「韓国語を話せる今だからわかる韓国語学習に対する10の失敗と勘違い(前半)」

韓国語習得, 失敗, ネイティブキャンプ

日本には、韓国語を学んでいる学習者が今では本当に多くいます。英語の場合、留学、資格取得、就職、ビジネスなど実益目的で学ぶ人も数多くいるのに対し、韓国語は、韓国ドラマや韓国旅行など趣味や楽しみが目的で学ぶ人が多いです。韓国語は、日本語との類似点が多く、英語や他の外国語と比べると習得難易度が低い言語です。

そのため、英語には挫折した人でも韓国語習得には成功できたり、韓国語能力試験やハングル検定などの試験にも合格している人が多いです。

また、語学学習では独学ではなくレッスンを受けて学ぶ方法も一般的ですが、韓国語の場合、習得難易度がさほど高くないため自分ひとりで勉強しても習得に成功できる人はいます。このように、比較的習得難易度の低い韓国語であっても、多くの韓国語学習者が頭を悩ませるのが、韓国語会話をできるようにならないことです。

今回の記事では、英語と韓国語で上級レベルまで習得に成功し、両言語を通訳や翻訳で使えるようになった私自身の習得経験、また、現在の生徒さんへの韓国語指導の経験から「韓国語を話せる今だからわかる韓国語学習に対する10の失敗と勘違い」について説明します。今回の記事では、前半として5つの項目を取り上げます。

韓国語会話ができるようにならないと悩む人に共通する誤解

まず、内容に入る前に韓国語会話ができるようにならないと悩む人に共通する誤解があります。それは、韓国語会話ができるようにならない根本原因が教材や学習法にあると思っていることです。確かにこれらは原因ではありますが、根本的な原因ではありません。

韓国語会話ができるようにならない根本原因は、韓国語学習に対する姿勢や会話に対する間違った思い込みや勘違いです。この根本的な部分が間違っているため、それをもとにした具体的な学習法も間違ったものになり、その結果、会話ができるようになっていないということです。

今回と次回の記事で挙げていく内容はすべてこの根本原因である間違った思い込みや勘違いです。この部分をまず改善しない限り学習法を変えても結果は変わりません。

韓国語を話せる今だからわかる韓国語学習に対する10の失敗と勘違い(前半)

ここからは、本テーマのうち前半として5つの項目を取り上げ説明します。

1.目的を決めずに学んでいた

私は英語を中高で学んだ後、短大の英文科に進学し更に学びました。その当時は日々の勉強についていくのが精一杯だったこともあり、自分が何を目的に英語を学んでいるのかは全く決められないまま短大での2年間を過ごしました。その結果、在学中に受験が決められていた学内や学外の試験ではそれなりの成果は出せたものの、英語を専攻して学んでいた割にこれといった大きな成果を得られませんでした。

この英語での失敗経験を活かし韓国語習得では、韓国語を習得してオーストラリアで知り合った韓国人の友達や韓国旅行では韓国語でコミュニケーションを取れるようになる、と明確な目的を設定して学習を始めました。その結果、今では韓国語ですべてコミュニケーションが取れるようになりました。

韓国語習得に限った話ではなく、目的を決めずに物事を始めると、やらなければならない状況にいない場合は多くの場合挫折します。そして、時間や労力を自分の目的に合った学習や練習に集中させることができないため、自分では頑張っているつもりでも成果に結びつきにくいです。

2.明確な期限や目標を決めずに何となくやっていた

これは、先の項目と関連がありますが、目的が決まっていなければ明確な習得期限や目標の設定もできないままダラダラと学習をしているだけになります。

短大では、各種試験に合格、目標スコアを取れる程度の知識量を得ることはできましたが、それらを会話で使いこなせる運用力は初級レベル程度でした。実際、オーストラリアの英語学校に留学した時、会話があまりできなかったため初中級からスタートし上級レベルで修了しました。

韓国語では、やはり英語での失敗を活かし3年以内に旅行会話と日常的に自分が良く話す内容やジャンルの会話ができて、聞き取りもできるようになることを目標にしました。その結果、年に1~2回程度韓国旅行に行く度に韓国語で少しずつ会話ができるようになっている成長を感じることができました。

3.読解の勉強ばかりしていた

これは学校英語の文法訳読法がメインの勉強法の影響が大きいです。日本の学校英語は受験に合格することが目的であるため、会話力よりも試験で点を取れる知識があるか、読解力があるかが重視されます。その結果、私も含め多くの外国語学習者はどうしても慣れ親しんだ文法訳読法の勉強ばかりをしがちです。

