最終更新日:2019-08-27
みなさん、こんにちは。ネイティブキャンプブログ編集部です。
英会話の中で、
「英単語はわかるのに全体の意味が全然わからない!」
という経験はありませんか?
自分の頭の中に“?”マークが浮かんで返事に困っていると、話し相手の外国人から「それはイディオムだよ」と言われたことはありませんか?
「イディオム」とは日本語の慣用句を指します。
そこで今回は、英語の慣用句(イディオム)についてご紹介してみたいと思います。
「イディオム」とは日本語の「慣用句」
慣用句のことを英語では、イディオム(Idiom)といいます。
辞書で確認すると下記のように説明されていました。
Idiom
狭義(狭い意味):慣用句、成句、熟語(個々の単語の意味からは全体の意味が類推できない語句・表現)。例:give in =屈服する
広義(広い意味):一言語の特質的語法、慣用法(usage);一民族の言語(language)、地域・階級のなまり、方言(dialect)
(ジーニアス英和大辞典)
辞書からわかりますように、イディオム=日本語の「慣用句」のみ、というわけではなく、色々な意味が含まれているのですね。
慣用句だけでなく、成句・熟語も含まれていますから。
ここで、より理解を深めるため、まず日本語から整理して考えてみましょう!
日本語の慣用句とは
慣用句とは、二つ以上の複数の語が結びついて用いられ、新しい特定の意味をもつようになった、古くから使われている表現のことです。
例えば「赤の他人」
それぞれの語だけから考えますと「赤」の「他人」で、「赤色の他人」となります。
色の他人とは何?となってしまいますが、これは新しく「全く知らない/縁のない他人」という意味がもたされ、特定された表現となります。これが慣用句です。
他にも次のような慣用句があります。
・頭を痛める
=ある物事を考え、色々と悩んだり心配したりすること。
・甘く見る
=物事を大したことではない・簡単なことだと軽く捉え、気を許すこと。
・心に留める
=心に深く留めて忘れないこと。
私たちの習慣/行動を表現するフレーズは慣用句と意識していなくても日常会話で使っていますね!
会話や文章の中で、特定の表現を取り入れているのです。
また、慣用句は比喩表現でもあります。
こちらも特定の意味を持ちますので、正しく覚えることが必要です。
・光陰(こういん)矢の如(ごと)し
=月日の経つのが早い。飛ぶ矢のように早いというたとえ。
・天にも昇る心地
=非常に嬉しい、ウキウキした最高の気分のたとえ。
慣用句と混同しがちな英熟語・諺(ことわざ)
「慣用句」と混同しがちなものとして、「熟語」や「諺(ことわざ)」もあります。
まず「熟語」は、複数の語を結び付けて、新しい意味をもたせる表現になるという点が「慣用句」と共通しており、線引きが難しいことから、よく混同させて紹介されています。
熟語は慣用表現の他に、「幸福」「月日」など漢字の組み合わせから元の語の意味だけでなく新しい意味も生じていることも特徴の一つです。
漢字を組み合わせた「四字熟語」はみなさんもご存知ではないでしょうか。
「諺(ことわざ)」もまた、慣用句と絶対的な違いがあるわけでなく線引きが難しいところです。
上記で紹介したように、定義としては、慣用句は二つ以上の複数の語の組み合わせで新たな語義をもっているのに対し、諺は、日常生活において役立つ知識や知恵、感情、人生の教えを表現したものになります。
こちらは言わずとも耳にしたことはあると思います。
・石の上にも三年
=(冷たく硬い石の上でも3年座れば暖かくなる、ということから)辛いことでも、年を重ねて耐えて努力すれば後に成功となる。
・終わり良ければ総て(すべて)良し
=最初のきっかけや過程がどうであれ、物事は結果が大切だということ。
・嵐の前の静けさ
=(台風が来る前は静かである、ということから)不吉な出来事や大事件が起こる前の異様な静かな状態をいう。
このように、複合語であること、新たな意味・特別な意味をもっていること、比喩表現が含まれていること等、共通した表現方法が慣用句・熟語・ことわざにはあります。
英語の慣用句とは
それでは英語の慣用句のお話に戻っていきましょう。
英語の慣用句は、日本語の慣用句・熟語と同様に二つ以上の複数の単語を組み合わせて新しい意味が生じる表現であり、日常会話でよく使われています。
慣用句を知らなければ、元の句の意味から想像するので全く違う理解になってしまうかもしれません。
しかし、ネイティブスピーカーが何気なく使う慣用句を少しでも知っていれば、会話がスムーズになり、より楽しくなります。
例を二つ上げます。まず、これは聞いたことがある方も多いではないでしょうか。
It’s a piece of cake.
直訳すると「それは一切れのケーキです」となり、全くケーキに関係のない内容の会話でこのセリフが相手から突然出てきたら、「え?ケーキ食べたいの!?どういうこと!?」となってしまいます。
これは「簡単なこと」「楽な仕事」という特定の意味をもっています。
日本語訳なら「朝飯前」といったところでしょうか。
それでは、具体的な使用例を見てみましょう。
例文)
How was ○○○?
=○○○はどうでしたか?
It was a piece of cake!
=それは簡単だったよ!
そして、曲のタイトルや歌詞中などで耳にしたことがあるかもしれないこちら。
Once in a blue moon
直訳は「青い月に一度」という少しロマンティックなイメージ。
これは、「稀(まれ)、滅多にない」という意味です。
ブルームーンは滅多に見られないことから生まれた慣用句です。
実際に英文の中で使うときは以下のような使い方になります。
例文)
My brother lives in Canada, so I see him once in a blue moon.
