です。

ピンインは「māma mà mǎ」と表記し、全てmaという発音で文章ができています。

四声がちゃんと出来ていないと、意味を伝えることが出来ないわけですね。

このように中国語では、同じ「ma」という発音でも、四声によって様々な漢字、意味を表すことが出来るのです。

初級者にはまだ難しいかもしれませんが、何度も声に出して練習し中国語のリズムを身につけて下さい。

四声を意識すると、中国語が実に音楽的な言葉に思えてきませんか?

そうです、中国語は日本語よりも音楽的リズムが必要な言葉なのです。

なんだか勉強するのが楽しくなってきますよね!

下記に四声の練習問題を出しおきました。何度も練習して四声を身につけましょう!

mā má mǎ mà
mā mà mǎ má
mà mǎ má mā
mǎ má mà mā
má mà mā mǎ
mà má mǎ mā