韓国語を学んでいる人は今では多いですが、韓国語など外国語を学び、使えるようになるにはある程度の時間がかかります。個々に目標や目的は違いますが、韓国語学習者の多くから聞かれるのは、韓国ドラマを字幕なしで理解できるようになりたい、日常会話程度ができるようになりたい、というものです。
これらのことができるようになるためには、最低でも中級レベルの韓国語能力が必要で、個人差はありますが、3年以上の継続的な学習が必要になると考えるのが無難です。ですが、韓国語の学習が中級レベルに差し掛かると、多くの学習者が行き詰まりを感じることが少なくありません。
今回の記事では、韓国語中級者が学習に行き詰まる理由と、それに対する解決策を説明します。
韓国語中級者が学習に行き詰まる理由
最初に多くの韓国語中級者に共通して見られる学習に行き詰まる理由を挙げます。
1. 初級レベルがしっかりと身についてない
初級レベルの知識が不十分なまま中級に進むと、基礎が固まっていないために応用が効かず、理解や習得が難しくなります。これは中級者に限らず初級者にも当てはまりますが、「勉強した=できる」では必ずしもありません。
つまり、勉強したからできると思っていてもできないことが少なからずあります。既に中級の学習に進んでいる人でも、初級で学習済みの単語や文法を使いこなして文を作れなかったり会話ができない人は多いです。
現に、私のところにご相談に来られる中級学習者の方々でも、学習してすでに2~3年になるのに「今日はお昼に何を食べましたか」といった初級レベルの簡単な質問に直ぐに答えられない方がひとりやふたりではありません。
このように基本的な文法や単語を理解できるようになっていない状態では、中級以降の複雑な文章を理解したり、正確なコミュニケーションを取ることが困難になります。
2. 日本語をそのまま置き換えて文を作るクセがついている
日本語と韓国語は文法的に似ています。そして、初級レベルの文法は日本語をそのまま置き換えて韓国語にできるものが多いです。
ですが、中級からは日本語の文法構造をそのまま韓国語に当てはめてしまうと、不自然な文章になりやすいです。そのため、「韓国語は日本語をそのまま置き換えれば良い」という考え方で文を作るクセがついていると、中級からは自然な韓国語表現がなかなかできるようになりません。
多く見られる間違いは、助詞の使い方と、決まった文法の型があるのに、文字通りにパーツごとに置き換えて、自分独自の置き換えた表現を使って文を作ってしまうものです。韓国語の基本の型や韓国語独自の表現や言い回しを理解せずに使うと、韓国人には通じにくい文になることがあります。
3. 単語や文法の暗記が目的になっている
日本人学習者の勉強法の特徴として、単語や文法を覚えること自体が目的になってしまっている点が挙げられます。これには、学校英語の受験勉強や試験の影響と、単語を知らないと話せないからとにかく単語をたくさん暗記することが重要だ、という思い込みがあるためです。
確かに初級段階では、ベースとなる知識として単語や文法を覚えることが重要です。その理由は、会話や文を作ったりするためには、韓国語の知識が必要だからです。
ですが、教材に書かれている内容をただ覚えるだけでは、実際の会話や文を自分で作ることがなかなかできるようになりません。中級からは、初級で学んだ知識をどのように使うかを考えることが重要です。
4. 初級から変わらずインプット偏重の勉強をしている
先の項目に関連して、インプットに偏った勉強法では、実際に使える韓国語のスキルが身につきません。韓国語習得で単語や文法を知識として学ぶことは手段のひとつであって、それが目的でもなければすべてでもありません。
「韓国語習得とは単語や文法をたくさん学んで覚えることだ」という学校英語や試験合格が目的のような考え方でいると使える韓国語は一生身に付きません。中級レベルになっても、インプットばかりでアウトプットの練習を怠ると、韓国語の運用能力が向上しません。
その結果、やってもやっても進歩を感じられない踊り場状態がずっと続きモチベーションが低下、最悪の場合挫折します。
5. 自分に必要なことが分からないまま勉強している
外国語習得では、いきなり自分の最終目的を目指して勉強するのではなく、まずは全てに共通する基本を個々の目的に関係なく学びます。スポーツで例えると、どのスポーツをするにもまずは必要になる基礎練習や体力作りをすることと同じです。
韓国語習得でそれにあたるのが初級レベルです。ですが、中級からは基本的な学習にプラスして少しずつ自分の習得目的に合わせた学習も取り入れて行く方が良いです。
その場合に、何を目指して勉強しているのかが不明確だと、学習の方向性が定まらず、効果的な学習ができません。ありがちなのは、レッスンを何となく受けている、教材の内容をただ勉強している、といった惰性でしているだけの勉強です。具体的な目標を持たないまま勉強を続けると、モチベーションも低下しやすくなります。
6. 日本語の読解力や理解力が不足している
韓国語は韓国語能力がつけばできるようになると思っている学習者が多いのではないかと思います。ですが、韓国語ができるようになるかには母語である日本語能力も影響しています。
その理由は、日本人が韓国語の文を作ったり会話をする時に必ず日本語をもとに考えるからです。もし日本語が全く韓国語習得に影響していないのであれば、韓国語をそのまま理解していることになるので、韓国語として不自然な文を作ったり理解できないことはないはずです。
