【知ってましたか?】「矛盾」は英語でなんていう?

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矛盾 英語表現

国語辞典・辞書によると、「矛盾(むじゅん)」は「ぼうじゅん」とも読み、「矛」は武器の「ほこ(剣)」 を、「盾」は身を守る「たて」を表します。

「矛盾」という言葉の由来は中国の古い物語です。昔、矛と盾を売っている武器商人がいて、「この矛はどんな盾をも貫き、この盾はどんな矛も通さない」と言うので、それを聞いた人が「じゃあ、その矛でその盾を突いたらどうなる?」と尋ねると、その商人は返事に困ってしまった、という話から生まれたとされています。

このように、「矛盾」は「つじつまが合わないこと」「ものごとの道理が一貫しないこと」などを意味します。「私の上司の言うことはいつも矛盾している」「彼女の態度はどうも矛盾しているようにしか思えない」などと言ったりしますよね。

では、このビジネストークやフォーマルなスピーチ、あるいは日常会話でもよく使われる「矛盾」「矛盾する」「矛盾している」という言葉やフレーズは、英語では何と言えばいいのでしょうか。

今回は「矛盾」の英語表現について、その意味や使い方を関連する話題も交えながら、たくさんの英語例文を使って解説・説明していきたいと思います。

Contradiction

物事のつじつまが合わない「矛盾」という意味で最もよく使われる英単語が「contradiction」です。発音をあえてカタカナで書くならば、「カントラディクション」という感じ。真ん中の「ディク」のところにアクセントを置いて強く読みます。

日本語の「矛盾」も少々固い言葉ですが、それと同じように、この「contradiction」もやや固く響く言葉ですね。概念的に使う場合は不可算名詞(数えられない名詞)として扱われますが、具体例を挙げる場合は可算名詞(数えられる名詞)として扱われます。

This company policy includes a contradiction.

この会社の方針には矛盾が含まれています。

What you are saying sounds like a contradiction.

あなたの言っていることは矛盾しているように思えます。

My girlfriend is mysterious. Although her words often seem full of contradictions, no problems have ever occurred.

私のガールフレンドはミステリアスだ。彼女の言葉は矛盾に満ちているように思われることが多いが、これまでになんら問題が起こったことはない。

「〜と〜の間の矛盾」と言いたい場合、次のように「between」という前置詞が使われることが多いです。

I can’t understand my boss. There’s a contradiction between his words and actions.

私は上司のことが理解できない。彼の言葉と行動には矛盾がある。

「contradiction」の形容詞形が「contradictory」で、「矛盾している」「反対の」といった意味になります。「〜に矛盾して」と言いたい場合、「contradictory to〜」というように前置詞「to」がよく使われます。

His actions are contradictory to his words.

彼の行為は彼の言葉と矛盾している。

There exists a lot of contradictory evidence to the judgment.

その判決には矛盾する証拠が多数存在する。

「contradiction」の動詞形が「contradict」で、「〜と矛盾する」「〜を否定する」といった意味になります。次のように、目的語が来る他動詞として使うことができます。

These findings contradict the previous theories.

これらの発見はこれまでの理論と矛盾している。

She often seems to contradict herself.

彼女はしばしば矛盾したことを言うように思える。

上の例文のように、「contradict oneself」で、「矛盾したことを言う」といったニュアンスです。

Inconsistency

「inconsistency」「一貫性がないこと」を意味する英単語です。「一貫性」という意味の単語「consistency」の否定語です。言っていることとやっていることが違っている場合などに「一貫性がない」と言いますよね。そうした意味で、「矛盾」と日本語訳されることも多いです。

This document is full of inconsistency. It needs rewriting.

この文書は矛盾点ばかりです。書き直す必要があります。

The mother pointed out the inconsistency between her son's words and what he did.

母親は息子の言葉と行動の矛盾を指摘した。

「inconsistency」の形容詞形が「inconsistent」です。「一貫性のない」「矛盾した」「一致しない」「相反する」といった意味になります。

That sounds inconsistent to me.

私にはそれは矛盾しているように聞こえる。

The CEO’s statement on that day was inconsistent with the previous one.

その日のCEOの発言は前回の発言と矛盾していた。

上の例のように、「inconsistent」を用いて「〜と矛盾している」と言いたい場合は、前置詞「with」がよく使われます。

Discrepancy

「discrepancy」「相違」「差異」「不一致」といった意味の単語ですが、「矛盾」と日本語訳されることも多いです。

The experiment showed many discrepancies in old hypotheses.