私の場合、さらに短大に進んでからも難しい英語の文章を読まなければならない講義が多く、会話のような実用目的のスキル習得の機会が少なかったです。とは言え、単語力と文法力をベースにした読解力も大事なスキルのひとつであり不要なわけではありません。

その理由は、会話のベースとなるものは文であり、その意味や文法的な構造を理解していなければ、自分で話す時にも文を作ることができないからです。ですが、読解のようなあるものを理解するだけの受け身の学習法をどれほどしても、自分から外に向けて発信するアウトプット力はつきません。

4.単語をたくさん知らないと話せないと思っていた

韓国語を話すためには、文を作らなければなりません。そして、文を作るためには単語と文法が必要になります。これは私たちが学校で学んだ英語を思い出せばわかりますが、英単語を単語集で暗記したり単語帳を作って数多くの単語を覚えたと思います。

また、文法も中高の6年をかけて難易度の高い文法を学んだはずです。試験の合格基準の目安としても単語数が記載されているため、英語や韓国語など外国語を話せるようになったり習得するためには、とにかく単語をたくさん覚えないといけないと思っている学習者が多いはずです。

私自身も、オーストラリアに行くまでは、とにかく単語をたくさん覚えていなければ話せないと思っていました。言い換えると、会話がうまくできないのは自分の単語数が足りないからだと思っていました。ですが、これは大きな誤解です。

その理由は、自分が知っている単語=自分で使える単語、では必ずしもなく、知っていても使えない単語は知らないことと同じだからです。実例を挙げると、単語を覚えて4,000語知っているとしても、実際に使える単語が2,000語であれば、会話で使うことができる単語数は2,000語しかないということです。

また、試験に出てくる単語は主に文語で使うものもので、日常生活で使わないものも多いです。そのため、覚えても会話では使うことがほとんどないということもあります。私が、英語や韓国語を話せるようになってわかったことは、難しい単語を知っている、数多くの単語を知っているから会話ができるわけではないということです。

重要なことは、会話でよく使う使いまわしの利く基本的な単語をいかに使いこなせるかということです。基本的な単語を使いこなすことで、難しい単語を他の分かりやすい表現に換えて話すことができます。それにより、難しい話もわかりやすく話すことができます。

韓国語会話ができないと悩む人が話せない理由のひとつが、日本語を話すのと同じような感覚で韓国語を話そうとするためです。どれだけ韓国語を勉強しても、日本人にとっての母語である日本語と同じレベルにはなりません。そのため、韓国語で会話をするためには、そのための工夫が必要になります。より詳しい内容は次の項目で説明します。

5.日本語をそのまま韓国語に訳すことにこだわりすぎていた

これは、先の項目の後半から続く内容です。まず、大前提として日本人にとっての日本語は母語であり韓国語は外国語です。母語と外国語では全く違います。言語は、子どもの頃にその言語が話される環境にいれば学ばなくても自然と話せるようになるのに対し、臨界期と呼ばれる年齢を過ぎてしまうと意図的に学ばなければ話せるようにはなりません。

そして、学んで話せるようになったとしてもネイティブと全く同じにはなりません。そのため、どれだけ勉強したとしても私たち日本人がネイティブとして日本語を話せるのと全く同じ感覚で韓国語を話すことはできないということです。もちろん、どの程度話せるようになるかは個人差があります。

例えば、相当の学習と練習をこなしたプロの通訳者であれば、韓国人と遜色がないレベルで、微妙なニュアンスや表現を韓国語で話せるようになる人がいないわけではありません。ですが、一般学習者がそのレベルの域に達するのは至難の業と思う方が良いです。

では、一般の学習者が韓国語会話をできるようになるためにどうすれば良いのかと言うと、日本語をそのまま韓国語に訳して話そうとしないことです。つまり、自分の韓国語レベルに日本語レベルを下げて合わせるということです。その理由は、いくら自分で話したいことがあっても、それを韓国語で話せる能力がなければ話すことができないからです。

自分が話したいと思いついた日本語の表現を、自分が知っている韓国語の単語や文法を使って話すことができる、より簡単な表現に換えて話すということです。その場合、細かなニュアンスを伝える表現やこなれた表現をしようとするのではなく、本当に伝えたい大事な部分がしっかり伝わる表現にすることです。表現は新しい単語や文法を学んでいく中で少しずつブラッシュアップし、その時々で自分が使える韓国語を使って話すことを考えれば会話は難しくありません。

まとめ

今回の記事では、韓国語を話せる今だからわかる韓国語学習に対する10の失敗と勘違いのうち前半として5つの項目を取り上げ説明してきました。次回の記事では、引き続き後半の5つの内容を取り上げ説明します。

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