最終更新日:2021-09-30
今回は「アイデンティティ」という言葉の概念と、英語そして日本語におけるその言葉自体の意味や使い方について解説していきたいと思います。
哲学の学術用語でとても難しいと思われるかもしれませんが、分かりやすく解説していきます!
この機会に、アイデンティティの使い方を明確にしていきましょう。
- そもそも「アイデンティティ」とは?
- 「アイデンティティ(Identity)」の意味
- 国語辞典から分かるアイデンティティ
- アイデンティティが持つ2つの意味
- ジェンダー、ナショナル…アイデンティティの関連語
- アイデンティティの意味のまとめ
そもそも「アイデンティティ」とは?
「アイデンティティ」という概念は、普段の会話の中であまり深い意味で使われることはないと思います。
特に、日本国内ではそうかもしれません。というのも、より多国籍の人々が住む外国のほうが、アイデンティティに敏感になる傾向があるからです。例えば、日本人と外国人を親に持つ日本人ミックスと呼ばれる人たちは、成長する過程で自分のアイデンティティについて考える機会があると言われています。
このことから、言葉自体は知っていても「ちゃんとした意味は分からない」「使い方が分からない」という人も多いでしょう。
この「アイデンティティ」という言葉は20世紀に定義された比較的新しい概念で、アメリカの心理学者および精神分析学者であるエリク・エリクソンが作り上げたとされています。(エリクソンは差別の経験など自身の生い立ちに悩みを持っており、それが「アイデンティティ」という概念の提唱や彼の研究自体に大きな影響を与えていたと言われていています。)日本人ミックスの例を考えても、個性の生い立ちに関係してくることが分かります。
「アイデンティティ(Identity)」の意味
この「アイデンティティ」という言葉ですが、カタカナで表記されている通り、もともと英単語の【identity】から来ている言葉です。
つまり外来語ですね。
そこでアイデンティティとは?ということで、オリジナルである英語の【identity】という言葉の意味をオンライン辞書で調べてみました!
すると……。
ケンブリッジ英英辞典【Cambridge Dictionary】
【who a person is, or the qualities of a person or group that make them different from others:】
(人が誰であるのか(ということ)、または他のものとは異なるものにしている個人やグループの性質)
という意味が出てきました。
これが、アイデンティティということになります。アイデンティティを使った単語の例として、アイデンティティカードが挙げられます。このカードはIDカードと呼ばれ、個人の身分証明として機能するものです。
日本語の辞典でも調べてみると、
(自己)同一性、自我同一性 / 独自性 / 自己認識
個性 / 人や物の身元(正体) / 固有性
といった沢山の意味が記載されていました。
一つの単語で沢山の意味を持つ英単語は結構ありますが、特にこの【identity】は意味がすべて抽象的な感じでなんだか難しいですね。
日本語でみてもはっきりと意味を理解することは困難です。
アイデンティティには以下の6つのタイプがあると言われています。
文化的アイデンティティ
職業的アイデンティティ
民族的・国家的アイデンティティ
宗教的アイデンティティ
ジェンダーアイデンティティ
障がい者アイデンティティ
これらを参考にすると、アイデンティティの意味が少し分かりやすくなるかもしれません。
国語辞典から分かるアイデンティティ
カタカナの【アイデンティティ】の意味も調べてみました。
・あるものが環境や時間の変化に影響を受けず、連続する同一のものであること
・主体性、自己同一性、自己の存在証明
おおよそこのような意味が書かれていました。
アイデンティティが持つ2つの意味
「アイデンティティ」の定義は大まかに分けて2つの意味を持ちます。
①自分(私)というものが存在していることへの認識
→ 昨日の自分と、明日の自分、そして20年後の自分、時間や環境が変わっても【自分】という存在が変わる事はないので、【自分】というアイデンティティが確立されている。
②自分らしさやその個性など
→自分がどういう性格でどんな人間かを理解していること、つまり……。
・大人しく、少し人見知りをしてしまう → 人間関係でよく悩む。
・社交的で人気者。様々なコミュニティに積極的によく参加する → 新しいことを考えたり、実践するのが好き。
・食べることが大好き → 美味しいものを美味しく食べている時が人生で1番幸せを感じる
・子供の頃から医者になることが夢で一生懸命勉強してきた → 自分のことを努力家であると思っている
など何でもいいのですが、要は
- 自分自身を表現できるもの
- 自分が自分に対して持っている考え方
そのものがアイデンティティの捉え方であり意味であるということになります。
アイデンティティという言葉の使い方・例文
実際に文章中では「アイデンティティ」という言葉をどのように使うのか、例文を見ながら考えていきましょう!