実験では、古い仮説に多くの矛盾があることが示された。

Even a baby can see the discrepancy between your plan and what you have done.

赤ちゃんでも、あなたの計画と実際に行ったことの矛盾に気づくことができますよ。

Paradox

「paradox」は、「矛盾」「矛盾した状態」「矛盾している事」「逆説」「パラドックス」などと訳されます。単に何かが矛盾していることを指す場合にも使いますが、いわゆる「逆説」と言われる、ちょっと考えさせられるような複雑な矛盾を表す場合にも使われる言葉です。

A boy raised in a splendid environment often ends up living in a bad environment. That seems a paradox!

素晴らしい環境で育った少年が、しばしば悪い環境で暮らす結果になる。これは一つの矛盾のように思えます。

It may seem like a paradox, but reducing advertisements brought us more sales.

矛盾しているように思えるかもしれませんが、広告を減らすことで売上が増加しました。

Not make sense

「make sense」「意味をなす」という意味の熟語です。これを「not」などで否定形にすると、「意味をなさない」「意味がわからない」といった意味になります。そして、文脈によっては「矛盾している」と訳される場合もあります。

いつも「矛盾」と訳されるわけではありませんが、よく出てくるフレーズなので覚えておくと役に立ちます。

That doesn’t make sense.

それ、意味がわかんないよ。

Don’t you think what he’s saying doesn’t make any sense, do you?

彼の言っていることはかなり矛盾していると思いませんか?

Catch-22

「矛盾」に関連する英語スラングを1つご紹介しましょう。「Catch-22」です。

「Catch-22」は、アメリカの作家ジョセフ・ヘラーの小説『Catch-22』が由来の言葉です。この小説は、ブラックユーモアを通して戦争を批判的に描いたものです。

小説の内容から派生して、タイトルの「Catch-22」がスラングとして使われるようになり、「板挟み・ジレンマの状態」「身動きできない、矛盾した状態」などを意味する言葉になりました。英語ネイティブの人々にはかなり浸透している表現の一つです。

We’re in a catch-22 situation now.

我々は今、ジレンマに陥っている。

It’s catch-22. / It’s a catch-22.

矛盾しているぞ。

海外の映画などを見ていると、セリフの中にけっこう出てきますよ。

Oxymoronって知ってますか!?

今回のテーマ「矛盾」にちなんで、最後に「oxymoron」というものをご紹介しましょう。カタカナで発音を書くなら「アクスィモーラン」という感じで、「モー」のところにアクセントがつきます。

これは、日本語では「撞着語法」「矛盾語法」あるいは「名辞矛盾」などと呼ばれる、表現方法の一種です。相反する言葉をあえて組み合わせて、意味を強調したり目立たせたりする手法です。また、読者にちょっとした違和感を覚えさせ、より深い意味を感じさせるという効果もあります。

例えば、よく代表例として出されるのが「公然の秘密」。これは「誰もが知っていることだが、建前上は秘密とされている事柄」のこと。「公然」と「秘密」という相反する言葉を組み合わせています。そして英語でも「open secret」と言います。

Didn’t you know that? It’s an open secret!

あなた知らなかったの? そんなのみんなが知ってる公然の秘密だよ!

ほかにも、「小さな巨人」「負けるが勝ち」「急がば回れ」なども「oxymoron」の一種だと言えるでしょう。

「急がば回れ」に似た英語フレーズとしては、次のようなことわざがあります。

Make haste slowly.

ゆっくりと急げ( ≒ 急がば回れ)。

上の例では「make haste」(急げ)と「slowly」(ゆっくり)という、意味的に相反する言葉を組み合わせています。こんなフレーズに出合うと、一瞬「どういうことだろう?」と考えますね。ことわざというのは、こういう手法をうまく使っています。

なお、「oxymoron」は、最初にご紹介した「矛盾」の「contradiction」を使って、「contradiction in terms」と説明される場合もあります。

まとめ

いかがでしたか。今回は「矛盾」とそれに関連するさまざまな英語表現について、英語例文を交えながら、解説・説明しました。

少し固い感じの、やや難しめなイメージを持つ言葉ではありますが、日常生活・日常英会話への登場頻度は決して低くはありません。しっかり覚えて、自分のものにしてください。

こうした抽象語のレパートリーが増えるとレベルの高い英会話ができるようになり、会話の幅が広がり、またさらに英語学習が楽しくなるはずです。

それではまた。

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