そのため、日本語の読解力や理解力が不足していると、韓国語の文章を日本語に訳すことができたり文を作ることができても正しくなかったり、その内容を正確に理解することが難しくなります。
解決策
ここからは解決策について説明します。
1. 初級の復習を徹底する
初級の教材を再度見直し、文法や単語を使い基本的な会話や文を作る練習を通じて基礎を固めます。この段階を面白くない、できるだけ早く終わらせたいと焦ってすると中級に進んでから行き詰まり必ずまた戻ることになります。
「基本あっての応用」であることを忘れず基礎をおろそかにしないようにすることが重要です。
2. 韓国語の文法や表現をそのまま学ぶ
教材に出ている例文や文章を読んで韓国語の文法構造や表現方法を真似し、基本の型をしっかりと身に付けます。その時に重要なことは、韓国語と日本語の文をよく見比べて違いに気づくことです。
見れば分かるけど、自分で文を作ったり会話をする時には間違いそうだと思う部分が習得のポイントです。絶対にしてはいけないことは、自分の日本語をそのまま表現できないからと翻訳アプリに頼って韓国語にし、それを覚えることです。
翻訳アプリの精度は昔に比べると良くなってはいますが、日本語が複数の意味で解釈されるものだと誤訳されたり、自分が使う状況や文脈までを汲み取って正確に翻訳してくれるわけではありません。
3. アウトプットの機会を増やす
中級からは、インプットをしながら学んだ知識を使いアウトプットする機会を増やすことも重要です。日記を書く、韓国語話者と言語交換を行うなど、韓国語を実際に使う場面を作り、学んだ単語や文法を使って自分で文を作り実践で使う練習をします。
アウトプットと聞くと韓国人と話さなければならないという固定観念のある人が大半だと思いますが、韓国人でなくても韓国語を話せる人であれば誰でも良いです。独学の場合、自分で文を作ったり話すことができても正しいかは分からないので、添削やフィードバックを受けると良いです。
4. 覚えた知識を文脈で使う練習をする
単語や文法を単に暗記したり理解するだけではなく、覚えた単語や文法を使って短い文を作ったり、基本フレーズや会話のパターンを覚え、それを応用することで実践的な表現を身につけます。
教材にある基本の型を自分のことに置き換えて応用することで、自分が使える韓国語能力が少しずつついてきます。
5. 具体的な学習目標を設定する
中級からは、基本的な学習と並行して自分の目的や目標に合わせた学習内容も取り入れます。そのために、具体的な学習目標をまず設定します。
TOPIKの4級に合格する、初級レベルの単語と文法を使いこなしてスムーズに話せるようになる、など明確な目標を持ち、自分の弱点を把握して克服するための具体的な学習計画と学習法を決めて実践します。
6. 自分の日本語を見直し正しい日本語を使う心がけをする
韓国語習得に日本語能力は良くも悪くも影響を与えます。普段自分が使っている日本語が乱れている、日本語で、ある程度整った文を書いたり表現ができないことは韓国語能力が伸びない大きな原因になります。
自分が使っている日本語に意識を向け、本や新聞など一定の整った日本語の文章に触れることにより正しい日本語表現を学んだり理解力をつけることは、韓国語など外国語の習得には有効です。
また、日頃から自分のことを表現したり、身近なことに対し自分なりの考えを持ちそれを日本語でまず表現してみることも大事です。見落としがちですが、韓国語で書いたり会話をする以前に、自分の考えや相手に伝えたいことがない、または、それらをうまくまとめたり表現できなければ、それを韓国語で表現することは当然できません。
まとめ
今回の記事では、韓国語中級者が学習に行き詰まる理由と、それに対する解決策を説明しました。中級では初級レベルのように、進歩が大きく感じられないため学習に行き詰まったり挫折しやすいです。
中級では、アウトプットを増やし、個々の目的に合った学習を取り入れながら、新しい知識を学び定着させていくことがスムーズに学習を進める上でのポイントになります。
◇経歴
日本、韓国の企業で通訳・翻訳、アシスタントとして勤務
日本にて韓国語講師として5年勤務
フィリピンにてフリーの通訳として英語、韓国語、日本語の3言語の通訳を担当
◇資格
韓国語能力試験(TOPIK)6級
延世大学校韓国語教員養成課程修了
◇海外渡航経験
ワーキングホリデーにてソウルの企業数社で通訳・翻訳、セールス、マーケティングを担当
韓国語習得のための留学5回(一般韓国語、ビジネス韓国語)
延世大学校にて韓国人と共に韓国語教育について学ぶ
◇自己紹介
韓国語学習コンサルタント
韓国語講師
講座構築コンサルタント
オンラインで韓国語学習に悩みを持つ学習者の問題解決をする韓国語学習コンサルタント、韓国語講師として韓国語習得に成功する学習法や練習法も指導しています。
また、英語と韓国語習得に成功した経験とカリキュラム構築、教材作成の経験を活かし講座構築の方法をあらゆるジャンルのプロに指導するコンサルタントとしても活動しています。
海外就職でフィリピンのセブに移住して5年半在住、現在はタイのチェンマイに住んでいます。
外国語に興味があり、英語、韓国語(ビジネスレベル)、中国語(中級)、現在はタイ語習得を目標に勉強しています。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.