=私の兄はカナダに住んでいるので、会うのは滅多にありません。
このように、元の句だけではわからない、特別な意味が含まれているのです。
また上記の会話例のように慣用句を使ってみると少しかっこいい感じもしますよね。
昔からある学校でも学習するようなものや、使いやすい英会話フレーズ等様々なイディオムがありますので、紹介いたします。
ことわざ紹介
・It is no use crying over spilt milk.
=「覆水盆に返らず」
直訳すると「こぼれたミルクに嘆いても仕方ない」から、「過ぎたことを嘆いても仕方ない」という意味になります。
・Speaking(Talking) of the devil.
=「うわさをすれば影(がさす)」
直訳すると「悪魔の話をする」ですが、本来は「Speak of the devil and he will appear=悪魔の話をすると彼はきっと現れる」といい、and he will appear は普通省略されます。
・Kill two birds with one stone.
=「一石二鳥」
一石二鳥は、17世紀イギリスのこの諺から生まれた四字熟語だそうです。
・Practice makes perfect.
=「習うより慣れよ」
「練習が完全をもたらす」「教わるより、練習(努力)が成功を生む」という意味です。
・ Birds of the samea a feather flock together.
=「類は友を呼ぶ」
直訳は「同じ羽の鳥は一緒に群れる」です。
気軽につかえる慣用句紹介
上記では、日本の諺・慣用句でもある、人生の教えともとれる慣用句を挙げました。
実のところ、日常会話で使えたらネイティブスピーカーも「おぉ!」となるかもしれませんが、頻繁に使うのは難しいと思います。
日本語でも「それは、覆水盆に返らずだね。」なんて会話中に口に出すことは、状況次第で機会はあれど、頻繁とはいかないですよね。
そこで、筆者が実際に聞いた/使った、気軽につかえる簡単な慣用句を紹介します。
・keep in touch
=連絡を取り合う。
これは、主にメールやSNS、手紙でのコミュニケーションを意味しております。
しばらく離れる相手へお別れの定番フレーズとして言ったり、手紙の結びに使ったります。
例)
Let’s keep in touch!
=連絡を取り合おうね!
I hope that we can keep in touch.
=これからも私たちは連絡を取り合えたらいいな。
・killing me
=耐えられない。
kill(殺す)という文字は怖いかもしれませんが、実際に私を殺すわけではありません。人や仕事等の精神的苦痛やフィジカル的な痛みを表現するときに使います。
例)
You’re killing me!
=あなたにはもう耐えられない!
My work is killing me.
=仕事が本当に大変。
・The bottom line
=肝心なポイント。
元は「最終収益」を意味しますが、「もっとも肝心な事」という意味を持ちます。
例)
The bottom line is that ○○○.
=肝心なこと(最も重要なことは)、○○○です。
・keep one’s chin up!
=元気を出して!/(困難でも)勇気を失わないで!
chinは顎(あご)のことです。
直訳は「顎を上げて」ですので、意訳すると「顔を上げてがんばって」という励ましの表現となります。
例)
Keep your chin up. Don’t worry, you’ll find a good one soon.
=(例えば仕事が見つからない時に) 気を落とさないで。心配しないで、あなたはすぐに良い仕事が見つかるよ。
・kind of
=ある程度、多少、どちらかというと。
学校でも習ったことのあるこの言葉。「○○の種類」という意味ですが、他にも適度や近似を表現する時にも使われており、とても便利な慣用句です。
例)
My job in kind of boring.
=私の仕事はなんとなくつまらないよ。
How are you feeling now? ― Kind of.
=調子はどう?-まぁまぁかな。
余談ですが、私が”kind of”という言葉を覚えたのはカナダ人の友達との会話からでした。
食事後にレストランを出て、あの料理どうだったと聞きましたら、彼は… kind of.と。手を少し振り、顔が曖昧な表情だったことから、彼にとって、料理は否定も肯定も出来なく「まぁまぁ」だったのだとわかりました。
こうして実際の会話(そして表情やジェスチャー)からニュアンスを学ぶのも面白いですね。
【まとめ】
英語では慣用句のことをイディオム(Idiom)といい、二つ以上の複数の単語を組み合わせ、新たな特別な意味をもたらす表現方法です。
英語で言う「イディオム」には、慣用句・熟語・人生や日常生活の教訓を唱えた諺(ことわざ)が含まれており、全部まとめて「イディオム」と呼ばれています。
新たな意味が生じていることから、元の単語だけでは意味をイメージすることは難しく、語彙力を高めるだけでは意味が分かりません。
初めての慣用句に遭遇するたびにひとつひとつ覚えていくことが、効率的な学習方法です。
ただ、日本語同様に、「有名な慣用句だけど、時代が古すぎるから現代ではあまり使わないよ」とネイティブスピーカーに言われてしまうことも。
でも恥じることなく、聞いたり口に出したりしてみましょう!
英語の慣用句には欧米の文化がにじみ出ていることが多いので会話がより理解しやすくなりますし、さらっと言ってみると相手は「おぉっ!この人は粋な言い回しをするな。」と、相手を少し驚かせることもできます。
ぜひ少しずつ覚えて、多彩な表現力を身に着けていきましょう!
最後まで読んで下さりありがとうございました
学生時代からグラフィックデザインを専門としてきた一方、英語学習がずっと大好きでした。「海外に住んでみたい!」という憧れだけでワーキングホリデーにてカナダに1年間滞在。それが人生の転機となり、デザイン職から国際協力の道へ。今は国際結婚をしてメキシコ在住です。 ブログ執筆は、私にとっても英語知識のインプットになっています。ご覧になってくださる方と一緒に楽しみながら学びたいと思い始めました。 英語とスペイン語のレベルUP、そして海外での個展開催が夢です!