- 「現代の、特に青年期の若者は自分自身のアイデンティティを持つことが上手く出来ていないと思う」
- 「和食は日本人のアイデンティティを象徴する言葉だ」
- 「今まで周りに合わせて行動していたが、今後はそんな他者中心の集団行動を止め、自分らしい“生き方”を見つけアイデンティティを確立する」
- 「このロゴマークは我が社のブランド力を高めるとても大事なアイデンティティの一つだ」
意味を知ってから上記の例文を見てみるとなんとなくイメージができると思います!
最後の例のように「アイデンティティ」という言葉は、人間に対してのみ使われる言葉ではありません。
会社のロゴマークや企業理念、会社名そのものもアイデンティティに含まれます。
(ビジネス用語でコーポレートアイデンティティ、Corporate Identityまたは略してCIとも)
他にも「デジタルアイデンティティ」、「アイデンティティ政治」といった言葉もあります。
ジェンダー、ナショナル…アイデンティティの関連語
先程紹介した「デジタルアイデンティティ」のように、別の言葉とセットで使われることもあります。ここでは、よく耳にする「ジェンダーアイデンティティ」「ナショナルアイデンティティ」「アイデンティティクライシス」の3つの言葉を紹介します。
ジェンダーアイデンティティの意味
ジェンダーアイデンティティは性自認のこと。自分で自分の性別をどう認識しているか、ということです。多くの人は生物学的な性別と性自認が合致していますが、中には生物学的な性別と一致しない人もいます。
このアイデンティティを例文でみてみましょう。
Gender identity is a way to describe how someone feels about their gender.
(性自認とは、ある人が自分の性別についてどのように感じているかを表す方法です。)
このようにジェンダーアイデンティティは性自認であり、昨今は多くの場でジェンダーについて語られていることでも分かる通り、重要なアイデンティティであることが分かります。
ナショナルアイデンティティの意味
国ごとによる構成員としての国民の一体感のこと。
【参考】コトバンク
ナショナルアイデンティティ(national identity)とは、簡単に言えば、サッカーワールドカップやオリンピック・パラリンピックなどで自分の国に対して意識が高まることが挙げられます。
アイデンティティクライシスの意味
アイデンティティークライシス(identity crisis)とは、「自分は何なのか」「自分にはこの社会で生きていく能力があるのか」という疑問にぶつかり、自分を見失うことです。
【参考】weblio
アイデンティティの意味のまとめ
「アイデンティティとは何だろう?」ということをもう一度考えてみてみましょう。
アイデンティティとは分かりやすく言うと、人や会社などが「他人から推し測られたものではなく、自分自身という存在に対して自分で定義できる意識を保っているもの」でしょう。
自分が認識している個性を否定された時には、アイデンティティクライシスが起こります。現在の世の中ではこれがよく問題になっており
「自分自身が何者であるかわからない。どうしたらいいかわからない」
と思い込み引きこもりや鬱になったりといったこともあるそうです。
自分の信念や個性を確立するアイデンティティは、生きていく上で非常に大切になります。
自分自身を深く見つめ直すことで、人生における新しい目的を見つける可能性があります。
皆さんも時間がある時に、自分のアイデンティティについて考えてみてはいかがでしょうか?
茨城県出身で現在ネイティブキャンプのオフィスで働いているセブ在住のAdamです。 それまで全く興味のなかった海外に20歳で初めてフィジー共和国という国に行ってから日本では味わえない異文化を体験し、そこから海外旅行が趣味になりました。今までにアジアやヨーロッパの国をバックパーカーとして旅行しながらほぼ独学で英語を勉強し、TOEIC950点を取得。 将来の夢は各大陸に拠点地となる家を買いそこを行き来しながら長期間世界中を旅することです。笑
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.